偽伝・機動戦艦ナデシコ T・A(偽)となってしまった男の話   作:蒼猫 ささら

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此処数話あたり恋愛偏向で食傷気味かと思われますが、前半ちょっと部分がまだそっちに偏ってます。


第十九話―――旅程Ⅱ

 感情というものが如何に厄介で制御の利き辛いものなのか、改めて考えさせられます。

 サユリさんの挑発を受けた事も重なっての事なのでしょうが、アキトさんがメグミさんと二人っきりで良い雰囲気で話し込んでいたとオモイカネから聞いて、私は仕事を終えたアキトさんを強引に部屋に連れ込んでしまった。

 

 詰問する為だ。

 

 勤務時間はとうに過ぎた夜間。午後21時。私の部屋に来るのは日課になっているとは言え、いえ……だからこそ、その日は仕事と密談や勉強などで根を詰めた疲れを抜く為、早く身体を休めたかったでしょうに。

 なのに浅はかにも私は……、

 

「…自己嫌悪です」

 

 早朝から憂鬱になって洗面台に映る自分の顔に向かって呟き、項垂れて顔を俯かせる。

 はぁ…とため息が零れた。

 口調も少しきつくなっていたと思う。サユリさんとメグミさんの事をどう思っているのか問い詰めた。

 

『…えっと、サユリさんは同じナデシコ食堂で働く仕事仲間…同僚で。メグミさんも…いや、面と向かって話したのはさっきとコロニーの件の時ぐらいだから、うーん……同じ船に乗るクルーだけど、まだ他人って感じの方が強い…かな?』

 

 私の詰問にアキトさんは少し困った様子でそう答えた。

 確りと考えて答えてくれたのだと思う。だけど私はつい、

 

『でも今日、食堂で間接キスをして嬉しそうでしたよね。メグミさんとの会話も随分弾んだようですし』

 

 固い声でやや皮肉っぽくそう言った。

 

『…そこは少し勘弁して欲しいな。サユリさんもメグミさんも可愛い女の子な訳だし、あんな事をされたり、二人っきりで会話したら、照れを覚えたり、楽しく感じるのは…男として仕方がないと言うか、ルリちゃんには悪いと思うけど…ゴメン』

 

 今度は心底困った様子でアキトさんは答えた。

 その言葉にかなりムッとしてしまった。

 私の事が好きなのに…その筈なのに、他の女性に気を取られるような事を言ったのだ。艦長に関しては未来の事もあるし、アキトさんにとって特別な所があるからまだ分かる。でも…!

 

「本当、自己嫌悪です…」

 

 一瞬感情が爆発しそうになった。だけど何とか抑えられた。アキトさんとケンカなんてしたくないし、もしそれで嫌われたら…と、理性の部分が強く訴えてきたからだ。

 

「それに冷静に考えたら、気を取られるという程の言葉ではありませんし」

 

 アキトさんは男性として自然な反応を言っただけで、あの二人に好意があると告げた訳ではない。

 尤も私には少し理解しづらいのが正直な気持ちだ。女性だからかも知れませんが、もし私がアキトさん以外の異性にあんな形でも間接キスなどされたら不快に思うか、無関心でしょう。仮にサブロウタさんやハーリー君でも大して気にはしないように思う。会話にしても同様です。

 …ああ、でもセイヤさんだったら嫌に思いますね。二人っきりになっても警戒を覚えそうな気がします。

 “前回”では、私の等身大一分の一フィギア作って艦内に偽番組を流したり、男性クルーに売り捌こうとしましたから。ヒカルさんに本気になって浮気しそうになった事もあります。

 

「…セイヤさんのことはともかく、」

 

 溜息が出た。

 感情を抑えた私は皮肉気に悪態を吐いた事を謝った。頭を下げて。

 今ほど落ち着いてはいなかったけど、いえ…だからこそ下げた頭の下で顔を青くしていた。嫌われたのでは?という恐怖があって、これで叶うかも知れないこの恋がそうでなくなったのかもという恐れがあったから。

 同時に擡げるアキトさんを批判したい感情もまだ残っていて、

 

『…浮気なんて最低ですからね、アキトさん』

 

 ポツリとそう零してしまった。

 まだ正式に付き合ってもいないし、恋人という訳でもないのに、私以外の女の人に目が向く事を不快に思い。私以外の誰かに心変わりしないよう釘を刺したいと考えてしまったのだ。

 これにアキトさんは困った顔を変えられず、どうしたものかと悩んだ様子だった。

 

「本当、本当に自己嫌悪です、身勝手ですね、私…」

 

 深く深く溜息を吐いた。

 その後は、お互い気まずさがあったので何となくお休みの挨拶をして別れた。

 

「……もう一度、謝らないと」

 

 今も気まずい感情はある。顔を合わせるのも少し不安がある。だけど、そうして逃げてもいられない。

 非は私にあるのだし、ズルズルと引き摺っては余計に気まずさが増す。

 

「ん…よし!」

 

 洗面台の蛇口から水を流し、頬を軽く叩くようして冷たい水で顔を洗って気合を入れる。その気合に応えるかのように頬からパシンッと聞き心地良い音が微かな痛みと共に耳に入った。

 

 

 ◇

 

 

 浮気かぁ…。

 昨晩、寝付く前から何度もそんな言葉が脳裏に浮かぶ。

 そんな積もりは一切ないのだが、ルリちゃんにとってはそうでなく、不安があるという事なのだろう。

 昨日の事――サユリさんとの間接キスやメグミ嬢との展望室での会話は、前者は偶発的な些細なトラブルみたいなもので、後者はこれと言って特別視するほどの事ではない……と思う。

 だけどルリちゃんはそう思えなかった。

 サユリさんは原作でもそうだったが、何故か(アキト)に好意を向けていたし、メグミ嬢とは少し微妙だけど付き合っていたと言えるくらいの関係だったからなぁ。

 

「だから不安に感じて、そう言ったんだろうな」

 

 ルリちゃんが怒り、浮気だなんてまで言った訳は何となく察せる。

 ただでさえ“前回”でアキトに好意を寄せ、半ば恋人めいた関係であった女性と親しい様子である事は許せなかったのだろう。

 ルリちゃんの事を(アキト)が間接的にも……なのだと知ったから余計に。

 

「まいったな」

 

 その想いを知られる切っ掛けとなったユリカ嬢との先日のやり取りや、昨日あったサユリさんとメグミ嬢との出来事以上にそっちに対して悩ましさを覚える。

 

 ――あの子に俺の想いが知られた事に。それが厄介に思ってしまう。

 

 ルリちゃんもそんな様子だったが、俺にしてもあの子と面した時に抱く感情をどう処理すべきか分からなくなりそうだった。

 俺の想いが知られ、より強く、より明確に向けられるようになったあの子の感情と想い。

 好き好きオーラとでも言うべきか? 形の無いそれをルリちゃんの姿を見る度に目に映るようなのだ。昨日の嫉妬や怒りにしても色は違っても同様に目に入るようだった。

 勿論、実際に見える訳ではないが、纏う雰囲気をヒシヒシと感じる。

 

「どうすれば良いんだか…」

 

 ルリちゃんを怒らせ、もしかしたら悲しませたかも…という事も辛いが、改めて強く向けられる好意に悩み、苦しさを覚える。

 また、それを厄介だと思ってしまう自分の身勝手さにも怒りを覚える。

 

「…ったく、人の感情って奴は――」

 

