アルティメット千早な僕が765プロのオーディションに落ちた件   作:やんや

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やらかしの権化


アルティメットな初ライブその11

「……よく頑張った。及第点、と言ったところだが、合格だ。仮だがな」

「わぁ……! やったね!」

「はい!」

 

 連日のレッスンとその後の居残りレッスンを経て、今日ついに本田と島村の二人がトレーナーから合格を貰えた。まだ城ヶ崎と合わせていないので本当の最終合格は別になるが、僕達だけなら十分合格の動きだった。これも二人が頑張ったからだろう。

 喜ぶ二人がハイタッチしているのを見ながらここ最近の出来事を振り返る。

 トレーナーから面と向かって修正箇所を指摘された後、しばらく気落ちしていた二人だったが、そこで終わることはなく、逆に奮起することで劇的に動きを良くして行った。城ヶ崎の指導の下、同じ曲を何度も繰り返し踊ったことで習熟したと言えなくもないけけど。ここまで慣熟したのはトレーナーの指導の賜物だろう。僕の目でなくともその動きが確実に前より良くなっていることがわかる。

 頑張ったのは二人だけではない。

 僕と違い、二人は学生という身分があるため平日昼間にレッスン時間を取ることができない。

 本田と島村が学校からそのまま346プロまで来たとしても、レッスンを始める頃には日が沈みかけている。

 さらに、学校の用事なんかでレッスン開始に間に合わないなんてこともあった。

 そんな時に前川が足りないメンバーの空いたポジションの代役を申し出てくれた。ずっと基礎を学んで来た前川は完全とは言えないまでも振り付けをある程度覚えており、立ち位置程度ならほとんど把握していた。そのため、前川を代理とすることでメンバーが欠けた状態でレッスンという事態は回避できたのだった。

 また、レッスンが遅くまでズレ込んだ時には、食事に行く時間すら惜しいだろうと三村と緒方が差し入れを持って来てくれた。若さとエネルギー消費を考慮しても、ちょっとカロリー馬鹿高いメニューだったけど。

 こうして知り合った皆がフォローしてくれたこともあり、結果が出せたと言える。

 そうやって結果を出すと他のプロジェクトメンバーも感化されるのか、レッスンルームを覗き込むメンバーがちょくちょく現れた。三村が言うには、僕達の影響で皆がまたやる気を出し始めたのだとか。

 ……こういう生活がしたかったんだよね。

 夢にまで見た――一度は諦めていた――みんなと織りなすアイドル生活。それを僕は体験できている。そう思うだけで、アイドルをもう一度目指して良かったと思えた。

 

「まだまだ危ない箇所があることを忘れるなよ? 正式な合格はあとで城ヶ崎と合わせたものを見て判定する。それまで各自調整しておくように。それ以外でもわからないところがあれば遠慮なく聞きに来い」

「はい! ありがとうございました!」

「がんばります!」

「はい」

 

 トレーナーの檄に元気よく返事を返す本田と島村に対し、僕はいまいち覇気のない声を返した。いや、ライブ自体にやる気はあるのだけど、このトレーナーに対して元気よく返事をする気にならないだけだ。

 二人は毎日親身に指導して貰えてたから慕っているのかもしれないけどさ、僕にとってはトレーナーであっても指導者ではないから。ただそこで自分ではない誰かを教えているだけの人間に敬意を払うのは難しい。

 しかも、この人、僕を避けているように思えるんだよね。何か教えてくれないかと近付くと、サッと逃げて行ってしまうのだ。

 教えられないならダンスのレパートリーを一通り見せてくれるだけでも良いのに。そうすればもう用はないから。

 

「二人とも、お疲れ様。これまでの頑張りが実ったわね」

「ありがとう! 私も如月さんに負けてられないからね。頑張りましたとも!」

「すっごく大変でしたけど、とっても達成感があります!」

「……そう、それは良かったわ」

 

 表情が顔に出にくいことがありがたい。僕の表情筋がまだ生存していたら、きっと引き攣った顔をしていただろうから……。

 これまで頑張って来た二人に羨ましいなどという感情を向けることに罪悪感を覚える。頑張った者は報われるべきなのだから。この醜く濁った、汚泥のような、黒い感情を持ち込むべきではない。

 

「そう言えば、衣装ってどうなっているんだっけ? 予定では、もう少し早く教えて貰えるって聞いてたけど……」

 

