…ハイというわけで第3話です。ここからこの物語に少し動きが出て来ます。友のために敵を討とうとする妖怪達。そしてそんな理不尽を1人で背負うことになってしまった主人公。一体どちらが被害者なんでしょうね?
はぁ…はぁ…」
走っているうちに人のいる場所に出た。でも彼女達が諦めているわけがない。助けを求めなきゃ…。
「誰か…誰か助けてっ!」
可能な限り大声を出して助けを求める。恥ずかしいとかの感情はすでに消えていた。だが誰も僕の声に反応しない。
「なんで…」
今度はすぐ前を通った人の良さそうな大男に声をかけた。
「よ…妖怪に襲われているんです…どこかに匿ってくれませんか…」
しかしやはり無視された。見えていないの?お願いだから何か返事して…
「…うっ…なぁ…」
今確かに大男が反応を示した。見えていないわけじゃないんだ。もしかしたら疑っているのだろうか?本当のことなんだ。信じて…
「お願いします!助けてください!」
胴体にしがみついて助けを懇願する。これならきっと…
「さっきから…うっせぇんだよっ!」
一瞬視界が白く染まって僕は地面に倒れていた。今…殴られたの?
「クソがっ!この外来人がっ!お前のせいで俺の商売あがったりなんだよ!」
そう言って男は僕の腹を何度も蹴飛ばした。
「あっ…がっ…やめて…ください…」
それでも男はやめない。徐々に見物人の山ができる。『あれ、何?』『もしかして外来人?』『いいぞ!もっとやれっ!』『ざまぁみろ…外来人が…』
男が蹴るのをやっとやめた。
「どう…して…こんなことを…」
今にもよくないものが口から吐き出そうだった。
地面に無様に転がった僕に今度は…
『これが俺たちの恨みだっ!』
石が飛んできた。誰かが投げたら早かった。すぐに俺も…私も…という感じで飛んでくる石は増えた。
「う…ひっぐっ…いたい…もうやだよ…助けて…助けて…」
夢中で体を丸め体を守る。その時、足を不意につかまれた。
「お願いします…ここから出して…」
顔を上げて助けを求める。もう…ダメだ…これ以上されたら…
「うん、こんなところからは出してあげる」
そう言って僕を見下ろしたのは…あの妖怪達だった。
「あ…あぁぁぁぁぁっ…」
「ルーミアちゃん、ちゃんと足持っててね」
「うん、わかったー」
イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ
「イヤだぁぁぁぁ…」
『妖怪だっ!やっぱり妖怪も外来人が憎いんだっ!』『いいぞー!』
僕はそのままゴツゴツとした地面に顔を擦り付けられながら妖怪達に引きずられる。
「あぁぁぁぁぁぁぁ…」
助けて…誰か…こんなの…
「助けないんですか?」
不意に後ろから声をかけられた。
「…私も、聖人では無いからね…小鈴」
「そうですか?咲夜さん、迷ってる感じでしたけど?」
私ー完全で淑酒な従者、十六夜咲夜ーは人間の里に買い物に来ていた。そこで急に助けを求める外来人が現れたのだ。外来人、それは今の幻想郷で最も忌み嫌われていると言っていい存在だった。
「変ですねー。咲夜さんならこんなことは嫌うと思ったんですけどね。」
「気になるなら貴方が助ければいいじゃない…」
「アレのせいでお母さんが喘息で苦しんでるんです。正直、そんな気にはなれません…」
わかっている。現在幻想郷には、酷い暴行を受けているそこの外来人を助けるなんてお人好しな存在はいない。私も育てていた花が全て枯れてしまった時のお嬢様や妹様の顔を思い出すと、とても助ける気にはなれない…
(お嬢様は…こんな時どうするのだろう…)
お嬢様がボロボロで倒れていた私を助けてくれた時のことを思い出す。お嬢様だって人間から忌み嫌われてきたのだ。そんなお嬢様が普通人間が好きとは思えない。でも、お嬢様は私を…。
(だからこそよ…)
もはや私の命は、お嬢様の為、あの時のお嬢様の顔は決して忘れない。
「…残念だけど、なんのお咎め無しってわけにはいかないのよ…」
「…お咎め?」
私があの外来人を助ければ…。別に私を見る目がいくら悪くなっても構わない。だけどお嬢様達の見る目も悪くなるのは耐えられない。あの外来人個人には何の罪も責任も無い。「運が悪かった」ただそれだけ…。
肌に冷たい雨の感触が伝わる。全身を強い脱力感が襲う。あの後何をされたのかはよく覚えていない。でも、助からなかったことはわかった。足が動かないことに気づいた。呪いでもかけられたのかと思った。太ももより下には何もなかった。周りにひしゃげた肉片が大量に落ちていた。死にたくなかった。腕ではってでも誰かに助けを求めようと思った。右腕を振り上げて地面に突き立てた。左腕も振り上げてみたがそこには垂れ下がる肉片がどろっと地面に落ちただけだった。上半身は残ってると思ったのに、左肩から腕にかけて単なる肉塊と化していた。
「…あはは…おかしいな…」
何でこんなに右の視界が暗いんだろ?何で殆ど声が出ないんだろ?何でこんなになってまで生きてんだろ?何でこうなったんだろ?
「何で何で何で何で、ナンでナンでナンでナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデッ…アァァァァァッ!!」
全身に激痛が走る。クルシイ…でも死にたくない。楽園なんてなかった。母さんは嘘つきだったのだろうか?
「イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ…」
母さんが嘘つき?そんなのありえない。なんで母さんが嘘をつくんだ。そんなわけない。母さんは嘘はつかない。イヤだ、ここで死んだら母さんが嘘つきになってしまう。
「グスッ…ゴメンなさい…毎日が退屈だなんて思って…」
こんな日常壊れてしまえって思って…お願いします、助けて…
「誰でもいい…から…悪魔でもいいから…」
死にたくない。まだ生きていたい。顔が半分しかなくても身体が殆ど動かなくても…それでも…このまま…消えたくない。
その時だった。空にまばゆい光が走った。その光は黒と白で混ざり合いながら僕に向かって一気に降り注いだ。
「あああああああああああっ!」
まばゆい光に溶かされる。僕に何かが囁いた。
『辛いだろ?苦しいだろ?ならいっそ、全部壊してしまえば…』
僕はそのままその声に意識を溶かされるように目を閉じた。
…ハイ!というわけで今回も読んで頂きありがとうございます!主人公はこれからどうなってしまうのか…。かなり厨二感全開ですが頑張っていきます!次回も読んでくれたらとっても嬉しいです!