僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』 作:那由他01
高垣さんと学園側から借り受ける打鉄の整備をしている風景を神妙な顔で箒ちゃんが眺めている。どうにか打鉄に追加武装を取り付ける許可をもらえた。これで一夏とシャルロット、そして、ボーデヴィッヒを安全に、確実に倒せる。
「ワイヤーブレード……高威力な武装じゃなくてこういう地味なのをチョイスする辺り、玄人好みの作戦を考えているんだね」
「ああ、これの有る無しで酷く劣勢になる。これがあるからこそ、第三世代を高い確率で撃破できるんだ」
「わたしがこれを使いこなせば……勝てるのか……」
「そうだな……30%くらいかな。初戦にシャルルくんと一夏のコンビを引き当てれば、50%は行く」
ワイヤーブレードを装備しているという情報を出来る限り隠したい。だが、このワイヤーブレードは腰に二本装備する簡素なものだ。ワイヤーブレードを装備しているという事実は確実に晒される。だからこそ、どういう使い方をするのか、それを隠すことが出来れば――二人に勝てる。そして、ボーデヴィッヒ戦もこのワイヤーブレードが要を握る。
「箒ちゃんが乗る打鉄は葵と焔火、そしてこのワイヤーブレードを装備する。ただ、葵は使用することはないと思っていい。近接戦は俺がすべて行う。箒ちゃんはバックアップに回ってくれ」
「任された。礼遇の雪影の方が一撃必殺性が高いしな」
箒ちゃんの肩に左手を乗せて、真っ直ぐと目を見る。
「箒ちゃん。自分を役立たずとは絶対に思わないで……戦いの要は箒ちゃんだ」
「礼遇……わかってる。わたしは、礼遇を勝たせる!」
「よし、じゃあ微調整を行う。箒ちゃんもするんだよ――ISは乗る人間のことを誰よりも見てる。そして、感じる何かを模索している。自分で出来ることをすべて行って、そして、この子の気持ちを少しでもわかってあげて……」
「ああ、頼むぞ……打鉄!」
そうだ箒ちゃん。最初は機体を信用することからはじめるんだ。弱い機体だから、遅い機体だから、扱いにくい機体だから、そんな沈んだ考えが波長を乱す。信じて、乗って、確かめて、そして、掴むんだ。掴んだ時、その打鉄は第三世代だろうと、その次に現れるだろう第四世代すら凌駕する可能性を掴む。
俺はまだまだ半人前だ。打鉄という機体の細部を知らない。表面上の何かを撫でているだけ。ラファールは俺に細部を見せようとした、だけど、俺はそれを見ることが出来ず、倒れた。タイミングが悪い男ってところだろうか? だが、可能性は捨ててはいけない。意思も受け継いだ。思いもある。
2
焔火を使用した射撃練習の後にワイヤーブレードの練習に入る。
「ワイヤーブレードですの……」
「うわ、ちょっとトラウマ……」
箒ちゃんが纏っている打鉄の腰に装備されている二本のワイヤーブレード、それを確認した途端にセシリアと鈴さんの顔色が悪くなる。それもそうだ、二人はタイプは違えど、このワイヤーブレードで引き摺り回され、大会に出られないくらいに機体を負傷させた。畏怖の感情があるのは理解できる。
「それでも、これ以上に作戦に取り込める武装が無いのが俺の頭の弱さだ。許してくれ」
「いえ、責めているわけでは……」
「でも、ワイヤーブレードは中距離戦をやってる奴を無理矢理近接戦に駆り出すにはこれ以上無い武装なのよね。それに四脚のどこかに巻きつけば攻撃の手段が減るわけだし、相手のワイヤーブレードにワイヤーブレードを絡ませてもう一人が重い一撃を入れるみたいな芸当も」
そう、鈴さんの言うとおりだ。このワイヤーブレードという武装がコンビでの戦闘で光るのは相手の攻撃手段の減少、そして、ワイヤーブレードを使用する相手へワイヤーブレードを使用できるという強み。例えは悪いが、核兵器には核兵器と同じようなものだ。ワイヤーブレードという武装を使えるタイミングを出来る限り押さえつける。
「こういう武器は色々な扱い方があるから今日一日で教え終わるかしら?」
「そこは意地と度胸でどうにかする! 指導を」
「用途としては、鈴さんの龍砲に近しいと思いますが……」
「確かにどこからでも撃てる龍砲と似てるけど、ワイヤーブレードはぶつけて攻撃するものじゃないわ。そうね、一番近しい存在は鞭よ。叩きつける、巻きつける、引き寄せる。これが基本的な鞭の使い方。そして、ワイヤーブレードも。鞭を使っているとイメージして練習するのが吉だと思うわ」
そう、ワイヤーブレードは鞭の延長線にあるものだ。扱い方はほぼ同じ。だが、手に持つ鞭と腰に設置して発射するワイヤーブレードでは精度の差が出て来る。その辺りはボーデヴィッヒに軍配が上がってしまう。だが、それでも余りある相手のワイヤーブレードへの牽制。これが何よりも重要だ。
「最初は相手にぶつけるだけでいい。その後は楕円を描くように巻きつける。そして引き寄せる。これらの練習をしよう」
「わかった、出来る限りを尽くす」
飲み込みが早い。これなら――いける!