 ダンスの方が一段落着いたからか、ふと思い出した様子で本田が衣装の話を切り出して来た。その言葉で僕も意識を切り替える。暗い気持ちに蓋をするのは得意だ。

 確かに、僕達のステージ衣装をまだ教えて貰ってなかったことも気になって居た。やはり僕達のライブ出演の可否について揉めていたことで発注と納入が遅れてしまったのだろうか。今更、衣装がありませんという理由で出演中止なんて言われても困るぞ。

 

「プロデューサーに訊いてみる? 案外忘れているだけかも知れないし」

「今回のライブの運営はこちらではないから、プロデューサーは知らない可能性もあるわよ。城ヶ崎さん側のプロデューサーか、それこそ運営チームに確認を取る方が早そうだけど」

「すまないが、衣装については私の方でも聞かされていないな。こういうのは妹の方が詳しいんだが……確かに今の時点で衣装が無いのは変だな。確認した方が良いかもしれない」

 

 話を聞いていたトレーナーも衣装については聞かされていないらしい。まあ、ダンスのトレーナーがライブの衣装に詳しいというのも変な話だからね。妹さんが療養していなければ、また話が違ったんだろうけど、居ないのなら仕方がない。

 

「私達って、プロジェクト外の人に相談する手段って無いのよね」

「新人の辛いところだよね~」

 

 自分で言ったことだが、僕達って346プロ所属としてまだまだ新参者なんだよね。こういう時の相談相手が少ないことで実感させられる。

 僕の346プロの知り合いで連絡を取れる相手って、シンデレラプロジェクト陣営以外だと専務さんくらいなんだよね。

 

「専務さんとかに相談してみようかしら」

「いや、上の人過ぎるでしょっ。私達みたいな新人が話せる立場の人じゃないって」

「そうですよ。下手にお仕事の邪魔をしたら怒られちゃいますって」

「そうかしら……?」

 

 定期的に専務さんから何か困っていることや要望がないか訊かれる。もちろん直接ではなく、千川さん伝いでだけど。要望を聞きに来る千川さんに「新人が持っていいコネじゃないですよ」と言われてしまった。

 あの感じなら専務さんに衣装の件を伝えれば動いてくれそうだけど……さすがに、こんなことで偉い人に手間を掛けさせるわけにはいかないよなぁ。

 

「それじゃ、私がダメ元でプロデューサーとちひろさんに訊いてみるね」

「私はスタッフさんに当たってみます」

 

 どうやら本田と島村は衣装の状況を確認に向かうつもりのようだ。確かに自分達の着る衣装なのだから気になって当然か。僕も衣装は気になっている。

 

「私は……」

「如月さんは、城ヶ崎さん経由であっちのプロデューサーに確認して貰っていい? 合同レッスンの時に訊いてもいいけど、始まったらゆっくり話せないだろうからさ」

「いいわよ」

 

 本田に言われ即答したが……うん、よりにもよって僕が城ヶ崎担当か。

 僕が適任に思えたのだろうか。同じ陽キャ同士、本田の方が相性良さそうだけど、陽キャは陽キャで何かあるのかね。

 

「私の方でも確認しておこう」

 

 トレーナーも確認してくれるみたいだ。何だかんだ、この人も面倒見が良いよね。まあ、面倒見が悪かったらトレーナーなんてやらないか。

 実際はこんなこと僕達がやる必要はないと思う。衣装の準備とか僕達がどうこうできる話じゃないからだ。しかし、こうして動いたのは、曲がりなりにも合格を貰えたことで浮かれたからだろう。つまり、何となくノリで始めてしまったのだ。

 それに付き合ってくれるトレーナーは実は良い人だよね。

 こうして僕達は休憩の時間を使って、ぞれぞれ衣装について聞き込みに回ることになった。

 

 

 

 冷静に考えるとさ、僕に何かを確認させるって無茶だと思うんだよね。僕は小学校時代の宿題で「両親に自分の名付け理由を確認してみよう」という課題を未提出にするような奴だぞ? 

