婀嗟烬我愛瑠〜assassin girl〜   作:大岡 ひじき

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2・時には天に運を任せて右か左か決めてもいい

 おかしいなとは、少し思っていた。

 トーナメント表のようなつくりの道が、徐々に島の中央に向かっている事。

 前回の大会までは、決勝戦だけは観客の前で戦わせる為、私たちが入島したヘリポートのある島の外れとは反対側の海岸付近(ちなみにこちら側にはヘリポートの他に小さめだが飛行場もある。招待した観戦者が自家用セスナを持っている事も珍しくないからだ)に建てられた、古代ローマのそれを模した闘技場(コロシアム)が決勝会場だった筈だ。

 だから、進むべき方向は島の中央ではなく、最終的には横断若しくは半周する形で、そこに向かっていなくてはおかしいのだ。

 私の知っている限り、この島の中央にあるのは、闘士たちの訓練施設のみ。

 私が、護身術程度の拳法の修業をする為に、少しの間滞在したのもここだった。

 新たなる武術の総本山となるべく世界中から闘士を集め、それを更に強くする為の、最適な環境を整える最新鋭の技術も整えている。

 なのでそれなりに武舞台のバリエーションも揃っているわけだが、あくまでも訓練の為の施設故に、観客を入れる場所などない。

 というか、中央付近は大きな赤酸湖が常に沸騰しながら、かなり強烈な硫黄の匂いを漂わせており、中央塔(私たちはこう呼んでいた)はこの赤酸湖のど真ん中に建てられているので、鍛え抜いた闘士達ならばともかく、一般人よりヌルい生活に慣れ金と権力を持った主に高齢者に足を運んでもらうには、ここは若干環境がやさしくないのだ。

 私の知らない間に、中央塔に観客を入れる環境が整った…というわけではないだろう。

 だからといって、世界各国の名士との繋がりが持てる機会であるこの大武會への招待を、今回からは取りやめたという事でもないだろうし。

 これは中央塔にある多種多様な武舞台を使う事で各試合にバリエーションを与え、代わりに観戦は闘技場(コロシアム)に設置された巨大モニターで、というあたりに落ち着いたのではなかろうか。

 だとすれば、御前は観客の相手をする為に闘技場(コロシアム)の方にいて、たとえ優勝チームが決定しても、決勝会場の方に姿を現さない可能性がある。

 私たち男塾が、この大武會の優勝を目指す目的が、御前を討つ為であるのに、それでは全く意味がない。

 

「…それで、どうされるおつもりですか?」

 私がそこまで説明したところで男爵ディーノが問うのに対し、私は簡潔に言葉を返した。

 

「観客が会場入りする前に闘技場(コロシアム)を爆破します。」

「なんかまた変なこと言い出したこの子!!」

 なんだ『また』って!

 まるで、私がいつも世迷い言ばかり言ってるみたいじゃないか!!

 そう言いたいが、言ってしまうと負ける気がして、私はディーノを睨みつける。

 私程度の視線に全く動じた様子もなく、ディーノをはため息をひとつ吐いてから、なんというか嫌そうな表情で問い直した。

 

「…失礼。

 ですが爆破といっても、あの規模の建物を破壊できるほどの爆薬など持ち合わせはありませんよ。」

「心配ありません。

 あの建物にはいざという時の為にと、爆破装置が設置されていると、御ぜ…藤堂兵衛からは聞いております。」

「…いざという時って、どういう事態を想定していたんですか?」

「それは私も疑問に思って尋ねたところ、聞いても今ひとつ意味がわかりませんでしたが…本人の言葉をそのまま述べると、『思い入れを込めて作ったものに敢えて自爆装置をつける事こそ男のロマン』と…。」

「なんで聞いた俺!一瞬前の自分を殴りたい!!」

 とか叫びつつ頭抱えたところを見ると、私には全く意味がわからなかったこの御前の言い分を、ディーノは同意は絶対できないまでも、ある程度理解はできている気がするけど。

 でもまあ、なんか本能的にその辺追求したら危険な気がするので余計な事は言わない。

 

「ちなみに、あるとは聞いていても、実際のその場所がどこかまでは聞いていないので、潜入して探さねばなりませんが。」

「ザ・無計画!!」

 …うん、そこは自覚してる。

 

