少女達の真影、正義の味方の証明   作:健氏朗

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お待たせ致しました、一話の投稿です。序盤から設定を好き勝手したような状態ですが(;´Д`A
それではどうぞごゆるりと…


新たなる旅立ち

今思えば波乱万丈な人生だった。あの大火災から俺は救い出され、養父(じいさん)の理想を受け継いだ事で俺という存在が始まった。

 

焼却された未来を取り戻すためにあらゆる世界を、あらゆる時代を、そしてあらゆる国を渡り歩いた。険しい旅ではあったけれど、それ以上に思い出に溢れた旅路だった。特異点先で新しい英霊(なかま)と出会えた、カルデアの職員が諦めずに支えてくれた、二度と会えないと思っていた人達と共に戦えた、………俺を守ると誓った盾の少女は俺を信じて側にいてくれた。

 

激しい戦いの末に人理を無事修復したことで人類は救われ、その後のカルデアは正にお祭り騒ぎだった。そこは人間だけでなく、古今東西の英雄や偉人たちの入り混じった宴会。その有様は正しく混沌(カオス)と言えるだろう。

 

……具体的には騎士王'sと聖処女が暴飲暴食の限りを尽くしたり、酒豪組英霊たちが酒を文字通り浴びる様に呑んだり、その弊害で酔っ払った女性陣が絡んできたり(母性サーヴァントたちの甘やかし上戸が一番きつかった…)、宴会の最中に吐血した天才剣士を介抱したりととにかく大忙しである。

 

そんな調子で一晩が過ぎ、翌日食堂に皆を集めてある事を発表した。遠坂にカルデアを紹介してくれる前からもそうだったが今回の騒動解決を機に再び旅に出る旨を伝えたのだ。……まさか口にした瞬間、食堂が地獄と化すとはおもわなかったが。女性陣の大半には大反対された、それはもう猛烈に反対された。それだけならまだ良かった……だけど旅に出れないよう妨害工作(物理含む)まですることないだろう!? 殺す気か!? 殺す気なのか!!? いやおそらく指一本動かせない程度にまで痛めつけるつもりだったのだろう(死すら生ぬるい)。

…ジャックやナーサリーに涙目で「…行っちゃうの?」と言われた時はどれだけ心が痛んだことか(遠い目)。

 

けれども一番こたえたのはマシュと立花だった。マシュは旅の反対もしたが、どうしても行くなら自分も連れて行って欲しいとまで懇願した。マスターとサーヴァントの繋がりで俺の過去を知ったマシュは俺の在り方の危うさを危惧した。マシュが説得してくるなか、立花は心配そうにしていながらも反対の意を示さなかった。

 

自惚れでなければ本当は内心反対なのだろう。だけど同時に俺が意思を変えることはないと諦めたのだろう。数日に渡る話し合いの末に漸くマシュは折れてくれた…いや、渋々認めたと言った方が正確か。代わりに絶対に無事帰ってくると約束を交わした。そして二人との約束を果たす決意を示すためにマシュと立花に干将・莫耶を模したネックレスを贈った。

 

立花には鮮やかな琥珀を埋め込んだ白の莫耶を。マシュには透き通る様なアメジストが埋め込まれた黒の干将を。そして宝石を埋め込んでいないが干将・莫耶両方が太極図を描く様に合わさったものを自分用に作った。________

必ず二人にまた会えるようにという願いを込めて。

 

 

「そう…約束したのにな。」

 

ふと目を開ければそこには数分前から変わらない光景が映った。薄暗い地通路に喉に短剣が刺さった男の死体、…そして銃痕から夥しい量の血を流す自分の身体。旅先で子供の行方不明者が相次いでいるという情報を聞き調査した結果、街に潜伏している魔術師がその誘拐犯であることが判明した。

 

どうやらこの魔術師の家系は十数年前までは協会からも一目置かれていたが代を重ねるごとに魔術回路が衰退して完全に没落。再び協会に返り咲くために子供を攫っては研究のために人体実験を繰り返していたのだ。

無論、その様な外道を看過できるはずもなく、救出に繰り出した。しかし相手は腐っても魔術師、男の用意周到さは尋常ではなく、慎重を通り越して臆病なのではと勘ぐるほどだ。魔術による迎撃結界、物理的なブービートラップ、果ては両方を合わせた混合魔術式まである始末だ。

 

魔術師を倒し、子供達を監禁部屋から逃していたところを魔術師は意識を取り戻してあろうことか隠し持っていた銃で子供を殺そうとしたのだ。もはやこの男は魔術師としての最後の矜持すら捨てたか…。

