「ハアアァアアアアアアアアァアッッ!!!!!!」
『バキン!!!!』
時刻は早朝。朝早くからこの訓練施設のグランドのど真ん中で、異様な光景が存在している
男の前には遥かそびえ立っている塔……いや、これは瓦の山。3mをゆうに超えており、男の前にそびえ立つ
だが、それをもろともせずに男はジャンプし軽くその瓦の山を飛び越え拳に力を入れながら放った
すると、瓦の山は『木端微塵』に形を失くし割れ、砕け、破壊された。その音は一瞬であった―――
名は白峰 虎之助。その男…いや、漢はこの世界に降り立った『最強』。ただ、それだけの存在
「よぉ、虎。何処にいったと思いきや、朝から修行かよ」
「あっトラ! 今日もバッチグーだね」
「つか、凄いね。たかがパンチで災害の跡みたい」
『最強』に引き寄せられた三人の『人間』。この三人は運がいいのか悪いのか、この虎之助に引きつけられた唯一の『人間』
マリアはガレキを触り、一言感想を言う。ウッドは上機嫌に虎之助に近寄り、一郎はニヒルに笑う
「なんだお前ら来てたのか」
「来てたのかっておい。俺らはアンタにわざわざ呼ばれたんだぞ? そこは、ありがたみってやつを「イチローくん、いいじゃん別に」あのなぁ……」
ウッドと一郎は会った時から、こんな仲である。お互いどういう存在かを理解しているが、実に『利用』しようと考えている
この二人に主従関係は存在しない、ただ『協力』をしているだけの関係なのだろう
「虎之助、こんな早朝呼び出してなんの用?」
「あぁ~……まぁ、用は用だな。最近物忘れが激しくて、つい忘れちまったんだよ……やだやだ、歳っていうのは……
そんじゃ、戦おうか」
「「「は??」」」
「よぉーし、それぞれ『薬』使っていいから俺を『倒してみろ』」
「は? ちょ、トラ!? 急にこんな地下闘技場みたいな所に連れてこられても困るんだけど!?」
「そうか!」
「虎、なにも唐突すぎんだろ。俺はこないだ手術したばっかだぜ?」
「そうか!」
「アタシと結婚して」
「そうか! ………じゃなくて、いいから『倒してみろ』」
場面展開し、この四人は今回新しく作られた訓練場に集められている。虎之助以外のあの三人の手には注射を装備してる
だが、使わない。なぜなら、相手が尊敬に値する白峰 虎之助だからだ。だが、『外』ではそう思っている三人だが『内』では――――
「どうした? 怖いのか?」
「怖いだと……舐めやがってッ! そんなもん慣れちまったよ!!」
『ブスッ』
一郎はその言葉に頭がキレ、その注射を躊躇もなく首に指した。中身がそのまま一郎の体内を駆け巡り順応する
「もし俺を『倒したら』、なんでも言う事聞くぞ」
「時には戦うのも大事だよねッ!!」
「ごめんね、虎之助」
『ブスッ』
この二人も慣れたように注射を当てた。すると三人の姿が次々変わっていくのがよくわかる
ウッドは指に形が変わり、マリアは腕の形が変わり、一郎は―――体格が膨れ上がった
背中、腕、腰、胴、脚。全てに筋肉というのが膨れが上がった。虎之助はそんな三人を見て口元が緩みだした
「まずはアタシから!!!」
『フッ………』
マリアの掛け声とともに、その姿はこの場所から消えた。『ニジイロクワガタ』。飼育によく買われるまさに『媚を売る』生物の一匹
相手にこの美しき『色』…虹色を見せ、魅了するのがこいつの特性であるが、こいつにはある特性がある
それは 迷彩 密林に順応する、街に順応する、人に順応する。この虹色は色んな所で順応する証だ
光の反射を利用し、消えたように見えるがこの場合は『隠れている』に近い。そんな特性を使い、虎之助に静かに近づく
「抜け駆けはよくないよ、おばさん!」
マリアに先越されないよう、ウッドは人差し指を注射針のように鋭く、しなやかに伸ばす。『エメラルドゴキブリバチ』
エメラルド色した小さなハチ。可愛らしい姿は裏腹に、その実態はとてもエゲツナイ
エメラルドゴキブリバチの毒は、まさに『魔術』と思い込む。ゴキブリの体をよく理解しており、それは小さな脳の位置も覚え、そこに毒を流し込むプロ
だが、たかがゴキブリにそうする小さな『弱者』。否―――それは、虫がそうするしか出来ない『本能』なのだ
そこで知識を得て、もしその『毒』の標的が人間ならどうなるか? いわば『毒』は『毒』………
人間にとっても危険なはずだ
ウッドは素早いハチの特性を使い、虎之助に近寄る
「一回テメェのその顔面、殴ってみたかったんだよなぁ!!」
まさにトロールのような体。『ネムリユスリカ』という昆虫を宿した蛭間 一郎。この眠りなのか揺すりなのか意味がわかんない昆虫は―――
死なない
200度で5分間熱してもー死なない
マイナス270で芯まで凍らせてもー死なない
168時間のエタノール処理でも
7000グレイの放射線に曝されても
真空状態に置かれても・・・
ネムリユスリカは死なない
水を少量与えれば、まるで『何も』なかったように再び活動を始める
そんな強靭な精神と生命を使い、一郎は堂々と虎之助に近づく。さて……先ほど『外』ではとか言ったのは覚えているか?