 

 けど。

 実際の私の誤算は、その爆破装置の場所を探すのに手間取った事ではなく、まだ決勝()()である筈の深夜にもう、観客の会場入りが始まっていた事だった。

 全席が自由席で、いい席を取ろうと思ったら早く入らねばと思うのもわかるが、古代ローマの遺跡をもとに作られた会場の観客席は、実際座り心地がいいとは言えない。

 そこに少なくとも半日陣取っていようとか、金持ちは暇なのか、余程娯楽に飢えているのか。

 …まあ両方だとは思うが。

 とにかく、少なくとも藤堂財閥に無関係の人間がここにいる以上、爆破という手段は諦めざるを得ない。

 正直、ここに招待される有力者など、御前の所業などまだ可愛いと思えるほど後ろ暗い人間ばかりで、ここでまとめて始末できればどれほど世の中が綺麗になるかと思わなくもないが、それを是とするならば、塾長はそもそもこの復讐を成し遂げようとは考えなかったはずだ。

 それをやってしまえば、例え私の暴走だとしても、塾長は仇と憎む御前と、その時点で同じ存在となってしまう。

 だから、無関係な犠牲者はここで出してはならない。

 だとするなら、答えは1つしかなかった。

 藤堂兵衛は、ここで討つ。

 

 ・・・

 

「こんな事態に巻き込んでしまって申し訳ありません、男爵ディーノ。」

 侵入者の存在を告げるサイレンが鳴り響く中、私はメイド服姿で、隣で一緒に走っている作業着姿の男に声をかける。

 実際には二人共、それと見せかけたマジシャンのマントなのだが、どういう仕組みかは追求しない。しないったらしない。

 それにしてもディーノはこうして見ると、一見なんの特徴もない、本当にただの作業員に見える。

 裏工作や情報収集のプロと自身で言っていただけあって、その擬態は完璧なようだ。

 …それがなんで影慶へのプロデュースがああなった。

 むしろ『翔霍』もこの男が演じていれば、まったくの別キャラクターとなっていたろうに。

 まあそれは今はいい。

 問題なのは、彼の服の下から今も、少なくない量の出血が続いているという事だ。

 ほんの少し立ち止まれるだけの時間の余裕があれば治療してやれるが、今は無理だ。

 

「何を今更…君についていくと言ったのはわたしですよ。」

 ありがたい事を言ってくれる。

 しかし、それに感動している暇すら今はない。

 

「…ところで、少々確認したい事があります。

 昨日、拘束された虎丸を救出する為に、移動手段があると仰ったのは、なんらかの長距離跳躍か飛行の手段が取れると解釈して間違いないでしょうか?

 そしてそれは、今でも使用可能ですか?」

「え、ええ、その通りですが…それが?」

「良かった…助けるつもりで殺してしまっては、なんの意味もありませんから。」

「……は?」

 追っ手が、逃げ道のない方へ私たちを誘導しているのはわかっていた。

 なにせ、私はここの構造を熟知している。

 それでも敢えて乗ってやったのは、私たちを追い詰めたと思っている相手に、万が一の策を取らせない為だ。

 

「ここは…!」

 追われるままたどり着いたそこは、外へ張り出した回廊の上で、その先は行き止まりとなっていた。

 地上からの距離は約50メートル、そこから落ちたら、まず助からない。

 そして今、追っ手の手から逃れようと思ったら、そこから飛び降りるしかない状況だ。

 だから。

 躊躇うことなく男爵ディーノの背中を、渾身の力を込めて、押した。

 

「なっ!ひ、光君っ!?」

 

 ・・・

 

 意味がわからなかった。

 だが、自分の身体が、何もない宙空に投げ出されたと知った瞬間、ほぼ反射的に首元から、蝶ネクタイを引っ張り出した。

 

威硫時穏(イリュウジオン)罵多怖雷(バタフライ)!!」

 そこから飛び出した無数の蝶たちが、落下しようとするわたしの身体を支える。

 

「逃すかっ!!」

 追っ手の男が、手にした鞭を振るおうとするのに、光がその顔面に向けて、纏わせていたマジシャンのマントを投げつけた。

 一瞬にして可愛いメイドが、いつもの小柄な少年のような姿に戻る。

 あの格好、似合っていたのに…などと心の片隅に浮かんだことは内緒だ。

 

「行って!私は、恐らく殺されません!!

