翼を纏う戦乙女   作:【時己之千龍】龍時

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第02話 クラス代表は誰に?

 

「何故男子が代表候補なんですの」

 

 候補の名に男子の名が二名、龍燕と一夏の名に不満の声を上げるセシリア。しかも投票に自分の名があるのに一票も入っていないというのにも苛立っていた。

 

「それに何でクラスの人数より票の数が多いんですのよ」

 

 すると窓側で聞いていた先生が一歩前に出る。

 

「私だ。私が龍燕の方に一票入れた」

「先生が?」

 

 セシリアは意外な事に驚きの声を上げた。そして龍燕を見ながら、そんなに強いの?と疑問が生まれる。しかしすぐにその疑問は消される。

 

「なら龍燕さん。どちらがクラス代表に相応しいか決めませんこと?いいですよね先生」

「そうだな、身を持って知ったほうがいい。織斑は経験不足の為不戦敗とする。いいな?」

「別に興味ないし、面ど「(ギロッ!)」はい、いいです!」

 

 先生からの殺気を感じとった一夏は瞬時に言葉を変えた。

 

「じゃ、試合の日程は……二日後。早いに越したことはないからな、二人ともいいな」

 

 先生はセシリアと龍燕に確認を取るが面倒だからわかりました以外は言うな、という目で見ていた為二人はそう言い返した。

 

 

 

 

 そして試合当日。龍燕は自分の待機場で空間モニターを操作していた。

 

 相手のISの型がわからないため、出来る限り設定変更する。

 

「取り敢えず重力慣性を高めにして、防御力と移動力を上げて攻撃力を少し下げるか。そうなると高機動近戦型がいいな」

 

 龍燕は時間がないことに気づき、武装兵装を装着した。

 

「龍燕」

 

 振り返ると一夏と箒が入ってきた。

 

「なんか龍燕のISは侍が身につける鎧みたいだな」

「それにすっきりとしてるし、羽織を羽織ってるって面白いISだな」

「ISは間違えだ。これは武装兵装。ISとは全く違う物だ」

 

 一夏はそうか程度に驚いていたが、箒はとても驚いていた。

 

「ISじゃない?武装兵装ってなんだ」

「そうだな……まず大きな違いはISに搭載しているコアというのはない。これは武装兵装用のX(メンタル)というのが心臓部に使われている」

「X(メンタル)…」

 

 箒は復唱する。ふと龍燕は時間を見た。

 

「もう時間だ。二人は観戦席で見ててくれ」

「ああ」

「わかった」

 

 龍燕は顔面も覆う面付き兜を出現させた。そして重力慣性で浮き上がり、試合開場へ飛び出た。

 

「ISが服を着ているなんて可笑しなISですね。準備運動はしなくていいんですの?」

 

 先に出ていたセシリアが笑う。

 

「ああ問題ない。セシリアの方はどうだ?近接戦闘の対策はちゃんと備えているか?」

「貴方ごときが私の懐に入って来れるとお思い?」

 

 セシリアは自慢のレーザー砲を龍燕に見せつける。

 

「命中率はどのくらいかな」

 

 龍燕はにやりと笑いながら言うとセシリアは指を指して怒鳴った。

 

「百%よ!」

『二人共静かにしろ!今から合図をするからな』

 

 織斑先生の声に二人は黙る。

 

『よし、二人共いいな?……始め!』

 

 先生は用意の言葉を省き、両者は反応に数秒程遅れ試合が始まった。

 

 パッと見では、セシリアは砲撃型で龍燕は刀剣型という龍燕に不利そうな試合だ。

 

 セシリアは空へ舞い、レーザー砲を龍燕に向ける。龍燕は腰に差した二刀の小太刀を引き抜く。

 

「貴方は銃器はないんですか?」

「基本的にはこの小太刀の二振りと大太刀のみだ」

 

 セシリアは高笑いながら言った。

 

「勝負は明らかだわ。今時そんな武装で」

 

 引き金を引き、レーザーが龍燕に向け放たれる。龍燕に直撃するとその周囲が爆発し、舞った砂煙が龍燕を覆う。

 

「中距離射撃型のわたくしに近距離格闘装備で挑むなんて笑止、すぐに終わりますわ」

 

 セシリアの言葉と共に観戦者からもう終わり?と声が漏れる。

 

「それは…お前の敗けで終わりか?」

「え?」

 

 セシリアは嘘と小さく呟きながら砂煙の上がったところを目を凝らしながら見る。

 

「それは油断だ」

 

 砂煙が晴れると龍燕が平然と立ち、その左右の土が少し掘られていた。

 

「貴方、どうやって私の砲撃を防いだの?しかも無傷で……」

「相手を確実に倒したか確認もせず勝利を思うとはな。こんなんじゃ本気は出せない。お前の砲撃は俺のこの小太刀で斬り、尚且つ重力慣性で左右に流した」

「そんな筈は……いえ、確かに私の油断でした。ですが貴方の本気を見せてもらいます。踊りなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