 まったくもって難解なものだ。

 軽く溜息を吐いて、とりあえず浮気をする気なんてないと伝えるべきかと考える。

 恋人という訳ではないのだけど、他の誰かによそ見する気は無いとだけは――と思い、途端、ユリカ嬢の事が脳裏に過る。

 強引に口づけされ、二度目は拒む事も出来なかった自分。

 

「……」

 

 舌打ちしたい気分になった。よそ見する気は無いと断言できない情けない自分に

気が付いたからだ。

 浮気なんてまで言われるのも当然だな、これじゃあ。

 呆れを覚えると共に自分への怒りも強くなる。

 その怒りに応えるかのように、俺を叱り付けるかの如くけたたましい電子音が鳴った。

 

「――もうこんな時間か」

 

 鳴り響いた電子音…コミュニケの目覚まし機能によるアラームを止めて、空中でウィンドウに映る時刻を確認する。

 

 ――AM4:30

 

 この少し前に目は覚めたのだが起きる気には成れなくて考え込んでしまった。もうあと30分後の5時までにナデシコ食堂へ顔を出さなくてならない。

 やや億劫な気分だが、気が乗らないからと休んでは仕事は務まらない。ホウメイさんにもサユリさん達にも迷惑が掛かる。それでは社会人として失格だろう。

 

「よしっ! 今日も仕事だ!」

 

 気持ちを切り替え、気を晴らす為にも叱咤するように軽く声を張り上げて身体を起こす。

 立ち上がって布団を片付け、顔を洗う為に洗面所へ向かおうとし、ふとガイの方を見る。

 いびきを掻いて眠り込んでいる。目覚ましのアラームが鳴り、布団を片付ける為にゴソゴソと動いたのに全く起きる気配がない。

 思わず苦笑する。

 

「悩みがなさそうで良いな、ガイの奴は」

 

 そんな事は無いとも思うが、呑気に眠る姿にそう思ってしまう。

 着替えを持ち、安眠を貪るガイを一応(必要ないかも知れないが)気を使って静かに洗面所へ移動する。

 きっちり五分で洗顔、歯磨き、髭剃り、着替えなど身支度を終えて、パジャマ代わりのジャージと脱いだ下着を洗濯籠……正確には籠の中の袋へ放り込む。

 洗面所を出る前にもう一度鏡で身嗜みを確認し……不意にコミュニケから着信を知らせる電子音が聞こえた。

 

「…ルリちゃん?」

 

 操作し、小さく宙に表示されたウィンドウにはあの子の名前がある。

 昨日の今日でという事もあって若干不安を覚えたが、応答する。

 

『朝早くからすみませんアキトさん。おはようございます』

「うん、おはようルリちゃん」

 

 不機嫌な様子はない…のだが、少しばかり元気のない声だ。それに怪訝と心配を覚えるが何用なのかと彼女の続く言葉を黙って聞く。

 

『……昨日は、その…ごめんなさい。嫌な事を言いました。頭に血が上ってしまって…』

 

 ウインドウ越しにルリちゃんは深く頭を下げる。

 

『アキトさんは何も悪くないのに……本当にごめんなさい』

「いや……別に謝って貰うような事じゃないから」

 

 下げられた頭に戸惑ってしまうが、どんよりとした空気を背負うルリちゃんを見ていられなくて若干慌てて告げる。

 

「大丈夫、そんなに気にしてないからさ」

 

 実際は悩んでしまったのだが、そう言うしかない。

 ルリちゃんなりに昨日、俺を責めたのは理不尽だと理解し、怒りも静まったようなのだからサユリさんとメグミ嬢の件は俺としても何も言う事は無い。むしろ安堵を覚える。

 

「ルリちゃんが、怒ったのはそれだけ俺を気に掛けているって訳なんだし、“前回”での事で心配があるからっていうのも分かっているから」

『…アキトさん』

 

 俺の言葉を受けてルリちゃんもホッとした安堵の表情を浮かべ、背負う空気も軽くなったのを感じられた。

 固かったルリちゃんの表情が綻んだ事で俺は更に安堵を覚えるが――……ああ、だけどそれでも言っておくべきだよな。

 

「だけど、これからも多分、ルリちゃんを似たような事で不安にさせたり、怒らせたりすると思う。でも……俺は浮気とか、余所見とかする気はないから。俺が大切だと想うのは――」

 

 ――言葉を切る。

 

 これ以上は口する事はできない。

 言ったも同然なのだとしても“ソレ”を告げたら自分の中で感情を押し留める堰が壊れ、越えてはならない一線を越える事になりそうだから。

 同時に気付く。そうなりそうだというのにルリちゃんにこんな意味深な言葉を言うのは、ユリカ嬢を何処か受け入れてしまいそうな自分を戒める為でもあるのだと。

 ユリカ嬢に揺さぶられる感情の抑止に利用せんが為に出た、浅ましく独善に満ちた言葉。

 そんな自分に吐き気を覚えた。ルリちゃんの想いを踏み躙っているようで自分を絞め殺したくなる。

 

 ――どこまで身勝手なのか!!

 

 自分に対して際限のない憤りを覚える。だが表情には出さない。必死に隠してウインドウに映るルリちゃんを見つめる。先の言葉に対する反応を確認する為に。

 

『……アキトさん』

 

 俺の……いや、“彼”の名前を呟いて頬をかぁっと赤く染めるルリちゃん。途中で切ったものの告白めいた言葉の意味を理解しての事だろう。

 顔を赤くしながらも少し潤んだ瞳で俺を見つめ返してくる。そして――

 

 ――はい、信じます。

 

 不安に思ったり、怒ったりするかも知れませんけど、それでも……と、俺を信じるとあの子は言った。

 

「うん、ありがとう。じゃあ、これから仕事だからこれで。あと謝る為に態々早起きしてくれたんだよね、それもありがとう」

 

 向けられる瞳と言葉に軋む心を抑えつけて俺は笑顔でそう告げ。ルリちゃんの返事を待たず逃げるようにコミュニケを切った。

 ……最低だな、俺は。

 泣かせたくないと思っていても、いつか泣かせる時が来るのだろう。そしてその時には俺も……――。

 

「……ふぅ」

 

 (かぶり)を振る。

 何時ものようにこれ以上は考えないようして部屋を後し、食堂へ向かった。

 

 ただ、どうしてか突然、無性に“アイツ”と“ボンボンの若頭”に会いたくなった。

 片方は既に亡く、もう片方とは疎遠になってしまったが――……3人でまた馬鹿なやり取りをしたいと郷愁(未練)めいたものが胸中に去来した。

 

 

 ◇

 

 

 まだ暖簾の掛かっていない食堂の入り口を抜けると珍しい顔を見掛けた。暖簾が掛かっていない事から分かる通りまだ開店していないのだが、

 

「お、テンカワ、おはようさん」

「来たか。おはよう、テンカワ。朝早くからの勤務、ご苦労だな」

 

 俺が食堂に入った事に気付いたホウメイさんともう一人……この時間帯では見ない顔を向けて大柄の男性が挨拶してくる。

 

「おはようございます、ホウメイさん、ゴートさん」

 

 ホウメイさんの傍にナデシコで戦闘指揮と保安を任されるゴートさんが居た。

 ルリちゃん並みに表情の変化に乏しく、冷静沈着な男性が俺の方をジッと見つめる。

 元軍人、それも特殊部隊に所属し、今はネルガル・シークレットサービス――という表向きの看板を持つ特殊工作部隊――に在籍する屈強な人物の視線を受けた所為かちょっと緊張する。

