Final Fantasy XV 〈Salvation〉 作:日鏡 夜幻
次に移り変わったのは王都インソムニアよりも機械化の進んだ都市。今は世界に光が取り戻されたため明るく照らされ、以前とは印象が異なるが、ここはニフルハイム帝国の都市、そして目下に広がる巨大な軍事施設は『ジグナタス要塞』。
現在はもう機能していないようで、要塞が作動しているようなそぶりは感じ受けられない。
「ニフルハイム帝国。かつての『ソルハイム』の力を利用した巨大国家。人類全体から見れば、神に対抗し得る技術を手にした唯一の国だったといえるだろう」
帝国へと向かう途中のシヴァの亡骸が、ニフルハイムの強大な力を示している。神を殺すなど、並大抵の国家じゃ不可能に近い。
しかしどうして女神はこの場所を……
「世界には光が取り戻された。だがーーーー闘いはこれで終わりじゃない」
ジグナタス要塞の中へと景色が移り変わり、見覚えのある部屋が現れる。
ノクティスの力を封じる為の装置、そしてイドラ皇帝の玉座があった部屋だ。その部屋の機能も、もう動いている気配はないのだが……
一人の男が玉座に鎮座していた。
「誰だ……あいつ」
ノクティスは玉座に腰掛ける者に軽い既視感を覚えた。
……アーデン・イズニア?いや、魔力の質は似ているが根本的に違っている。アーデンのとは違い、玉座にいる者からは少しだが神聖な魔力を感じられる。そう、これはあの時、俺とシヴァで倒したはずのーーー
「世界を覗く者よ。姿は見えぬが意志は感じるぞ。……消え失せろ」
紅蓮の炎がノクティスの視界を覆い尽くした。
ーー
灼熱に身を焦がす、そう思った時には既に暗闇の中へ移動を終えていた。最初と同じように女神エクレールがその神聖な姿を玉座に佇ませている。
「心配することはない。今の奴は人の身に宿っている。我々に干渉する事はほぼ不可能に近い」
「それより……あいつは炎神イフリート」
姿は全く異なっていたが、魔力に以前戦った時の面影が残っていた。ノクティスにとってイフリートと闘ったのはつい昨日の事のように感じるのだから無理もない。
人ならざる存在の魔力。
「ここからが本題だ。私は太古の神とは違って可視世界に直接干渉することができない。ああやって覗き見ることしかできないのだ」
今見たように、と。
「ただ不可視世界の存在に干渉することはできる。今こうして君と話しているようにな」
つまりこの場所は不可視世界。
「不可視世界は以前までは魂の循環に必要だったのだが、古の時代の終わりと共に役目を終えた。今や私がこうやって世界が平和に過ぎ去るのを監視するくらいの役目しかない」
それは『君が生まれる前の物語』。
「真の王、ノクティスよ。ーーーもう私が言いたいことを理解し始めたはずだ」
玉座より、女神エクレールは歩み出す。
ノクティスはその姿に見惚れながらも、今まさに告げられようとしている言葉を待ち続ける。
「炎神イフリートだけではない。この世界を脅かした者達が未だに機会を伺っている。アーデンを唆かし、闇を得ようとする者達が」
女神エクレールにもその正体は掴めていない。もしかすると暗躍する黒幕は人ならざる者なのかもしれない。
「女神エクレールの名を持って君に問おう。この世界の為にもう一度闘ってはくれないか」
それは呪い。運命という名の下に命を落とした彼に対する再起の言葉。
それは救い。消えることなく、この不可視世界に残った彼の新たなる道。
「と言っても、もう覚悟はできているようだな」
笑みを浮かべたエクレールは腰に帯刀していた剣を抜く。
「既に前世で世界を救う覚悟はしてある。命をかけてな。これ以上の覚悟をどうやってしろって?」
「皮肉だな……良いだろう。この剣を授ける、きっと君の助けになってくれるはずだ」
剣がノクティスの体を貫く。ファントムソードの時と同じだ。それはノクティスの武器として召喚可能な形に変化された。
「行け、ノクティス・ルシス・チェラムよ!今度こそ全てを救ってこい!」
「ああ!!」
ーーーーーそして闇は晴れた。