僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』 作:那由他01
シャルルくんは酷く挙動不審になりながら俺に案内されている。案内されている場所は食堂、入学前に配られたマップがあるから普通に移動できると思うのだが、それでも一人ぼっちで食事するのは可哀想だ。俺が居なければ上級生達に言い寄られて食事もままならないだろうし。
ダラダラと移動していると銀色の髪をした少女が睨みを効かせて俺の前で仁王立ちしている。
「待っていたぞ」
「待ってないぞ」
殺意をムンムンに感じられる。流石に授業中に煽りすぎたのが原因だろうか? だが、授業中に指示されたことを実行しないこいつもこいつだ。名前は? ボーデヴィッヒだったか? ファーストネームの方は知らない。広瀬さんが名字の方しか教えてくれなかったわけだし。
「飯を食べに行くんだ。一緒に行くか?」
「なぜ貴様と……」
「なら退けてくれ、お腹が空いているんだ。後ろのシャルルくんも」
「……うん」
刹那、一瞬で接近されて拳銃を奪われる。
「なんの訓練も受けていないようだな」
「ああ、訓練なんて受けていない。銃口を向けるな、怖いだろうが」
「なぜ恐怖しない……」
「そら安全装置かけてるからさ」
彼女は静かに安全装置を解除し、引き金に指をかける。
この子は馬鹿なのだろうか? 一応は企業代表という地位を持ち合わせているが、俺は一般人、一般人に銃口を向けるという行動を起こすのは軍人として失格だ。軍人は一般人、民間人、市民を守るために組織されている。ヤクザ者だって、カタギに銃口を向けることはない。
「一般人に銃口を向ける訓練もしているのか?」
「そんなことするわけがない」
「そうか、つまり、俺はおまえから見てみれば敵兵と同じ扱いなのか……撃てよ、殺したいんだろ? さあ、殺せ……」
彼女は静かに銃を下ろし、安全装置をかけた。重い国際問題に発展する可能性もあるのに度胸のある奴だ。拳銃を受け取ったら静かに消えて行った。
シャルルくんの方を見てみるとガタガタと振るえている。
「薬室に弾入れてないから安全装置外れても撃たれないよ。安全装置かけても暴発するリスクはあるわけだし、使う時以外は薬室に弾は入れない」
「よ、よかったぁ~」
「にしても、ドイツ人は気性が荒いのだろうか? 知り合いにドイツ人が居ないからわからないな」
拳銃をホルスターに収納して食堂に向かう。
2
結果を説明させてもらえば、俺は屋上に案内されている。食堂に向かう途中で一夏と箒ちゃん、セシリアと遭遇し、その後に鈴さんも現れた。女性陣三人はお弁当と思われるバスケット、風呂敷を持っており、食堂で食事を摂るのではなく、開放的な屋上で食事を取ろうということだった。
「まあ、食堂は色々な人達が占拠してるだろうからこういう選択肢は魅力的だな」
「占拠? 誰が?」
「シャルルくん目当ての血眼な女子達」
「うぅ……想像するだけでお腹が痛い……」
シャルルくんは自分に群がる女子達を想像したのだろう、俺も一時期はそうだった。怖いよね、女子の大群って、色んな意味で末恐ろしいのだ。最近は落ち着いたから色々と楽だが。
購買から購入した菓子パンを噛じろうとするとそれをひったくられて代わりに膝の上にバスケットが置かれる。セシリアは満面の笑みを浮かべながら、頑張って作りましたの、と言った。そうなのか、俺のために作ってくれたのか、なら菓子パンを食べている時間は存在しないな、よし、食べよう。
中身を確認するとそれはまぁ、綺麗なサンドイッチが詰められている。
「おお、綺麗な出来だ。じゃあ遠慮なく」
一口食べた瞬間に親父と遊んだ記憶が走馬灯のように駆け抜ける。ああ、親父と二人で遊園地に行ったんだよな、沢山遊んで、美味しいご飯食べて、楽しかった。ああ、こんな懐かしい記憶をありがとう。だけど、こんな美味しくないサンドイッチは食べたことない。だけど、親父に会えるなら……。
