彼は親友のために死んで...
違う地で、しかし同じ名で生まれ変わった。
「トンパさん。悪いけど僕は遠慮させてもらうよ」
なおもジュースを勧めてくる彼に僕は頑なに拒否を示し、新たにハンター受験者がやって来たこともあって自称ベテランの受験者の彼は諦めてくれた。
本人を目の前にして言えないが、さすがの僕でも下剤入りのジュースは勘弁したい。
せっかく受験会場に辿り着いたのに試験が始まる前にリタイアはいただけない。
『新人潰しのトンパ』
僕が開いたパソコンには彼の名と過去の経歴が記載されていた。
彼は新たに現れた三人組の新人に下剤入りのジュースを渡そうとしていた。
僕は苦笑いを浮かべつつ、彼らの元へと近寄ることにした。
■■■
【輪廻転生】
死んであの世に行った魂がこの世に生まれ変わってくることを指す言葉。
僕は親友を助けるために......結果、身代わりになる形で僕が死んでしまった。
そして僕は限りなく似ていて、確実に違う──異世界とでもいう世界に誕生した。
何の因果か、以前いた世界と同じ名前を貰って...
この世界に誕生してから早数年。
体を何不自由なく動かせるようになってから僕はこの世界を知るべく活動を開始した。
もしかしたら僕以外の人間がいるかもしれない。その可能性を...
地を走る車。大海原を行く船。蜘蛛の巣のように世界に網を広げるSNS
そういった技術が在るにも関わらず......空路は飛行船、気球といったお世辞にも速いとは言い難い乗り物の類いしかない。
意図的に秘匿されている。僕の直感がそう告げている。
だがハンターならば...?
秘匿された情報を提示してくれるのではないか?
僕以外の転生した人間を探すために始めたこととはいえ、もしかしたらその秘匿された情報に彼らの存在があるのかもしれないし、ないのかもしれない。徒労に終わる可能性だってある。逆に僕が最初の一人だということもあるわけで...
その時はこのイビツな世界に僕の名を、足跡を遺そう。
君ならすぐに分かるようなヤツをだ。幸いこの世界でも僕は緑色の髪でピアノを弾いているんだ。
■■■
僕が注意をする必要もなく彼ら三人組はジュースを逆さにして中身を捨てた。
一人は少し口に含んだが、すぐに異物に気付いて吐き出していた。
「僕が言う必要はなかったみたいだね」
容姿も年齢もバラバラな三人。いったいどういった経緯で知り合ったのだろう?
トンパはそそくさとこの場から逃げるように離れていき... 三人組の二人は訝しげるような視線をぶつけ...
「俺、ゴン!」
最後の一人は見ず知らずの僕にそう自己紹介をした。
このハンター試験に似つかわしいとは思えない天真爛漫な印象を受ける僕よりも年下の少年。
その少年に僕も思わず自然に笑みが溢れて...
「僕の名は『ニコル・アマルフィ』
君と同じく新人のハンター受験者さ」
アスラン。いずれ来るかもしれない君のために僕はハンターになることにしたよ。
(´・ω・)にゃもし。
かなり遅れたけど4月15日はニコルが戦死した日。
ただの自己満足で執筆しました。