人類は『巨大』という言葉を理解しているのだろうか? 目の前に己よりデカく、この世に存在しているものかと疑うことをさす
生き物でいえば、『恐竜』、『鮫』、『熊』など人類より大きな生命体を言う
だが………―――――『最強』が目の前にいたらどうするか
「この肉うめぇな」
頬を膨らませるほど、口の中に肉を放り込むその姿はまさに『暴君』。椅子に寄りかかり、両足を行儀悪く机にのっける
俺が持っている食器が震える。『カタカタ』と、寒いから震えるわけではない。病気でもない
なら何か?
それは………
「ん、おい貴様。なにぼーっと突っ立ってんだ」
『巨大』という『最強』が、俺の目の前にいたからである。恐怖、絶望? そんな生ぬるい感じではない
この方命はとっくに捨てて、すでにこの組織に身を預けた次第。死など怖くない、死ぬ気でもない
戦場でもそう言い聞かせ、己という『意識』を高める。そして、『生』という欲を強めたいたが……。こいつはそんな事を考えさせてくれない、存在であった
「お、おう」
奴の目の前に座り、静かに食器を置いた。俺も自分で言うのもなんだが、素行が悪いと思う
いつもなら地面で食べる、だがこいつに指摘され気づかず動いてしまった。いつもなら行儀悪く座る、だがやられたくないからキチンと姿勢をよくする
嫌な汗が頬に流れる
食べ物を口に含みながら、視線をチラリと気づかれないようにあいつを見る。スプーンとか着いているのに、わざわざ手で食べる行動。口を開ける時に牙が大きく見える、そしてよく手を見ればまるで百戦錬磨の拳
白峰 虎之助―――!!! 自らを『最強』と豪語するのにふさわしい男なのだろうか
いや、何を思っているのか……俺らしくない
「………ほぉ、いい『観察力』じゃねぇか。久しぶりにピリピリしてきたぜ」
「ッ!? き、気づいていたのか」
「あぁ。この『
俺が『観察』したのに気づき、奴はそう聞いてくる。なんという危機察知力。まるで野生のようだ
一端目を伏せて、様子を伺う。耳に入ってくる、奴の笑い声。どうやら、気に入ったのかそれともバカにされているのかわからないが、奴は嬉しそうだ
だが、その笑い声も俺には『狂気』に聞こえてしょうがない。誰よりも戦場にいた俺だからこそわかるんだよ
こういう『化け物』をよ
「そんで、何を感じ取ったんだ? 『観察者』」
「は?」
「いやいやいや、この『
こいつ今なんていった? 『させた』だと?
ということは、こいつは最初っから……わかってたのか。いや、わかってたって理屈じゃねぇ、理解したんだ。なんで見ていたことですら
俺が突っ立ってたころから、『観察』されてたんだ
「………チッ。人が悪い『助っ人』さんだなおい」
「そういうもんなんでね。そっちも鋭い『観察』だったぜ? 『観察者』……いや、戦場民族と呼ぼうか」
「資料でもみたのか?」
「いんや、『匂い』だよ。お前から濃くてべっとりと付いた血の匂いが俺の鼻に入ってくるんだ。まるで亡霊だな、その血は」
服を強く握り掴む。そこまで気づいていたのか、この『最強』は
数年前まで戦場で生きてきた俺にはどうでもいいことだが、今のこの『日常』でくるんだよ……!!
