武装兵装とISをかけ合わせた機体が完成し、訓練室で力の配分や多少の微調整等を終え、セシリアと隊舎から出た。
「短時間で完成させるなんて……龍燕さんは凄いですわ」
「そうか?ほとんどおまかせや自動対応したんだがな」
「あ、もう帰りますね(皆様に朝からずっと居たことがバレましたら……)。それから夕食ありがとうございました。とても美味しかったですわ」
「ありがとう。また明日な」
セシリアは礼を言って部屋を出た。
翌日、龍燕はクラスで噂を聞いた。噂は他のクラスに転校生が来たそうだ。それも専用機持ち、中国代表候補生らしい。
「その情報古いよ」
廊下の方を見ると声の主がいた。
「私は中国代表候補生の凰鈴、いつっ?」
「もうSHRの時間だぞ。自分のクラスに戻れ」
「……はい」
織斑先生に言われ、中国代表候補生はおとなしく戻った。
その後も、鈴音は何度も来ては注意またはお仕置きされ、一夏もそれに巻き込まれた。
「今日は午前中だけで疲れちまったよ。頭も痛い……」
「まぁ癒し火で痛みは治してやるよ」
昼食の始め、一夏はかなり疲れた顔をしていた。龍燕は頭の痛みだけでもと癒し火をかけてやる。
「助かるよ、龍燕。サンキューな」
「さんきゅう?」
初めて聞く言葉に龍燕は復唱した。
「ありがとうって言う意味だよ。知らないのか?」
「俺のいたところではなかったな。初めて聞く」
「ふーん」
一夏はうどんを食べる。龍燕は四杯目の特盛うどんに手を伸ばしたところだ。
「相変わらずよく食うよな」
「俺のいたところでは普通くらいだ。曾祖父やその友人も、俺より食べてるしな」
「前にも言っていたな。どんなところに住んでたんだ?」
「細かくは説明できないが。平等、食料豊富、大国……くらいかな」
「大国……もしかして……アメリカ?いや、英語は上手くもなく、知らないことばかりだったな」
一夏はブツブツとなにか詮索しているが、龍燕は気にせず六杯目を食べ始める。
「待ってたわよ!」
突然鈴音がラーメンをのせたお盆を持ち、同じテーブルにつく。
「待っている、ようには見えなかったが」
「べ、別にいいでしょ!それよりたくさん食べてるわね。何杯目よ?」
「今から十杯目だな」
「確かそのどんぶりって……特盛の、よね?」
「ああ」
龍燕は頷く。
「……けど、よく見れば龍燕っていい男じゃない?付き合ってあげようかな?」
「俺を倒せたらな」
汁を飲みながら軽く答える龍燕に鈴音は少し不機嫌になる。
「むむ、なんかあたしじゃ相手にならないって言ってるみたいなんだけどそれ」
「鈴が強くても、龍燕には勝てないだろうな」
一夏の言葉に鈴音がキッと一夏を睨んだ。
「そんなに言うなら、あたしが龍燕より強いってとこを見せてやるわよ!今度のクラス対抗戦でね」
食べ終え、お盆を持った鈴音が龍燕に言った。龍燕は構わないとだけ返し、平らげた
十五杯目を積み重ねてご馳走さまをした。
「龍燕さん!」
「ん……」
呼ばれ振り返るとセシリアが立っていた。
「セシリア、どうした?」
「先程のお話、本当ですか?」
「先程の?」
「龍燕さんに勝ったら付き合えると言うお話です!」
「ん、あぁ鈴音と話していた話か。本当だが?」
するとセシリアはよしっと小さく声をあげた。
「私、目標が出来ましたわ!貴方に勝って、私と付き合ってもらいます!ですので私以外には絶対に負けないでくださいね、龍燕さん」
「お、おぅ……」
龍燕はいつの間にか話が妙な方向へ行ってしまったと思った。
クラス対抗戦の日が来た。しかも龍燕の最初の相手は早くも鈴音だった。
「まさか一番最初にあたるとはね」
「俺も予想していなかった」
龍燕はモニターを操作し、武装兵装を装着した。以前完成したISは織斑先生が上から
『龍燕には武装兵装というので出すように』と指示を受けてしまい、止められてしまった。そのため武装兵装である。
「へぇ珍しいわね、フルスキン(全身装甲)なんて。しかも和風な甲冑をイメージしてるんだぁ」
「和風な?いや羅暁風だ」
簡単に言葉を返し、合図と共に試合が始まった。
まず動いたのは鈴音だった。両手にそれぞれ持つ二つの青竜刀を振り、龍燕に襲いかかる。龍燕は左腰に差した小太刀を右手で引き抜き攻撃を受けた。
「へぇ小太刀ね?二本差して二刀流みたいだけど、もう一本は抜かないの?」
鈴音の言葉に龍燕はフッと笑い言った。
「抜かせられるかな?」
「そう、なら」
突然何かが鈴音から放たれ、龍燕に当たった。
「……」
「……」
当たったには当たった。しかし特に影響はなかった。
「……どうして龍砲が効かないのよ!」
「今のは龍砲というのか、多分常時展開している防護壁の一つ、重力慣性制御の壁に弾かれたんだな」
「く、なら!」
鈴音は青竜刀を連結し、何度も龍燕を斬りつけた。しかしそのすべて小太刀一本で龍燕は防ぎきる。
「うむ、差があり過ぎるな」
一旦後ろに跳ね鈴音から距離をあけた龍燕は、空間モニターを操作して重力慣性制御の壁を停止させた。
「壁は消した。思いっきり来い」
龍燕はそう言って抜いていた小太刀を鞘に戻し、武己から新たに出した大太刀を腰溜めに構える龍燕。
「消したって?それにその構えって何?斬る気なの?……挑発にしか聞こえないわよ!」
鈴音は龍砲を放った。
「閃」
見えないはずの龍砲を龍燕は軽々と、問題なく閃で斬り裂いた。
「龍砲を斬った?」
「予想はつく」
「どんな頭してんのよ」
何度も斬り合いが続く。
「ん……」
何かに気づき距離をとった龍燕は、空を見上げた。
「隙あり!」
隙と見た鈴音は青龍刀を振り落とす。しかし、龍燕は振り向きもせずに人差し指と中指で挟み、受け止めた。
「試合は中断だ」
「何言っ 」「敵だ」
えっと声を漏らしながら鈴音も空を見上げる。
「あれは?」
何かが向かってくる。いや、落ちているのか。
「照合したが、近いものしか出ない」
そして落ちてきた『敵』は アリーナのシールドをぶち破り、二人の近くにクレーターを作った。