僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』 作:那由他01
その日の夜、織斑先生に呼び出されて酒類、煙草が売られている自販機の前に向かった。
ビールを片手に遠い何かを見ている先生が居た。ベンチの空席には、重要そうな書類が入っているのだろう、茶封筒が置かれている。
織斑先生は俺のことを見ると、今日はポテトチップスか、済まないな、と、申し訳なさそうな顔になる。
「織斑先生が俺のことを呼び出すということは、何かあの襲撃事件に関係が?」
「いや、あれは別件で、学園側が雇っている気狂いに任せている。今回は、おまえのクラスに転校してくるスパイだと思しき生徒の情報提供だ」
「スパイ?」
茶封筒を受け取り、中身の確認をする。フランスから転校してくる代表候補生、シャルル・デュノア?
ラファールを製造しているデュノア社の一人息子でISに乗ることが出来るということもつい先日に判明した。フランス政府、デュノア社から専用機としてラファールのカスタム品を持っている。適正も高い。だが、存在が判明して数日でこの書類に記されているような熟練度に達することがあるだろうか? 俺も一ヶ月そこらで高等技術を叩き込んでいるが、ここまでの熟練度はまだまだ身についていない。
それに付け加えて、男性操縦者なのにIS学園側での適性検査や精密検査、それらをキャンセルしている。どんなに信頼がある国だとしても、不審物を持ち込まれたら色々と問題がある。俺も適性検査という名目で素っ裸に剥かれたことは記憶に新しい。
そして写真、白人だからって、女性の顔付きと男性の顔付きには差がある。顔の骨格だけでも、女性だと判断できる。
「こんな真っ黒な生徒を学園側は引き受けるんですか? 適性検査の拒否で入学を保留にすることだって……」
「私の方もそれは考えていた。だが、フランス政府からの脅しも厳しいものだ。一度入学させて、その後に炙り出すのが一番かと思ってな」
「ですが、自分のクラスに在籍させるとなると……退学まで持っていくのは……」
「退学させるさせないはおまえの自由だ。まあ、教師としては入学した生徒を安々退学させるのは心苦しいが」
この人は教師だ、どんな生徒でも受け入れてやろうと思っている。だからこそ、俺にこの情報を託しているのではないだろうか? 俺だったら、この生徒を丸め込んで、三綾の力でどうにか協力者に仕立て上げることも出来るのではないか、そう、考えているのでは?
「どうにか出来そうか?」
「最終的な判断は……この子次第です……」
「そう悩むな、大人は子供の味方だ。困ったことがあったら頼れ……私は、生徒の味方だ……」
俺の対応次第では、この子の人生に関わる。
2
職員室の前を通りがかると綺麗な金色の髪をした少年が立っていた。立ち振舞や挙動はどうにか男性を真似ようとしているが、立ち姿がそれを妨げている。内股過ぎる、内股の男も居ないことはないが、女性のような綺麗なものじゃない。最初の黒い部分を発見した。
「君が転校生のシャルル・デュノアくん」
「あ、えっと……君が、宮本礼遇くんかな?」
「ああ、そうだ。これからよろしく頼む。シャルルくん」
「よ、よろしくね!」
互いに握手を交わす。そして次のアクション、正直、男としてこういう部分に触れるのは嫌らしくて嫌なのだが、それでも、これで男女の識別は完了する。その後は彼の生活態度なんかを見て、行動を考えた方がいいか。それじゃあ、男として一番してはいけないことをしよう。
「ん? 血の匂いがするな、こっちに来る時に転んだか」
「――!? (血の匂い!? 女の子の日はまだ先のはず、もしかして始まって……)」
黒だな、血の匂いという単語でここまで過敏に反応するなら黒と断定していい。男に月経はない。それに付け加えて、少女の生理周期は乱れやすく計画表なんかを作っても数日の誤差が現れてしまう。それを理解しているからこそ、ここまで動揺してしまうのだ。
「ちょ、ちょっとトイレに行ってくる! 緊張しちゃって」
「おう、クラスで会おう」
さて、どういう風に彼、いや、彼女が行動するか……それ次第なんだよな……。
3
一年三組の担任、田辺先生に引き連れられてシャルル少年、いや、少女が入室する。と同時に三組の少女達が呆然とした顔になる。だが、叫ばない。一組だったら即座に叫んでいるだろうが、声を出さない。どうしてだろうか、面白くないのだろうか?
