少女達の真影、正義の味方の証明   作:健氏朗

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皆さん、お久しぶりです。ようやく時間を見つけての投稿です。今回はいよいよ蛇女の襲撃編です。戦闘シーンを書くことのなんと難しいことか(;´Д`) それではお待たせしました! ごゆるりとご覧あれm(_ _"m)


蛇は迫り、影は迎え撃つ

現在時刻は午前の5時、早朝とも言えるこの時間帯の学校はまだ生徒もおらず静かなもの。仮にいるとしたら一早い出勤の教師か用務員くらいだろう。そんな静寂に満ちた校舎で見慣れないものが徘徊していた。

 

それは球体状の謎の物体だ。球体は宙に浮かびながらフワフワと飛び回り、所々でピタッと止まる。そのままじーっと静止しては再び動き出すという行動をひたすらに繰り返している。この場に誰かがいれば即座に通報もしくは報告されるであろうがあいにくと物体が飛び回る箇所は人が全くおらず、まるで自分の庭であるかのように飛び続ける。

 

何度目になるか分からない静止からまた動きだそうとした球体が今度は完全に停止した。……いや、破壊されたと言うべきだろう。

 

「やれやれ、用意周到だな」

 

声の主、士郎はそんなぼやきをこぼしながら手に握っている鎖を引き寄せる。同時に鎖の先端に繋げられた短剣が手元へと戻ってくる…球体を貫いたまま。

 

士郎が手にしている武器は釘状の短剣を鎖で繋いだもの。かつての仲間であるライダーのサーヴァント、メドゥーサが愛用していた武器だ。

 

「ふむ、思ったより早く行動に出たな」

 

手に収まった球体を呆れた目で見ては後ろへと目線を配る。そこには形状も色も全く同じ物がいくつも転がっていた。その全てには等しく、ゴルフボール大の風穴が開けられており機能を完全に停止されている。

 

この物体は忍道具の一つであり、主に偵察に用いられる物。特殊部隊が扱うドローンと似て非なる代物だ。状況を省みるにわざわざ学園を偵察するものの意図は限られる。勢力分析のためか、襲撃するための様子見か、…もしくはその両方か。どちらにせよ友好的な手段ではあるまい。

 

「はてさて、鬼が出るか蛇が出るか…」

 

衛宮士郎は未だ影に潜む…しかし、その鷹の目を常に光らせて機を待ち続ける。…自身の日常を守るために。

 

 

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半蔵学園の隠し部屋にて少女たちは嫌に緊張した雰囲気を醸し出している。いつもは陽気な葛城でさえ表情が強張っている事から非常事態だと伺える。

 

「それは本当なの? 葛ねえ」

 

「間違いない、この隠し部屋を探し当てて記録を取っていたのが何よりの証拠だ」

 

ちゃぶ台の上に置かれた偵察機を睨みながら告げる葛城。

 

「…となると、いつ攻め込んできてもおかしくない」

 

「そうですね…。しかし迂闊でした、今に至るまで潜入に気付かないなんて」

 

斑鳩が渋い表情を滲ませる。この偵察機が正確にどれほど長く潜伏していたかは分からない。だが、学園の隠し部屋はあっさりと見つかるほど容易ではない。その点を見積もればこの部屋が判明するまで侵入を許したことになる。

 

「敵…、戦うことになるのかな…」

 

不安を隠せずにいる雲雀は無意識に手に力が入る。少女たちは一人前の忍になるべく懸命に己を鍛えてきた。そこに一切の抜かりはない。けれども、実質彼女たちにとってこれは初の実戦なのだ。それぞれが抱く感情は違えども、この事態に対する緊迫感はみな同じだ。

 

「でも、一体誰が…、っ!」

 

「っ! 噂をすれば、だな。来たぞ!」

 

飛鳥の疑問を遮るように気配が生じ始める。一部の場所が現世から切り離される独特の違和感。それは間違いなく、忍結界だった。そこからは飛鳥たちは脊髄反射の如く、弾けるように学園の外を目指した。

 

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学園の校門から1人の少女が入り込む。生徒が学校に入ると言う行為事態は珍しくもなんともない事だが彼女の場合、普通とは逸する点がいくつもある。

 

その内の一つは少女の着ている制服が学園のものではない。この時点で彼女は他校の生徒であることが窺いしれる。そして女生徒はあろうことか武装していた。ナイフや木刀といったそこらのチンピラが扱うような生易しいものではなく本物の刀だ。それも一本二本ではなく、計7本の刀を背中に差している。

