妖虎の漢花道物語   作:貧弱戦士

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第一喰 

「なに? 宇宙行くのか、お前?」

 

「そう、だからその前に『手術』受けなきゃね」

 

 

 

この世界は不思議である。文明はとても高いくせに、自分の星を救えないバカなのか天才なのかわからん世界だ

 

あれから俺とウッドはお互い気が合い、あれから一緒に居る。ウッドは相変わらず死体を盗んでいるが、俺はその死体を証拠隠滅のように食らいつく

 

数年の時が経つ。俺とウッドが隠れ家として使っているボロイ家から手紙が届いたのだ。それは小さな手紙であり、とても綺麗であった

 

『U-NASA』という所から送られてきた。テレビで見ているが、どうやら宇宙関係の施設らしい。なんか火星がどうとか言ってたな……

 

どうやらこれはウッド宛てだ。手紙の中身を一緒に見るとこう書いてあった

 

 

 

『君は我らU-NASAに選ばれた、最高の人材だ。我らの目的は、火星に人を住まわすこと。だが、その前に火星を『調べなくてはならない』のだ。今、現在で火星は『安全』かを確かめに。それで、その探索隊として我々は入念に検出した結果君が選ばれたわけだ』

 

「んだぁ、この長い文章。小学生の作文ですかー?」

 

「ちょ、急に口挟まないで。えぇと――『君の身元を調べてもらったよ。幼いころに父親をなかし、親戚中を行き来しているようだね』「ストーカーだ!」うるさい ! ! !」

 

「はい………」

 

「たく。『君がもし探索隊に入ってくれるなら、我らから『寄付金』を出すことを約束しよう。もし了承してくれるなら、U-NASAに来てくれ』………というわけなの」

 

「というわけって…。危ないかもしれないんだぞ?」

 

 

 

ウッドはニヤリと可愛い笑顔を向けてくれた

 

 

 

「あたしを誰だと思ってるの♡」

 

 

 

そんな小娘のくせに、良い笑顔してくれるじゃねぇか。俺は天井を見上げる。天井には大きな穴が開いており、そこから星々が見える

 

まだ青空なのに、惑星っていうものは見えるんだな。それに火星ねぇ………丁度感じるんだよな

 

深く悩んだあげく、結論をあげる

 

 

 

「よし、行くか」

 

「うん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     え、行く『か』?」

 

「よっこいしょ!」

 

 

 

掛け声と共に、ウッドを肩に担ぐ。やはりまだまだ小娘、軽い軽い。手にムチムチした感触や、肩には柔らかい肌を感じる

 

 

 

「きゃっ/// ! ちょ、下ろせ!」

 

「この地図のバッテン印の所にあるんだな ? なら、一日あれば着けるな♪」

 

「一日って !? バカ、そんな急がなくて―――」

 

「まずは海に行かなきゃな。それ」

 

『ビュゥゥン !』

 

「うわぁああああああああ ! ! !」

 

 

 

潮の香りがする所に向かって、直進する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ………やはり、私を見て反応するな『コイツ』は」

 

 

 

老人とは思えない威圧的なオーラを纏い、ガラス越しにある『物体』を見つめて感想を述べる

 

 

 

「博士。相手はまだ未熟なクローンですが、潜在能力は『奴ら』と一緒です」

 

「しかし……本当にこんな姿となっているのか。『コイツ等は』三億年前に出現して、なお進化しなかった。だが、環境が変わったというべきか…。まさか、ついに時は動き出したのか」

 

「バグズ一号から送られたサンプルに微量に付着した分子から作り出したんです。多少は『手術』の役に立つかと」

 

「そうならばいいがな。……………本当に、気味が悪い生物だ」

 

 

 

博士と呼ばれた老人は目を細め、もう一度『物体』を観察すつ。電車が衝突してもビクともしない強固な壁、ガラスはロケランが当たってもヒビが入るだけの特殊ガラス

 

そんな防壁の中に、一体の黒い物体がガラス越しから永『人間』を永遠見つめている

 

 

 

『……………』

 

「このゴキブリ(害虫)は」

 

「気分を害されます。一旦、戻りましょう」

 

「そうしよう」

 

 

 

老人から目を逸らし、この場を去ろうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドォオオオオオオン ! ! !』

 

「おぉぉおおおお ! ! !」

 

「きゃああああああ ! !」

 

 

 

突然の轟音。この音は壁が破壊された音だ。老人はすぐさま引き換えし、後ろを振り向くと……

 

 

 

「ありゃ、なんか先約がいるじゃねぇか」

 

「頭が……クラクラする…」

 

 

 

『あの』防壁の中に、二人の男女がもぐりこんできた。潜入方法など一つしかない。防壁を破壊することだけだ

 

頑丈な壁を、あの男は体当たりしてぶち破ったのだ。まだ手術もしていなく、軟弱な人間がだ

 

と、さらに頭を働かせた。不味いと…

 

 

 

「ナイスミーチュー!」

 

『……………』

 

「あ、あれ…? アニュハセヨ!」

 

『……………』

 

「……どうしようウッド。相手反応してくんないんだけど」

 

「そんなの、あたしに聞かれても。つかコイツ――」

 

『じょうじ』

 

 

 

やはり害虫は動き出した。一言発すると、目に見えない速さで男女に向かっていった

 

しかし、どうやら奴らには知性がある。なぜなら、狙っているのはか弱いの定番の『女の子』だからだ

 

とても理にかなっている。とても頭が良い。害虫は拳を、彼女の顔に入れようと、振り上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガシッ』

 

『……………』

 

「なに、ウッドに手をあげようとしてんだ『変態』がよ」

 

 

 

男の方が、意味もわからずその振り上げた拳を掴みだした。そして、今なんと言ったか ?

