Final Fantasy XV 〈Salvation〉   作:日鏡 夜幻

6 / 10
オリジナルキャラなども出てくると思います。


第二章 ハンマーヘッド

 延々と続く道をノクティスは歩いていく。

 

 季節はおそらく春。近くの茂みに生える植物の種類から季節を予想する。これも以前の旅で身につけた知識の一つだった。ま、ケータイを使えばすぐなんだが。

 

「まさかケータイがぶっ壊れてるとはな……」

 

 復活してすぐにノクティスが取り出したのはケータイだった。まずはイグニス達に連絡をとって、世界の状況を知りたかったのだ。

 

 しかし、やはりというか当然というか。アーデンとの死闘やクリスタルの中で過ごした十年間の影響で、ケータイの電源は完全に落ちてしまっていた。というか、もしかすると現代ではもっと発達した機器が普及してるのではないだろうか。

 

「にしてもマジで暑っちいな」

 

 ゆっくりとハンマーヘッドへ続く道を歩きながらノクティスは一人呟く。昔、同じ様な言葉を発したような気がする。

 

 女神によって再び生を受けた彼だったが、その姿は死ぬ直前より若く、それでいて二十歳の頃よりは大人びていた。旅をしていた頃のグラディオと同じくらいの年齢だろうか。

 

 服装は旅をしていた頃の衣装だったが、少し小さい気がしたので王都インソムニアへ向かう為の例の服を着用していた。とはいうものの、この服もかなりの厚着のため、ノクティスは暑さに項垂れているのだった。

 

「一枚脱ぐか」

 

 さすがにキツくなったので、ローブのようなものを脱ぎ収納する。こういう能力は以前のまま残されているみたいだ。つまりクリスタルの恩恵はまだ受けられているということか。

 

 

 ーー

 

 

「「「ガルルルル………ッ!!」」」

 

「……めんどーだな……っと!」

 

 これまたお馴染みのキュウキ達だ。近くに見えた果実のなっている木で一休みしていたら襲われた。だいたい二時間は歩いていたと思うので、逆に今まで野獣に遭遇しなかったのが幸運だったと言えるだろう。

 

 見た所、レベルは大したことなさそうだ。数も三体と非常に少ないのですぐに倒せる。

 

 ノクティスは闘いの勘を取り戻すという意味でも、キュウキ達を見逃すつもりはなかった。ついでに今夜の食材にでもしよう。

 

「っていっても火起こすのあんまり上手くねえけどなっ!」

 

 キュウキの突進を回避し、少し距離を取る。火起こしはグラディオの役目で、彼が修行に出かけていた時はキャンプに困った苦い思い出がある。

 

 さて今はそんな事よりも目の前の敵だ。

 

 ノクティスは武器召喚で手元に一振りの剣を取り出す。それは女神エクレールから預かった聖なる剣。手に取っただけで分かる、この澄み切った感触はまるであの女神と対峙していた時のものとよく似ている。

 

「っ……ラァッ!!」

 

 一体のキュウキが突進してきたのに合わせ、回避からのバックアタックに転じる。この程度のスピードなら何匹いても掠ることすらないだろう。

 

 ザクッと、キュウキの背に剣が切り入れられる。

 

 鮮血が溢れ出すーーーーそう思ったのだが。

 

「斬れてない……っ!?」

 

 目の前の現象に違和感を覚えたノクティスは急いでキュウキ達から距離を取る。

 

「刃がないわけじゃない……とすると、この剣の特性みたいなものか」

 

『不可視世界は可視世界には干渉できない』

 

 ふと女神エクレールの言葉を思い出す。

 

 つまり、不可視世界のものであるこの剣は可視世界じゃ役に立たないってことだ。ありえねぇ……

 

 キュウキ達も何か違和感を感じているのか、襲って来る気配がない。おそらくノクティスの先程の一連の動きに格上だと認識したのだろう。

 

 シフトは可能みたいだ、ひとまずここは逃げよう。

 

 

 ノクティスは少し離れたところにある岩場に狙いを定め、女神の剣を投げ、マップシフトするのだった。

 

 

 ーー

 

 岩陰に身を潜めたノクティスは自身の現状について再確認を始める。先程の戦闘をした感じからすると、魔力(MP)と体力は以前とそう大差ない。体の動きなどはアーデンと戦った時よりもキレがある気がする。

 

 まあ若いし。

 

 で、問題なのは武器がないこと。

 

 女神の剣を取り出す際に確認していたのだが、かつて集めた十三本のファントムソードは全て消えてしまっていた。それも当然といえば当然で、世界を救った時に一緒に消えてしまったのだろう。

 

「今は丸腰ってことか。近くに武器屋もねーな」

 

 ファントムソードが無いのはかなりの痛手だ。あれがあるだけでシガイを倒すのが楽になる。

 

 それに光耀の指輪もない。しっかり指に嵌めていた筈なのだが、いつのまにか無くなってしまっていた。これもファントムソードと同じように消えたのか?

 

「指輪魔法も使えないし、普通の魔法を使うしかないな」

 

 ノクティスは魔法をマジックボトルに生成して使用してきた。しかしこれは魔法を安定して使い、仲間にも共有するための手段の一つでしかない。別に魔法を使えない訳ではないのだ。事実、父親であるレギス・ルシス・チェラムは魔法を戦闘に用いていた。

 

 ただノクティスは魔法の威力調整があまり上手くなく、魔力の消費が激しいということからマジックボトルの使用を好んでいた。

 

「武器もアイテムも、衣装以外は無くなってるし……ポーションもないな」

 

 改めて手持ちを確認したところ、現在の状況がかなり危険なことに気づく。所持金も何故か1000ギルしかないため、一刻も早く街に着いて討伐依頼でもしなければならない。所持金が無いと武器も買えない。

 

 

 とりあえず、日が暮れる前にどこかしら街や標に辿りつかないとならない。

 

 キャンプ用具など持ってはいないが、標ならモンスターやシガイも襲って来ることはないだろう。

 

(一応、魔法生成しておくか)

 

 マジックボトルに手元に残っていたエレメントを使って魔法を生成し、モンスターと遭遇しないようにノクティスはハンマーヘッドを目指すのだった。

 

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