東方牙龍伝   作:soyuto

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どうも私です。最近テストが近づいて来てかなりブルーになっております。更新遅くなって申し訳ございません…。

注意
今回の話の前半部は某仙人による説明パートとなっております。


第4話 魍魎

「…チチチ…」

小鳥のさえずりが、森に響く。僕は生きていた。でも何かを失った気がする。それは考えれば考えるほどにわからなくなる。

「…僕って、なんだ?」

 

 

人を捨てて、それでもなお生きた人間にはまともに生きる資格は無い。まともに死ぬ資格も無い。

 

 

「どういうこと…?」

私ー茨木華扇ーは目の前の現実を受け止めきれなかった。私は、龍の動向を監視する役目についている。こんな大切な事は例のスキマ妖怪がやるべきだと思ったが、いくら言ってもやろうとしないので私がやり始めた。別に監視と言っても私の力で龍をどうこうできるものでもないのだが。先日の結界が歪むほどの嵐。幻想郷の民はおそらく原因は知らないだろうけど私は知っている。「龍」それが事の原因だ。龍という存在は別に一つというわけではない。現在、幻想郷において最高神とされている龍。それ以外にも龍はいる。少し前に天から落ちてきた邪龍。あれは比較的チカラの弱い部類だったので放っておいたが。例えば「水龍」。これは雨を降らせるという役目についていると言われている。「天龍」は空にいる生物の守り神だし、「地龍」は農耕の神としても崇められる。そして、

「陰陽龍…」

その名通り陰と陽をつかさどる龍。おそらく実力やチカラだけで言うと幻想郷の最高神の龍ー以下龍神ーにも匹敵する。そもそも龍という存在にはプラスの能力とマイナスの能力がある。龍は自然そのものためー自然は等価交換でプラスの事を起こせば必ずマイナスの事が起きるープラスとマイナスのチカラを持っているのは当然のことである。水龍は雨を降らせて生命を潤すが、時には大干ばつを起こしてあらゆる生命を干上がらせる事もある。地龍はあるところの作物を実らせる事もあれば全て枯れさせる事もある。そう、つまりは等価交換の原則と全く同じなのだ。私はこのうちプラスの効果を龍の陽、マイナスの能力を龍の陰と呼んでいる。無論、この事は龍神にも言えるし、陰陽龍にも言える。龍神の陽は創造、陰は破壊である。そして陰陽龍の場合は、陽が希望そして…

「陰が…絶望。」

今回の事でまずいのは外の世界の汚物が流れ込んできたとかそんな事では無い。そもそも幻想郷の人間は龍神の加護があるためちょっとやそっとでは死んだりしない。そのはずなのに少ないが犠牲者が出てしまった。私はこの現象は外の世界よりも陰陽龍の陰の影響だと見ている。

(…ここまで考察したわけだけど、こんな事例…ありえないわ…)

例の嵐…その正体は陰陽龍の陽と陰の分裂。つまり今現在陽の部分は聖龍として、陰の部分は邪龍として動き回ってる事になる。幸いここで分裂して動き回ってるのは陰陽龍のエネルギーだけでその肉体は抜け殻となってまだ天を彷徨ってるだろう。だが昨日、私はもちろん必死で聖龍と邪龍の気配を探り位置を特定しようとした。二体は案外近いところにいた為ーしかも邪龍の方はかなり弱っていたー私はすぐに出向いて捕獲し元の肉体に返そうとする…つもりだった。なのに…どうして…どうして…

「どうして…二体同時に気配が消えるの…」

 

 

全身に妙なしこりを感じる。指を動かすたびに骨の鳴る音がする。左目が熱い。まるで燃えてるかのように感じる。

「…お腹…すいた…」

謎の空腹感が襲ってくる。目の前が霞み足下がフラつく。

「喉、乾いた…水…」

喉が苦しい。食べ物よりまずは水が欲しい。水、水、水…どこ…。軽く耳をすます。

 

コポ…コポ…

 