 

……極め付けは、常人では決して出せない鋭くも濃密な殺気が彼女から放たれていた。

 

「ほう…、来たか」

 

校庭に躍り出て来た飛鳥たちを視界に捉えた少女は好戦的な笑みを浮かべたまま語りかける。有無を言わさない気迫は容赦なく飛鳥たちにあびせられ、一般人であれば竦みあがるほどだ。

 

「お前…、何者だ?」

 

剣呑な雰囲気に晒されながらも葛城は己の内から湧き上がる闘争心を抑えきれず、獰猛な笑みが零れ始める。自他共に認める修行好きである葛城は己を鍛え上げることはもちろん好きだが、最近の彼女はもっと別のものを求めている。

 

…それは強者との勝負だ。

 

葛城は半蔵忍学生の中でも上位の実力を誇っている。しかし、それはあくまで5人の枠組みの中での話だ。本人としてはそんな狭い範囲で満足するつもりは毛頭ない。強い者と戦いたい、その果てに強くなってさらなる強者を…。

 

その一歩目になる強敵が今まさに目の前にいる。

 

「私の名は焔。 秘立蛇女子学院の忍学生だ」

 

女生徒から出てきた名に驚愕が走る。

 

蛇女子学院。暗殺、破壊活動、妨害工作を主とする悪忍を養成する学校…、いや組織と言ってもいい。存在こそ忍界では広く知られているが規模も戦力も、その組織の目的すら一切が謎だ。そしてそれ故に恐れられている、戦力差のある相手より未知の実力を持つ相手の方がよっぽど厄介だからだ。

 

「お前たちはこの学園の忍学生だな?」

 

確信めいた風に問い掛ける少女に一同は緊張に身体が強張る。武器に手こそ伸ばしていないものの、いつでも抜けるように、不自然に見えないよう構える。

 

「ちなみに惚けなくてもいい。分かっているだろうが映像は既に確認している」

 

誤魔化しの予防線を張られ、出鼻を挫かれる。ここまで来たらもはや衝突は免れない。…いや、葛城にとっては望むところだ。

 

「焔ちゃん…」

 

「! お前は」

 

強張った顔で焔の前に進み出る飛鳥。ほんの数日前に出会った少女が自分たちの敵、悪忍であることに未だに戸惑いを隠せない。

 

「なるほど…、身のこなしから只者じゃないとは思っていたが同じ忍なら納得だ」

 

「焔ちゃん、どうしてわたし達の学園を狙うの? 何が目的なの?」

 

問いかける飛鳥に場の緊張感が一気に強まる。屋外であるにも関わらず、人気を感じない静けさが支配する。そしてその静寂の中、焔は再び口を開く。

 

「…超秘伝忍法書を渡してもらおう」

 

超秘伝忍法書、各々の忍学園に存在すると言われる高位の秘奥が記された巻物。それだけに危険な代物であるため、封印という名目で学園によって管理されている。当然、はいそうですかと渡せるわけがない。

 

「いやだ…、と言ったら?」

 

もう我慢できないとばかりに葛城は前に出る。挑発の言葉から感じる圧力が、明らかに好戦的な目が、全身から溢れ出る剥き出しの闘気が今すぐにでも戦いたいと訴えている。

 

「当然、力ずくで奪うまでだ」

 

焔の応えに葛城は構え、いよいよ開戦するかと思いきや予想外の人物から止め入られた。

 

「待って、かつ姐! 焔ちゃんとはわたしが戦う」

 

飛鳥の言葉に葛城は驚愕の顔で振り向く。雰囲気からして飛鳥と焔は顔見知りなのだろう…だが、せっかく訪れた絶好の機会に譲ることもできずに答えに窮してしまう。そんな葛城の姿を見かねたのか介入者がもう1人現れる。

 

「そんなに戦いたいんやったら、ウチが相手になったる」

 

焔の背後から音もなく現れたのは緑色でショートカットの髪を持つ女生徒。進み出る動作は気だるげであり、やる気のない印象であるにも関わらず一部の隙も見出せない。

 

「…誰だ?」

 

「日影…、同じく蛇女子学院の忍や」

 

自己紹介をする日影に葛城は再び闘志を湧きあがらせる。もっと言えば日影の名よりも知りたいことがある。

 

