妖虎の漢花道物語   作:貧弱戦士

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第三喰 

「『バグズ手術』?』

 

 

 

聞きなれない、単語だ。虎之助はその一言を聞いて、疑問に思った。なぜなら、バグズというのは火星の任務名で、手術というのはウッドが言っていた事である

 

適性検査から一週間の時が経ち、ウッドと虎之助は別行動を取っている

 

ウッドは火星に行くために自主トレを行い、知識を得るために資料を読み返したりしている

 

そして、我らが主役の白峰 虎之助は…

 

 

 

『じょうじ』

 

「今お話し中だろうが!!!」

 

『ドォン!!!』

 

『……………オホン。話の続きをしてもいいかね』

 

「ならこっち来いよ。マイクからだと、聞こえない場合もあるっつーの」

 

『私に死ねと?』

 

 

 

特設ドーム。広さは学校の体育館ぐらいで、高さは100mあるドーム型の特殊施設。その中で虎之助はストレスを発散するように害虫達と戦っている

 

いや、この場合は遊んでいるの方が想像しやすいであろう。虎之助という人物がよくわかる

 

ドームから響く、ニュートン博士の声。中に入れば害虫か『虎之助』の餌食になると思い、外からマイクで話しかけている

 

 

 

『では、続きを……もともと、このような害虫を相手にするには、この軟弱な人類では相手にならない。火星に行って、全滅するのがオチであろう』

 

「なら、なんで火星に行くんだ? 皆死ぬなら、意味ないっしょ』

 

『君の言う通り。私たちは奴等に勝てない…なら、どうするか? 答えは簡単だ。それは、害虫の『対策』を練ればいい。いや……なればいいのだよ、奴らに』

 

「『対策』? それに、なればいいってどういう『じょうじ!』ことだっつーの!!『ドォオン』」

 

 

 

器用に虎之助は、ゴキブリ達を相手にしている

 

 

 

『そこで私が考えた、『バグズ手術』だ。この手術は人間を、昆虫へと進化させることができる』

 

「おいおいおい、そういう事かよ。要は、こいつ等が進化するように人類も進化ってか? 退化の間違いだろ」

 

『虎之助くんにとっては、そうだろう。けれど、私たち最弱の人類が昆虫の力を手に居れたら、それはまさに『進化』と『変化』だ。昆虫のDNAを人間に組み込み、より強大な力を得ることが出来る』

 

「ふ~ん。ま、俺には関係ないか。なんせ最強ですから」

 

『確かに君は私が知る限り『宇宙最強』だ。だが、この地球で『地上最強』はゴキブリ共ではない、私たち人類なのだよ。負けるわけにはいかないのだ』

 

「たしかに、あんなぽっと出のゴキにやられたらプライドもないな」

 

 

 

害虫の首を掴み、そのまま勢いよく地面に叩きつける。人類は『退化』していっている

 

その考えは元から虎之助、そしてニュートン博士も理解している。大昔の人類…もとい原人は超人の力を兼ね備えており、小さなマンモスを絞殺したと噂されておる

 

何故人類は衰退していってるか? 簡単である

 

 

 

 

 

 

 

環境が変わり続けているからだ

 

それも、楽な方へとだんだんと。昔は生死を分けた環境であったが、今では科学の力を進歩し、人類は体全体を使わなくなった

 

知識あるもの、代償として何かを捨てなければならない。それは、原人が築き上げた肉体を代償としてしまったんだろう

 

 

 

『そういうことだ。そして、『バグズ手術』には代償がある。それは己の命。手術の成功生存率 30% 半分も行ってない』

 

「30って……。絶対、成功とかじゃないのかよ。けど、そんなのを受ける…物好き……も………」

 

 

 

瞬間、虎之助の脳内である人物が浮かび上がった

 

それはいつも隣にいて、笑ってくれる褐色の女の子。虎之助が唯一心を許した少女の顔が

 

 

 

『乗ります』

 

「!?!?」

 

 

 

『バグズ二号』に乗るには、条件がある。それは生き残るために、『バグズ手術』を受けなければならないこと

 

そして、ここ一週間会っていない理由もだんだんと、虎之助の脳内で理解していく。ニュートン博士が、何故こんな事をいいに来たか

 

何故、このような食事を用意してくれたか。何故このような場所を提供してくれたか……

 

 

 

瞬時に理解した

 

ウッドの身に何かがあったことを

 

 

 

「……………オイ」

 

『じょ』

 

『ぎぎぎ』

 

『じょーじ!』

 

 

 

声を発し、辺りの害虫ともは反応した。戦闘態勢をとっているが、虎之助は解いている

 