 邪鬼様や影慶には、そうお伝えください!!」

 今、彼女を助けに戻っても、手負いのわたしではきっと役に立たない。

 だからせめて、彼女が作ってくれた逃げるチャンスを無駄にしない為に…わたしは、蝶たちと自らの身体を、夜の闇の色に同化させ、全速力で、飛んだ。

 

 ・・・

 

 以前この島に修業に来ていた時は、まだ13歳の子供だった上、髪も長かったから、今より少し女の子らしい風貌に見えていた筈。

 だからだろう。

 鞭の男に捕らえられた後、身柄を引き渡された顔見知りの筈の係員が、男塾の制服を着た私を誰か判らなかったのは。

 まあ私が捕らえられてから言葉を発しなかったのは、別に自分の事を覚えててもらえなかった事でふてくされた訳でも、ましてや捕らえられた際に、

 

「ここで何をしていた、チビガキ。」

 などと言われたからでもない。

 そもそも私は首相暗殺に失敗して始末されかかったこちら側の暗殺者な訳で、私と気が付かれないならその方がいいと思ったまでだ。

 だが、判らないまでも見覚えはあると思われていたようで、すぐに私の身分はあっさり割れ、何故か物凄い勢いで謝罪された。

 ここの係員たちにはどうやら、暗殺失敗の件は伝わっていないようだ。

 けどその後、手足は拘束されたままでひょいっと抱き上げられ、

 

「…御不自由をおかけして申し訳ございませんが、姫には枷を外さずに、暫くお待ちいただけとの命令でございます。

 どうか、お許し下さい。」

 と、せめてもと殺風景だがそれでも暖かい部屋に移されて、椅子も少し座り心地の良いものに替えられた。

 多分今私、闘技場(コロシアム)で席を取ってる観客よりいい待遇を受けていると思う。

 背の高い椅子だったので座らされたら足がつかなかったけど、ってやかましいわ。

 

 ☆☆☆

 

「おかえりなさいませ、若。」

 準決勝までを、誰一人として一滴の血すら流さず終えて、この中央塔へと戻ってきた俺たちを、ここの責任者である男が出迎えた。

 他の者は、今期の大武會で名実ともに父の後継者となる俺を既に『総帥』と呼ぶが、この男だけは未だに『若』と呼ぶ。

 そこに若干の引っ掛かりを覚えないわけではない。

 

「御苦労。」

 …が、それをいちいち指摘するのも、却って奴の子供扱いを助長しそうな気がして、まったく気にしていない素振りで、一声だけかけて側を通り過ぎる。

 と、別の職員が前に進み出て、案内を買って出た。

 

「総帥、次の対戦相手のデータが用意出来ております。こちらへどうぞ。」

「データだと?

 梁山泊十六傑ならば、奴らの詳細は頭に叩き込んである。今更…」

 だが、俺の言葉を遮って職員が発した言葉は、俺にとっては予想外のものだった。

 

「今年はその梁山泊が、準決勝で敗れました。

 決勝で闘うのはそれを下した、『男塾』という今期初出場のチームになります。」

 梁山泊十六傑とは、前期を含め三連続で優勝している強豪チームであり、満を持して初参戦した俺たちが、途中で当たる事を最も警戒していた相手だった筈だ。

 それが、準決勝で対戦したチームに敗れた…しかも、俺たち同様、今期初出場のチームにだと?