 その筋の、強面連中には慣れている積りだったが、やはり本物以上に本物の人間は雰囲気が一段、二段と格が……いや、次元が違う。

 

「珍しいですね、こんな時間に」

 

 覚えた緊張と身体の強張りを解すように笑顔を作ってゴートさんに尋ねる。それにゴートさんが「ああ」と頷くの見て、ふとその用向きに気付いた。

 

「もしかして俺に用ですか? パイロットの件で?」

「そうだ。察しが良くて助かる。正直、ここで忙しく働いているお前にパイロットまでやって貰い、その事を話すのは心苦しいものがあるからな。……それにコック姿が板に付いている」

 

 思わぬ気遣いの言葉に驚く。

 ゴートさんは仕事に関して私情というか、そういった内面を見せない人間だと思っていたからだ。リップサービスという訳でもなさそうだ。そういったお世辞や煽てこそゴートさんは口に出さないだろう。

 

「ありがとうございます」

 

 驚いたが素直に嬉しくもあったので軽く頭を下げる。

 

「いや、……まあ、良い」

 

 ゴートさんは何故か口籠ったが、用件を話し出した。

 

「テンカワの訓練スケジュールを組んだ。火、木、土曜の週三日、早朝の食堂勤務が終わってからこっちに参加して欲しい。やや急で悪いが明日が初日になる」

「いえ、大丈夫です」

「そうか。…それで――」

 

 ゴートさんはコミュニケを操作してウインドウを表示する。時間単位でこまかな訓練メニューの入った画像が浮かび、説明しながら俺にもコミュニケを操作するように言ってゴートさんからデータを受け取る。

 

「――とりあえずは以上だ。スケジュールの事はホウメイ料理長の了解を得ている」

「ああ、貴重な男手が取られるのはちょっと大変だが、それを考えてサユリにも頼んだんだしね」

 

 ホウメイさんは苦笑して言う。副主任の事だろう。

 ホウメイさんとホウメイガールズの皆と朝食時などの雑談で知った事だが、料理人として働いた事があるのはホウメイさんを除くと、意外にも俺とサユリさんだけらしい。

 俺はバイトでしかなかったがサイゾウさんに鍛えられた所為か、少しばかりプロとしての自負がある。だがレストラン経営者の娘であるというサユリさん以外のメンバーは、調理師学校や栄養士学校などからスカウトされたとの事だ。

 食堂スタッフとしての技術はそこそこあればいいという程度で良く、食堂に花を添えるとでも言うような見栄えを重視した人選だったとか。メグミさんの採用理由と近いものがある。

 ただ唯一、プロの場で経験があるサユリさんも……ホウメイさんが皆に言わず、俺にだけ語った事だが、サユリさんは料理人としての自負が少し乏しいという。

 

 プロの両親の指導を受けただけに筋はとても良いのだが、それ故にか“お手伝い”感覚があり、あくまで両親の下にいる一スタッフというスタンスで心構えが不足しているとの事。本人としては料理人の自覚はあるのだろうが……。

 

『まあ、それでも問題は無いと言えば、問題ないんだけどねぇ、ナデシコ(うち)としては』

 

 苦笑しながらホウメイさんは言った。

 だけど、一人くらいは気概のある人間が居て欲しかったと。

 

『そう言った意味でもテンカワが入ってくれたのはありがたかった。技術はまだ荒いが見込みもある』

 

 気概も気骨も十分、料理人として身を立ててやろう!っていう野望だってある…補佐として自分の代わりを任せられるって思ったよ。差別する訳じゃないが男性という点も良かった、とも言われた。

 褒め過ぎな気もする。

 過大な評価だ。自分なりに真剣に料理に向き合ってはいるが、身を立てようっていうのは”本来の彼”の夢の為で、この身体を預かっている以上は投げ出したくないという意地があるからだ。

 確かに料理人というのも悪くないと思っているし、多くを学ぼうと努力もしている積りだ。身体を返せずこの世界に留まって生きて行く事になるのなら将来は自分の店を持ちたいとも考えてはいる。

 だからサイゾウさんの下でも、此処でも真剣にやっている。

 

 ……うん? 傍から見るとホウメイさんの言う通りなのか?

 

 まあ、ともあれ。

 サユリさんはホウメイガールズのリーダー的立ち位置に初めからあったものの、ホウメイさんの補佐や代理として任せるにはやや不安があったので俺を……という事を考えていたのだが、俺が本格的にパイロットもやる事になった為に、苦肉的に俺とサユリさんの二人を副主任に選ぶ事になったそうだ。

 その際、

 

『サユリの奴もテンカワが来てからどうしてか、気概が出るようになったからね』

 

 と、ニヤニヤとした笑みで言って俺を意味ありげに見ていた。

 その時は、なんでさ? と某ブラウニー少年の口癖を心の中で呟いたものだが、今となっては――……まあ、分かる。

 そんなフラグを立てた積もりはないのだが……本当、どうしてだ?

 

「テンカワも二足の草鞋で大変だろうが、頑張りなよ」

「はい、すみません。ありがとうございます」

 

 厨房から抜けがちになる事に頭を下げつつも、気遣いと励ましの言葉にお礼を言う。

 ホウメイさんはそんな俺の態度に苦笑を覚えた様子だが、今日も宜しく頼むよ…と言いながら厨房の方へ引っ込んでいった。

 

「こっちも苦労を掛けるが明日から頼む」

「はい、了解です」

「うむ、ではな」

 

 ゴートさんも俺に背を向けて食堂を後にする。その背を見ながら思う。

 ……パイロットか。本当にもうコックだけではいられないんだな。

 もう三度も実戦を経験し、プロスさんの要請に応えておきながらも、そう今更ながらに思ってしまう。

 

「逃げる気なんてないけど」

 

 それでもサツキミドリに寄港してから今日まで平和で、エステのコックピットに座ったのもコロニーを出航したあの日だけで、それだって戦闘はなかった。

 

「駄目だな」

 

 もう戦いたくなんてない。エステに乗りたくないと感じている自分に気づいて、それを振り払うように首を振る。

 サツキミドリ滞在以降、楽しくコックに専念出来ていたせいか、思いのほか腑抜けていたらしい。

 

「気を引き締めて掛からないと」

 

 右手を目の前に持って来てIFSタトゥーのある甲を見詰めつつ、気合を入れるように拳を握った。

 

 

 ◇

 

 

 翌日――

 

「おう! 来たかアキト!」

 

 早朝の厨房での仕込みと食事を終えた俺は、格納庫近くにあるブリーフィングルームに顔を出した。

 艦橋に隣接する物よりもこじんまりとしているが、戦う船という事もあってか、こういうブリーフィングルームは各ブロック随所にある。

 

「ガイ、おはよう。…しっかり起きていたんだな」

 

 顔を出した俺に真っ先に声を掛けてきたガイに応じるも、確りと此処にいる事に少し驚いてしまう。

 

「……当たり前だ。これでも軍のパイロット校に居たんだぞ、俺は」

 

 時間管理はきっちりしていると言いたいらしい。

 俺の事を何だと思っていると問い質し気な視線を受けて俺は苦笑を返す。

 仕方ないだろう。俺が掛けた目覚ましのベルにも気にせず眠り続け、部屋を出るまで布団の片付けから洗顔、着替えまでゴソゴソと動いていても一向に目を覚まさずにいびきを掻き続けているのだから。