「シャルル・デュノアです。フランスからやって来ました。不慣れなことも多いでしょうが、よろしくお願いします」
「新聞部新井、情報違ってない? 一組の方に行くって言ってたでしょ」
「いやはや、先輩達からの情報だから信憑性が低くて」
「新井さんの情報も信憑性低いよ」
「泣いていいですか?」
なんだろうか、普通のリアクションをしてくれないのが三組の凄いところなのだろうか? まあ、どんなリアクションを見せようとも、俺が纏めるしか無いのだが……。
シャルルくんの方を見ると即座に視線を反らした、悟られたかと思っているのだろう。
「じゃあ、みんな仲良くね!」
「「「はーい」」」
シャルルくんは指定された席に座り、終始落ち着かない。
HRが終わったと同時にシャルルくんの元に向かう。俺が目の前に立ち塞がった瞬間に目を回している。そんなにあの揺さぶりが効いたのだろうか? もう少し遠回しな言い方を模索した方が……時間は巻き戻せない。
「これから一年生合同のIS操作の授業がある。更衣室が離れた場所にあるから案内も兼ねて一緒に行こう。それとも、女子と着替えたいか?」
「あ、えっと、あの……ついていくよ」
「じゃあ行こう」
三組を出ると同時に大量の女子生徒達が立ち塞がっていた。リボンの色で識別できるが、二年生、三年生も含まれている。どうしたものだろうか、うん、そうだな……。
「授業があるんで、すいませんが邪魔をしないでください。織斑先生に言いつけますよ」
「「「あ、はい……」」」
集まっていた生徒達は静かに引いていった。なんだろうか、織斑先生の名前の強さは一級品だ。
4
「というわけで、ここが更衣室。初っ端からISの授業がある日とは、まあ、運が悪いな。時差ボケもあるだろ?」
「う、うん……」
「体に見られたくない傷があるから、隣の方で着替えるわ」
「そ、そうなんだ……わかったよ……」
安堵のため息を吐いたな、小一時間しか経過していないのにここまでボロボロと自分が女性である証拠を見せてくるとは、訓練されてないとしか言いようがないな。フランスのスパイって聞かないし。
制服を脱ぎ畳んでロッカーの中に入れる。三綾製のISスーツはどんな素材を使っているのかわからないが、5.56×45mmNATO弾まで耐えられる特注品だ。まあ、体の中心に当たったら内蔵にダメージが入るから過信はいけないのだけども……。
「ゼェゼェ……なんで今日に限って追いかけてくる奴らが多いんだよ……」
「よお一夏、追われたか?」
「ああ、今日は馬鹿みたいに追跡者が多かったぜ……」
「多分、俺のクラスに転校してきたシャルルくんが原因だろう。俺の場合は織斑先生の名前を出して事なきを得たが」
一夏は、なるほど、織斑先生の名前を出せば切り抜けられるのか、と、感心していた。自分の姉がどれくらい凄い人なのか理解していないな? 下手をすると教科書に載せられる……いや、IS学園の教科書にはもう載っているな。それくらい凄い人なのだ!