 

「なるほど…わかった。」

 ここに来て俺たちが負けるとは思わぬが、情報の整理は重要だ。

 俺は職員の男に促されるまま、モニタールームへと足を踏み入れ、備えつけの椅子に腰を下ろした。

 手元のボタンを操作して、モニターを切り替える。

 すぐに職員が準備していたデータがそこに映し出され、全員がそれに目をやった。

 この塔こそが我らの本拠地であり、ここには科学の粋を極めた最新の設備が整っている。

 まさに世界最強の男たちを養成する、世界中のあらゆる格闘技の、新たなる総本山となる場所なのだ。

 

「男塾…。

 満身創痍の者どもが、合わせて十二名か。」

 こちらがひとりの欠けすらなくここまで勝ち上がってきたのに対して、この惨憺たる状況。

 今期の梁山泊には不安材料もあった事だし、それに勝った奴らとて、警戒する事もないのかもしれぬが…。

 

「……ん?」

 映し出される映像を切り替える手が、止まる。

 …そこに映し出された男に、俺は確かに見覚えがあった。

 

『彼はこのまま帰してあげてください。

 元々この人とは、全てを見届けてそのまま帰れと、最初から約束をしています。』

 身動きを取れないようにしたその男に、その時、彼女は確かに、優しげに笑いかけた。

 そして同時に、彼女の殺気が俺に向かった。

 

『刀を抜きなさい、豪毅。

 でなければ、私があなたを殺します!

 …死にたくなければ、私を殺すしかない。』

 共に暮らしていた頃、彼女が既に、人を殺める仕事を父から受け、何度もそれを遂行していた事、知らないわけではなかった。

 だが、その手が俺に向けられる事があるなど、その瞬間まで考えもしなかった。

 俺にとっての彼女の手は、優しく温かいだけのものだったから。

 熱を出した時に、縋りついた手を握ってくれた時も、爪切りだとすぐに割れる爪を小刀で丁寧に切ってくれた時も、指先で梳くように髪を撫でてくれた時も、いつも。

 

『見届け人、といったところでしょうか。

 空気だと思っていてください。』

 彼女は同行してきた男の名を、決して俺に告げようとしなかった。

 13歳だった最後に別れた年の頃とあまり変わらない声が紡いだのは、そいつを庇う言葉。

 その声も、微笑みも、かつては俺に向けられていた筈だ。

 それが、何故。

 

 …あの後、密かに手を回したものの、彼女の行方を知る事は出来なかった。

 俺自身が動ければ少しは違ったのだろうが、父から彼女を守る為には秘密裡に動かねばならず、あの後すぐに父の後継者として正式に決定して、以降の行動が管理されていた俺には不可能だった。

 だが。ようやく見つけた。

 この男なら、彼女の居場所を知っている筈だ。

 

「いかがなされました、総帥?」

「…いや、なんでもない。」

 モニターから目を離さずに、俺はそう答える。

 内心の動揺は、表に出ていなかっただろうか。

 そこに映し出されていたのは、銀髪の男と、その男に関する情報を示す、文字の羅列。

 

 DATA

 赤石剛次

 男塾二号生筆頭

 一文字流斬岩剣の使い手

 決勝リーグ第1戦より追加人員として参戦

 etc…

 

 赤石剛次。

 間違いなく、あの時の『見届け人』だ。

 そこに並べられた文字を一通り頭に叩き込んでから、俺はモニターの映像を、別の闘士のデータへと切り替えた。

 

「男塾、か……!!」

 俺から光を奪ったのが、奴らだというならば、叩き潰すまでだ。

 上の兄たちをたたっ斬り、父の…藤堂兵衛の後継者と俺が認められた以上、あの女はもう、俺のものなのだから。

 

 ☆☆☆

 

 目を覚ました時、一人ではなかった。

 気がつけば、優しげに微笑んでこちらを見る、知った顔があった。

 

「…気がついたな、雷電。」

「……影慶殿!?」

 慌てて飛び起きて、その男の名を呼ぶ。

 

「やはり、生きておられた…いや待て、ひょっとして拙者が死んだのか…!?」

「落ち着け雷電。あの世ではない。

 …猿たちも無事だ。」

 影慶殿がそう言ったその後ろから、小さな影がひょいと顔を出す。

 わらわらと寄ってきて、肩や腕に縋り付いてくる猿どもは、その体の大きさを考えれば大変な重傷を負っていた筈だが、動きなどを見るにその影響はないらしい。

 拙者を追ってここまで来た時、既に前の闘いの傷が癒えておった事といい、この猿どものなんとタフな事よ。

 いや、そんなことよりも。

 