 遅刻常習犯とまでは言わないが、それに近いルーズな出勤していると思ってしまう。

 

「……ぬう」

 

 俺の苦笑をどう感じたのか、ガイはムッとした顔で不機嫌そうに唸る。

 

「オッス、テンカワ」

「アキト君、おはよう」

「おはよう、テンカワ君」

 

 三人娘もガイに続いて俺に挨拶してくる。それに俺もおはようと挨拶を返す。

 その三人娘の方をガイは一瞥すると、

 

「まあ、良いか。アキト、よろしく頼むぜ!」

 

 機嫌を直して改めて挨拶をした。ガイのその声には何となくだが、安堵めいたものが感じられた。

 多分、男一人で肩身が狭い思いをしていたのだろう。そこに漸く自分以外の男性パイロットが来たのだ。それも同室の気心が知れた俺である。

 

 ……その気持ちは分からなくもない。俺も食堂では同じな訳だし。

 

 整備班を中心にやっかむ声は聞こえてくるが、若い女の子の中で男一人というのは神経を使う。傍から羨ましい環境に見えても実際は違うものだ。

 漫画、ゲーム、アニメなどで、謂わばそういった類の物語の主人公などがそう似たようなセリフをぼやく事があるが、まさかリアルで体験して自分がそう思う事になるとは思わなかった。

 ガイの奴も似たような心境かも知れない。コイツも男性クルーにやっかみの籠った視線を向けられているのだし。

 ヒカル嬢とゲギガンガーについて熱く語り合って意気投合している事もある。他のアニメや特撮や漫画などの話題でも盛り上がっているらしい。

 ゲキガンガーオタクなだけかと思いきやそれ以外にも結構見ているんだよなぁ、ガイの奴。……ジャンルは偏っているけど。

 

「全員、揃っているようだな」

 

 背中から野太い声が掛かった。

 その声に振り向くと、つい先程俺が潜ったドアの前にゴートさんが居た。

 

「おはようございます、ゴートさん」

 

 俺が挨拶すると同時にカイやリョーコ嬢達も「オッス」「おはよう」など挨拶を口にしてゴートさんに軽く敬礼したり、頭を下げたり、手を振ったりする。

 それにゴートさんも短く「うむ、おはよう」と返事をする。

 

「さて、昨日知らせた通りテンカワが今日から訓練に参加する事になった。毎日ではないが、宜しくしてやってくれ」

 

 席に付いた俺達にゴートさんはそう切り出し、ガイ達は頷き、俺も宜しくと改めて軽くお辞儀をする。

 ゴートさんはその様子を見て満足するように軽く頷くと、俺の方へ視線を向けて、

 

「テンカワ、一応確認するが、渡していたマニュアルは読み終わったのか?」

 

 そう尋ねられた。

 渡されたマニュアルというのは、エステバリスの仕様書や格納庫周りのシステムや機材の説明書の事だ。

 エステバリスの仕様書は言うまでもなく、各フレームのスペックデータや取扱いに関しての事だ。

 格納庫周りのものは、エステを固定し移動させるハンガーやガントリーや発進時に使用するカタパルトに関する事などが書かれていた。

 パイロットになる以上、そういった知識はしっかり頭に入れておかなくてはいけない。

 忙しい昼時が過ぎて比較的手が空いた時間帯にそれらを読んだり、仕事が終わった就寝前の、“先の事”を密談する時間を使ってルリちゃん……いや、ルリ先生の講義(レクチャー)を受けて何とか頭に詰め込んだ。

 なお、ルリちゃんは先生呼ばわりはお気に召さなかった模様。俺に他人行儀に呼ばれるのは心底嫌らしい。……一度、そう呼んでみたのだが物凄く不機嫌な顔をされた。

 とにかく、ルリちゃんからの教えもあって俺は自信をもってゴートさんに頷く。

 

「はい、大丈夫です」

「…そうか」

 

 ゴートさんも頷き返し、なら問題ないなと言いながらブリーフィングルームの中央、俺達が席を囲って向き合うテーブル……もとい卓型のディスプレイ端末を操作する。

 操作を受けた端末に画像が投影される。コミュニケと同じ無数のウィンドウが優に開いて中央に立体映像が浮かぶ。

 

「お!」

「これは…?」

 

 浮かんだ映像にリョーコ嬢が微かに驚き示し、ヒカル嬢が疑問気な声を出す。そこにガイが卓上へ身を乗り出すようにして叫ぶ。

 

「エステバリスの新型かっ!?」

 

 ガイの言葉通り、立体映像(ホログラフィー)で分かり易く浮かんでいるのは見た事のない型のエステバリスだ。

 それを見て、イズミ嬢も僅かに目を見開いているが中央のホログラフィーばかりに気を取られず、冷静にその周りに浮かぶ概要欄やスペックが表示されているウィンドウに目を走らせている。

 そう、驚くリョーコ嬢や興奮したガイなど反応を観察するように見ていた所為か、ゴートさんに言われる。

 

「テンカワは驚いていないようだな。……ふむ、ホシノに既に見せて貰っていたか」

 

 指摘めいたその言葉に一瞬ギクリとしてしまう。

 

「……図星か」

「はは…」

 

 笑って誤魔化す。余り意味は無いのかも知れないが。俺とルリちゃんの仲の良さを知らないナデシコクルーはいないのだ。

 ガイは新型のこと知っていたのかよ!?と問い詰めて来るし、リョーコ嬢も非難するような視線を向けてくる。ヒカル嬢もぶーぶーと同じくだ。イズミ嬢は呆れが見える。

 皆、正規パイロットの自分達を差し置いて、という思いがあるのだろう。

 俺もそれには少し申し訳なく思うが許して欲しいとも思う。ルリちゃんと二人っきりで密談しているだなんて下手しなくともタイーホ案件になるような事は勿論言えないのだが、この新型の事もこうして披露される前に知らせて変に期待されては困るのだ。

 

 図面を引いたルリちゃんも、実際に形に出来るかは分からないと言っていたのだから。

 

「テンカワを責めるのはそこまでにしておけ、それでこの新型についてだが――」

 

 ゴートさんが淡々とした口調ながら皆を宥め、新型エステバリスを模るホログラフィーに目線を向けて説明を続けようとする――が、

 

「――その説明はこのナデシコのチーフメカニックこと、天才エンジニアのウリバタケセイヤに任せて貰おうかっ!!」

 

 魔改造ならお任せあれ!とも叫びながらブリーフィングルームの扉からウリバタケさんが飛び込んでくる。

 その突然の登場に俺とリョーコ嬢達が唖然とする中、ガイがそんなウリバタケさんのノリに合わせるかのように「おおっ! 博士!」と応じている。

 

「ウリバタケ班長、仕事はどうした? まだ――」

「――おおっと! 固い事は言うなよ、ゴートの旦那」

「……」

「メカの事に関しては専門家の俺から説明した方が良いだろ。こういった役目もまた仕事だ。第一、この新型エステの改造を実地しているのは俺が率いる整備班と技術班なんだぜ」

 

 眉を顰めて渋い顔をするゴートさんにウリバタケさんは尤もらしい事を言うが、部屋に飛び込んできたタイミングといい、叫んだ口上といい、仕事だと言いながらその仕事を放って楽しんでいるのは明らかだ。

