クロックリターン・プラネット   作:機械系ヒロインバンザイ

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思いつきで書く。しかし無計画ではない。
漠然としたプロットならあるのさ。ーーーー頭の中に。





問題は考えている設定を活かすための伏線をどういれるか、だが…。


2話

状況は最悪である。航空会社のミスでブレゲ家の資産であるYDー01『RyuZu』を落とし、大支柱(コアタワー)の異常箇所は24層であるという事以外、特定できていない。軍上層部は京都をパージするつもりで、その上マリーは地位を剥奪され、もうコアタワーに踏み込む権限もない。完全に手詰まりだ。

というか、どんなミスをしたら一番替えのきかない荷物をピンポイントで落とせるのだろうか?もう何かの陰謀だとしか思えない。

 

ーーーこんな時、リューズが稼働さえしていれば。

 

時間が足りない。足りなすぎる。

パージまでおよそ8時間。それまでになんとか故障箇所を特定し、修理しなければならない。マリーの頭脳と経験がそれを『不可能』だと断じる一方で、彼女の精神は『何か手があるはず』という夢想を捨てられない。否、この絶望的状況でなお諦めていないのは、ほとんど彼女の意地によるものだった。

 

 

 

「ナオトさまはやはり人類の限界を超えた変態です。まさかもう一度わたしの中を見たいなどとおっしゃるとは…」

 

「いやごめんって。でもどうしても見たくって……」

 

「…いえ、こちらこそ失礼いたしました。性能も造形美も完璧なわたしに獣欲を抑えきれないのは、当然のことでございますね」

 

 

ーーー京都がこんなことになってるっていうのに、何も知らない一般人は呑気でいいわよね。

 

そもそも、そんな恥ずべき会話を普通に行うなど、どうなのだ人として?

一体どんな間抜け面をしていたらそんな会話が公衆の面前でできるのか、ついマリーはその二人に目を向けた。

 

………そこには、希望があった。

 

 

 

 

 

しばらく過ごすうちに『やっぱりタイムスリップしたんだな』という不思議な感慨がこみ上げた。以前と同じようにリューズが転校生としてやってきて、周囲の目を気にせず(というより周りに見せつけるように)イチャイチャ。嫉妬の視線がナオトを射抜いたが、もうそれは以前から慣れたものなので華麗にスルーし、いつも通りリューズの『あーん』やら膝枕やらを堪能した。『あれ、そういえばなんか重要なことを忘れてるような』と思いはしたものの、どうせリューズに比べれば大したことじゃないだろうと思いつつ束の間の日常を過ごした。

 

ーーーそして、唐突に全てを思い出す。

 

気がつくと、以前と同じ場所で地雷女(マリー)と出会っていた。完全に忘れていた。リューズとの会話に夢中で、マリーがリューズを見つけて声を上げるまで全く気づかなかった。

 

(…そういえば京都ってパージされるんだっけ?すっかり忘れてた)

 

ナオトの耳には今までも地下からの不協和音が聞こえていたが、当然のようにスルー。彼の場合、嫌な音一つを気にしていたら世界そのものを気に掛けなくてはならなくなる。耳が良すぎる弊害だ。…というより、リューズとの生活が楽しすぎてそれどころではなかった。

ファミレスに行けば当然『あーん』で食べさせあい、服屋に入れば当然リューズのファッションショー。途中でリューズがナンパされてナオトが激昂し、その結果チャラ男三名は私服と頭髪と尊厳を失ったが些細なことだろう。

 

 

…そして現在。あの日とほとんど同じやりとりを、地雷女(マリー)変態(ナオト)は繰り返していた。

 

「そこのYD-01『RyuZu』は、替えのきかないブレゲ家の資産です。速やかに返却をおねが……」

 

「断る」

 

「もちろん、落としたコンテナによる被害の分の賠償はいたしますし、…」

 

「嫌だ」

 

取りつく島もない。

そもそも、ナオトの中では、両親の残した住居を含む全ての損害はリューズによって全て償われたことになっている。それに彼はリューズを手放す気が一切無い。正直なところ、さっさと帰りたい、というのが本音だった。……京都のパージを防ぐ為にまたリューズを危険に晒したくはないし。

 

「ハルター、もうこいつ殺して埋めて全部なかったことにしましょう?それで万事解決だわ」

 

「やめとけお姫さん。……死にたくないならな」

 

「何よ?……⁉︎」

 