 ……自分が千早だから千早なのだと確認しなかっただけだが。

 

 城ヶ崎どこかな。この後予定があるのだし、事務所に来ていないわけはないから、捜せばいつか見つかるとは思う。しかし、この広い敷地内で人一人を捜し出すのって厳しいよね。プロデューサーやスタッフは自分の部屋なりデスクなりあるから場所の特定に困らない。対して城ヶ崎をはじめとしたアイドルにそういったものはない。強いて挙げれば、担当プロデューサーの部屋くらいかな。ただ、仮に城ヶ崎がそこに居たとして、他所のプロデューサーの部屋に許可なく訪れるのはよろしくないだろう。そうなると、残された手段は当て所なく敷地内を捜し回るだけだ。

 

「本命は本田達がなんとかしてくれるでしょ」

 

 あくまで城ヶ崎を捜すのは今回のミッションではサブ目標みたいなものだ。本筋ならプロデューサーに確認するのが正しいのだから、本田の持ち帰る情報に期待しておこう。

 

 そんな気楽な気持ちでいたからだろうか、運良く城ヶ崎を見付けられてしまった。これが物欲センサーというやつか。

 しかし、城ヶ崎は一人で居るわけではなかった。誰かと会話しているところだった。

 

「最近、あの人と仲が良いみたいですね?」

「別にそんなんじゃないって……楓さん」

 

 会話の相手とは、高垣楓だった。

 二人は人気の少ない場所に設けられた休憩エリアで対面していた。いや、城ヶ崎の方は気持ち後ろめたそうな表情で高垣から顔を背けている。

 

「期待しているんですか? 未だに?」

「期待なんてしてないって。今更でしょ」

「そうですか。それならいいですが……」

 

 話の内容が掴めない。期待とは何のことだろうか。

 ……って、盗み聞きしてまで詳しく二人の会話を知る必要はないか。

 

「どうせ私達は、あの人にとってスペアでしかないんですから。あまり期待すると……また、裏切られた時に辛くなるだけですよ?」

「……」

「私からはそれだけです。それでは……」

 

 それだけ告げると満足したのか、高垣は何も言い返さない城ヶ崎を置いて、その場を去って行った。やはりその後ろ姿は、いつかのライブ映像で見たものと変わっていた。彼女の中で何があったのだろうか、それはわからないけれど、己の在り方すら変えてしまった何かがあったのだろう。

 残された城ヶ崎の方を見ると、彼女は何か痛みに耐えるように、自分の二の腕を強く握りしめていた。傷付いた顔、ではない。今の高垣の言葉に傷付いたにしては表情から滲み出る痛みが古すぎるように見える。高垣の言葉はただ彼女の古傷を抉っただけだ。ということは、その傷を付けた相手が別に存在することになる。

 それは誰か……? 

 

 ──。

 

 まあ、どうでもいい話だ。僕には関係が無いのだから。

 そろそろ、良いだろうか? 

 

「お疲れ様です、城ヶ崎さん」

「アンタ……こんなところまでよく来る気になったね。結構遠いでしょ」

「同じくここに居た城ヶ崎さんに言われても」

「へへっ、確かにね……」

 

 軽そうに笑う城ヶ崎の姿に、僕は何とも言えない気分になった。この笑い方は良くないやつだと知っていたから。笑い方を忘れた人間がよく浮かべるモノだから。いつかの春香が見せた笑顔だから。

 僕が捨てた笑顔だから。

 前ほど、城ヶ崎の考えがわからなくなった。レッスンを始めて暫くは何だかんだと声を掛けて来たのに、今では挨拶程度しかしなくなった。上手くやれば褒めることさえあるのだから、その変化に戸惑うばかりだ。

 

「……」

「……」

 

 だから、こうして二人っきりになると会話が無くなり気まずい空気になる。だから城ヶ崎担当になりたくなかったんだよなぁ。

 

「もしかして、今の会話、聞いてた?」

 

 沈黙に耐えかねたのか、城ヶ崎の方から話を振って来た。内容はあえて触れようとしなかった先程の高垣との会話についてだった。

 まあ、こんなところまで来ておいて何も知りませんは違和感あるよね。でも、城ヶ崎を捜してはいたけれど、ここを通りかかったのは本当に偶然なんだけど。こういうイベントの回収率は僕は高いのだ。千早も歩けばマフィアの抗争に当たるってね。

 

「はい」

「……普通、そこは嘘でも聞いていないって言うところじゃない?」

「嘘吐いても本当のことを言っても、私には関係のない話ですから」

「おもいっきり当事者なんだけどなぁ……」

 

 怒る気力も無いといった顔で溜息を吐く城ヶ崎。当然、怒られる理由に思い当たる節がない僕は今は我関せずでいるつもりだ。下手に地雷を掘り起こす趣味は無い。

 

「で、そっちからアタシに話しかけて来るなんて珍しいじゃん。何か用?」

「実は私達の衣装についてなのですが……」

 

 僕は衣装について城ヶ崎に話を聞かせた。衣装についてはステージに立つ城ヶ崎にとっても他人事ではないだろうから教えておくのは必要だし。

 