 ゴートさんは額を手で覆って頭痛を堪えるようにしている。そして溜息を吐いて、

 

「……分かった。ただし余り長くならないように、脱線しないように頼む」

 

 あ、なるほど。だからか。

 新型のホログラフィーが浮かんだ時に思った事だが、こういう場に技術畑のウリバタケさんが居ないのは正直不思議に感じていた。

 けれど、その理由が分かった。マッドエンジニア気質を持つウリバタケさんに説明を任せたら無意味に話が長くなったり、脱線する危惧があったからだ。

 改造や整備の苦労話を挟むまでならともかく、メカの美意識だとか、拘りだとか、何故か自分の人生を語るような事になったら困る。

 脱線し過ぎて皆が呆れるだけなら良い方だが、堪忍袋の緒が切れたリョーコ嬢の拳や蹴りが飛んで、ウリバタケさんの顔や腹にめり込む事態になるのかも知れないし。

 ゴートさんも同じ事を考えたのだろう。だからウリバタケさんをこの場に呼ばなかった。……結局来てしまったが。

 

「よっし!……任されたっ!!」

 

 渋々頷くゴートさんとは対照的に意気込むウリバタケさん。

 

「この新型エステバリス…『エステバリス・OG改』の最大の見所は何といってもジェネレータ出力が従来のフレームの2倍以上となっている点だ!」

「「2倍!?」」

「おうよ! まだシミュレーション上だけでの計算だがOGフレームと比較して凡そ2.19倍の数値が出ている!」

 

 試作機を運用しデータ取りを行っていたリョーコ嬢達にとっては思いの他、大きい事だったのだろう。いきなり倍となる出力向上に驚きを見せる。

 まあ、そうだろう。

 2という数字を見て聞いてピンと来ない、或いはたった2…と思う人もいるかも知れないが、例えれば自分の体力や筋力が2倍になったと考えればその凄さが分かるのではないだろうか?

 100m走、幅跳び、垂直飛びなど身体測定などで測る記録が一気に倍に出来るのだ。

 

 とは言っても――

 

「倍以上となったジェネレータ出力のお蔭でエステバリスに搭載されているフィールド、反重力推進、重力制御、駆動系、その他諸々の出力も安定して理論値最大にまで発揮できるようになった」

「……あん?」

 

 ウリバタケさんの言葉にガイはおや?っと首を傾げて眉を顰める。

 

「なんかまどろっこしい言い方だな。フィールドなんかも二倍になるんじゃねえのか?」

「そこが素人が安易に考える所だな。そう簡単にはいかねえんだな、これが」

 

 ウリバタケさんが目を閉じて腕を組んで難し気な表情をする。ガイの疑問を予想した反応だったのか、微妙に演技っぽいが…。

 

「ジェネレータから供給されるエネルギーが倍になったとはいえ、フィールド発生器や重力制御装置などにそのまま反映するのは難しい。各機器の個別出力が入力されたエネルギーに対応できないんだ」

 

 そう、ただ単純に筋力を倍には出来ないという感じなのだ。ジェネレータ出力は例え直すなら人間の体力ないしスタミナに当たると言った所だろう。

 

「だが、そうがっかりする事もない。ナデシコに配備されたエステバリスは正式採用前の試作機ないし先行量産機のようなもんだが、冗長性や拡張性は確保してある。現場での改修や発展もしっかり視野に入れられている」

 

 どこか肩透かしをくらった顔をするガイに、それに反してニヤッと不敵な笑みを見せるウリバタケさん。

 

「フィールド発生器を含め、入出力に取ってある余裕(マージン)はかなり大きい。さすがに二倍そのままとはいかないが、フィールドや重力制御関係の出力は50%ほどの向上が見込める。駆動系もアクチュエータや内部構造のレイアウトを少し調整するだけで20%ほどのアップが可能だ」

 

 そう言ってウリバタケさんが端末を操作してウィンドウを空中に表示。ノーマルの0Gフレームとの比較した具体的な数値とグラフが示される。

 目に見える数字と表に「おおっ!」とガイの他、リョーコ嬢とヒカル嬢が感嘆の声を上げる。

 

「……大したものね。それで出力を一足飛びに2倍に出来た理由だけど、やっぱり此処の……脚部の部分かしら?」

「ああ」

「見た所これは…」

「イズミちゃんが思っている通りさ」

 

 イズミ嬢の指摘を受けてウリバタケさんが再度端末を操作する。

 ホログラフィーで浮かぶエステバリスの脚部……0G改と言われるフレームで最も異彩を放つ若干大型化し形状も変化した下腿部分が赤く点滅し、新たなホログラフィーが卓上に浮かんでその内部構造を透かしたものが映る。

 

「発想としては実に単純な物だ。エステバリスは内蔵バッテリーを除けば、ナデシコから発信される重力波ラインに乗ったエネルギーを機体背部に設置された2基の受信機…これがジェネレータな訳だが、この重力波受信ユニットでエネルギーの供給を受けて稼働する」

 

 大容量のエネルギー源を機体そのものに持たせるのではなく、外部に頼る事で非常にコンパクト且つ従来にない大出力を実現した……というエステバリス最大の売りにして基礎的な知識。

 ウリバタケさんの復習するような台詞に、俺を含めてパイロット全員が頷く。

 

「ならこの重力波ユニットを増設したらどうなるか? 2基あるこれを4基にすれば倍になるんじゃないのか? ……と」

「本当に単純だな」

 

 リョーコ嬢が横から言い、一瞬噴きそうになった。

 

「ああ、まるでメカの素人が思った事をそのまま口に出したような意見だが、だからこそ盲点でもあった。いや、発想の転換だな」

「…ッ!」

「どうしたテンカワ?」

「い、いや…なんでも……」

 

 こみ上げそうになった失笑を堪えて慌てて首を振る。その単純で素人みたいな意見というのは、元は未来のリョーコ嬢が言った事だからだ。

 知らぬ事とはいえ、言った本人が呆れたように言うのだから可笑しさを覚えても仕方がないだろう。

 笑いを堪えて引き攣った表情をしているだろう俺を皆が怪訝そうに見つめるが、「まあ、いいか」といった様子で皆の視線がウリバタケさんの方へ戻る。視線を受けたウリバタケさんもホログラフィーを見つめる。

 

「しかし重力波ユニットのパーツは大きい、増設するにしても背部にさらに追加しては機体バランスが悪くなり過ぎる。ガントリーやハンガーへの固定にも支障をきたす。そうなると自然整備作業にも影響が出てくる」

 

 卓上にホログラフィーが追加される。背部に重力波ユニットを増設した0Gフレームと、そのフレームとの格納庫周りの機材との干渉具合が映像で分かり易く示される。

 

「確かに背中が重そうだねぇ、このエステちゃん」

「宇宙空間なら影響なさそうだが……機動時に掛かる慣性モーメントもあるしなぁ。重力制御でそっちもコントロールできるつっても癖がありそうだ」

「重力下では余計にそうね。言うまでもないけど」

「翼が生えたみたいで見栄えは悪くなさそうだけどな。それに地上なら静安性が悪いのは逆にメリットになる事もあるぜ」

 

 ヒカル嬢、リョーコ嬢、イズミ嬢、ガイが各々感想を零す。

 

「機体バランスを敢えて崩してって奴?」

「おう! 重心などの不安定さを利用してな。地上の戦闘機は昔っからそうしてるぜ」

「なるほど、そういやヤマダは空軍の方の出だっけか?」

「ダイゴウジガイだ! いい加減、そう呼んでくれ…」

 

