僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』 作:那由他01
状況を整理しよう、俺の置かれている状況は非常に辛い。
まず最初に三綾重工の影響力を駆使してのシャルロットの自由化。
ラウラ・ボーデヴィッヒを倒すための戦術の構築。
箒ちゃんを大会で使用できる程度に仕上げる為の実戦的な指導。
この三つを両立させなければハッピーエンドは訪れない。シャルロットの件については彼女が本社と本国に情報を提供するタイミングを確認しなければならない点もある。だが、一週間から二週間の間に報告を入れるとするならば、もうそろそろ頃合いだ。三綾に連絡を入れなければ。
携帯電話を取り出し、三綾の事務室ではなく、社長さんの番号に連絡を入れる。
「もしもし、一二三だが」
「どうも、宮本です」
「どうしたんだ宮本くん、私の電話に直接かけるとは……何か事件か?」
「ええ、色々と事態が急変して三綾に協力を仰がなければいけない状況になりました」
社長さんは数秒の沈黙の末、
「誰を抱いたんだ、気持ちよかったか?」
「違います! まだチェリーです!!」
「あ、違うのか……事態が急変というのだから、二三人食べたのかと……」
いや、まあ、俺が置かれているこの状態で、緊急事態の報告といえば女の子を抱いて子供を作ってしまうようなことが先行してしまうが、それとは別件ですよ社長さん。それに、子供作ってしまったら三綾に報告なんてしませんよ。いや、するか? もみ消してもらうか……男としてそれはやってはいけない。
「自分が企業代表を務めさせてもらっている一年三組にやってきた転校生、シャルル・デュノアが本名、シャルロット・デュノアであり、女性であることをあばきました。彼女はフランスの代表候補生であり、デュノア社から専用機としてラファール・リヴァイヴを与えられています。こっちとしては、一年三組で自分を守る即戦力を一人でも欲しい状態にあります――ですから」
「その情報を出汁にデュノア社を買収してくれと言ったところか? 面白そうではないか」
「お見通しですか」
社長さんは高らかに笑い、通話だけだが、表情が見えるような気がする。
「前々から三綾重工が開発している第二世代ISでも使用できる第三世代特殊兵装の計画は、第三世代ISを研究開発出来ない新興国に注目されていた。だが、どの国も企業も我々のそれを購入しようとはしない、なぜなら――有力企業の圧力があるからだ」
「フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本ですね」
「ああ、だが、そこにフランスという穴を作れれば――ラファール・リヴァイヴを採用している国は我々のビジネス圏に入る。ベストなタイミングだよ宮本くん……三綾重工の世界戦略には、大企業の買収が必要不可欠だ。そのレベルのスキャンダルなら半額、いや、もっと安い価格で安全に買収が出来る。全面的に協力する、デュノアを貶める情報をかき集めてくれ」
社長さんは本物のビジネスマンだ。売り買いのタイミングを理解している。雪影の開発が成功している現在、一番の障害はISを製造している大企業、そこに穴が作れないから販売までの突破口が作れない。だが、大企業を一つでも陥落させれば、自社の技術を使用して、第二世代に少々の改造を施した機体を第三世代と言い張って販売できる。新興国に第二世代とほぼ同じ価格で……。
そして、デュノア社に販売させるのは三綾のライセンス生産品、ライセンス料で莫大な利益が発生する。デュノア社を生かさず殺さず、そして、金を毟り取る。これが三綾にとって最高の展開だ。
「彼女は自分の元に下っています。その手の情報はすぐに入手できるでしょう」
「私の方は三綾の偉い人達に話をつけておくよ。うちの企業は血の気が多いからね――全員即座に行動に移ると思うから心配はしないでいい。情報以外のことはすべて終わらせておく」
「協力感謝します」
「ビジネスチャンスをありがとう」
社長さんとの電話を終わらせて、静かに胸を撫で下ろす。三綾は全面協力を約束してくれた。後はシャルロットにそのウマを説明し、本社、本国に連絡を入れるタイミングを……。
「礼遇くん……肩、大丈夫?」
「ああ、シャルル」
「誰もいないからシャルロットでいいよ」
シャルロットは静かに一枚の書類を取り出す。大会の書類だ。これに俺の名前を書き足せば、俺と彼女がコンビとして出場することになる。だが、箒ちゃんとコンビを組むことを決めている。
「シャルロット……すまないが、俺は箒ちゃんと大会に出る」