「パパ~……ジェットコースター行こー……」
「れ、礼遇!? 戻ってこい!!」
「ハッ!? 親父……」
箒ちゃんに揺さぶられて意識が元に戻る。あのジェットコースターに乗っていたら確実に親父の居る天国に直行していたな、危ない危ない。
「セシリア、これ、味見とかしたか? 塩以上のしょっぱさにハバネロ並の辛さ、お酢以上の酸味、砂糖以上の甘みを感じたんだが? 何入れたの? 覚せい剤?」
「そ、そんなもの入れてませんわ……」
酷く沈んだ表情になるセシリア、なんだろうか、お紅茶は上手く淹れられるけどお料理はお苦手なパティーンなのだろう。これは色々と突っ込みどころ満載だが、彼女も彼女なりに頑張ってくれた結果なのだ。
セシリアの手を取る。絆創膏がすごく巻かれている。
「セシリア、ありがとう。俺なんかのために努力してくれて……」
「れ、礼遇さん……」
「ただ、レシピと同じように作れよ。サンドイッチに挟むのはメンマやナルトじゃないからさ」
「はい!」
マヨネーズが大量に塗られているのに挟まれているのはメンマとナルト、うん、未知の領域だったわ。
一夏の方は鈴さんと箒ちゃんに挟まれて弁当や酢豚を食べている。シャルルくんの方は苦笑いを見せながら菓子パンを齧っている。うん、普通だな、普通だ。
3
「ここが十六番物置、まあ、俺の部屋だ。そこそこ広いから二人でも寝れると思うぞ」
シャルルくんは静かに十六番物置に入室し、ちゃぶ台の前に腰掛ける。
「そう緊張しなくていい。今日から君の部屋になるんだ」
「そ、そうだよね……あはは……」
「サラシ、取らなくていいのか? 胸、キツイだろ……」
「――!?」
冷蔵庫の中から冷たい麦茶を取り出し、コップ二つも取り出す。シャルルくんは驚いた表情で身構えている。
ちゃぶ台に俺と彼女の分のお茶を置いて、静かに向かい合う。
「気付かないと思っているのか? そんなバレバレな変装。顔の骨格でわかる。君は女の子、それくらいはね」
「……っ」
「ラファールを専用機として借り受けているということは、企業からの援助も受けているんだろ? そうだな、デュノアの名字を持っているんだ。デュノア社ってところか」
麦茶を一口飲んで彼女の目を見る。
「一つだけ聞きたい。君の目的は?」
「……君のデータ収集」
「じゃあ、もう一つ。それはやりたくてやっているのか?」
「……違う! 僕は!!」
「ならいい。この場所に居る時は、女でいい。疲れるだろう、緊張するな……俺はおまえの味方だ」
「み、味方?」
「ああ、本心でスパイをやりたいと思っているのなら、俺は君を引っ捕らえて、この学園から追放していた。だが、そうじゃない以上、俺は自分のクラスの大切な仲間をどうこうするつもりは無い。安心していい、俺は協力者だ」
心の底から俺の情報を入手して上に報告しようとしていたのであれば、容赦しなかった。だが、この子はそういう目的じゃなく、無理矢理こういう選択を迫られたのであれば、何もしない。彼女が真っ当な人間になれるように誘導してやる。俺は、彼女も纏めるクラス代表だ、除け者はな居ない。
「で、でも……」
「大丈夫、この学園は色々と個人の自由を尊重している。企業の方も三綾でどうにか出来る。安心しろ、考え無しに君を守ろうとしているわけじゃない。策は練っている」
「ほ、本当に?」
「ああ、俺はずる賢いからな。すべてが整ったら女としてこの場所に居させてやる」
彼女は静かにサラシを外して溜息を吐き出す。あら、案外大きいのね……。
「……えっち」
「すまない、生まれ付きお目々が嫌らしくてさ。上への報告は適当に流しておいてくれ」
「わ、わかったよ……信じていいんだよね……」
「信じないとフランスの豚箱に行くだけだ。それは嫌だろ? 全部どうにかしてやる。クラスの仲間は絶対に守る。心配しないでくれ……」
全部、俺がどうにかしてやる。
武装の提案は活動報告でオナシャス! (何回でも書いていいですよ)
非常に短いですが、誤字脱字ありましたらお願いします。