「ここは……」
目が覚めれば、そこは知らない場所だった。誘拐にしてはいい部屋だし…だが、いわば四角いブロックの中に閉じ込められた感じだ
俺はベッドから起き上がり、辺りを観察する。壁はとても硬そうで、鉄で出来ている。床は光っていてまるで何処かの実験室だ
「起きたか、蛭間 一郎……いや、『強者』よ」
「お前は……。どういうつもりだ」
「え、なにが?」
なにが……可笑しい。なんで俺を連れてきたのかを隠そうとはしていない…なのに、とぼけてないのに興味なさそうに答えた
『当たり前』なんだろうか。きっとこういう現象も、奴にとって日常の風景かもしくは強烈な過去があったか
今はそんな事考えている場合じゃねs!!
すぐさま自分で自分自身に呼びかけ、考えを止める。今はどう『生きる』か
「質問…していいか」
「いいぜ。何個でも答えてやるよ」
「じゅあ――――――――
なんで俺を攫った。俺に何かようか。俺は何でこんな場所にいる。なぜ先生を殺した。ここは何処だ。お前はなにものだ。俺が気絶したあとどうなった。つか、家に帰してくれるのか。『強者』ってなんだ。答えろ化け物」
「お前をスカウトするため。お前に組織に入ってもらうため。お前を逃がさないために用意した部屋だ。あいつは『弱者』のくせに俺と対等となろうとしたから殺した、それだけ。ここは俺たち組織の施設だ。俺は『最強』だ。お前が気絶したあと、俺が『掃除』しといた。家に帰れるかはお前次第だ。『強者』とは、己という個が強い事だ。以上」
だが、俺にもプライドというものがあり質問がマシンガンのように飛ばしたが、奴は難なく答えやがった
驚きを隠せなく、そのまま唖然としてしまった。その顔が面白かったのか、奴はニタァと口角を上げる
してやったり――――ムカつく。だが、ここで嫌味を言ったら、何をやられるかわからない。だから、黙る
「……『掃除』ってなんだ? わざわざ俺のために机や周りのごみを綺麗にしたのかよ」
「あぁ、アレならとっくに片したから。最近の若い奴らは、根性が足らねぇよ、たく」
「お、おい。話がかみあってないぞ? アレって、紙くずとかじゃないのか」
「だから片したから。
人間の『ごみ』を」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
『よいしょっ』
数時間前の事。虎之助が気絶した一郎を軽がる方に担ぎ、そのまま窓から外に出ようとしていた
まずは可笑しいのが、自分の倍ある重さの人物を意図も簡単に担ぐ光景が信じられないと生徒は思った
虎之助は『無表情』のまま窓に手をかけた
『ま、まてやごらぁ!!!!!!』
だが、世の中には『下克上』という言葉がある。それは格差社会が出来た瞬間に生まれた、醜い汚い方法
頭を金髪に染め、なおも耳には大量のピアスをしている男性が『最強』に話しかけた
『て、ててててテメェ!! 何帰ろうとしてんだ、ゴラァ!!! ど、どう落とし前つけてくれんじゃああああ!!!!!』
一字一句唾を飲みながら、『最強』に話しかけた。虎之助は一時停止のように綺麗にとまった。だが、振り返りもしない
男性は恐怖とプライドの高さが入れ混じり、狂ったかのように目を回した。手にアレを持ち、叫びだした
『人を殺して、よく『無表情』でいられるなゴラァ!!!!! 『世間』が許してくれないぞ!!!!』
『そ、そうだ………。この人殺し!!!!』
『何逃げようとしてんのよ、弱虫!!!』
『その汚い奴と一緒に死ね!』
『世間』という言葉が生徒たちの胸に響き、彼らの反撃が始まった。『一般人』の目線にあわせ、虎之助に集中砲火しだす
正論。悪いことをした奴に叱るというのは、人間はとても気持ちいい行動だ。だんだんと生徒たちの口も開き、虎之助を追い詰めようとしている
『ど、どうだ!!!! 何も言い返せないだろ、腰抜け!!!』
あの男性が前衛で指揮をし、その後ろで生徒たちが兵のように纏まっている。それは矛…なんもかも貫くことが出来る矛のような陣形
矛を防ぐには、より強力な縦が必要。だが、虎之助は盾を持っていない。ついに生徒たちに目線を移した
『グォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