「で、でも……僕と出た方が確実に……」
「そうかもしれないが、約束したんだ。一夏に誘われてるだろ? その誘いを素直に受けてくれ」
シャルロットは暗い表情になる。確かに、彼女と出場する方が確実性は高まるだろう。ボーデヴィッヒ以外の戦闘も速やかに終了する。非常に有効な手段として、彼女の存在はある。だが、先に約束したのは箒ちゃんであり、それを蹴って彼女との出場は不義理になる。俺は、義理堅い人間でありたい。
「……後悔しないの? 自分で言うのもあれだけど――僕は強いよ」
「そうだな、確かに強い。だが、俺の中にある強いの範疇だ。常軌を逸した何かはない。倒せるんだよ」
「自分を高く評価するんだね……傷ついて練習も何も出来ない状態でどうしてそこまで強がれるの」
「男だからさ」
「……バカ」
シャルロットは書類をクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
「泣かせてすまない」
「いいよ、泣くのは女の子の特権だから」
「それもそうだな……国と企業に連絡を入れるのはいつだ? 三綾との交渉は終わった。後は」
「……大会の三日前、その日に連絡を入れるよ」
その日程なら、大会が終了したらすぐにシャルロットを自由の身に出来る。だが、大会中は人の出入りが多くなる。暗殺者の侵入も容易で、彼女の危険も大きくなるな……。
「シャルロット……気は抜くな、絶対に安全なんて状態は現状無い。行動を起こすのは俺だが、最終的な安全を守るのは君自身なのだから」
「わかってるよ。ありがとう……こんな僕を助けようとしてくれて……」
「フランスの可愛いお嬢さんには一人として死んで欲しくないからな」
「か、かわいい!? ぼ、僕は男っぽいよ……」
左手で彼女の頭を撫でてやる。
「こんな綺麗な髪をしている男がいるわけないだろ、君は可愛い女の子だ。胸を張りな」
「……ありがとう」
「笑った顔、かわいいな」
「バカ……」
すまないシャルロット、多分、俺の性格がもっと悪かったら君のことを選んでいた。だが、俺は良い人だから、箒ちゃんの誘いを断れなかった。NOと言えない日本人ってやつだ。
2
シャルロット以外のクラスメイトと箒ちゃんが一年三組に揃った。箒ちゃんは真っ直ぐとした表情で俺が左手で走らせているノートを見ている。智将吉村さんも自室で組み上げた戦略書を広げて使える作戦を提示してくれる。新聞部新井さんは大会に出場するであろう代表候補生とその専用機、授業で好成績を残している生徒の情報が纏められた書類を大量に持ってきてくれた。
「ボーデヴィッヒさんの情報は結構前から入手出来てたんだけど、まさか大会の前にこういうドンパチがあるとは思わなくて……」
「俺もそう思ってた。まあ、起こったことは起こったことだ。今ある情報で、今使える精一杯を駆使して勝てる作戦を考えよう」
「ああ、パートナーとして礼遇の作戦にはすべて従う」
「ありがとう」
ボーデヴィッヒの情報と機体情報に目を通す。
ドイツのIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』(通称:黒ウサギ隊)の隊長を務め、私生活、出生、出世の理由、ほぼすべて謎に包まれている。だが、織斑千冬にISの基礎を叩きこまれたという情報は鮮明に記録されている。写真も数枚……笑ってるな、不器用にだが、笑えている。
彼女が搭乗している黒いISはシュヴァルツェア・レーゲン、直訳をすると黒い雨という意味を持つISだ。AICを装備したドイツの最新鋭第三世代機。AICの容量が大きいのだろう、武装は限られている。が、限られていようとAICの恩恵は非常に大きく、射撃、近接、ミサイル、そのほぼすべてが防がれる。一対一なら負け知らずだろう。だが、二対二なら……勝機はある。それに、箒ちゃんが戦闘不能になったとしても、ある一点の虚弱性を突けば、あるいは……。
「AICに虚弱性は存在する。だが、そこを突くのは俺の仕事だ。情報が漏れないように俺の心の中に留めておく」
「そこまで重要な情報なのか……」
「ああ、1%でも情報がボーデヴィッヒに流れる可能性があれば作戦遂行が出来なくなる。すまないが、この情報は隠させてもらう」
「わかったよ礼遇くん。でも、確実な作戦なんだよね」
確実か博打かと言えば博打の部類に入る。だが、彼女の油断を誘うなら博打が確実の勝利に変わる。一度戦っているが、俺は彼女に傷一つつけることが出来なかった。確実に慢心している。俺が作戦の一つも考えられない低能だと勘違いしている。そこを確実に突く――雪影Bで!