 セシリアは何かを放出した。

 

「このブルー・ティアーズを前にしてどのくらい持ちこたえますか?」

 

 セシリアは自分の周りに四つの自立機動兵器を展開させる。

 

「それでこの武装兵装の防御機能を抜くことが出来るのか?」

「当然ですわ!」

「じゃあ、当ててみろ。それでもしこの武装兵装の防御を抜いたら本気を見せよう」

 

 龍燕は刀を鞘に納め、腕を組んで仁王立ちし、上空で止まっているセシリアを見上げる。 

 

「……本気で申してますの?……わかりましたわ、わかりましたよ!撃たれた後に後悔なさ

いっ!」

 

 セシリアは周囲で舞うブルー・ティアーズに命を発し、ブルー・ティアーズはそれに答えるために龍燕の周りを飛び、地面以外の複数の方向から放たれた。

 

 龍燕を中心に爆発し、砂煙に覆われた。セシリアはさっきの油断を思いだし、じっとそこを見つめた。

 

「高機動型の防御も性能上二位の防御力を持っていたんだが、その防御を抜いたか。それに最後まで油断せずに見ていたな。わかった、本気でいこう」

 

 セシリアは小さく笑ったがそれはすぐに消えた。

 

「どうしてですの?」

 

 龍燕は突然武装兵装を解き、両腰に直に小太刀を差した。

 

「お前の見たかった俺の……――本気だ」

「え?くっ…」

 

 龍燕はセシリアの視線から消え、背後から現れた龍燕がセシリアを斬りつける。

 

「…嘘……」

 

 セシリアは混乱する。今の龍燕は生身、そして今セシリアがいたのは空中……距離どころか龍燕は空に現れた。更に疑問なのは、たかが生身の人間が振るう小太刀で一割もエネルギーを削られたことだ。

 

「あなた本当に人間なの?何で空を飛んでますの?」

「別に飛んでない、足下に擬似的に足場を生成しているだけだ」

「ブ、ブルーティアーズ!」

 

 迫ってくる龍燕にティアーズを送るが、全てを避けるか、小太刀で受け流すかして迫る。さらにセシリアはレーザーを何度も撃つがそれは無意味だった。

 

「終わり、だな?」

「……」

 

 龍燕はセシリアの首元と腹部に切っ先を突き付け、セシリアのシールドエネルギーが急激に下がる。

 

 ブルーティアーズは誤射を防ぐためのリミッターが発動し、龍燕を狙ってはいるが撃てない。

 

 レーザーも銃身が長いため話にもならない。

 

 セシリアのISには格闘装備用を搭載しているが普段から自分の懐にまで攻め込めるものはいないと考えていたため、呼び出すのに時間が掛かる。

 

「私の負け―「ISの勝負なら俺の敗けだ」えっ」

 

 龍燕は両手に持った小太刀をそれぞれ鞘に仕舞った。

 

「どうしてですの?」

「お前は訓練でも試合でも負けたことが無いんじゃないか?」

「そ、それは私が優秀ですから」

「やはり負けたことがなかったか。なら経験不足だ。苦戦や負けから学ぶこともたくさんある」

「……」

 

 セシリアはティアーズを戻し、ゆっくりと地面に降りた。

 

 

 

 

「クラス代表は灼煉院龍燕にする」

 

 織斑先生の言葉に龍燕は驚いた。

 

「何故俺が代表に?勝負上ならセシリアになるはず」

「そうだな、セシリアが勝ちではあるがお前のIS……武装兵装と言ったな?それもISと近いもとすると上から言われてな。さらにだ、あのままアレを装着したままでも余裕で勝てたと言うのは明白。セシリア本人も認めている」

「確かに勝てたが……もしかして、その上からというのはお前の武装兵装記録を手に入れたいという事なのか?」

「フ…やはり察しがいいな。その通りだ。お前の武装兵装の記録と、戦闘時の記録等が欲しいそうだ。クラス代表となれば試合等も多いからな」

 

 龍燕は頷き口を開いた。

 

「記録くらいなら提供しても構わない」

「良いのか?てっきり出来ないと答えると思ったが」

「ここにいさせてもらっているだけでもありがたいからな、俺にできる事があれば一つや二つ力になる。それから出来たらISを一機貸してもらいたい。改造等の許可も含めて」

「ISを?」

 

 織斑先生は何故だと龍燕に聞く。

 

「ISの事ももっと知りたい。それから興味が湧いた」

「そうか。教員用の『打鉄』でいいなら上に掛け合ってみよう」

「ありがとう」

 

 龍燕は許可が下りる事を楽しみに待った。

 

 

 

 

 

 

 

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