 ヒカル嬢とリョーコ嬢と続けて話しながらガイは肩を落とす。一々訂正(?)を求めるのも疲れるというのもあるだろうが、せめてパイロット達の間では……という思いもあるのだろう。

 しかしヒカル嬢は「はいはい」と軽く投げやりに、リョーコ嬢は呆れ顔で無言で流すだけだ。

 俺は苦笑するしかない。

 

「ヤマダの話すメリット云々はまあともかく、メカの専門として、また整備に携わる人間としてはエステバリスの背部へのユニット増設は歓迎は出来ない。それに高度な重力制御と慣性制御を行うこの最新鋭の機動兵器(エステバリス)にはそのメリットは殆ど無いしな」

 

 ウリバタケさんが話を戻す。

 

「で、背中が駄目ならと次に考えたのが、脚部だ」

「ん、だけどよ。そこには――」

「――ああ、補助動力のバッテリーの大部分が内蔵されている」

 

 リョーコ嬢の指摘に頷くウリバタケさん。エステバリスは空戦フレームと月面フレームを除いて下腿部分に内蔵バッテリーがある。アサルトピットの方にも予備はあるが。

 

「この改造機の唯一の欠点だな。こいつはバッテリーが内蔵されてる下腿を重力波ユニットを組み込んだパーツに取り換えたものだから、重力波エネルギーのラインの外に出ると稼働時間が大幅に減る。それでもノーマルの0Gフレームの出力に換算して半分の時間……5分は何とか連続稼働できるようにしてある」

 

 そう告げるウリバタケさんの言葉に、パイロットのそれぞれが悩ましそうな顔を浮かべる。

 

「…5分か。ノーマルでソレなら倍で戦闘をすれば更にその半分になるな」

「やっぱり一足飛びな分、そういったデメリットはあるよね」

「けど、エステバリスは元より母艦(ナデシコ)の補助兵器、それに宇宙なら大きな遮蔽物は少ないからラインが切れる心配は早々ないわ。だからと言って楽観視する積もりもないけど」

「やっぱ、背中に増設した方が良いんじゃねえか?」

 

 3人娘の悩まし気な言葉を受け、ガイは改めて背部増設案を勧める様に言うが、

 

「そうもいかねえ。背部案を蹴って下腿へ増設をする事になったのは、何もバランスや整備に問題が出たからじゃねえんだ」

「ん?」

「どういう事だ?」

「背部に増設すると0Gフレームの背面や胴体部にあるエネルギー伝達系へ掛かる負荷が大き過ぎるんだ。エネルギー伝達系にも勿論、出力向上を見込んでマージンは取ってあったんだが、いきなり2倍とは流石に想定外だったようでな。背部増設の場合、負荷を抑える為にせいぜい20%……良くても30%行くかどうかが限界値になる。フィールドなど各部への出力反映もその分か、それ以下になる。当然、伝達系にバイパスを追加しての話だ」

 

 機体の外にチューブを経由してという方法もなくは無いんだがなぁ……とも今度はウリバタケさんが悩ましげに言った。

 それにイズミ嬢が得心した表情を見せる。

 

「……なるほど、だから下腿に増設したのね」

「おう、元からバッテリー用のエネルギー伝達回路があったからな。それを利用してユニットを設置すればエネルギーが背面や胴体の回路ばかりに集中する負荷は避けられて、倍に得られるエネルギーを抑える心配もロスさせる事も無くなるという訳だ」

「へぇ~、倍にするにしても色々あって、考えなくてはいけないんだね」

「あったりめえだ! 漫画やアニメのようにポンポンと都合良くは出来ねえよ。プラモデルのようにただパーツをくっ付ければ良いって訳でもねえしな」

 

 ヒカル嬢の言葉に「こんな事もあろうかと!っていうのも実際は地味な積み重ねと苦労が裏にあるもんだ」ともウリバタケさんは小さく言う。どこかしみじみとして。

 

「ふーん、でもこうして聞くとホント良く考えているよね。単純なようで盲点なユニットの増設もそうだけど、バッテリーがある脚部の回路を利用するっていうのも。エステちゃんに触ること自体、まだ日が浅いのに……こう短い間にこんな改造案が出るだなんてさっすが天才エンジニアを名乗るだけあるよね」

「確かにな、やるなウリバタケ、冴えないおっさんかと思ってたけど見直したぜ」

「そうね、サツキミドリの開発スタッフもそうだけど、それに負けない確かな腕を持つ一流の技術者だったのね。私も見直したわ」

 

 しみじみとするウリバタケさんに三人娘から称賛の声が向けられる。しかし、

 

「………………」

 

 若い娘、それも美少女達から称賛と感心が籠った眼を受けたというのにウリバタケさんは何故か黙り込む。

 女房から逃げる為にナデシコに乗り込み、浮気と構わずとも若い娘との出会いを求めているウリバタケさんが喜ばずに何故か沈黙している。

 

「どうしたのウリバタケさん?」

 

 調子に乗って喜ぶ姿でも想像していたのだろう。三人娘は怪訝そうな表情をし、代表してヒカル嬢が尋ねるが、ウリバタケさんは沈黙を守る。

 俺は少し呆れて溜息を吐く。何故か…と表したがその理由を察していたからだ。

 

「ぐっ…」

 

 溜息を吐く俺の様子を見てウリバタケさんは気まずそうに呻いた。俺が察した事を察したらしい。

 で、観念したのか、頭を横に振りながら言い難そうに答える。

 

「……褒めてくれるのは嬉しいが、お門違いだ」

「え?」

「この改造案を出したのは俺じゃあねえんだ」

「ハァ!? あんな自慢げに登場しておいて、我が事のように説明していたのにか!?」

「……博士、それはないんじゃないか?」

「ぐはっ!?」

 

 ヒカル嬢、リョーコ嬢の唖然とした様相に続いてガイの呆れた声が効いたのか、ウリバタケさんはまるで心臓に赤い魔槍でも受けたかのように胸を押さながら膝から崩れ落ちる。

 なんとなくだが、ガイにさえ呆れられたのが特に応えたように思える。

 

「……無様ね」

 

 そこに鞭打つかのようにイズミ嬢の呟きが耳に入った。ウリバタケさんは今にも血を吐きだしそうな表情になる。

 意気揚々と現れて、自分がやった仕事のように話しておきながらの説明だったから……まあ、こうなるのも仕方がない。

 そこに落ち着いた声が横から入る。

 

「このプランを提案したのはホシノだ」

 

 ゴートさんだ。何時ものむっつりとした顔で淡々と告げた。

 

「あ! だからテンカワが知っていたのはそういう事なのか!?」

「テンカワが知っていたかどうかは別として、彼女が設計を行ったのは確かだ」

「ほへ~、ルリちゃんが。なるほど“本物の天才”はやっぱり違うね」

「アイディアを出すだけでなく、設計まで出来るなんて色々と凄いわね、あの子。何処かの“一流の技術者”顔負けね」

 

 リョーコ嬢の驚きに繰り返すように答えるゴートさんの言葉に、ヒカル嬢とイズミ嬢は此処にいないルリちゃんに感心する……が、微妙にウリバタケさんに視線をやり、刺を向けている。

 ウリバタケさんは膝を着いてorz状態だ。流石に哀れに思えてくる。

 

