【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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お久しぶりです。
今回はちょっとずつ書いていた番外編となります。
基本的に番外編は本編とは無関係な別の世界の話となります。

分岐条件は以下にようになります。
1.ハーマイオニーと入学前に出会わない
2.入学後誰とも親しい仲、恋人にならない
三大魔法学校対抗試合後から分岐

それではEX.2どうぞ。


EX.2 魔王ルート

三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)の最後の課題。

それをクリアしたレナード・テイラーはとある墓地に転移させられていた。

そこにはかつて魔法界を震撼させた闇の帝王ヴォルデモート……その成れの果てが待っていた。

そして、帝王の宿敵のハリー・ポッターの血を利用して闇の帝王は蘇ることとなる。

ハリー・ポッターに逃げられた後、帝王(ヴォルデモート)はレオに向かって提案をしてきた。

 

「レナード・テイラーよ。この闇の帝王ヴォルデモート卿の為に力を使うが良い。」

 

周りに集まっていた死喰い人(デスイーター)達は反発するがヴォルデモートの一声で静まり返った。

レナード・テイラーは考える。この提案を受け入れることへのメリットとデメリットについて。

 

「いくつか聞かせてください。まず一つ、あなたは僕に何を求めますか? 二つ、あなたは最終的に何が目的ですか? 三つ、僕が断った場合どうしますか?」

 

「順番に答えてやろう。お前に求めるものは優れた魔法や魔法薬の開発、俺様の目的のために多くのことをしてもらいたい。そして俺様の最終目的は全ての支配だ。優れた魔法使いが劣ったマグルを支配する。優秀なものが支配するのは当然の摂理だ。最後に逆らった場合……。拷問、洗脳、その『眼』を抉り出して我が物とする。まぁ、最終的には殺す。俺様に逆らう者は全員が死の恐怖を味わうことになるだろう。」

 

とりあえず聞いたが、正直ヴォルデモートの目的にそこまで興味はない。

 

「僕は自分の研究を最優先にしたいのであなたの要望は後回しになることもありますよ。」

 

「それならばお前が興味を引くような要求を考えるまでだ。さぁ、どうする?」

 

しばし考える。そして魔法界の運命を決める結論を出した。

 

「良いでしょう。あなたに協力します。但し、僕の家族に危害を加えないという条件付きですがね。」

 

「良かろう。貴様の家族には手を出さんと約束しよう。」

 

ここに史上最悪の同盟が結成された。

 

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ホグワーツは大混乱だった。

レナード・テイラーが巨大な迷路を爆散しただけでなく優勝杯と共に姿を消した。

これだけならばまだよかった。

その後に迷路の残骸に突如として現れたのは生き残った男の子ハリー・ポッターであった。

傷だらけで疲弊した彼はそれでもはっきりと告げた。

喧噪の中で告げられた名は全ての魔法族の耳にハッキリと聞こえた。

 

闇の帝王。名前を言ってはいけないあの人。史上最悪の闇の魔法使い。

ヴォルデモートが戻ってきたと。

 

最初は聞き間違いかと思ったが、ハリーは何度も聞きたくもない名前(ヴォルデモート)を口から発し続けている。駆け寄ってきたダンブルドアにもハッキリとそれを告げていた。

その鬼気迫るハリーと真剣に聞き入るダンブルドアの様子から徐々に真実ではないかという思いが膨れ上がっていった。

誰かがデタラメを言うなと言えば、他の誰かが反論する。

連鎖的に会場中に混乱は広がり続けていった。

 

だがその混乱もすぐに消えた。

それを上回る恐怖が現れたためだ。

 

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ハリーを連れて校長室に戻って来ていたダンブルドアは事の顛末をハリーから聞いていた。

ヴォルデモートの復活、復活にハリーの血を使ったこと、その場に集った死喰い人(デスイーター)、そしてその場にいたレナード・テイラー。

ヴォルデモートがハリーの血を利用して蘇ったことはこちらにとって非常に有利になる結果となったが、それ以上にレナード・テイラーをヴォルデモートが利用しようとしていることの方が重要になってくる。