「…そうか、やはり『翔霍』は影慶殿であったのだな。

 貴殿が、拙者を助けてくださったか。

 誠にもって、かたじけない…む?」

「…どうした?」

 頭を下げようとして、ふと気づく。

 猿たちだけではなく、自分自身もまた、負った傷の痛みのひとつも、感じていない事に。

 否…痛みどころか、そもそも傷などどこにも見当たらぬ。

 あれは、夢だったのだろうか…いやいや、そんなわけはない。

 

「傷が…それにあれほど出血したにもかかわらず、失血どころか目眩のひとつすら起きぬとは…ふむ…。」

「…おまえに隠し立てしても仕方あるまい。

 俺は少し前まで、光とともに行動していた。」

 ひとつの可能性に思い至ると同時に、それを口にする前に、影慶殿が種明かしをする。

 

「やはり、そうであったか。」

 …実は飛燕が無事に帰ってきたのを見て、よもやとは思ってはいた。

 しかし、本人も気づいていなかったわけではなかろうに、それでも黙っているとは、あやつもなかなかに人が悪い。

 そこまで考えたところで、またもや気づく。

 

「…しかし、少し前まで、とは?

 光殿は今、こちらにはおられぬのか?」

 そう、ここにいるのは拙者と、影慶殿と、猿どものみ。

 おなご一人で広範囲を動けるはずもないであろうから、影慶殿がここにいる以上、遠くには行っていない…、

 

「先に救出した男爵ディーノと共に、夜のうちに出発した。

 俺は、おまえと共に戦列に復帰しろと、ほぼ強引に置いていかれた形だ。」

 …わけではなかった。

 まあ確かに、無茶をしがちな御仁ではあるが…。

 

「ディーノ殿も御無事か。それは何よりでござる。」

 とにもかくにも、かの人が今、一人ではないらしい事に安堵する。

 しかも、先の闘いでてっきり亡くなったと思っていた御仁も生きている。

 これは充分喜ばしい事だ。

 

「…雷電、身体の調子はどうだ?

 動けるようであれば、今から俺と共に決勝会場へ向かって欲しい。」

 若干の現実逃避が入っている拙者に、影慶殿が言葉をかける。

 その申し出に、拙者に否やがある筈もなく。

 

「無論、承知致す、影慶殿。」

 どうやら、陽もすっかり昇っているようであるし、残る仲間達もとうに出立した後であろう。

 先の闘いに於いての無様、この雷電の不徳の致すところ。

 この上は一刻も早く追いつき、その不名誉を雪ぎたいところでござる!

 

 ☆☆☆

 

「先ほど闘技場(コロシアム)にて侵入者を発見いたしましたので、捕らえてあります。

 いかがいたしましょう?」

「侵入者だと?」

「はい。それが、どうもそちらの会場でこれから闘う、男塾とやらの仲間ではないかと。

 出場闘士のメンバーとしてのデータはありませんが、同じ制服を着ておりますし、補充人員として途中参加した赤石という者と共に冥凰島入りしたのを、係員が確認しております。

 その後、闘士の代わりに手続きを済ませ、帰りのヘリに乗り込んだところもカメラには映っているのですが、離陸後のヘリ内には姿が確認できておらず、どうやら直前で下りて、この冥凰島に留まっていたものかと。」

「監視カメラに映らずにヘリポートから出て、島を横断して、闘技場(コロシアム)に侵入したと?

 まさか、内部の事を熟知している者でもなければ、そのような真似ができよう筈がない。」

「…実は、係員の一人が、見た事のある顔だと申しております。

 どこで見たかまでは思い出せないというので、できれば確認していただけたらと。」

「わかった。映像をこちらに寄越せ。」

「はい。この者です。

 見たところまだ、年端もゆかぬ少年のようなのですが、捕らえてからまだ、一言も言葉を発しません。」

「これは…も、もう少し映像を拡大してくれ!」

「は、はい!?」

「…間違いない、これは姫…光様だ!

 おい、無礼な真似はしていないだろうな!?」

「光…さま?」

「その方は御前の御養女、豪毅様の義姉(あね)君だ!」

「なっ…なんと!?」




次の章に移る前に、念頭に置いておいてほしい出来事を、駆け足で詰め込みました。
次章開始からしばらくの間、光は恐らく登場できません。
ご了承ください。
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