「お前…、強いのか?」

 

そう、日影の実力の程である。ただの敵では満たされない、己と互角かそれ以上の存在でなければ意味がないのだ。

 

「強い…か、せやなぁ…少なくともアンタよりは強いかもな」

 

それは武に自信を持つ者にとって侮辱とも取れる言葉。無表情で言う姿は単に事実を言っているようにも見え、大抵の者なら神経を逆撫でされるだろう。

 

「いいねぇ…気に入った」

 

気分を害するどころかますます高揚する葛城。相手の態度は自信の表れでもあると受け取れる…ならば。

 

「じゃあ…、直に確かめてやる!」

 

互いの力をぶつけるのみ。

 

 

 

_______________________

 

 

結界によって人気のない校内を素早く、されど静かに走り抜ける。共に連れてきた部下共々察知能力を全開に広げながら視線を巡らせる。

 

「隈なく探しなさい、でも深追いは禁物よ」

 

「「「はい、春花様」」」

 

指示を飛ばしながらも捜索の手を休めない。今回の作戦はあくまで書の在処…その所在地の特定だ。外で焔が半蔵の忍たちを引きつけてる間に何としても突き止めなくては。

 

「(まぁ、欲を言えばここで奪っておきたいところだけどね…)」

 

ぼやきを胸の内に留めつつ、次のエリアの捜索に移ろうとしたその時…。

 

「っ!?、誰!!?」

 

濃密な殺気、それも周囲に撒き散らすような粗野なものではなく寸分違わず射抜くような鋭い殺気。それを敏感に感じ取った春花はクナイを抜き構える。部下たちは遅れたもののすぐさまに武器を手に持ち、春花が警戒を向ける方向へ集中する。

 

「ほう、流石は蛇女子の忍だな。気配の察知は一級品のようだ」

 

階を繋げる階段…春花たちから見て丁度陰になってる場所から人影が姿を現わす。

 

 

まず目に映ったのは赤…赤で染められたフードとマントで覆われた高めの背丈。対面した瞬間に見えたのは髑髏の仮面、在り来たりな表現ではあるがその様は赤い外套の死神に見える。

 

「こんにちは、半蔵学園の忍かしら?」

 

「さてね、ご想像にお任せしよう」

 

呑気な挨拶を交わしながらも構えを維持する春花。結界に入れる時点で答えは分かりきっているというのに茶番のような会話はなおも続く。当の春花はと言えばその間に目の前の髑髏の怪人を懸命に分析するが肝心の標的は体躯を外套で覆っていることと仮面を被っているため判別が難しい。

 

辛うじて分かるのは渋みのある声と外套から覗いている腕の筋肉から男性である可能性が高いと言うことくらいだ。とはいえ、それすら変化の術で誤魔化しようはある。

 

「出来ればこのまま見なかったことにして欲しいところだけど…、無理よね」

 

「ああ、すまないがこちらも仕事でね」

 

肩をすくめる髑髏仮面の返答に部下たちが前へと躍り出る。

 

「春花様! ここは我らにお任せを」

 

「 待ちなさい!」

 

春花の制止も虚しく得物を手に接敵する三人衆。彼らは春花より格下とはいえその実力は折り紙つきだ。ましてや3人の力を合わせての連携はお手の物である。

 

「任務のためだ、邪魔者は排除する」

 

冷酷に告げる下忍は小太刀を手に髑髏仮面へと斬りかかる。静かでありながらも正確に首筋を狙った太刀は男が半歩引き、スウェーバックする事で紙一重の回避に成功する。…だが。

 

「っ! ほう」

 

上体を逸らしたことで微量ながら意識が弱まった足元目掛けてクナイが飛ぶ。致命箇所ではないが十中八九毒が仕込まれているであろう凶器を避けるため、半歩から一歩に切り替えたバックステップへ移行するがまたしても邪魔が入る。

 

「捕らえたぞ!」

 

3人の中で最も距離置いていた部下が印を結び終え術が発動する。すると足元から突如大量の蛇が現れ、髑髏の片足に絡みつく。あまりに非現実な現象に蛇の正体が幻術であることに気づいた時にはすでに遅く、とどめを刺さんと頭上と背後に下忍2人が襲い掛かる。

 

「「覚悟!」」

 