「あちゃー、あの人もしかして運営に丸投げしてた?」

 

 どうやら城ヶ崎の方で何か思い当たったらしい。

 気まずい空気も忘れる勢いで城ヶ崎がウンウンと呻いている。その姿だけを見ると年相応の女の子なんだけど……。

 

「ごめん……それ、こっちのプロデューサーのミスかも知れない」

 

 やがて城ヶ崎が答えてくれたのは意外な事実だった。

 

「手抜き……ですか?」

「うん。こっちの人……プロデューサーは企画はできるんだけど、細かいところの指示がたまに雑なんだよね。特に担当アイドル以外が関わる部分が、さ……だから、今回もそっちの衣装まで手が回り切っていなかったんだと思う」

 

 それ、前も思ったけど大丈夫な人なの? 

 自分の担当アイドルさえよければ後はどうでもいいってスタンスは、プロダクション所属のプロデューサーとしては駄目なんじゃないかな。

 

「……で、今回アンタ達の衣装とかって、こっちで発注していたんだけど、納期の方の調整がたぶん適当だった……の、かも?」

「それは……」

 

 当てずっぽうのように言っているけど、結構確信を持っている顔で城ヶ崎が担当プロデューサーの実態を教えてくれる。

 346プロのプロデューサーって優秀な人が多いイメージだったんだけど、たった一人のせいで信用がガタ落ちなんですが? 

 これで発注すらしていないとかなら殴り込みを掛けるレベルだ。発注済みという情報を城ヶ崎の方で持っていてくれたから助かった。

 

「城ヶ崎さんが謝る事ではないですが……そうなると、私達の衣装が間に合わないことになるかもしれないということですよね?」

「たぶん、プロデューサーの方も、ライブまでに間に合うように指定はしていたはずだけど……リハーサルまでに間に合うかは微妙だね」

「……」

 

 リハーサルから本番までの期間は思ったよりも短い。そのリハーサルまでに衣装が入らないとなると、衣装合わせの時間すらとれるか怪しい。それを着てのリハーサルなんて無理だ。

 

「衣装無しのリハって、どう思われます?」

「アタシは衣装一つでブレるほど不慣れじゃないけど、新人の子には厳しいかもしれない。似た服でやって慣らしておくしかないかな……本当にごめん」

「そうですか……」

 

 担当プロデューサーの代わりに謝る城ヶ崎に言葉を掛ける言葉が思いつかない。二人はこの話を聞いてどう思うだろうか。無茶だと驚くか、どうしてそうなったのかと怒るか、もう無理だと嘆くか……。

 いずれにせよ、彼女達のケアが必要になるだろう。その役目は僕ではないけど。

 やはりプロデューサーにポエムの一つでも処方して貰うしか……。

 

「ねぇ、アンタってさ」

 

 処方箋を考えている僕に城ヶ崎が声を掛けて来る。なんだろう、今ちょっと処方箋を脳内で書いているから待って欲しいのだが。

 

「あいつ……CPプロデューサーとは結構仲良いの?」

「はい?」

 

 それ、今訊く必要あるやつですか? 

 思わずそう聞き返しそうになるのをグッと我慢する。先輩アイドル相手に生意気な態度をとるわけにはいかないから……などという殊勝な気持ちで止めたわけではない。ただ、それを訊いて来た城ヶ崎の顔がとても必死に見えたから……。

 

「プロデューサーとの仲は……特段仲良いかと言われると首を傾げる感じですが、さりとて悪いとは絶対言わないような感じです」

「いや、わからないって。曖昧な言い方じゃなくて……たとえば、普段どんな話してるのかとか、具体的に説明された方がわかりやすいかも」

 

 本当に聞きたいのだろうか。最後の方は尻すぼみになるような声量だったので本気具合がわからず、教えていいものか迷う。まあ、プロデューサーのプライベートな話以外なら良いのかな。

 僕は望み通りプロデューサーとの普段のやりとりを彼女に教えてあげたのだった。

 最初は興味深そうに聞いていた城ヶ崎だったが、話が続くに連れてその顔が曇って行った。

 

「……もう、いいかな。これ以上は、ちょっと、聞いてられない、かも」

 

 最後には話の途中で止められてしまった。

 何が気に入らなかったのか……僕は、ただ、本当にいつも通りを話して聞かせただけなのに。それに最初に興味を持ったのは城ヶ崎の方じゃないかとも思う。

 