今、微かに水の湧き出る音がした気がした。

「…あっち…?」

ぼんやりとした意識の中で、何故ここまで耳が効くのか疑問に思いつつ、音のした方に足を進める。

「…あっ…」

かなり歩いたがそこには綺麗な水が湧く小さな水溜りが本当にあった。あの音は気のせいではなかった。

「水…」

喉の渇きを潤そうと水溜りに飛びつく。

「ンッ…ンッ…ンッ…」

水面に顔をつけて喉の渇きを洗い流す。

「…ッハァ…ハァ…ハァ…」

喉の渇きが消えて、徐々にぼんやりとした意識がはっきりし、水面に映った自分の顔が見えてきた。

「…あ…ああ…」

水面に映ったものは人間ではなかった。左目は黒く変色し瞳の部分は獣の目のように赤く縦に線が入ってる。肌は病的なまでに白く、まるで死人のようだった。

「いや…だ…そんな…」

左目が毒々しい赤い光を放ち、血の涙がポタポタと流れ落ちる。ドクン、と脈をうち、何かを訴えるように激しく光る。お腹が空いた、さっきから消えない感覚が激しい欲求へと変わる。何か食べたい、肉が食べたい、生きてる何かを破壊して中身を啜りたい。そう、例えば…

「イヤだぁぁぁぁっ!」

違う…そうだ違う!そんなこと考えていない…人を食べたいなんて考えていない。僕は人間。人を食べたいなんて思うはずがない。そんな事、考える奴なんてバケモノだけだ。

(僕が…それなんじゃないか…?)

そんな訳ない、きっと何か食べれば空腹感も消える…はず…。

「あ…ああ…いいこと思いついた…」

近くに落ちてる枝を拾い上げる。

(左目がこんな風になってるからおかしくなってるんだ。なら…)

ぐっ…と、左目に軽く枝の先を当て、腕を固定する。そのまま勢いをつけて左目を貫く。

「アアアアアアアアアアアアアッ!」

左目に焼け付くような痛みがまた現れる。水溜りに顔を映すと左目には獣の目はなく、生々しい傷あとが付いていた…。

「あは…あはは…」

それは一瞬だった。傷あとはすぐに塞がりさっきと全く同じ赤い目玉が現れた。

「あははは…あははははははは…」

笑い声が止まらない。別に嬉しくないのに…僕はこの時初めて、自分が人間ではない事に気がついた。心が…壊れそうだ…。

 

 

 

ザク…ザク…ザク…

「…あ」

歩いている内に森の外に出た。左目の疼きが止まらない。何か食べたい。なんでもいいから何か…。どうせ化け物なのだからと、雑草なんかも口に含んでみたが食べれたものじゃなく、吐き出してしまった。普通に食べれるものが何かないか…。足がふらつき木の下に倒れこむ。しばらく、その場でしゃがみこんでると、

『いやぁ、今日はうまそうなトマトが採れたなぁ』

『そだなぁ、早く帰るべ…』

向こうの道から、農家らしき二人組が大八車(リアカーのような物)を引いて歩いてきた。朝の収穫作業を終えたばかりなのか、大八車には大量のトマトを積んでいた。

(あれだけ沢山あるんだ、少しくらい分けてくれるはずだよね…)

「あ…あの…まって、ください…」

声がちゃんと出るか心配だったがどうやらちゃんと出たようだ。左目を髪で隠しながら2人組に近づく。

「ん、どうしたんだ?こんなとこで、」

片方の若い男が気づいたらしい。

「あの、トマ…トを、ひと…つ」

人間でない事がばれないか心配になり、言葉に詰まる。

「お前、腹減ってんのか?」

そう言って男はトマトをひとつ握った。くれるのだろうか…。しかし、

「おい、やめとけ。こいつ外来人だよ。」

隣にいた初老の男がそのトマトを奪う。

「は?こいつ外来人なのか?」

や、やめて…確かに外来人だけど…僕は何もしてないんだ…

「ああ、昨日だったか、石投げてただろ」

「あ、思い出した!」

そう言うと、男はこちらに歩み寄り、

 

