プロローグ喰
新世界とはご存じであろうか? それは今自分が居る世界の先であり、または『はい』か『いいえ』のように別れた世界の一つでもある
それを『パラレルワールド』と呼び、現実に存在しない世界を差している
「なるほどね…。また来ちゃったな~……」
地面は砂、周りは石の住宅がズラリと並んでいる。そして、数えきれないほど、人間の数が行き交じっている
その人間たちの服装は薄い布を巻いて、手には大きな壺を持って歩いている。そんな中の中心に、一人だけ目立つ男が
漆黒のような髪、野生のようにギラついた目、顔が整っており、前髪をあげている。この国の格好ではないのがよくわかる
身長は軽く180㎝を越えており、ガタイが良く服の上からでも筋肉がわかる。服装は白いTシャツ、白い短い丈のパーカー、白いジーンズと白一触である
「新たな世界に」
一言つぶやき、男はこの場を去って行った。この格好では目立つのは承知だが、それ以前に彼は腹を空いていた
「『また』やってもいいんだが…。しょうがない、探すか」
と、彼は意味深な台詞を残し食料を探しに行った。けれど、よく見ればそこ等辺にウヨウヨ居るんだがな………
???side
死体を使わなきゃ、あたしは生き残れない。元々家が貧乏で、父親が感染で亡くなってしまった
あたしがまだ幼い時、父親が死んで土葬するときにその光景が目に焼き付いている。死体をコンクリートで固めていたのだ
棺でもなく、包帯で巻かれても居なく。なんでと聞いてみると、兄さんは答えてくれた
『盗まれないためだよ』
世の中には生きるために、手段を択ばないと伝えられる。死体の服、身に付いた飾りを盗んで生きている人もいるし、中には死体ごと盗む奴も
確信してしまった。私たちも『これ』をしなきゃ生きてはいけないことを
それからもあたしは単独で盗みをしだし、売春をするのが嫌で女性器を切除した。そう、これがあたしの生き方だ
「はぁはぁ…これは普通の死体だな。よし、これなら服装盗んでいけば」
身なりはとても貧乏とは思わない、体型でもある。小太りで、身に着けているものは、どれも豪華だ
手を伸ばし、まずは腕時計を外そう……
『ガシッ』
「!?」
「おいおい、小娘。何手を出してくれてんのよ、おぉ?」
「な、なんだお前は!?」
盗ろうとした瞬間、腕を掴まれた。そう、腕を掴まれただけなのに音が響きだした
別に痛いわけえではない、ただ…押し潰されそうなぐらいだった。隣には、あたしとはちょぅと顔のつくりが違う男性が居た
ギラツイタ目は私を睨み、一寸も視線を外さないでいる
「は、離せ!!「どけ」きゃっ!」
『ドン』
「くっ………」
「さてと、俺もそろそろ限界でな。すまんな、小娘。これも弱肉強食よ」
軽々持ち上げられ、そのまま後ろに投げられた。幸い致命傷にはならなかったが、頭を強く打ち視界が歪んでくる
男は死体を漁りだした。まずは服を剥ぎ、飾りも取る。こいつも物取りか……!
折角二日ぶりに、飯を食えると思ったのに。これじゃあ…!! 兄弟たちにも、あげられないよ!
目から涙がポタポタ落ち始める。顔を下に向け、悔しがるその姿はとんだ惨めだろうね
「いただきます」
「え………」
男は一度それを言い、勢いよく死体に『かぶりついた』ではないか。まずは腕をもぎ取り、一気に口の中に入れて噛み砕く
その音はとても不安でもあり、気持ち悪いとも思え始めた
「新鮮な死体だなこりゃ。んぐ…いけるわ、これ」
「お、おい…なにしてんの」
「おう、悪いな。こっちは数年ぶりの飯時なんで、どうも手も口も止まらなくてよ」
「数年ぶり!?」
「つか、小娘もコイツを喰おうとしたんだろ?」
「違うわ!? 誰がそんな偏食主義者なんだ」
「もぐもぐ」
変わった奴だ。それが第一印象であった。奴はそのまま死体を食いつくし、腹が膨れて休んでいる
その姿はとてもあたしでも出来ない、まるで王様のような格好だ
「これ、欲しかった奴だろ」
「へ?」
「おらよ!」
投げられたものを拾うと、それは先ほど死体が身に着けていた物であった。どうやらこの男は、金品には興味ないらしい
喜びたかったが、この状況では喜べない。これを『人』から貰ったあたしは、とても『人間』とは言えないのであるから
「どうした、素直に喜ばねぇのか」
「うるさい!!! こんなのただ施しを貰ったようなもんだ!!! あたしは、自分の力で生きていくと決めたんだ!!」
「ご立派なこったぁ」
「どうせ、惨めに思うんだろ? こんな小娘が、生きていくために死体を荒らすなんて」
男は突然立ち上がりだした。年は離れている分、身長の差もかなりあるが…思った以上に大きい
奴の周りがざわめきだした。鳥たちの泣き声が聞こえ、地面が揺れているように感じる
「たしかに、そんな貧困な生活すりゃあ誰だって引くだろうね。実際、俺も引いていたし。マジコイツなんなのって」
「くっ……」
言い返せない
上空で鳥たちが空を舞っている下で、男は息を吸い込みだした
『ガオォォオオオオオオオオンン!!!!!!』
「わっ!?!!?!?」
人とは思えない雄叫びをあげ、上空の鳥たちは意識を失い、まるで雨のように降ってきた
男はその中の一匹を手でつかみだす
「生きるためには、仕方ねぇだろ」
『ブチっ!』
鳥の上半身を咬みちぎった。その姿は、王様でもあり暴君にも見えたが、納得する図だ
「あ、あたしはヴィクトリア・ウッド! しがない盗人です!!!!」
「おう。俺は白峰 虎之助だ。よろしくな、しがない盗人さんよぉ」
「う、うん!!!!」
こうして、あたしの人生に光が差し込みだした