「まあ、ルリちゃんが設計したのは確かだけど、専門家じゃないから。ウリバタケさんの修正があって形に出来るんだし」

 

 哀れに感じた事もあってフォローする。

 

「それに設計が出来て、こう直ぐに実機の改造にまで漕ぎ付けられるのは一流の技術者で、改造屋(違法だけど)で腕を鳴らしたウリバタケさんがナデシコに居てこそなんだから」

「……それも事実だな。テンカワの言う通りだ」

 

 意外な所から更なる援護射撃(フォロー)が来た。ゴートさんが言葉を続ける。

 

「ホシノの設計案があったとしても、やはり彼女は専門家ではないからな。細かな所で問題点はあった。それを設計図の段階で的確に見抜き、逸早く修正できたのはウリバタケ班長の見識故だ」

 

 実際、サツキミドリから新たにクルーに加わったエステバリスの元開発スタッフ達は直ぐに見抜けなかったからな…と言いつつ、

 

「そこからシミュレーションでの検証と実機の組み立てまでと、この僅かな期間で進められたのは班長が一流の技術者であり、天才と自負するだけの腕があるという確かな証左だ」

 

 寡黙で実直な軍人とでもいうような――事実、元軍人だ――淡々とした口調だが……いや、だからこそ何の誇張もなく手放しに褒めているのだと分かる。

 

「へぇ~、そっか。ゴートの旦那がそう言うのなら」

「ウリバタケさんもやっぱりただ物じゃないんだね」

「……人は見かけによらないって事ね」

「博士は、博士って事だな! やっぱそうでないとな!」

 

 ゴートさんの偽りなく述べる褒め言葉を受け、ウリバタケさんに再び称賛の眼が向けられる。

 床に膝を着いていたウリバタケさんも立ち上がって笑顔を見せる。

 

「伊達にこの腕だけで飯を食ってきた訳じゃねえからな。そこらの技術者気取りの連中にこの道で後れを取る事は無い積りだ」

「……うむ」

 

 ウリバタケさんの言葉をどう受け取ったのか、ゴートさんが神妙に何処か考え込むように頷く。それが微妙に気になる。

 ただ俺もその言葉には確かな自信と気概が感じられて、三人娘も感じるものがあったのか「ほう」「へぇ」と感嘆の声を零した。今度こそ本当に見直したらしい。

 

「まあ、そんな俺から見てもルリルリは確かに凄いな。ヒカルちゃん達も言っていたが、流石は――って事なんだろうな」

 

 卓上に映るエステのホログラフィーとウィンドウに映る設計図を見ながらウリバタケさんは言う。

 ルリルリという愛称を口にするのは、ハルカさんがそう呼んでいる事が早くもクルー達に広がっているからだ。……女性よりも男性クルーがそう呼ぶ割合が多いのが何とも言い難いが。

 流石は……と口に出しながら濁したのは、俺としては僅かに怒りを覚えるがやるせなくも思う。

 心身知脳ともに優れた人間として、天才となるべく生まれる前から遺伝子調整されたデザイナーベビー。

 あの子に向かって誰も直接は言わないが、きっと誰もがそれをあの子を目にする度に頭の何処かで意識し、考えてしまうのだろう。

 羨望、哀れみ、奇異、妬み等々を込めて。

 それは俺自身例外ではない。それがあの子への侮辱なのだとしても。だからこそあの子に向けられる悪意や隔意から守りたいと、大事にしたいと思う。

 

「正直、脱帽されられたぜ。エステバリスどころか、機械その物をまともに弄った事もないあんな小さな子に、こんな立派な図面を見せられた時はな」

 

 感心しながら言うが、その声には微かに嫉妬めいたものもあるように思える。気のせいかも知れないが。

 

「うちの若い連中にも見習わせたいもんだ」

 

 ウリバタケさんの感心する様子に俺は内心で何とも言えない気分になる。多分、ルリちゃんもその言葉とウリバタケさんの様子を見たら同じ気分になるだろう。

 ルリちゃんがエステバリスの改造案と設計図を引けたのは、やはり未来での知識と経験がある為だ。

 

 ルリちゃんは周知されているとおりIFS強化体質だ。

 その身体の特性を活かして(活かされて)体内に通常のIFS保持者とは比較にならない大量のナノマシンを持ち、脳下垂体に形成されている補助脳も極めて大容量のデータベースを有し、高速演算処理を可能としている。それはあの子を一種の生体コンピューターと言わしめる程に。

 事実、ルリちゃん自身の脳と補助脳を含めた体内のナノマシン群の間で行われる量子プロトコルやアルゴリズムなどによるコンピューティングは、オモイカネを除いてこの時代はおろか、未来での最新コンピューターでも追随できない性能を誇るという。あの子自身から聞いた話だ。意識的にも無意識的にも常に自分の性能をアップデートさせている事もそれに貢献しているらしいが…。

 

 ともかく、生きたスーパーコンピューターとも言うべきルリちゃんの頭の中には、未来で得たエステバリスなどの機動兵器やナデシコの詳細な設計図を含めた膨大なデータが蓄積・保存されている。

 ルリちゃんがウリバタケさんも唸る程の図面を引けたのは、“天才”として教育されたあの子自身の知能の高さもあるが、何より未来で得たデータを持っていた為だ。

 

『改造人間――そう言われるのも無理はありません』

 

 数日前、あの子の部屋で図面を引きながら、自嘲したように自分の身体の事を語るルリちゃんを思い出す

 その言葉を否定する事は出来なかった。けどだからといって俺はあの子を非人間だと嫌悪する積もりは無い。否定は出来なくともそれはしっかりと伝えた。

 それで自嘲気味だった笑みが引っ込んでくれたから伝わってくれたと思うが、まだ心配はある。人とは違う、より優れた存在である事に優越感を覚える以上にコンプレックスや引け目、負い目を感じているようだから。

 だけどウリバタケさんも思う所はあってもルリちゃんをしっかり一人の人間として見ているし、ハルカさんや他のクルーも同様だから変に思い詰めたり、拗らせる事は無いと思うが――……。

 

「そういや、テンカワからアイディアを貰ったとかも言ってたな」

「え?……あ、まあ」

 

 突然、話を振られて戸惑うも頷く。

 

「そうなのか、テンカワ?」

「うん、まあ…」

 

 ウリバタケさんに続いてリョーコ嬢からも意外そうな顔を向けられて、もう一度頷く。

 

「といっても、大したことじゃないよ。重力波ユニットを足に付けたら? と言っただけで……」

「あ、アキト君のアイディアなんだ、それ」

 

 告げる俺にヒカル嬢は感心し、ガイもほう…と唸っている。残りの面々も似たり寄ったりだ。

 俺としては頬を掻くしかない。照れ臭いというのもあるがそう褒められる事でもないのだ。

 『エステバリス・カスタム』をこの時代の技術による再現を試みてルリちゃんが図面を引き、ユニットの増設の事で悩んでいるのを脇で見ていた際、エステバリス・カスタムとの事からふいに同劇場版で登場していた『ステルンクーゲル』の事が思い浮かび、あの機体と同じく足にユニットを付けたら良いんじゃないのか? と、アドバイスと言えないよう事を何となしに言ってみただけなのだ。

 そして、

 

『なるほど、それなら……――助かりますアキトさん』

 

 そうルリちゃんは天啓を受けたような顔をして俺にお礼を言って、ステルンクーゲルの設計図を引っ張り出して睨み始めて。それを参考にしたこの『エステバリス・0G改』が誕生する事になった。