しかしなおも男は焦りを一切見せない。髑髏…いや、士郎は既に頭に描いて置いた設計図通りに武器を外套の中で投影し、足元を始点に背後頭上をも狙った斬撃が放たれた。

 

「バカな!?」

 

吹き飛ばされた2人に術の発動者が代弁するかのように驚愕が露わになる。3人が披露した通り、彼らの連携はそれぞれ役割が課されて実行される。1人は接近戦と足止め、もう1人は飛び道具や小道具による撹乱、そして最後の1人は術を行使しての妨害と援護。

 

幻術での拘束が成功したら接近担当が、或いは2人がかりでトドメを刺すというのが彼らの戦法だ。通常、幻術に対抗する場合は同じ系統の術で解くのがセオリーだ。しかし対策もしていない相手が太刀の一振りで幻術を"斬る"など誰が予測できようか?

 

「隙だらけだぞ」

 

宙に浮かされた2人に士郎は短剣を投げ放つ。回避が叶わない下忍たちは当然己が武器で短剣を弾く決断を下すがすぐにそれが下策であり、士郎の狙い通りだと知った。

 

「ぬっ! うぉわぁぁ!!」

 

「なんだコレは!!?」

 

弾かれた短剣に続くように赤い布がそれぞれの体に巻きつき、たちまちに拘束した。赤布の名は「マグダラの聖骸布」士郎の知己、カレン・オルテンシアが所持している対男性拘束礼装だ。本来男性である士郎にこの聖骸布は操れないのだが、投影した短剣に結び付けて投げることで効果を発揮したのだ。

 

「何故だ!? 縄抜けができん!!?」

 

「力が…入らない……」

 

そしてその効果は世界が違っても絶大であり、本来なら拘束を抜ける技にも長けた忍の抵抗すら許さない。赤い蓑虫が二匹出来上がった所で士郎は残敵へと向き直る。

 

「下がりなさい…幻術が無効化される以上、勝負にならないわ」

 

「春花様…」

 

連携が要となる彼らでは髑髏の相手にならないと判断した春花は最後の一人を前線から下げ、部下二人の拘束を解くために当たらせる。

 

「歯ごたえがなくて退屈だったでしょう? 今度は私が相手をしてあげる」

 

口調だけは余裕たっぷりに聞こえるが、内心では冷や汗が出るのを精神で無理やり抑えている状態だ。たとえ実力差があっても自らの焦りを相手に知られてはならない。そんな事態になれば万に一つの勝機すら奪われてしまうからだ。

 

「実に光栄だ・・・。では僭越ながら相手をしよう」

 

幻術を斬った太刀を外套にしまったかと思えば、次いで白黒の双剣を抜き放つ。髑髏は左右の剣をだらりと下げて自然体で立つ。一見脱力しきった体勢の見えつつもその実、一部の隙も無く、むしろ気押されてしまうほどの気迫を感じる。その圧力に耐えながらも春花は自身のペースを保つ。

 

「私の名前は春花、貴方はなんて呼べばいいかしら? 流石に髑髏じゃ捻りがないわ」

 

「本来なら教える義理はないが、コードネームで良ければ名乗ろう。私の名は鉄心」

 

「鉄心・・・響き通り、重苦しい名前ね。でも覚えておくわ」

 

 

波乱の一日はまだ始まったばかり・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 




「・・・・・」

「ん? おやおや、これは読者の方々ですか。作者の部屋へようこそ、私は作者カルデアのサーヴァントが一人、パラケルススです」

「・・・作者ですか? 彼でしたらそこで再生途中の状態で執筆を続けてますよ?」

(作者、片腕ONLY状態)

「それにしても興味深いですね、あのヘラクレスに殺し切られたかと思ったらミンチ状態から自己再生するとは・・・我らがマスターはいったい何者なのでしょう?」

「まあ、それは置いておいて・・・報告を伝えましょう。当作品の執筆と並行する形で衛宮士郎の転生前の幕間劇を書く方針を決定しました」

作者「(マダ・・キメタトハ・・・・イッテナイ)」

「何か聞こえた気がしましたが、きっと気のせいでしょう」

「幕間もどうか温かい目で見守っください。きっと作者の励みになります」


「では皆さん、また次の投稿で・・・・、ふむ、やはり次の研究テーマは作者の不死身性についてにしましょうか?・・なんにせよまずは工房に運び込んでからですね」

作者「(タ・・・ス・ケ・・テ・・・・・)」

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