そんなチャンスを狙おうと害虫は動き出す、見つめだす、騒ぎ出す。しかし、一切も動かない

 

指を動かしたら殺される、首を動かしたら殴られる、息をしたら切り殺される、目を動かしたら潰される

 

死の連想

 

ゴキブリたちは動かない。例え地震がきても、動かないであろう

 

虎之助は振り返り、害虫に呟いた

 

 

 

『―――――――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、動き出したか」

 

「博士!! なぜ、この特設ドームを特殊部隊が囲んでいるのですか!!?」

 

「私にもわからん。だが、わからんからこそ最大の『対策』を取らねばならんのだよ」

 

「博士!?」

 

 

 

ドームに周りを、見渡す限りの部隊が囲んでいる。その中心にニュートン博士はマイクを投げ捨て、出方を待っている

 

 

 

『ドン……』

 

「おい、今音しなかったか?」

 

「バァーカ。これはジェット音もかき消す防壁だぞ? 聞こえるわけないだろ」

 

『ドォン…』

 

「いや、したって!」

 

「近くの訓練の音だろ。俺らは気にせず、これを見張ればいいんだよ…たく、博士も何考えているやら」

 

 

 

この後、一人の兵士はこう語った

 

『最初は近くの訓練の音かと思いました。周りの兵士も欠伸やら、眠たそうながらもドームを見張っておって準備は出来てました。音もだんだんとうるさくなり、ついには私以外の兵士にも聞こえるほどに』

 

 

 

『ドォン!! ドォン!!! ドォン!!!!』

 

「お、おい。なんか、どんどん大きくなってないか…?」

 

『ドンドンドンドンドンドン』

 

『ピキッ!』

 

「なっ!?!?!? ヒビが入ってきていぞ!!!」

 

 

 

『はい、突然大きなヒビが出てきたんです。すると……………私は目を疑いましたね。目の前で突然『爆発』が起こったのですから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンン!!!!!!!!』

 

「え、えぇえええええええええ!?!?!?!?」

 

「フフフ……やはり、動き出したか」

 

 

 

『ドーム全壊です。あの男はパンチを入れただけで、全壊しましたよ。普通、入れた場所だけ壊れるはずなのに、全部壊しちゃいましたよ』

 

 

 

「ウッドは何処だ、爺さん」

 

「すぐそこの病棟だ。番号は410号室だ」

 

 

 

虎之助はニュートン博士が指さした場所に速攻で向かった。その規格外な様子を見て、兵士たちは唖然としている

 

ニュートン博士は兵士を退かし、ドームだった所を見る。途中で出て来たなら、まだ害虫が残っているはずだ

 

前衛部隊を指揮しながら、近づくと―――――

 

 

 

「!? これは………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「410、410、410!!」

 

 

 

くまなく、その番号を探している。額に血管が浮かび、怒っているようだ

 

看護師や医師を探しても何処にも居ない。どうすれば………

 

 

 

「あれ、トラ。なんでここに居るの?」

 

「それはウッドを探し……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                え、生きてる?」

 

『スパァン!』

 

 

 

虎之助の頭に、スリッパが命中した

 

 

 

「生きてるわ!!! たく……なんでそんな慌ただしいのだ」

 

「え…でも、手術でご臨終でお墓にゴーじゃ……」

 

「ほぅ、トラの中ではあたしは天国か」

 

「地獄だろ」

 

『スパァン!!!』

 

 

 

ウッドはスリッパを手で持ち、また虎之助の頭に当てた。痛くはないのだが、何故か頭を押さえる

 

 

 

「成功だよ。もう、あたしは君の足手まといじゃないぞ♡」

 

「ウッド……………」

 

「だから、一人で突っ走らないでくれよ、心配だ「なんか……キモイよ」『ぶちっ!!!!』」

 

 

 

この後の虎之助は、静かにこの世を去った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………やはり、あの音は彼が殴った音ではなかったようだな」

 

 

 

ニュートン博士にも、音が聞こえていた。しかし、それはとても奇妙だった。もし、虎之助だったら一、二発で壊せるはずなのに、あんなに殴る必要はあったのか

 

最初の疑問であったが、全壊したドームを見ると理由がわかった

 

その光景はとても醜いものだ……

 

 

 

『じょう!!!』

 

『じょうじぃぃぃぃぃ!!!!』

 

『ぎぎぎぎぎぎ!!!!』

 

『じょう!! じょうじ!!』

 

『ぎぎいぃ!』

 

 

 

 

 

 

「まさか……殺し合いの音だったとは」

 

『オマエラ、イキタキャコロシアエ』

 

 

 

 

ニュートン博士は注射器を見つめ、笑みを浮かべる

 

 




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