 何と言うか皮肉的な話である。

 ネルガル最大のライバル企業が未来において開発し、エステバリスから主力の座を奪った機体のお蔭で形に出来たのだ。

 褒められた気がしないのは、パクリ的にアイディアを持って来たという事やライバル機から取ったという複雑な所もある所為かも知れない。

 

「話を戻そう。ホシノが提案した当機だが先程も説明に出たように現在組み立てが進められており、この二、三日で完成(ロールアウト)する見込みだ」

 

 懸念されたウリバタケさんの長話が出た訳でないが脱線を感じたのだろう。ゴートさんがやや声を大きくして傾注を促すように言う。

 

「それに先んじてシミュレーションデータは既に出来上がっている。訓練初参加のテンカワも含めて午前はパイロット各員にこの改造機への適性を計って貰う」

「うーん……そうだな。こいつは出力が倍になり、フィールドや重力制御こそ50%アップに留まるが、見ての通り下腿への重力波ユニット増設に伴いスラスターもそのままユニットの物を流用して下腿部に追加してある。総推力に関して言えば見たまま倍になっている訳だ。つまり――」

 

 ゴートさんの話を補足するようにウリバタケさんも告げる。

 

「重力制御…引いて言えば慣性制御、対G緩和は50%アップに限られるのに、推力は2倍上昇という事だが――この意味は敢えて説明しなくとも分かるだろう」

 

 告げられた内容に素人の俺は勿論だが、正規パイロットのガイと三人娘達は当然だと言う風に頷く。

 

「そういう事だ。訓練校時代の適性検査やこの一年でのスバル達の試験中のデータ。ヤマダもそうだが……そこからも問題は無いと思うが一応だ」

 

 皆を見まわしながらゴートさんが言い、俺の方で視線が止まる。

 その視線の意味を理解して俺は再度大きく頷いた。要するに実質俺に向けた適性検査な訳だ。

 当然といえば当然だ。サセボ、高々度上空、サツキミドリと三度の実戦を経てはいるが、元は偶発的――正確には違うが――にエステバリスに搭乗していただけの素人だ。訓練どころか適性検査すら受けていない。

 俺の頷きの意味を見て取ったのだろう。念押しは不要と思ったのかゴートさんは一時解散を告げる。

 

「では、各員パイロットスーツに着替え、シミュレーションルームに集合だ。5分……いや、3分以上時間を掛ける事は許さん。一人でも遅れれば全員腕立てスクワット100回の3本セットだ。以上だ。解散!」

「「「「了解!」」」」「……りょ、了解」

 

 口調は勿論のこと、何時もの無表情にも厳しさと険しさが籠った声が向けられ、ガイもリョーコ嬢達も慣れた様子で敬礼して強い声で応じたのだが、俺はどもり反応が遅れてしまった。

 一瞬、ゴートさんに一瞥されたがこれと言って何も言われなかった。

 軍隊でないからか、素人に過ぎないからか、それとも訓練初日だからか。何にしても叱責を受けなかった事でホッと胸を撫で下ろすが、

 

「おい、アキト、急げ! 遅れたらどうなるか旦那が言っていただろ!」

 

 隣に居たガイに代わりに怒鳴られてしまった。

 確かにボヤっとしている場合じゃない。急がないと。

 

「わ、悪い」

 

 全力疾走という訳には行かないからか、軽く駆け足になったガイ達の後を追って俺も足を駆けだす。

 そうして赤い制服を着込んでいる皆の背中を見ながら、一人黄色制服でいる場違い差を感じつつも自分もその一員……パイロットになるんだな、と今更ながらに改めて感じた。

 

 




 NMW-00改 エステバリス・0Gフレーム改
 頭頂高:6.24m/本体重量:1360Kg(アサルトピット重量:350Kg)

 『ND-001ナデシコ』専属オペレーター・ホシノルリが設計を行った現地改修機。エステバリスの宇宙戦闘用の0Gフレームをベースに、ナデシコ整備班及び技術班が火星航路途中の艦内で製造を行った。
 下腿パーツを重力波ユニットを組み込んだ改造パーツに換装しており、従来のフレームの凡そ2倍以上のジェネレータ出力を得る事に成功している。
 この向上した出力のお陰で当機は予め冗長を持たされていたディストーションフィールドや重力制御・慣性制御装置など、各機器の出力も理論値最大にまで活かせるようになった。
 機動性においては、増設された重力波ユニットに付随する重力波推進機関(スラスター)もそのまま流用・追加している為、総推力はジェネレータ出力と同様2倍となり大幅に向上している。これ加えて理論値最大にまで活かせるようになった重力制御も合わさり、空戦フレームにこそ及ばないものの大気圏内での飛行が可能となっている。
 また2倍以上となった出力は、エネルギー消費の大きいフィールドや重量制御などに回す以上のエネルギーの余裕を持たせる事となり、運用面で問題を抱えていたエステバリス用の新型レールカノンやディストーション・サーベルなどの武装使用の解決へと繋がった。
 しかし本来下腿パーツに内蔵されている補助動力のエルメタル・バッテリーの多くが撤去される事となった為、重力波エネルギーラインの圏外に出た場合、ノーマルの0Gフレームと同等の出力で、その半分以下の稼働時間となるという大きなデメリットを抱えている。

 なお当機の製造に当たってホシノルリは、自身の内にある未来の知識ないしデータベースから、『エステバリス・カスタム』を参考に『ステルンクーゲル』の設計を一部流用している。
 当機が製造された時期において、技術的な問題からジェネレータの小型化とフィールド発生器などの出力対応の不足に加え、エネルギー伝達系の負荷対策が不十分な事から、未来におけるエステバリス・カスタムの性能に達する事は出来ずにいる―――が、今後それらの問題が解決されれば、当機の設計を流用した『小型化した重力波ユニットを4基搭載した出力四倍の未知のエステバリス・カスタム』が、この『世界軸』の未来にて誕生すると思われる。
 その可能性が当機の存在のよって“不確定”ながらも生じている。
 

 上の説明があれば、後半の大部分は要らないではなかったのでは?と今回の執筆が終えた後に思いました。
 まあ、とりあえずはアキトが本格訓練入り。そして戦力のテコ入れ一段目のエステバリス・カスタム擬きの開発。劇場版サイズの小型ジェネレータが開発されていない段階での強引な改造案ですが。
 これ以外にももう一段か、二段ほど戦力テコ入れを考えています。

 ルリちゃんの設定に関しては独自解釈です。そうであってもおかしくないかな?と自分では思っていますが、往年のファンの方々はどう思われるか少し不安です。

 このあとがきでのエステバリスの設定でおや?思われる個所がありますが、後々の話の中の本文に入れるか、また別のあとがきで設定を載せようと思っています。
 (エステの設定を一部修正。フォトン・バッテリーをエルメタル・バッテリーに変更)

 次回は別の人物の視点から話を書く予定。
 男性一人か、男性複数からになるかも知れません。
 あとギャグそろそろ入れたいのですが、次々回になるかも…? ダジャレのセンスが皆無の為、イズミ嬢に言わせられてないのももどかしいです。

 《追記》
 ギャグ回のネタの方が早く纏まりそうなので次回はそっちにします。

 ソフィア様、静駆様、蒼衣灯夜様、黄金拍車様、しのっぺ様、三輪車様、アキラ様、誤字報告ありがとうございます。

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