どちらに転ぶかは半々だが、あちら側に与することになった場合……予言が正しければこちら側が滅ぼされるのは必至だ。

レナード・テイラーが闇の提案を飲むにしろ、断るにしろ一度はホグワーツに戻ってくるはず。その際に何としてでもこちらの陣営に協力するように説得せねば。

そんなことをダンブルドアは考えこれからの計画を必死に練っていた。

その考えが何もかも甘く、手遅れであるとも知らずに。

 

 

悲鳴が聞こえてきた。

ダンブルドアとハリーは窓際に走り外を見た。

そこから見える景色は……まさに地獄だった。

 

ホグワーツの敷地の上空を無数のドラゴンが舞っている。

毒蛇の王(バジリスク)の瞳が次々に生徒や観客たちを殺していく。

鎧姿の魔法生物が次々と魔法使いたちに刃を突き立てる。

魔法使いたちも魔法を使って抵抗するがそれらは意にも介さず進撃してくる。

炎に焼かれ、死の魔眼で絶命し、切り裂かれる。

しかもここはホグワーツ。本来であれば姿くらましで逃げることもできるだろうが、敵からの侵入を防ぐための防衛機能が仇となりに守りであったそれによって命を落としている。

魔法も効かない強大な存在によって次々と殺されていく魔法使いたち。

マクゴナガルが、ルード・バクマンが、生徒たちが、老若男女問わず無造作に殺されていく。

 

その光景を見たダンブルドアは悟った。全てが終わったと。

これはレナード・テイラーの仕業であると。テイラーは闇の帝王と手を組みこちらにとって最悪の敵になってしまったと。

 

「ハリー、逃げるのじゃ。」

 

「そんな!? ダンブルドア先生! 戦わないんですか!? このまま皆を見捨てて逃げるのですか!?」

 

「そうじゃ! このままここにいては必ず殺される。一度逃げて態勢を整えなければ勝機はない。」

 

戸惑い、反発するハリーを無理やりにでも連れて逃げる。何としてでもこの窮地を脱しなければ魔法界に、世界に未来はない。

世界最高の魔法使いと言われた男は後ろから響く悲鳴と絶叫を無視しながら恥も何もかも捨てて逃げ出した。

テイラーの道を阻むものは全て滅びるという予言が間違っていたと、そう思いながら。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

殺戮から数十分後。

いまだにドラゴンやその他の魔法生物はホグワーツ中でその目を光らせている。

生き残った僅かな魔法使いたちは競技場に集められていた。

彼らは聖28一族や純血の魔法使い、その他に優秀、世間への影響が強い魔法使いたちであった。

恐怖に震える彼らの前に二つの存在が姿を現す。

 

一つはそれを知っている者ならば恐怖するべき存在。

髪が抜け落ちた頭部。削ぎ落された鼻。人を捨てた証拠の赤い瞳。

人間とは思えぬ形相の闇の帝王ヴォルデモートその人だ。

もう一つはホグワーツ生徒ならば見知った顔、いや三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)を観戦に来ていたならば忘れられない存在、レナード・テイラーであった。

 

「アルバス・ダンブルドアは逃げたようです。どうしますか?」

 

「すぐに探させろ。この状況を覆すことは簡単では無かろうが……、必ず殺さねばならん。

さて、ここに残った貴様らは純血または優れた魔法使いたちだ。光栄に思え、貴様らはこれから俺様が支配する世界で生きる権利が与えられたのだ!」

 

 

その後はあっという間に世界が変わっていった。

イギリス魔法省はすぐに陥落した。無能なコーネリウス・ファッジではどうすることもできずに何もかもが支配されるしかなかった。

僅かに生き残った闇祓いやヴォルデモートに抵抗する勢力がアルバス・ダンブルドアの元に集い闇の帝王の支配に抗おうと活動を続けたが……全てが無意味であった。

圧倒的な差で全てが押しつぶされることになった。

 

 