3
薄暗い医務室で左手の平にのめり込んだ弾丸をピンセットで引き抜く。そして消毒液を塗り、ガーゼを乗せて包帯を巻く。シャルロットはその姿を見て、酷く落ち込んでいる。骨に影響があるなら一大事だが、ギリギリ骨とは関係のない部分に当ってくれたお陰で抉られた痛みはあるが、それ以外はない。指も普通に動く。
「礼遇……ごめん……」
「謝るな。ただ、俺に付いてきてくれてありがとう……」
「今からでも遅くないよ……僕を……」
「……おまえは弱いな。もっと図太く生きないと早死するぞ」
上手く動かない右腕でまた、シャルロットの頭を撫でる。
今やるべきことは、彼女を止めることじゃない。慰めることでもない。ただ、話を逸らすことだ。
「なあ、将来の夢ってなんだった」
「えっ?」
「俺の将来の夢は人の為になる仕事だ。まあ、仕事ってのはどんな職種だろうと人に何かしら関わって、そして、幸せにするから、正直なんでもいいんだがな」
「……僕の将来の夢は……国家代表の操縦者で、ISから降りたらケーキ屋さんかな……」
「良い夢じゃないか。死んだらそれが出来なくなるんだぞ? そんなの面白くない。人生は辛いことばかりかもしれない。楽しくないことの連続かもしれない。誰かに押し付けられる日もある。だけど、目標があるなら生きた方が特だ。現に、俺は目標を持って生きてる」
シャルロットは静かに微笑んだ。死のうとしていた自分が馬鹿らしく思えたのだろう。
自ら死を選ぶなんて勿体無い。得られる物なければ、死に方をミスしたら酷く痛い。そんなの楽しくもなければ、面白くもない。面白おかしい人生は絶対に存在していて、誰かに決められた何かではなく、自分で選択して切り開いていくものだ。
俺は、一度も死にたいと思ったことがない。いや、一瞬ならあるかもしれないが、何日も死に魅力を感じたことは一回もない。何故なら、生きていて楽しいと思えるからだ。どんなに選択を誤ろうとも、どんなに行動が狂おうとも、どんなに難しい決断を迫られようとも、俺は生きていることに魅力を感じている。だからこそ、生きる。
「……あるんだね、目標が」
「そうさ、目標がない人間なんて存在しない。目標があるからこそ、孤独にもなるし、幸福にもなる。ただ、目標に到着した時、後ろを振り返れば、自分の足取りと頑張りを見ていた人達からの拍手が返ってくる。まあ、俺はその地点まで到着していないから本当かどうかわからないが、見てみたいとは思うな――目標の終着点を」
「見れるかな、夢と目標の終着点……」
「見れるじゃない。見るんだ。わかるか? 見れると見るじゃあ、言葉の意味が違う。言葉を信じるな、言葉が持つ意味を信じろ」
涙が流れ落ちる、そして、不思議と笑っている。
「ねえ、僕が終着点に辿り着いた時、礼遇は拍手してくれる?」
「拍手を通り越してなんでもしてやるよ」
「今なんでもするって言ったよね……」
「はは、どんなことをお願いするんだ?」
「女の子の秘密」
もう大丈夫だろう、彼女は、死ぬことを考えない。
社長さん、バトンを渡しますよ……。
時間系列バラバラでしたが、面白いと思ってくれたら嬉しいです!
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