一夏は恥ずかしげもなく全裸になってISスーツに着替え始める。なんで俺が野郎の陰部を見なければならないのだろうか、それにしても大きいな、身長は俺より低いのにナニの大きさは俺より上なのか……ちょっとショック。
「礼遇くん、着替え……ふゃああああ!?」
「おいどうした、フランスで男のナニを見なかったのか?」
「みみみみ! 見るわけ無いでしょ!!」
「そうなのか、フランスは同性愛の国とばかり」
「それはベルギーとスペインとかだよ!!」
「すまないが、俺の息子を二人してガン見しないでくれ……」
いいじゃないか一夏、減るものじゃない。それに付け加えて、シャルルくんは女だぞ、興奮するだろ。いや、こいつは鈍感だから男だと思っているかもしれないな、それだと興奮できないだろう。可哀想に……。
シャルルくんは顔を真赤にして隠れた。やっぱり黒だな。
「さーて、楽しい授業の時間だ、早く行こう」
「なんか、大切なものを失ったような……」
「僕もだよ……」
その程度で何かを失うなら落とし物も多かろう。
5
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を行う」
「はい」
一週間後にアリーナを予約したからな、もちろん打鉄三機予約している。また大会を開くらしいし、それに出場したい子も多いだろう。出場予定の子を重点的に教えて、でも、多かったら一機でも借りられる日を転々と設置して、教えていこう。あ、因みに高垣さんは俺の専属整備士という位置付けで大会に出場することはない。クラスで一番適性が高いのに……。
「では、手始めに……宮本が出たら確実に喰われるな。オルコットと凰、ISを展開しろ」
「わたくし達ですか?」
「寝不足なんですけど……」
「色男に良いところを見せられるぞ」
「「やってやるわ(りますわ)!」」
なんか情熱的な視線をセシリアから受け取ったのだが、不思議と嫌な予感がする。誰が相手だ? 俺に喰われるとか言ってたし、そんなに強くないような……。
辺りを見渡すと一機のISが猛スピードで突っ込んでくる。そうだな、着弾地点は一夏か、うん。
「一夏、ISを展開しろ……下手をすると死ぬぞ?」
「へ、あ、うん」
一夏が白式を展開したと同時に地面に大穴が……どのくらいのスピードを出していたんだよ、山田先生。生身で受けたらグチャッとスナップ映画顔負けの死体が見れたぜ。
「一夏、大丈夫か? 死んでないか」
「いや、死んでない。でも、柔らかい……」
白式の右腕が山田先生の乳房を鷲掴みにしている。これは素晴らしい、ToLOVEるのような展開だ。結城一夏に名前を変える時期に達したか一夏、素晴らしい。素晴らしい。男として憧れるよ。
二人して乳繰り合っている間に鈴さんの表情は悪くなっている。箒ちゃんに至っては、怒るを通り越して頭を抱えている。幼馴染が強姦魔になるのはなぁ、面白くはない。いや、個人的には、このToLOVEる空間を鑑賞したい気分なのだが、鈴さんの行動が早そうだ。
双天牙月を連結、そして投げつけた。が、銃声が二発、的確にそれを狙って放たれた。
「おお、すげー」
これはいい、俺の射撃力で出来るかどうかはわからないが、硝煙の連射力を駆使したらこういう風に叩き落とせるかもしれない。鈴さんと真っ向勝負をする時は真似させてもらおう。
「凰、オルコット、山田くんと戦え」
「二対一ですの?」
「勝負になるわけ、相手はラファールと言っても第二世代ですよ」
「大丈夫、小娘二人では勝てない」
二人は顔をしかめて山田先生に照準を合わせる。
織斑先生がシャルルくんに質問をして、それを完璧な返しで説明したりしていたらあっという間に二人は破れていた。山田先生に。
「まあ、それなりに戦えたほうか……宮本、次はおまえが戦え。そうだな、近接戦闘だけだ」
「近接戦闘だけですか!?」
「そうだ山田くん。射撃武器ばかり使用していたからな、次は近接戦闘だ」
「わ、わかりました……」
「よろしくお願いします」
ラファール・リヴァイヴ・三綾重工機を展開して深呼吸を一つ。
