自分の精神状態を吐き出してスッキリするためのものですので、続きはないです。書こうと思えば書けますけど、余計胸糞悪くなります。
取り敢えずは書いてるうちに気分が晴れたので、心配しないで一つの物語として読んでやってください。
※艦娘はほとんど出てこないので、ほとんどオリジナル近いです。
※改めてここに記述しますが、自分の精神状態を利用して色々書きなぐった作品になります。ですが、既に気分は晴れてるので安心してください。
とある休みの昼下がり。
特にするべきことが無い俺は、自宅で一人天井を眺めていた。そうして、なんとなくで天井板の年輪の数を数えていた。一枚目の板の年輪の数が二桁に差し掛かったところで、唐突に呼び鈴の音が鳴った。
「はいはーい、今出ますー」
玄関用のサンダルを歩いてきた時の勢いのまま履き、その流れで玄関のドアを開く。
「……どちら様で?」
玄関を開くと、そこには黒いロングヘアーの女性が立っていた。その女性は俺の顔を見るなり、真面目な表情を取り繕ってこう言い放つ。
「提督、帰ってきてください」
その懇願とも言える願いに、俺はこう返した。
「人違いです」
そう吐き捨ててすぐにドアを閉めようとすると、女性はしつこいセールスマンのようにドアの隙間に指を挟んできた。
「待ってください! 今の鎮守府には貴方が必要なんです!」
「……だから、人違いですって」
俺はドアの隙間の女性の指を剥がし、ドアを閉じる。同時に鍵もかけた。
「……俺には無理だ」
ドア一枚挟んだ向こうの女性へと投げかけるように、俺は一人呟いた。
◇◆◇◆◇◆◇
『ありがとうございます!』
『助かった! また頼むよ!』
初めのうちは良かった。
何をしても褒められ、讃えられ、感謝される。
少しでも上手く艦隊を指揮して解放海域を増やせば勲章が貰え、その安全性を証明できれば住民からの感謝の言葉を貰える。俺は感謝されるごとにやりがいを感じていたし、より戦果を上げようと努力するモチベーションも維持できていた。
『また同じことするの?』
『いい加減攻略する海域を変えたらどうかしら?』
だが、一ヶ月、二ヶ月と時が経つにつれそれも減っていった。そして、一年を過ぎたあたりで、プラスに捉えられるような言葉は一切無くなった。口を開けば、それが当たり前だと言うようになった。当たり前が最低ラインだと言わんばかりになったのだ。さらにそれが最低ラインとなったことによって、その最低ラインを超えるだけの実力をつけなければならず、負担が増える一方だった。
さらに他の艦隊が戦果を上げるとそれが最低ラインになり、そのレベルになるために努力して、その途中でまた他の艦隊が戦果を上げ、それが最低ラインになり、研究するべき事柄が増えていく。その過程でプラスの言葉は全てマイナスに変わっていった。
『見た? 提督ってば、まだここに居座る気よ』
『ホントよね。さっさとどっかいってくれないかしら』
それは部下だった艦隊の娘も同じだった。
俺のいない場所での陰口は当たり前、時にはわざと聞こえるように声を大きくしたり、目の前で堂々と早く作戦を練れと罵声を飛ばされたりもした。立場上、暴力こそ無かったものの、飛んでくる声は「死ね」や「殉職しろ」といったもの。
勿論、努力はした。積極的に運用方法を変更して長所を伸ばした。時には戦果を上げた艦隊を参考に、自分なりに新たな作戦を練り上げ。成功した作戦でも、失敗した箇所の粗探しを長い時間かけて行った。
──それでも、足りなかった。
朝早く、太陽が登り始める前に執務室へ行き、昼間は持ち運んだ携帯食糧を食べ、時には帰ってきた艦隊の皆に罵声を飛ばされ、月が折り返し始めるまで部屋で唸りながら作戦を練り続ける。休憩時間なんてものはないし、取っていたら通常の書類作成の時間が無くなる。
──そんな生活は、いつか必ず破綻するもの。
俺が体調を崩したと自覚した時、既に俺は地へと伏せていた。俺が倒れた時、俺の事を心配するものは一人もいなかった。
そんな職場に戻れと言う方が無理なのだ。
◇◆◇◆◇◆◇
黒髪ロングの女性が訪ねてきてから数日後、俺は引越しを行った。あの調子だと跡を辿ってくるかもしれないので、部屋の私物は全て焼却処分をして、手ぶらで引っ越した。今度は一階の部屋である。
「提督ー! 戻ってきてよー!」
──だが、それも意味を成さない。
玄関ドアの前で誰かが叫んでいる。近所の迷惑とか考えないところがまた不快感を増幅させる。
俺は覗き穴から外の様子を伺う。今回は黒髪のツインーテールで首元にマフラーを巻いた女性らしい。市街地ではオレンジ色の服など浮くだろうに。
「……絶対戻らないからな」
既に引き継ぎは終わっている。今更戻ることなど無い。
俺は部屋の窓を開け、そこから外へと飛び出した。
◇◆◇◆◇◆◇
誇りなど既に捨てた。
元々親のコネで軍属になったものだから、誇りは持っていたはずなのに。いつから狂ってしまったのだろうか。
日が落ちてすぐの繁華街を見てまわりながら、道往く人達を観察する。
茶化し合いながら帰路についている学生。
スーツ姿で飲みに行く店を見定めてるサラリーマン。
沢山のビニール袋を自転車に積んだ女性。
そこには様々な人が入り乱れ、それぞれが目的を持って行動している。
自分はどうだろうか。
仕事を辞め、ストーカーもどきに追い回され、所持しているものは財布だけになった俺はどうだろうか。
生きている価値は?
存在した意味は?
残してしまったものは?
自分に対して疑心暗鬼になっていると、ふと体の浮く感覚が思考を襲った。揺れ動く視界に映ったものは、腹部から生えるナイフの柄のようなもの。俺の財布を持つ、切羽詰まった青年の姿。
──なるほど。
俺はやはり生まれてくるべきではなかったのかもしれない。周りを振り回して、犯罪者を作り出してしまうくらいなら、俺はいない方が良かった。
産んで育ててくれた親には申し訳ないが、俺はもう疲れた。親不孝だと言われようが、罵倒など聞き慣れている。
俺はナイフの柄を、残っていた微かな力で、溢れ出す血で塗りたくってから、ゆっくりと目を閉じた。
※続きません(当たり前)