いつの間にか、マリーの首筋には二本の鎌。全身義体のハルターにさえ一切の反応を許さず、リューズはマリーに『死』を突きつけていた。

音もなく、予備動作も認識できない。光の失せた黄金の瞳には、二人に対する純然たる殺意。

遅れてハルターが銃を構えるが、時既に遅し。鎌を突きつけたまま、リューズはナオトを射線から自身の背に隠した。

 

「…誰に(それ)を向けているので?」

 

「悪かった。連れの無礼は謝る。だから取り敢えずお姫さんの首を刎ねるのは勘弁しちゃくれないか?」

 

「…そのオモチャを構えたままで良いなどとお考えなのでしたら、二人仲良く細切れに致しますがよろしいですか?」

 

殺気が膨れ上がり、僅かに鎌の切っ先がマリーの首筋を撫でる。

 

「…悪かった。本気じゃないんだ。もちろんこのお姫さんも。(これ)だってセーフティがかかったままだしな」

 

何がこの自動人形(オートマタ)の逆鱗に触れるか分からない。故になるべく刺激しないように、ハルターは手に持つ銃をゆっくりとテーブルの上に置いた。

その瞬間、マリーに突きつけられていた鎌が引き下げられる。一滴だけ首筋に血の玉が浮いていたが、生きているだけ儲けものだろう。それほどの実力差が彼らにはあった。

 

「お姫さんもあまり迂闊なことは言うな」

 

「わたしは殺されかけたわよ!」

 

「…だがまだ生きてる。本気だったら今頃二人仲良くサイコロにされてるところだ」

 

「なんで軍用でもない自動人形(オートマタ)が人を殺せるのよ⁉︎」

 

「倫理規定がないんだろ」

 

そもそもの話。

Initial-Yシリーズは千年前に作られた自動人形である。そしてそれはYによって惑星が作り直されたのと同時期。すなわち、歯車工学という学問が成立する以前の時代であり、当然完全な歯車仕掛けの自動人形など他には存在しない。倫理規定などあるわけがないのだ。

だが、千年前とはいえ人工知能は完全に最新型を上回っている。この様子ならば、もはや人間を相手にするつもりで話をした方がいいだろう。ハルターはそう考えた。

 

「……こちらの無礼は謝る。その上で、話を聞いてもらえないか?」

 

 

 

 

 

 

 

記憶と全く同じだった。あと7時間程度で京都はパージされ、2000万人の住民が見殺しにされる。

 

「原因箇所を特定するのにかかる時間は2週間。でも、あなたならなんとかできるんじゃないの?この惑星のメンテナンスマシンたるあなたなら」

 

マリー曰く。Intial-Yシリーズは複雑且つ大規模な歯車機械と化したこの惑星の管理の為に生み出された。誰一人としてYの作り上げたこのクロックワーク・プラネットの構造を解き明かすことはできず、人の手ではこの星をさらなる滅びから守ることはできない。故に、遠い未来、生まれ変わったこの地球が再び滅ぶことのないように彼はIntial-Yシリーズを遺したのだ。

 

「そしてこの都市が崩落しそうになった今、あなたは再び稼働している。それが証拠だわ!」

 

自信満々に言い放つマリーに、ナオトは内心で嘆息した。

確かに、もう一度聞いても筋が通っている。通っているが、今ではナオトは『Y』をそんな崇高な精神を持つ人物などとは思えない為、どうも違和感を拭えない。

 

そして、そんなマリーに対する銀髪の天使の回答も、前回とほぼ同じだった。

 

「失礼ながら、深刻に危険ですよーーー頭が。そもそもわたしは、ナオトさま以外のことには大して興味もございません」

 

 




ところで見ました?アニメクロプラ。
改変ですよ改変。なんか投げたドライバーが空中で高速回転しながら敵オートマタを分解した時とか修理が見た限り緩んだ螺子を締めるばかりで壊れた歯車交換したりしなかった時に演出のやり方もっとあるだろとか思ったけど、リューズが可愛かったので問題なし。
原作だけだとリューズは淡々とほとんど無表情で会話してるような印象を受けるけど、コミカライズを読むとかなり表情が動いてるし、アニメでは声もついてもっと可愛い。

リューズが人間で言うところの三途の川を渡るような演出で心臓バクバクだったのは俺だけじゃないはず。イマジナリーギアが限界を迎える時の演出とかもかなり深刻さが伝わってきて『もしかして改変でリューズがこのまま修理不能になったりしないだろうな』と心配した。いや1話で否定されてるけども。
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