虎之助の背中がとても人とは思えなかった。動物が威嚇とは違い、『命令』をするように咆哮が聞こえた。だが、それはイメージだせられた幻想
矛をも噛み砕く獣。虎之助は盾を持ってないではなく、持たない主義であった。盾というのいは、彼の邪魔でしかない
生徒たちは声が裏返り、黙り込んだ。一人は頭をかかえ、一人は全身の腕を巻くようにし全身を固め、一人は目から大量の涙が流れ込む
そのまま振り返り、先頭に立っている男性と向き合う。その光景はまるで巨人が小人を見下ろしているような光景
体格、言動、行動。それら全てが男性を困惑させた。どん底に落とされた
『まずは肩に拳を入れる』
『バキッ!!!!』
『ぐ、ぐあぁあああああああああああ!!!!!!!』
突然、一言呟いた瞬間に男性の肩がべきべきに折れてしまった。生徒たちは目の前の光景を疑った
なぜなら、あの虎之助は『何もしてない』からだ。ただ無表情で蛭間 一郎を担いでいる。ただそれだけなのに
『腹に蹴り、脇に裏拳、背中に突き、両肩にチョップ、脚は関節技、首にエルボー』
『バキッ!! ドン!! ドーン!!!! ガン!!!』
男性は先ほどの姿とは変わり、背中が折られ丸み、肩が砕かれ垂れ下がり、脚は逆に曲がり尻で座り込む
まるで人形のようだ
『調子のんな』
教室にその声と言葉が響きだす。虎之助は無残な男性をよそに、ほかの生徒たちと向き合いだす
そして、また言葉を放つ―――――
「………どうなった、俺のクラスは」
「さぁな? とりあえず適当に『言った』から、あの後すぐ帰ったし興味もない」
蛭間 一郎は誰よりも理解が早い。虎之助はただ高速に拳や蹴りなど体を動かしたわけではない
『強者』からの『絶対命令』。たとえ心は歯向かおうとしても、体は正直なのだ。彼が放った言葉で体が自分の意思をそむき動き出す
自ら傷つき、許しをこうとしている。等価交換という代償はとても重いもんだ。男は虎之助の怒りを買ったのをわかり、体が従ってしまった
イメージという『衝撃』で、体は壊れたのだろう
「それに、あの男は己の『個』を捨て去り『全』に頼った。自らが立ち向かおうとせず、他の奴に頼りだしたのが運の着きだ」
「……………すげぇな」
とっさに出てしまった。こんな暴君のような台詞をいいながらも、こいつが言えば全てが納得できる『力』
堂々としているこの姿は、男にとってはあこがれる存在だろう。俺は何事もなく、顔を向ける
「……お前には夢はあるか」
「夢……そんなもん、わからねぇよ」
今じゃ家のことしか考えられない。金もすぐ尽きるし、母も病弱、兄弟たちも人数が多くて世話が大変
「俺ん家は大家族で、お金もない貧乏生活なんだ。だから、そんなもん持ったってただの悼めしかない」
「家族で逃げるのか、テメェは」
「…………あ?」
奴は立ち上がり、その雄雄しさをあらわした
「家族がいるから仕方ない、家族がいるから我慢する。全部家族のせいにすんじゃねぇよ」
「別にそんなんじゃねぇ。ただ「ただじゃねぇ。虐められるのも家族のせいか?」ふっっざけんなっっ!!!!!!!!!!」
今年一番怒鳴ってしまった
奴はそれを聞き、見てまたも口角を上げる。両手を広げ、雄雄しさが増す
「『強者』よ!!!! 俺が本当の『強者』を教えてやる!!! 力が強く、個を貫くことでもあり、何もかも『支える』ことが出来る横暴さも必要なんだよ!!!」
「ささえる………」
「金なら俺が用意してやる!!!! どうだ、強くなりたいか。俺みたいになりたいか!!!」
なぜか胸が熱くなる。俺は………こんな世界に残酷してたのか。目の前奴が神々しく輝くように見える
俺にも、光があるのか……人に絶望された俺が、人に救われるなんて滑稽だな
「それは……夢じゃねぇ。『野望』だ」
「はは。あぁ、これはこの場所で出来た小さな『野望』だ。だが、いずれ大きな『野望』になるんだよ。蛭間 一郎!!!」
「乗ってやるよ!!! お前の『改造計画』に!!!」
ここから、時代は動きだした
おまけ
「んで、結局お前らの目的はなんだ? 組織のほうの」
「あぁ。なんか火星にいくらしいぜ」
「か、火星って……」
「大丈夫だって!! 宇宙船が落っこちても死なないように鍛えてやるから!!!」
「…………みんな、俺死にそうだ」
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