たしかに『外』では虎之助という存在と戦いたくないというのが一杯だろう、だが人間といのは『二面性』
その逆も考えることもあるのだ……そう、虎之助とう存在を―――――
「ハッ!!!」
「シュッ!!!」
「うらぁ!」
倒してしまうかもしれないと
『ドガッ!!!!!』
それぞれの攻撃が、虎之助の体にクリーンヒットした。マリアは首、ウッドは溝、一郎は台詞通りに顔面に
三人はたしかに一人では勝てないと思った。だが『三人』という大群、団、組織で戦えば勝てると思っている
昆虫というのは大抵は固まって動いているのが多い。それが本能なんだろう
だが………
しかしッッッッッ!!!!!
「おいおいおいおい、こんなもんなのか? テメェらの実力は」
虎之助、動かず。倒れず。怖気ず。優雅に腕を組み、顔面を殴られていても口元が緩んでいる
「やはりな……最近天狗になってんじゃねぇのかと思ったが、調子に乗りやがって」
「嘘……利かない……なんて」
「さ、刺さんない? 1㎜も!?」
「こ、拳がイテェ」
「当たり前だバカ野郎。俺は『最強』だ。こんな攻撃じゃ、まだまだ『倒せられ』ないぞ」
この軽い口調、そして一切もダメージを負わない体。この現象に三人は絶句した。自分たちでもわかっていた、この力があれば勝てると
だが、現実は甘くなかった
「だが、しかし! この俺に立ち向かったことは大いに結構だ。そんなお前らに……俺からのプレゼントだ」
すると、虎之助の周りが『歪み始めた』。この空間だけ重く、息苦しいと感じる三人。これは……なんだ?
頭痛が怒り、汗がだらだら流れる。だが、動けない
「俺の技とも言っていいが…………いや、この場合は特性か。お前らにも見せてたやつを一つずつ見せてやる。まず……ウッド」
「くっ……」
虎之助は一回この空間を断ち切り、三人を『離した』。それぞれ必死に後ろに下がり、正面で向き合う
牙を大きく尖らし、爪鋭く、両腕は得物を狩るようなポーズで
「まずは……『威嚇』だッ!!!」
『グアアァアアアアアァァァァァアアアアッッッ!!!!!!!!』
「ひぃっ!?………」
『バタン』
「ウッド!?」
ウッドはそのまま綺麗に倒れ込み、気絶した。今度はマリアと向き合う虎之助。構えを解き、牙も爪ももとに戻る……が
またも異様な空間がマリアを包み込んだ
「こ、この感じ……!? あの噴水の時と…!?」
「『領域』……いわば、獣の縄張りだよ。お休み、マリア」
『ドスン』
「チッ!? なんつー奴だ」
一郎は臨戦態勢を取る。次は何が来るかわからない…!! そう警戒するが、虎之助はこちらを見ようとしない
そして、口を開け―――
「『お座り』」
『ドォン!!!!!!!』
「がはっ!!」
自分でもなにが起ったのかわからず、頭から地面に激突した。急に、頭を押さえつけられた感じが……
「『言動』だ。俺の話は嘘じゃなかったろ? 一郎」
「くっ……へっ、なにが……嘘じゃなか…っただ………」
そのまま深い眠りについた
「………………やっぱし、まだまだまだまだ遠い存在だな。俺って」
感想をください!!!
あ。あと、もし虎之助を描いてくれる人が居たらぜひメッセージを送ってくださいw