「私はそろそろプロデューサーのところに行かないといけないので、これで失礼いたしますね。では、後ほどレッスンで」

「……」

 

 そこはかとなく理不尽なものを感じながら、話が終わったということもあり、僕はプロデューサーに衣装の報告をするためにその場を後にした。

 黙り込んだ城ヶ崎を置いて。

 

 ちなみに、後で確認したところ、こちらのプロデューサーの方で衣装の件は納期調整してくれていたらしく、リハーサルには間に合うことを教えられた。

 良かったと胸を撫で下ろす。城ヶ崎との会話が完全に蛇足になってしまったが、それは結果論だ。何かマイナスになるわけではないのだから構わないだろう。

 本番まで残り日数は少ない。時間を無駄にせず頑張って行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……やるしかないよね

 




地雷を掘り起こす趣味はない千早。
しかし特技は地雷の起爆であった。

専務に問い合わせしていた場合の未来。

専務「アイドル(如月千早)の衣装の納入が遅れていると耳にしたのだが?」
各部門長「何やってんの? 死ぬの?」
運営&美嘉P「ヒエッ」

経営者の一族かつ専務(副社長)に問い合わせができる新人アイドル。最強の手札を使わないのはリスペクトデュエルとも言える・・・。
施設管理部の課長さんは命拾いしてましたね。千早から専務宛にレッスンルームが借りられないのですが、とか訴えられていたら、たぶん上記のように呼び出しされていました。
さらにアイドル部門で千早が冷遇されている(誇張)と噂を聞いた他部署の部長が「じゃあ、こっちの部屋使っていいよ。あと演劇(または歌手)に興味ない?」と全力で引き抜きに来るパターン。
千早の演技の実力は現状未知数ですが、演技力が高い”如月千早”は存在するでしょうし、ずっと他人を演じて来た千早自身も演技が苦手というわけではないです。いつか演劇かドラマ仕事が来た時にその実力がわかるでしょう。
将来ハリウッドでアクション映画に出ることがあれば話題になりそうですね。強いって。
過去に銃弾の雨を高速機動で避けた実績があるので、アクション系の仕事でも活躍できるはずです。
純粋なアイドル活動から遠ざかれば遠ざかる程才能があるのが千早なので。

しばらく前から城ヶ崎のプロデューサーがとんでもない無能に描かれていますが、冷静に考えるとプロデューサーも結構厳しい立場でした。
まず、押していたスケジュールが何とか計画内に収まるというところで、急遽担当アイドルがバックダンサーを起用して来る。(とある事情で断れない)
武Pの担当アイドルは基本ができているし実力もあるから、トレーナーがちゃんと教えるなら…と起用を了承したら、トレーナー不在な上に新人アイドル三人が起用されていて、城ヶ崎自身が直接教えることになる。そのせいでライブのスケジュールの修正、指導役をしている城ヶ崎の仕事のスケジュールの修正が発生。
CP側である千早達を起用するために武pと契約と打ち合わせ、他出演アイドル4人とその担当Pへの説明、契約見直しからのスポンサーへの説明、社内社外向け仕様書と見積書再提出、要領書修正、衣装のデザイン発注、振り付け一新のせいでステージのライティングや足りない機材があるかのチェック、などなど。
さらに普段やっている、城ヶ崎以外の担当アイドル達の契約取り、送り迎え、オーディション探し、事務仕事。
……を一人でやっています。
つまり、死ぬ。
それで他プロジェクトのアイドルにまで目を向けるのは正直無理かと思います。あと、CPってアイドル部門内に所属するアイドルをユニット単位でその場管理しているのではなく、プロジェクトとして完全に別枠で長期計画として扱っているから扱い辛いでしょうし。それを一存で決めちゃった城ヶ崎の意思を尊重してなんとかやり切った彼女はよくやったと思います。
が、上に挙げた物ができてもまだ抜けている奴扱いされるのがアイマス世界のプロデューサー業界でしてー。
つまるところ、武pがパナイだけ。
アニメでよく城ヶ崎側のプロデューサーがok出したなと思います。さすがに本作ほど時期的に絶望感はないでしょうが、アニメでも最終調整に入る時期だったでしょうし、そのタイミングでの仕様変更とか関係者の血管ブチ切れ案件ですよね。


次回、いよいよ千早達三人の初ライブです。
アニメでは15分程度で迎えたライブシーンですが、こちらでは10話以上かかりました。そんな濃密な時間の中で繰り広げられる千早の人間関係のあれこれをどうぞこれからもよろしくお願いします。

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