投稿がものすごく遅れましたっ!
単刀直入に言うと全然時間が無かったのです…学生って大変…
そんなわけで5話です!
「阿求ちゃんはお月見祭り行くの?」
「え?」
私ー稗田阿求ーは鈴奈庵で本を読んでいると店主の小鈴に声をかけられた。お月見祭りというのはもう直ぐこの人里である人間と妖怪が入り混じって行われる大宴会の事だ。
「それは…」
実を言うとあまり行きたくなかった。私はお酒があまり好きではない。そして酔った男はもっと好きではない。普段は紳士的に振舞っていても酒を飲んだ瞬間、欲望に身をまかせる姿が本当に嫌いなのだ。一度うちの屋敷で宴会があった時も酔った客人に強引に求められて、それ以来男も酒も嫌いになった。まぁその時は近くにあった竹刀でボコボコにしてやったが。
「多分行かないかな…」
幻想郷縁起に書くこともなくなって正直暇だけど宴会には出る気はなかった。
「えー…私は行くよ?阿求ちゃんも一緒に行こうよ」
「う…小鈴ちゃんと…一緒?」
実に魅力的だ。酒は嫌いだが小鈴は大好物だ。正直小鈴と一緒に遊べるなら我慢して行こうかとも思う。女の人がたくさん居るとこに行けば大丈夫だろうし。あ、でも寄ってくるかな?
「…うん…やっぱりいいや」
やはり私は酔った男が沢山いるところに行くのは嫌だ。
「わかった…来年は絶対行こうね!」
「フフ…そうだね…」
来年までには男嫌いを治しておかなきゃ。
「じゃあ、この本貸してもらうわね」
古文書を幾つか借りていく。
「さよなら、小鈴」
「うん!また来てね!」
明るい店主にお礼を言って鈴奈庵を出る。にしても小鈴は可愛いなぁ。上の空で歩いていると、
「よぉ!阿求じゃねぇか!」
白黒の魔法使いが声をかけてきた。
「魔理沙さん、こんにちは」
「今、鈴奈庵の帰りか?」
「はい、そうですけど…魔理沙さんは何をしているんですか?」
すると、白黒の魔法使いは急に険しい顔をして、
「…龍の石像あるだろ?」
龍の石像とは人間の里に置かれている龍神様の石像だ。目を見ると近くの天気がわかるという事は幻想郷縁起に書いた。
「石像がどうかしたんですか?」
「目の色がおかしいんだ…」
石像の前に来た。背伸びをして目を見ると、
「なに…これ?」
その目は真っ黒に染まっていた。黒、というよりどす黒い、クリムゾンレッドのような感じだ。もしこれが赤なら異変なのだが、そういうわけではないようだ。
「阿求、お前はこれをどう見る?」
魔理沙が質問してくる。
「わかりません…もしかするとこれまでとは比べ物にならない規模の異変が起こるとかでしょうか?」
「確かにこの濃い赤はそう見えるよな、一応霊夢にも言っとくか…」
「そうですね…お願いします。私も調べて…あ、」
さっきまで曇っていたと思っていたら急に激しい雨が降り出した。
ニクいニクいニクい…コワシタイコワシタイコワシタイ…コワセコワセコワセ…
「タスケテ…ダレカ…コワレル…コワシタイ…アハ…アハハハ…」
ボクが徐々に…ワカラナクナル…
「マモラナキャ…ボクがコノセカイ…をコワサナイヨウニ…」
「んーっ、ふぅ…」
机の前で伸びをする。いくら調べても過去に石像の目が黒くなったなんて記録は見つけられなかった。あの石像は河童の作った物なのだが、誤作動でも起こしたのだろうか?
(やっぱり異変?でも、これまでの異変を凌駕する規模の異変なんて…)
想像もつかない。これまで無数の異変が起きたがその殆どが幻想郷の全てを巻き込む規模の恐ろしい物だった。そしてその全てに対してあの石像は「赤」という予想を出していた。もし誤作動でなければ、確実にこれまでよりも超規模の大異変が起こるということになる。でも起こすにしても一体誰がそこまでの異変を起こせるのだろうか。全く心当たりがない。石像の誤作動、そう信じるしか私には出来そうもない。
『お嬢様…もう遅いですよ…早くお休みになられてください…』
廊下から召使いの声が聞こえる。
「はい、すぐに部屋に戻ります。」
今日はもう休もう。それにもし何か起きてもあの巫女さんが何とかしてくれるはず。
ギッ…ギッ…ギッ…
床がきしむ。この廊下も、もう古いようだ。今度はりかえて貰おうか。外はまだ大雨だ。お月見祭りまでには止むのだろうか?
