僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』 作:那由他01
十六番物置に戻るとジャージに着替えたシャルルくんが寛いでいた。最初の頃はカチカチだったが、今はそこそこリラックス出来ているようだ。
「あ、礼遇くんおかえり」
「おう、お茶入れるけど飲むか?」
「じゃあアイスティーで」
コップを二つ用意して冷蔵庫に入っているアイスティーと麦茶を注ぐ。アイスティーはセシリアから貰った欧州製の結構高級な奴だ。持つべきものは友だね、俺もこのアイスティーは好きでリラックスしたい時は飲んでいる。本当に高級な味がしてたまらない。
「はいどうぞ」
「ありがとう」
互いに互いのお茶を飲み、一息入れる。
「いきなりですまないが、シャルルくんの今後の話をする」
「……何か出来たの?」
「ああ、粗方の作戦は構築した。三綾への報告後、早くて二、三週間、遅くても一ヶ月で事が終わる。それまでは辛いだろうけど、男装を強いるが大丈夫かな」
「う、うん」
さて、俺の考える彼女を普通の生徒に戻す方法を伝えるとするか。
「まず最初にフランス政府を三綾が脅す」
「え、そ、そんなことが出来るの……」
「ああ、フランスは三綾の弾薬供給に依存している節がある。その部分に付け入れば確実に君から手を引く」
まず最初にフランス政府を三綾重工で脅すことが必要だ。フランスはNATO加盟国であり、それなりの弾薬を三綾重工に依存している。供給に至っては三綾重工の工場がフランスに設置されているくらいだ。三綾重工の膨大な資金と雇用貢献によって、フランスは安定して軍を動かすことが出来る。だが、三綾重工が弾薬供給に圧力をかけるとしよう。NATO弾、IS武装弾薬、各兵器弾薬のコストを一%でも上げれば年間の出費が大幅に膨れ上がる。逆に一%でもコストを下げれば、軍事予算が他の部分に行き渡る。これが外資系に骨抜きにされている国の現状だ。それに付け加えて、工場の閉鎖まで行えば、確実にストライキなどの暴動も発生する。それを避けるためには、国は確実にシャルルくんから手を引く。
「その次にデュノア社の買収だ。だけど、失敗すると暗殺される可能性がある」
「あ、暗殺……」
「タイミングが重要だ。タイミングをミスしたら……」
「……死ぬんだね」
「判断は最高の状態で行う。だけど、気は引き締めておいてくれ……俺も完璧超人じゃないからな」
その次はデュノア社だ。デュノア社は確実にシャルルくんの情報が外に漏れ出すことを恐れて暗殺などの行為を働くだろう。だが、暗殺より早く行動を起こせばいい。シャルルくんの情報を世界に素早く提示すれば、暗殺なんて出来なくなる。その後に三綾がデュノア社の株を三割程度買い占めればいい。暴落するであろう株を購入するのは容易だ。それに付け加えて三綾はここ数十年間赤字を経験せず、溜め込んだ資金が大量にある。その程度は軽々とこなしてくれる。デュノア社が三綾の旗本に入れば、彼女のラファールも取り上げられることはなく、三綾などで整備修復が出来る環境に入る。
行動としては以上だ。これ以外の方法も二三存在するが、それらは暗殺の危険性が非常に高い。フランス政府の脅しとデュノア社の買収。これが迅速かつ速やかに彼女を救済出来る方法だ。三綾の企業代表になっていて本当に正解だった。
「……最高のタイミングって、どんな時?」
「シャルルくんが俺の情報をフランス政府、デュノア社に報告した瞬間だ。それを録音する。それだけで双方の弱みを三綾に提供することになる。俺の情報のリークは三綾重工への宣戦布告のようなものだ。これでフランス政府は確実に黙り込み、君から手を引く。次にデュノア社だ。出来る限り会社へのダメージを抑えるために君を暗殺、もしくはフランスに帰還させて殺害か拘束する。だけど、これは拒否していい。買収は早くて一日、遅くても三日で終わる。それ以降は本当の意味で自由の身だ」
「危険なのは……約三日間……」
「そうだ。完璧な策略ではないけど、これが一番安全かつ、確実性に富んだ作戦だ。この作戦と俺のことを信用してくれるなら、握手を交わそう……」
シャルルくんは静かに俺の手を握った。
「……どうして、礼遇くんは僕にここまでしてくれるの」
「俺はクラス代表だ。自分が纏めるべき、クラスを守ることが仕事だ。クラスメイト一人一人が俺の大切な家族で、一人も欠けさせたくない。君も、その一人だ」
「……凄いね、礼遇くんは」
「すごくなんか無い。この作戦も穴だらけ、完璧な作戦だったら、一秒たりとも君を危険に晒すことはない。そこが俺の弱さだ。許してくれ……」
「許すも何も、礼遇くんが僕を助けようとしてるんだよ……許しを請うのは僕の方だよ……」
いや、許しを請うのは俺の方だ。一夏と俺という存在が彼女をスパイとしてこの場所に送り込んだ。男性でISに乗ることが出来るイレギュラーが彼女の人生を狂わせた。元を辿れば俺にも原因がある。彼女は俺に狂わされた一人だ。だからこそ、俺が自分の不始末、そして、引き起こした災難を収束しなければならない。
「……僕の本当の名前はシャルロットっていうの。部屋にいる時は、そう呼んでくれないかな?」
「シャルロットか、良い名前だな。お母さんから貰ったのか?」
「うん」
「シャルロット、絶対にどうにかしてやる。だから、俺のことを信じてくれ」
静かに頭をなでてやると目を瞑って気持ちよさそうにニンマリとしている。
「全部任せろ、俺だけが君を自由にできる」
「うん!」
俺が蒔いた種でもある。ケジメは付けるさ。
誤字脱字あったらオナシャス!