アイツ等の声が、耳に心臓に魂に響きだすんだよ
白峰はまたも高らかに笑い、笑い、笑い続けた。ここで怒るべきなのか? 怒れない……なにをいうのかわかっていいるからだ
『いいか、この先に十数名で組まれている部隊がある。こいつらを殺せば、この地帯はひとまず制圧できる。合図したら突撃するぞ』
『ハイッ!』『オウッ!!』『わかりましたッ!!』『やってやんよ!』
『………………よしっ!! 突撃ぃぃぃぃいーー!!!!!』
『これより、この人達の魂を天に返します。皆様、冥福を……』
『……………俺の合図で、どれだけ死んだか。俺の行動で、どれだけ犠牲にしたんだ。俺の…………―――――
なんでいっつも生きているんだ、俺は?』
あの後、俺は意味もわからない組織にスカウトされそこに出された金額に圧倒され、あっけなく犬となってしまった
「テメェに、この血がわかるのか。この『能天気クソ野郎』が……!!!!!」
「…………………」
今更撤回が出来ない。なら、できるとこまで言うつもりだ。俺は決して生きたいとは思わない、死にたいとも思わない
そういう機会がなかったからな。いい機会だ
「『能天気クソ野郎』だ! テメェみたいな理不尽なやつがいるから、世界が乱れるんだよこのヤロー!」
「………………」
『スタッ』
奴の両足が大きく動きだした。脚を下につけ、下半身だけ力を入れたのか異様な立ち方だった
上半身を揺らさず立ったのだから
よくみれば俺よりもデカく、胸板も、腕も、脚も、首もすべてが俺以上だ。瞬時にわかった……勝てないと
だが、そんなことより文句言わないと! なにもかもケジメをつけないと
「それが、お前からみた感想か?」
「あ、あぁ!! これがお望みの感想だ、アホが!!!」
またも全身が震える。上から目線とは、こういうことを言うのか。奴は視線だけは俺に移している
だが、動こうとはしない
ここで、俺は……――――――!!!
「ならよし!! 俺はお前からみたら『能天気クソ野郎』だ」
「……………………………………………は?」
「なるほど、いままでにない反応だ。兄弟以来だな、そんなこと言われたのは……ふむ、興味深い」
「い、いやまて? お前、否定しないのか?」
「否定? いや、別に相手の意見を尊重するのが、当たり前だろ。俺から聞いたのだから、そういう答えもまたアリと思ってな」
可笑しい。いや、全てが。奴は考え込みながら、またも大きく動き始めた。こんどは、己の食器を持ちながらだ
まてよ? おい、もう行くのか
「あぁ、あと貴様が言ってた『この血がわかるのか』って質問、答えてやるよ」
いや、あれ質問じゃないんだが? つかもしかして、俺が文句言っている間、そんなこと考えてたのか?
さっきの『今、なんていった』って台詞は、それをもう一度聞いたのかよ。俺もゆっくり立ち上がり、自分でもわからずぼーっとしてしまう
もう、全てが凄いと思う。いや、たぶんこの白峰 虎之助という人物のせいだろうがな。文句いっていた自分が今になって、だんだんと恥ずかしくなってくる。そして悔やんでくる
そんな最中の俺に、あいつは声を上げて―――
「テメェのその血は、この世で美しく誇らしい存在だ。生きることに必死、死ぬのが怖いというわかりやすく、そして惨めなもんだ。だから、決して振り返るな、悔やむな、泣け喚くな。それを魂に刻み、明日のために笑われながらでも、文句いわれながらでも生きろ。それが、お前の罪だ……これが、俺からみた『観察』の結果だわ。じゃあな」
美しく、誇らしい? この、俺がか? 俺という『存在』が?
今までそんな事を言われなかった。生まれたときから武装集団で戦ってきた俺が、美しい? 誇らしい? なんて言われる何て
一般市民に言われたらしゃくに来るだろうが、コイツに言われるのは何故だか温かくなる
つか、なんか………アレだわ? うん、アレだ。顔がニヤケテくるんだよな
「おい、待てよ『クソ野郎』」
「あん?」
「…………ゴッド・リーだ。テメェがいう、美しく誇らしい存在だ、バーカ」
「この俺にそんな口をきくなんて、本当に傾奇者だな貴様は……」
奴はそうニヒルな事をいい、背中を向け進みだした。もう一度椅子深く座り、俺は食事を勧める
そして、食べ物を口に含む瞬間――――
「「じゃあな虎之助/ゴッド」」
…………やはり、ここの食事は一段と味が深いな
感想をください!!!
皆様がどう虎之助を思っているのか、虎之助へのメッセージをぜひください!!