翼を纏う戦乙女   作:【時己之千龍】龍時

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第05話 介入者

 

「お前、何者だ?」

 

 龍燕は炎の瞳で敵を見ながら問う。しかし、なにも答えずこちらを見ていた。また炎の瞳でも全く読み取れなかった。その上精神力も…精神体自体が感じ取れない。

 

「……精神体を感じ取れないところからして無人機、か」

 

 その龍燕の言葉に鈴音が振り返った。

 

「無人機?そんなわけ、あり得ない。ISは人が乗らないと動かないのよ」

「精神体は生きていれば誰でもあるものだ。それがないということは…俺が知る限り生き物じゃない」

『龍燕さん、凰さん。そこから離れてください!』

 

 山田先生が放送で流した。龍燕は視線を敵から離さずに言う。

 

「鈴音、先に行け。俺が倒す」

 

 武装兵装を解いた龍燕が鈴音の前に出る。

 

「冗談でしょ?!あんた、ISをしまって何言ってるのよ!」

「俺はISを動かせたが、使っていたのは全く違うものだ。ただ……」

「ただ?」

「あれは俺より弱い。その為力を制限する拘束でしかない。敵の力量がどのくらいかわからないのに足枷を付けたままじゃ戦えん。織斑先生」

 

 右側に出した空間モニターを織斑先生に繋げる。

 

「少々力を使いたい。許可を」

『……許可を出す。が、アリーナは壊さないようにしろよ』

 

 千冬先生の言葉に鈴音は驚いた。龍燕って生身でそんなに強いの?と。

 

「了解した。それから凰の後方支援の許可を得たい」

『わかった』

 

 龍燕はモニターを消し、敵から目を離さないまま鈴音に言う。

 

「鈴音。龍砲での支援を頼む」

「……わかったわ」

 

 行くぞと声を上げた龍燕は敵との距離を積めると烈掌を放った。烈掌はシールドで防がれるがそれごと敵を吹き飛ばす。

 

「な、何てバカ力なの?!」

「いきなりとはいえ敵の反応や踏ん張りが思ったほど無いな。それと鈴音、バカは余計だ」

 

 耳もいいんだ、と鈴音は内心で思った。

 

「奴の右手側を移動しながら龍砲を放て」

「わかったわ」

 

 鈴音は奴の右側へ翔び、移動しながら連続して龍砲を撃ち放つ。

 

「眞炎流、体火瞬足」

 

 身体に炎を回らせ、敵の頭上へ移動する。そして手刀に構えた龍燕は大きく振り下ろし炎を放つ。

 

櫻火(オウカ)一閃(イッセン)!」

 

 龍燕の振り下ろした炎を纏わせた手刀から放たれ、奴に当たるとシールドが砕かれた。

 

「これで決める。火螢(ヒケイ)火山華(カザンカ)

 

 敵の懐で着地した龍燕はさらに大きく踏み込み、右手の掌に纏わせた炎を敵の胴体部へと叩き込む。炎は敵の胴体を貫き、その直後爆散した。

 

「周囲に…他、気配はないな。戦闘は終了」

 

 龍燕は炎を消して、鈴音と共に先生の方へ行った。

 アリーナに落ちてきた敵の残骸は先生達が移送した。それから一週間程、龍燕は敵の機体について放課後に呼び出され、機体の調査に付き合った。理由はその機体には龍燕のいた国の、羅暁の技術も含まれていたからだ。正確にはそれ以前の技術、旧(ギョウ)帝国の技術だ。また龍燕の神能を目立つところで使ったため、知らなかった人達からかなり質問攻めを受ける一週間でもあった。

 

 

 

 

 調査を終えた翌週中頃に転入生が二人入ってきた。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました」

「お、男の……子?」

 

 教室内が騒がしくなった。

 

「はい。ここに僕と同じ境遇の男子がいると聞き、フランスから来ましたシャルロット・デュノアです。みんなよろしく」

 

 シャルロットの自己紹介が終わり、もう一人の方に皆の視線が向けられる。その人は左目に眼帯をしていて、軍兵が待機するように立ったまま何も言わない。

 

「ラウラ、自己紹介をしろ」

「はい、教官」

 

 ラウラは織斑先生を教官と呼び、敬礼をしてから皆の方へ向き直した。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 しばらく沈黙が続き、それから山田先生が声を掛ける。

 

「え、えと……以上ですか?」

「以上だ」

 

 そう先生に返したラウラは一夏の方へ歩き立った。

 

「貴様が―――」

 

 振り上げた手を一夏の頬に向けて降り下ろす。しかしその間に瞬動で割り込んだ龍燕がその手を左の甲で止めた。そしてそのまま手を返し握手へと変える。

 

「初めまして。俺は灼煉院龍燕だ。いきなり人に向けて平手打ちはやめた方がいいぞ」

「く、……貴様もだ。教官に勝ったなど私は認めない」

 

 ラウラは龍燕に言い放ち、掴まれた手を振り払って今度は拳で龍燕の顔面を殴った。

 

「ぐっ?!」

 

 まともに顔面を突かれた龍燕だったがなんともなく、殴った側のラウラが手を痛め、声を上げてしまう。

 

「あ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫だ……いや!認めないからな!」

 

 ラウラはうっすらと涙目になりながら言い返した。

 

「龍燕、ラウラ。早く席につけ。今日は専用機持ちで模擬戦を行うからな。それから織斑と龍燕は同じ男子だからデュノアの面倒をみろ、いいな」

 

 二人はわかりましたと返し、ホームルームは終わった。

 

 

 

 

 

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