妖虎の漢花道物語   作:貧弱戦士

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第十四喰

「あと、一週間………」

 

 

 

宇宙船の窓から、漆黒の『世界』を見つめている獣。何処となく、顔が笑っているが、すぐさま顔つきを戻した

 

脳裏に浮かぶ、数々の出来事が蘇り思い出し始める

この世界に降り立ってから、最初は変な餓鬼に会った。その次に変な組織に入り、変な博士に気に入られ、変な女に追いかけられ、そして変な奴を連れて帰る

 

奇しくも、この出来事はすでに本が出来るほどのストーリーである

 

 

 

「おい、なに感傷に浸っているんだよ」

 

「まぁ、待て。今まさにいい所だんだからよぉ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小町 小吉」

 

 

 

地球から離れたかなりの日数が経った。唯一の食料は、宇宙船に組み込まれている非常食やら『虫』やらだった

 

そのおかげで、俺の偉大なる舌が肥えている。否、飢えている方が正しいであろう

 

もう『アイツら』を随分食していないかのように、思えてくる

 

俺は強情で強欲で暴君で『最強』だ。だから、今すぐ 欲 し い

 

 

後ろに振り返り、窓に背中を置く

 

 

 

「こうして二人で話すのは()()ぶりなんだろうな」

 

「そこまで経ってないよ。せいぜい二、三年ぐらいだ………虎さん」

 

「そうか。思い出すな、あの時を―――――」

 

「あぁ。今でも目を閉じれば、嫌でも思い出すよ―――――」

 

 

 

俺と小吉はすでに出会っていた。それを遡ること二、三年の月日。まだあの時は、蝉が鳴いていた――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、この人………」

 

「zzz~~」

 

 

 

何時ものように、この組織に入ってから俺は訓練施設で毎日鍛えている。いわば、特訓だ

 

最新式のを使い、日々肉体が変化し続けているのおを感じているが、今日は別のを感じた

 

施設の端っこにベンチが置かれていて、誰も使わない。なぜなら、他にももっといいベンチや休める場所がある

 

いわば、旧式のベンチだ。そんなベンチに、一人の男が横になる気持ちよさそうに眠っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『謎』だ

 

 

その言葉が、俺の体中に駆けだした。鳥肌がたったと言えばいいのか、異様な光景を見ながらそう思う

 

 

 

「zzz~~~………」

 

「………って、何考えてんだか。早く今日のノルマをクリアしなきゃ」

 

 

 

何ともなかったように、この場を去る。一体、さっきのはなんだったのか? いや、別に考えることもないか

 

近くにあるサンドバックに近づき、一度拳を優しく『叩く』。

 

ポスンと、かわいらしい音がした………次の瞬間に、体全体を捻り、腕に力を入れながら振り子のように―――

 

 

 

『ドン!!!!!!!』

 

「シッ!!!」

 

 

 

狙った場所に、勢いよく『殴る』。さらに、その反動を使いもう一度逆方向に捻じりながら

 

 

 

『ドォン!!!!』

 

「ォア!!!!」

 

 

 

今度は深く拳を入れた。サンドバックは激しく動き、そらに合わせ俺も拳を入れる。『殴る』、『叩く』

 

この感触は何かいやっても、気持ちいい。殴るときの音、その時の感触が拳に伝わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『や、やめろ!?!? がはっ!!!』

 

『ハァ!! ハァ!!!! オラァ!!!!』

 

『ドン!!! ドン!!!』

 

『ひぃ!!?』

 

『まだだ!!!! まだまだまだまだぁあああああああああああ!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

「シッ!!! ハッ!!! シッシッシッ!!!!!!」

 

 

 

呼吸に合わせて、リズミカルに打つ。そして、脇から肩、肩から首、首から顔へと急所を狙うのも常識

 

殴っても殴っても、俺の中の『野獣』が振り払えない。あの時から、ソイツが生まれてしまったからだ

 

拳が止まらなくなり、いつの間にか視界が白く輝きだした。

 

アァ………ドンドン、ミタサレテクル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

たった一言の単語が、俺の体を止めた

 

 

 

「自分を押さえろ。さもなくば、支配されるぞ………ソイツに」

 

「ハァハァ………!!」

 

「それに、ちゃんと見ろ。玩具がすでに壊れている事を」

 

 

 

視界が徐々に戻り出し、新品なサンドバッグが無残な姿になっていた。だが、すでに体力が切れているのを忘れていたので

 

俺は静かに、そのまま倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……………ここは一体……」

 

「お決まりな台詞だな。医療室だ、心配するな」

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