昨日高垣さんと夜遅くまで武装を設置した。雪影は打鉄の中で眠っているが、零落白夜を発動させる武装はある。雪影B、それが新しい俺の零落白夜だ。
アサシンブレードに雪片、雪影の零落白夜機構を取り付けたシンプルな武装であり、刀身が更に短くなって消費するエネルギーも減少、刀身を収納したら零落白夜は自然と解除されるからエネルギーの使い過ぎもない。
「それも零落白夜を発動させるのか?」
「はい、雪影は一本でしたけど、雪影Bは二本です」
腕から飛び出てくる二本の刃、それは美しいオーラを漂わせている。動作不良無し、万全だ。
「では、山田くんを倒してみろ」
「わかりました」
ラファールの瞬時加速はパンチが効いている。打鉄の瞬時加速が草野球の球なら、ラファールはメジャーリーグの球だ。
近接戦闘用ブレードを構える山田先生に左の雪影Bを突きつける。が、ブレードで弾かれる。だが、雪影Bは二本あるんだ。即座に体制を立て直して右の雪影Bを突き刺す、今度は鍔迫り合いになるが、二本あることを忘れないでもらいたい。鍔迫り合いの最中に左の雪影Bで腹部を突き刺す。
「このように、機体、搭乗者には得意不得意がある。オールラウンダーになれるように努力しろ」
「ううぅ……わたしだって代表候補生だったのに……」
「ちゃんと零落白夜が発動して安心した。実戦でも申し分なく使えるな」
鈴さんとセシリアが悔しそうな視線を送ってくる。まあ、第三世代に乗っている自分達が倒せなくて、第二世代のラファールに乗っている俺が勝てるのは不思議でならないだろう。俺の場合は近接戦のみだったから、難易度は低かったのだが。
「それでは各自、専用機持ちに指導してもらえ」
三組の生徒全員が俺の元にやって来た。それ以外は一夏とシャルルにバラけている。
「礼遇くん、今日もお願い」
「了解、じゃあ最初はブレードの使い方から」
「各自、出席番号順にバラけろ……」
まあそらそうだな、一夏とシャルルくん、そして俺で過半数の生徒を集めてしまっている。これじゃあ授業が円滑に回らない。あぶれた三組の子達は悲しそうに自分達を指導する専用機持ちの元へ旅立った。
6
ほぼすべての女子を指導して、一段落ついたところで広瀬さんが泣き面で俺の元へ駆けてきた。
「どうしたんだい広瀬さん?」
「いや、ボーデヴィッヒさんがちゃんと指導してくれなくて」
「……話つけてくる」
広瀬さんの頭を静かに撫でて、黒いISを身に纏った一組の方の転校生に向かう。
「俺の名前は宮本礼遇、三綾重工の企業代表だ。まあ、そんな話はどうでもいいか。ちゃんと指導してやってくれ、休み時間じゃないんだから」
「……なぜわたしが?」
「そら、授業中だからさ。専用機を持ってるんだから、持ってない子に指導してやってくれよ」
「専用機も持てない低能に指導など」
「そうかよ、じゃあ君のところに集まった全員、俺が指導する。この子達が授業について行かないのは、まあ、可哀想だからな、君と同じくらい」
「なんだと?」
鋭い眼光が飛んでくるが、そんなの構わない。
「君は暇してる、君のところに集まった子達は迷惑してる。それだけだ。何か言いたいことはあるか? 暇人さん」
「喧嘩を売っているなら買うぞ」
「いや、君と喧嘩してたら時間の無駄だ。この時間は、IS学園に入学した生徒達を将来有望な操縦者にするためのものだ」
彼女の元に集まった生徒全員を引き連れて自分達のグループの元に歩みを進める。が、肩に手を置かれる。
「放せよ、喧嘩してる時間は存在しない」
「教師に勝った程度で自惚れるな……雑魚が……」
「自惚れているのはどっちだ? 最新鋭の第三世代機を貰って心ルンルンしてるだろうが、おまえは国という母親から綺麗な洋服を貰った小娘にしか見えない。ISをファッションだと思ってるのか?」
「言わせておけば!!」
彼女の喉元に雪影Bを突きつける。
「くっ……」
「どんな特殊兵装が付けられているか知らないが、この距離なら負けない」
「……勝負は預けておく」
「勝手にしろ」
高飛車なのか、人の心がわからないのか、今一掴めないな。
文字量が多いから誤字脱字あると思うのでオナシャス!
天鳳で負け続けていて心が痛い、上卓で会ったら負けてください(願望)