 

『変態』。そう、彼から見ればあの害虫はただの『人』と見なしてしまうんだろう

 

害虫は驚きを隠せないだろうか、拳を振るえている。しかし、彼は動かない

 

 

 

「ウッド、下がってろ。この黒人には、キツイお仕置きが必要らしい」ググッ

 

「うん…/// あ、ありがと」

 

 

 

女はそのまま言ううとおりに下がった。彼の背中に隠れて

 

 

 

『じょう………』

 

「文句あんのか。そんな顔じゃ、女は抱けないぜ?」

 

 

 

嫌味で言ったのであろう。この余裕ぶりは何処からわくのか。害虫は次に動こうと、掴まれていない腕を使いだした

 

 

 

『ドォォオン!』

 

「あ、あれはラリアット!」

 

「いや、あれは『使った』んじゃない。『咄嗟』に出た、対処法だろう」

 

 

 

危機的状況に、生物はありえない行動をとる。実際、宇宙人にあったらどうする? 戦うとは限らない。十人中十人は逃げるだろう

 

恐怖や危機から逃れるとき、生物は潜在能力を一時的に開花しはじめる。日本では『火事場のバカ力』と言われる

 

あの害虫は腕を離してもらいたいと、あえて顔面にもう片方の腕を当てたのだろうな

 

しかし、残念であろう。害虫の肉体から察するように、超人の数倍の力はあるだろ。勢いよく技をくらったのであれば、一溜りではないはずだ

 

……………頭に当たれば、それは吹っ飛ぶであろう

 

 

 

「あン? マッサージのつもりか?」

 

『ぎぎ……!』

 

「は、博士! 生きてます! 彼、ほぼ無傷です!」

 

「黙れ!」

 

 

 

よく見ていたら、害虫の腕は振り切ってはいなかった。まるで大木に当たったように見える

 

老人が何時にもまして、威圧を放つ。けれど、すぐさま顔を替える。笑顔にだ。とても似合わない、笑顔に

 

 

 

「トラ…。大丈夫か? 凄い音したし…」

 

「駄目だ、こいつも雑魚だった。とりあえず、気が済むまで殴られてやるよ」

 

『じょおうじ ! ! ! ! !』

 

『ドン ! バン ! ドドドドド ! ! !』

 

 

 

今度は蹴り、肘当て、ラッシュ。どう見ても死んでもいいほどだが、男の顔は一切も変わらない

 

よく耳をすませば、ぶつぶつと何かを言っている

 

 

 

「21……22、23、24…2…5…26、27」

 

 

 

なんて男だ。殴られた回数を数えている。

 

博士は横にあったマイクを持った。このマイクは防壁の中に通じる、唯一の通信手段である

 

 

 

『君、聞こえるなら聞いててくれ』

 

「ん ? なんだ、そっちに人居たのか」

 

『君は神の子か ? いや、そんなのどうでもいい。私からのお願いだ』

 

「あれ……あの人、もしかして」

 

 

 

 

 

 

『そいつを………………………………殺せ』ニヤリ

 

「博士!?」

 

「………爺さん、俺にお願いするならこうするんだな。『喰え』と」ニヤ

 

「どうやら、私たちは気が合うらしい。では、食事を楽しんでくれ」

 

 

 

不気味な笑みを浮かべ、害虫と向き合う

 

 

 

『じょうじ ! ! !』

 

「計36回。全部やり返したら木端微塵になるし…一発か二発でも粉々になるんだろうし。うん、これで止めを刺すか」

 

 

 

左のひとさし指だけ出した。爪が鋭く、指も他の指と比べれば太い

 

それを害虫に向け、まずは刺した

 

 

 

「一回」グサッ

 

『じょう…じ』

 

「二回、三回、四回、五回、六回、七回、八回、九回、十回、十一回、十二回、十三回、十四回、十五回、十六回、十七回、十八回、十九回、二十回、二十一回、二十二回、二十三回、二十四回、二十五回、二十六回、二十七回、二十八回、二十九回、三十回、三十一回、三十二回、三十三回、三十四回、三十五回、三十六回」グササササッ!

 

『…………じょ………じ』

 

『ドサッ』

 

 

 

害虫の体中に、綺麗な風穴が空いた

 

 

 

 

「素晴らしい…… ! !」

 

「ウッド、先に外の奴にあってこい。俺はこいつを食してからいくから」

 

「うん、わかった」

 

「さてと………いただきます」

 

『グシャッ!』

 

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