イギリス魔法界を完全に支配した闇の帝王は次々に他国の魔法界に侵攻していった。

ヨーロッパ各国、中東、アジア、アフリカ、アメリカ、日本……。

そして世界中の魔法界をその支配下に置くことに成功した。

成功の最大の要因はレナード・テイラーが協力したことであることは間違いない。

どのような魔法も無意味、圧倒的物量、不死、それらを兼ね備えた軍団など敵対者にとっては悪夢以外の何物でもなかった。

 

その後は時間をかけてマグルの世界をも支配していき、徐々にゆっくりと世界の常識さえも歪め、地球の頂点にヴォルデモートが君臨することになった。

純血の魔法使いは賢者の石や様々な方法で無限の時を生きることを許され、魔法使いの血を持った者たちだけがまともな人間として扱われる。そしてマグル生まれやマグルは奴隷として純血たちの為にその命を捧げる。そんな歪で壊れた社会が形成されていった。

そんな世の中であるにもかかわらずヴォルデモートの治世は何一つ揺らぐことなく続いていった。

 

 

地球帝王ヴォルデモートの誕生とその統治が続く陰にはレナード・テイラーの力が必要不可欠な要素であった。

どんな外敵も排除する、不都合も圧倒的な理不尽でどうにかしてしまう。そんなまさに何でもありの神の如き力をヴォルデモートに与え続けていた。

ヴォルデモートも最初は便利な道具、有用な人材程度にしか認識していなかった。

……だが、世界を統一した後になってそのあまりに強大な力を邪魔に思うようになった。

 

(このままではいずれ俺様の世界までも破壊しかねない。これ以上は不要だな。殺すか。)

 

その力で反乱されることを恐れたヴォルデモートはレナード・テイラーの抹殺を企てる。

しかし、全ては遅すぎた。

その時にはレナード・テイラーは不滅の化物に変貌していた。

強大にして不滅、万能無敵の存在に成ってしまっていた。

レナード・テイラーの情報を集めるにつれそのあり得なさを把握したヴォルデモートは諦めた。

いつか何かの拍子に世界丸ごと滅ぼされる可能性は無視できない。

それでも現状では世界全てが自分のものになっている。

それを台無しにしてまでレナード・テイラーと敵対する必要はないと判断したのだ。

これからも敵対せず奴が不満を覚えないように、満足させることを最優先にしなければならない、何が何でも逆らってはいけないと決めた。

その屈辱が未来永劫続くとしても。

 

 

世界はヴォルデモートの理想の世界、純血の魔法使いが頂点に立ちマグルを支配する世界へと変わった。全てが彼の思うがままになった。

たった一つの例外、レナード・テイラーを除いて。

これからもヴォルデモートの望んだ世界は続いていくだろう。

レナード・テイラーに見限られない限り。




本編でハーマイオニーがレオのそばにいなければこんな結末もあり得たというIFでした。

分岐前はレオとハーマイオニーが関わる場面以外は基本的に本編と同じように進行しています。

基本的にレオは魔法第一なので恋人であるハーマイオニーがいなければ容易にお辞儀と手を組む可能性がありました。

競技場に現れたドラゴンやバジリスクなどはクーの細胞から造った分身体です。

結果として敵対者=ダンブルドア陣営となったので予言通りに滅ぼされました。
原作での主要人物もほとんどが死亡。

レオの両親は善側の人物なのでレオと敵対する道を選びましたが、レオに説得という名の洗脳されて一応は生きています。ひどい。

レオは反則的な万能なので難しい政治やマグルの支配などどうとでもしてしまう力があります。なのでレオが力を貸している限り、お辞儀の世界支配は揺るぎようがありません。

お辞儀もそのことは承知ですが、その理不尽な力が自分に向く前に消してしまおうと思ったのですが、既に時遅し。
本編同様の化物になったレオに戦う前に屈したお辞儀は現状維持という妥協を選びました。

この世界はレオが宇宙に旅立つようなことが無い限り続いていくでしょう。

それではまた番外編があればお会いしましょう。

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