「ふわぁ…ぁ」
襖を開けて自室に入る。そこで私は見た。何者かが私の机を漁っている。
「あっ…」
思わず声を上げてしまった。こちらに気づき振り向いたその顔の左目は赤く光っていた。
僕は今、他人の家で調べ物をしていた。この家はこの世界についての情報がたくさんあると聞いた。だから忍び込み今の僕の状況を調べようとした。
「あっ…」
後ろから急に声が聞こえた。思わず振り返るとそこにはこの部屋の住人らしき少女がたたずんでいた。少女は襖を開けてすぐにどこかに駆け出していった。おそらく助けを呼びに行ったのだろう。多分人間程度なら負けることもないだろうけど、犠牲者だけはもう出したくない。そう、あの農家の若者のような・・・
『嫌ダァァァァァッ!』
『イダイ、イダイ、イダイ、イダイィィィ!』
「ッ…」
ダメだ。考えると頭が割れそうになる。左目も熱くなり、自我が少しづつ遠のいていく感じがする。このままではまた人を襲ってしまう。人が集まる前に逃げなければ。外は相変わらずの大雨だが、また化け物みたいに人を襲うくらいなら濡れた方がいい。窓を開けると外の冷たい空気が僕の肌を襲う。秋の雨はこんなにも冷たいのか…。雨音と夜の闇が支配する世界に踏み出す。
「待って!」
振り向くとそこにはさっきの少女が立っており、その手には着物とおむすびが握られていた。
「ほっといてよ…」
人を呼ばれなかったことにほっとしながら窓から外に出ようとする。
「ほうっておけるわけないでしょ!」
後ろから少女が僕に向かって叫ぶ。
「外は大雨なんですよ!今出て行かなくてもいいじゃないですかっ!」
一息でそう言い、僕を見る。その目はとても真っ直ぐでとても綺麗だった。
『でも…また裏切られちゃうかもよ?』
そうだ。今信じても…最後に…後できっと裏切られる。
『だからさ、さっきの奴みたいに殺しちゃおうよ』
「う…うるさい…」
僕は叫んだ。もう誰も…殺したくない。
「うるさい…って、どういう意味ですかっ!」
どうやら少女は自分に言われたと思ったらしい。
「別に貴方に言ったわけじゃないから…」
「じゃあ、誰に言ったっていうんですか!」
「そ、それは…」
言えるわけない。言ったとしても信じてもらえるのだろうか?
「ああっ!もう、こっちに来て!」
気を抜いてる時に部屋に引きずり込まれた。
「こんなにびしょ濡れじゃないですか…」
そう言って、少女は僕の服を脱がせにかかる。
「やめて」
「嫌です」
「やめてっ!」
「きゃっ…」
少女を思わず押し倒してしまう。その時だった。
「貴方、左目が…」
「あ…」
忘れていた。とっさに顔をそらすが間違いなく見られただろう。
「…わかったでしょ?僕は化物なんだ…」
自分で話して改めて人間じゃないことを理解する。
「罵ればいいよ…『化物』って」
そう言って窓に向かおうとする。だが、
「貴方は化物じゃありません。」
少女は僕のびしょ濡れの袖を掴んでそう言った。
「君に…何がわかるの?」
優しくされてることに徐々に苛立ちが生まれる。
「僕の何がわかるの?僕は何も悪くないのに!外来人ってだけで足蹴にされて、悔しい思いもしたっ!それでも、もう誰も傷つけたくない!何も壊したくない!これ以上嫌われたくない!一人ぼっちになりたくない…」
『自分を受け入れてくれない物なんて、壊せばいいんだよ?そうすれば楽になるよ?』
左目が何もかも喰らえと叫ぶ。
「僕は本当の化物にはなりたくない!なのに、なのに!ずっと彼奴が僕に囁くんだ!壊せって!だからぁぁぁ!僕はぁぁぁ…」
その時、不意に少女が僕を抱きしめた。その少女の小さな体からとても大きくて優しい温かさが伝わる。そう…まるで…
「わかりません…私に貴方のこれまで受けてきた苦しみを…私が理解する事は出来ません。でも、これから貴方が受ける苦しみなら、少しだけ、私が和らげることができます…」
少女はさらにこちらを強く抱きしめる。
「そんなの、無理に決まって…」
「私がやると言ったらやるんです!」
ああ、そうだ…やっぱり、この人は…
僕の母さんに似てるんだ。
「…でも僕は…ばけ…」
「貴方は、人を…何かを壊すだけの化物なんかじゃない…貴方はそんな汚れた存在なんかじゃない!」
少女が抱擁を解いて、僕と目を合わせる。その目は微かに濡れていた。
「綺麗な目ですよ。少し気持ちが高ぶってるだけ。私は貴方の味方。気持ちを落ち着ければその目は治りますよ。」
言われた通りに目を閉じ、深く深呼吸をする。そして目を開ける。
「ほら…綺麗な目…」
少女は優しく微笑み、僕に鏡を見せる。そこに写ったのは懐かしい人の目をした自分だった。
最近別の件で小説を書いた(書かされた)のですが…徹夜はやっぱり辛いものです…皆さんも徹夜には気をつけましょう…私が言えたことじゃないですが…
ではまた次回でお会いしましょう!