「……シャルルくんと一夏のコンビ、こいつが曲者だ。ボーデヴィッヒと戦う前にこの二人と当たったら」
「……援護射撃と一撃必殺のコンビ、これは対処に困るね」
「だが、勝利する条件は必ず存在する。そうだろ、礼遇?」
「……このコンビとの戦いは一秒でも早くシャルルくんを落とすのが先決だ。それが出来なければ、確実に負ける。だが、絶対に勝つ。それだけだ……」
この二人と戦う時、俺は非情な鬼になる。極悪非道を貫く。それに箒ちゃんも加える。絶対に勝つために……。
「この二人と戦う時の作戦は当日に説明する。シャルルくんが一年三組の生徒である時点で、軽々と作戦を全員に説明するのは自殺行為だ」
「……ここでは大会に出場するであろう生徒達のポテンシャルを確認するだけ、ってところかな?」
「ああ、そうだ。ただ、フェアプレーなんて無視の作戦を組み立てているから――自分の誇りを守りたいなら逃げるべきだ」
「言っただろ、わたしは極悪の花を咲かせる覚悟がある。付いて行くさ……」
ありがとう箒ちゃん……。
3
一日だ、この一日で箒ちゃんを大会に出せる程度に進化させる。それが出来なければ、俺は負ける。
「礼遇……わたしは射撃武器を……」
「大丈夫でしてよ、わたくしがいます」
「近接戦のおさらいはわたしに任せなさい」
「セシリア、鈴? お前達……!」
包帯を巻いて痛々しい鈴さんとセシリア、この二人は機体のダメージ量が高く、大会に出場できない。だからこそ、また、指導係として参加してくれた。
「箒ちゃん、全力で覚えて、そして、戦えるように――俺を勝たせてくれ」
「ああ!」
勝つためには手段は選ばない。絶対に――勝つしかない。
4
「これはこれは……見た目は綺麗だけど中身のダメージが酷いな」
箒ちゃんの指導が終わった後に三綾の整備士が到着した。シャワーも浴びずに整備室に足を動かし、そして、見た目だけ綺麗になっているラファールを悲しげな表情で見つめる。
「まあ、このレベルなら一週間ちょっとでどうにかなるよ。打鉄も元の鞘に収まって機嫌が良さそうだ」
「そうですね」
渋く銀色に光り輝いている打鉄、赤色のラファールの隣に座っている。
「礼遇くん、ラファールになにか言ってあげて……」
「ああ、高垣さん……」
ラファールの装甲を静かに撫で、そして、涙を流す。
「おまえが助けてくれなかったら俺はこの世に存在しなかった。それなのに、おまえを傷つけた……すまない。だが、また、助けてくれ。俺は、おまえのマスターだ」
ラファールの腕が動き出し、そして、俺のことを優しく抱きしめた。
「ラファールが!?」
「こ、こんなことが……」
「おまえは優しい子だな……また、乗せてもらうよ……」
ラファールの腕は静かに離れた。信じられないという表情の整備士さんがラファールを運び出す。その場に居た全員が悲しい表情になっている。俺に至っては泣いている。ありがとう……ラファール。
「絶対に勝つぞ。俺は――ラファールの意思を受け取った。負けられない。勝つことしか考えない」
「打鉄に雪影Bを移植する。手伝ってくれ」
「「「わかりました!」」」
ラファール、絶対に勝つからな……おまえの無念を打鉄と一緒に、絶対に……。
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