バキッ・・・

 

何も言わずこちらの鳩尾に蹴りを入れてきた。

「グエッ・・・ゲホッ、ゲホッ」

強く蹴られたせいで胃液のようなものが逆流して口の中に酸味が広がる。

「テメェのおかげで、こっちは家畜が何頭ダメになったと思ってるんだ!家畜だけじゃねぇ、野菜や米もだ!」

そう言いながら何度も倒れた僕の鳩尾を蹴る。

「おいおい、あんまりやると死んじまうぞー」

「ふん、こんな奴、死んだ方がマシだ!」

何度も何度も…激しく蹴られる…

「勝手にのたれ死んでろ!」

最後に男は僕の顔を踏みつけて初老の男の元に戻った。

「まって…よ、お願い…何か食べ物…」

かすれ声で、食べ物を求めるが男たちは離れていく。

「お願いします…まって…」

頼んでも頼んでも、男たちは離れていく。懸命に這いずって、追いかける。

「助けて…ください…お願いします…」

左目が激しく疼く。どうして?何で?こんなに頼んでいるのに…何故伝わらないの?

『天気が悪くなってきたなぁ』

『そうだな、ったくあの外来人が時間取らせやがって…でもよぉ、あの時の顔見たか?』

 

・・・ドクンッ・・・

 

「……待ってよ」

『ああ、物乞いしてる時、今にも泣き出しそうなあの顔!』

 

・・・ドクンッ・・・

 

「まて…ってんだろ…」

『蹴った時もさ、全く抵抗しないでさ…ま、いいストレス発散になったな』

『違いねぇな』

 

・・・ドクンッ・・・

 

「待てって…イッテンダロォォォッ!」

バァァァァォォォォォッ!!

左目の熱さが腕に伝わり一気に爆発した。醜く膨れ上がった腕から龍が咆哮を上げて飛び立ち、2人組の男のすぐ上に止まる。左手に激痛が走る。

「ァァァァァァァァ!!」

雄叫びをあげて左目の痛みにも耐える。あいつらを殺す。それ以外にはなにも考えてなかった。憎かった。理不尽な暴力を振るったあの男たちが、僕の気持ちを理解しなかったあいつらが!

『ヒ、ヒィ!り、龍だ!龍神様だ!』

『嘘だろ…何で外来人にこんな事ができるんだよ!』

2人とも逃げ出すが若い方が一歩遅かった。

『嫌ダァァァァァッ!』

そのまま天空から降りてきた龍の顎に若い男が飲み込まれる。

『ヒィッ、ヒィッ…』

どうにか逃げ延びた方は尻餅をついてしまい、飲み込まれた若い方の成れの果てを見る結果になった。

『イダイ、イダイ、イダイ、イダイィィィ!!』

龍の中で血霧を撒き散らしながら、若い男はのたうちまわる。しかしそのうち、ぐったりと、動かなくなってしまった。龍はそのまま地面の中に消えた。さっきまで龍が通過していたところにいた、若い男は、まるで消化されたかのようにズタズタに引き裂かれていた。

『ヒ、ヒィッ!バケモンだぁぁぁっ!』

初老の男は泣きながら逃げていった。全てが終わった後、僕は我に返った。

「あ、あ…」

僕がやったのか?龍があの男を喰ってからかなり楽になった。つまり、それは、人間を食べたから・・・楽になったって事・・・

「嘘だよね…」

本当に僕は化け物なのか?何度も自分に問いただす。

『ああ、その通りさ』

だれだ…今の声は…。

『私だよ、お前の中に入り込んだ…フフフ…』

激しい雨が降り出した…。

 




というわけで今回の牙龍伝は如何だったでしょうか?次回更新はいつになるのかわかりませんが出来るだけ早く更新できるように努力して参りますので…よろしくお願いします!

ps.#コンパスにハマりました!
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