僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』 作:那由他01
織斑千冬は一枚の書類に目を通していた。それは学園に現れた無人機と拳銃を携えただけの粗製なロボット、これらがIS学園を無意味に襲った事実、それに頭を抱えている。この二つはIS学園の練習機を奪取しに来たと言うなら、納得がいく話だが、この二つは交流大会という単一の場所を襲った。
襲ったのは、IS学園に籍をおいている二人の男性生徒。
一つはまるで、成長具合を確かめるように。
一つはまるで、殺害を意図したかのように。
あまりにも方向性が違い過ぎる。一人を殺さないで、一人を殺そうとする。この時点で、女尊男卑主義者の襲撃ではないことが確認できる。それに付け加えて、女尊男卑主義者が無人機を製造できるか? 答えは否、そんな技術力が主義者にあるはずがない。まるで、面白いと思った個人の浅はかな行動にしか見えない。だからこそ、彼女は頭を抱えていた。自分の知り合いが起こした行動ではないのだろうか? と……。
「あの馬鹿が一枚噛んでいるのだろうか……」
一夏のことを溺愛していた兎、礼遇のことをパラサイトと罵っていた兎、それだったら納得がいく話だ。だが、ここまでの行動を起こす理由が思い浮かばない、だからこそ、あの兎が第一候補に上がる。一夏を際立たせるだけで十分の筈なのに、礼遇の殺害まで同時に進行しようとしていた。三綾のラファールが現れたからこそ、事なきを得たが、それでも、人一人を平然と殺害しようとしていた行動力と技術力、彼女以外の可能性が非常に狭くなる。
「頭が痛くなるな……」
自分は正義の味方でもなければ、悪の権化でもない。ただ、IS学園に勤めているだけの教師であり、こういう事件には、出来る限り関わりたくないのが心情だ。だが、どう考えても知り合いが関与しているとなると、罪悪感が胸の中で発生する。
「……礼遇をどう保護したらいい」
礼遇の保護、それが彼女の心の中で一番の重要事項だ。だが、自分が受け持っているクラスでもなければ、姉弟でもない。干渉しにくい立場にいることは明白だ。
「織斑先生、転校生の話なんですが」
「ああ、山田くん……書類が届いたのか……」
転校が決定している二人の代表候補生、一人はドイツ、一人はフランスだ。
「三人目の男性操縦者……黒だ。IS学園での適性検査を拒絶している。それに付け加えて、適正があまりにも高すぎる。宮本のように例外は存在しているだろうが、ポッと出の男性操縦者がここまでISを扱えるはずがない。フランス側が送り込んだスパイだろう」
まず最初に自国で適性検査、それに付け加えて医療的な検査も全て終わらせている。それに付け加えて、入学を拒絶するのであれば、フランス人の生徒をすべて自国に戻すという脅しまで添えてある。これは確実に黒だと即座に理解してしまう。
「これを了承しろとでも言うのだろうか? どう見ても黒」
「ですが、IS学園側が拒否をしてしまうと国に大きな影響が」
「それは理解しているつもりだ。だが、ここまであからさまに男装した存在を内部に入れるのは……それに付け加えて、一年三組を指定している。下手をすると誘拐される可能性もある。馬鹿馬鹿しい、フランスもここまで落ちぶれたか……」
宮本礼遇が在籍している一年三組、それに付け加えて宮本礼遇が住んでいる部屋で同室させろという内容も添えられている。どう考えても誘拐や情報を入手するために送り込んでいる。それを安々と入学させる訳にもいかない。礼遇は世界中から狙われている身だ、こういう選別の部分で出来る限り不安な部分を振るい落としておきたい。
「一年一組で受け持つか……」
「ですが、フランス側の要望を聞かなくては……」
「この真っ黒な生徒を獲物の前に置くのか? 私は拒否したい。世間一般から見て、モルモットとして期待されているのは、宮本一人。織斑の方は、私の後ろ盾がある。危険を排除するなら……」
少しだけ考える。宮本礼遇という少年は頭が回る生徒だ。この資料を渡せば確実にこの、シャルル・デュノアという生徒が男装した女子生徒であることがわかるだろう。あとは礼遇が頭を巡らせて、何かしらの案を考えるのではないか、そう、彼女は考えた。
逆に、この生徒を一年三組に在籍させることは、即座にISを展開することが出来る即戦力を一年三組に渡すことが可能になり、丸め込むことに成功したならば、礼遇の安全性は跳ね上がる。丸め込めるかどうかは、彼の行動次第だが、今までの行動を見る限り、彼にそれは可能だと判断できる。
「一年三組に在籍させることにも意味があるかもしれない」
「何か、わかったんですか?」
「いや、希望的観測だ。ただ、この重要書類を宮本礼遇に目を通させる。それですべてが完了する」
黒を白に変えられるようにしてくれ……。
2
粗製な作りのロボットの頭部を思い切り蹴り上げて、苛立ちを露わにする。ゴーレムも二機投入した。一夏は不純物が存在していたが、華麗に倒した。だが、もう一人の方も予期せぬ到来者によって、倒してしまった。彼にあそこまでの戦闘力、そして、ISからの愛を持ち合わせているとは、誰も想像していない。
「クソッが!! 箒ちゃんに触れやがって……あの攻撃は少し上の部分を狙ってたから当たらなかったんだよ……余計な真似ばかり!! ああ、イライラする……」
彼女の失策はロボットの方に拳銃だけしか装備させなかったことだ。最初は確実性を重んじて、アサルトライフルなどの殺傷性の高い装備を持たせるつもりだった。だが、いつからか、宮本礼遇という少年がもがき苦しみ死んでいく様を見ようとする彼女が存在していた。だからこそ、最初の攻撃で仕留めることが出来ず、仕方なく予備のゴーレムを使った。
「打鉄をロックしたら次はラファール、あいつ、どんな魔法を……」
織斑千冬と同じ目をした少年が映るモニターを殴り潰す。拳には、血が流れていた。だが、痛みより憎しみが上回っており、溢れんばかりの殺意が部屋の中で充満する。
「次に攻撃するタイミングは……」
ニンマリと狂気に満ちた笑みを見せる。アメリカとイスラエルが共同開発している軍用のISがいる。丁度良く、臨海学校に近い日時で起動実験を行うようだ。これは素晴らしい。最初に礼遇を殺害し、そして、一夏を活躍させるには、とてもいい好機。これを利用しない手はない。
「次はその亡骸を見ることが出来るよね……パラサイト!」
非常に短いですが、今回はここまで、次は第二巻ですぜ!
誤字脱字あったらオナシャス!