 

瞬間的に身体強化を施して子供を守ることはできたが、その代償として放たれた弾丸は俺の肺に命中した。

 

「っ!ガハッ…、はぁ…。」

吐血、先の罠迎撃時もいくつか重症を負ったところをコレがトドメになった様だ。銃弾から逃れた子供は泣きながら俺の心配をしたが今は早く助けを呼んだ方がいいと諭した。……自分は大丈夫だからと嘘をついて。

 

「あの子には、悪いことした…っ、な」

 

大丈夫なわけがない、最後の一撃も含めて致命傷をかなり受けている。良心が苛まれるがああでも言わないとあの子はここに残り続けていただろう。人の心配を無碍にしたくはない、けど……

 

「…本当のことも言いたくないな」

 

そんな呑気なセリフを呟きながら自分の終わりの瞬間を待つ……。ふと視界の端に妙な明かりを捉える。この地下を灯す明かりにしてはおかしいと思いながら上を見上げてみると…

 

「……ははっ、…なるほど、これがお迎えか」

 

そこには円環状の青い光が佇んでいた。…俺はコレを知っている、覚えている。コレはかつてアーチャーの記憶を介して見た……。

__________________世界の末端。

 

アーチャーはこの光を前にして世界と契約した。守護者として招かれたアーチャーは世界の都合で呼び出されては殺害による救いをもたらし続けた。

 

そして今度は俺の番の様だ。光から帯が伸びてくる…、返事を待たずに連れて行くつもりだろうか。

 

「やれやれ、…せっかちなことだな……」

 

光に身を任せて瞼を閉じようとしたその時……。

 

「うーん、このまま連れて行かせるわけにはいかないな」

 

聞こえてきたのは涼やかでどこか胡散臭そうな声。あり得ない、彼がここにいるはずがない。…いや、そう言えばこいつにとって場所など意味がなかったな。

 

「さて、あまり時間がないから手短に説明しよう」

 

気づけば仄暗い地下室は花々が咲き乱れる草原に変わっていた…なるほど、自分の空間を展開することで一時的に俺と世界の接触を中断したか。

 

「まずはあの光だけど、君が知っている通り座の末端だ。ただ違う点があるとすれば君を守護者ではなく、正規の英霊として招こうとしている」

 

なに?……、そんなバカな話があるか。

 

「言いたい事は分かるけど、僕からしてみれば何もおかしいことじゃないよ」

 

苦笑いを零しながら男は続ける。

 

「人の身でありながらも焼却された人類を救ったんだ。

これで偉業じゃなかったら大半の英雄は歴史に名を

残していないよ」

 

なるほど、客観的にみれば確かにそれは偉業になり得る。

しかし、それにあたってもう一つ問題があるはずだ。

 

「偉業をなしたとしても……信仰がなければ意味がない…っ、だろう」

 

傷の痛みに耐えながらも問題を指摘する。そう、偉業を成しても英雄として語り継がれなければならない。俺の場合は人理を修復したことは世界に置いて誰も知らない。

 

「それなら問題ないよ。キミに関する伝承ならカルデアの職員たちがなんとかしてくれるそうだから」

 

……はい?

 

「いやぁ、現代って便利だね! 人伝でなくても技術を介して情報を広められるんだから」

 

ダメだ…もはや話に頭が追いつかない。

 

「さて、今回ここに来たのは君を別の世界へ逃すためだ。魔術協会とやらが本格的にキミを捕縛することが決定してしまってね」

 

…だろうな。隠蔽こそしたもののやはり完全に隠しながら魔術を行使など不可能。遅かれ早かれこうなる運命にあったのだろう。

 

「それとキミを世界の拘束から一時逃れるためにある男がキミの代理として座に赴くことになった。既に"至って"しまっているからね、一度契約を交わした者を世界が見逃すわけがない」

 

男が杖を翳して魔方陣を描いていく。…代わりに? まさかと思うが…。

 

「お察しの通り、エミヤが提案してくれたよ」

 

なるほど、…アーチャーとは聖杯戦争で、そして冠位指定(グランドオーダー)を経て和解した。冬木での戦いで自分殺しに失敗してからは俺の行く末を見届けることにしたらしい。

 

正直、立花がアイツを召喚した時は何とも気まずい空間になったものだ。

 

…む、どうやら魔方陣が完成したようだ。

 

「これでよし、では転移を始めよう。キミが向かう先でも歩みを止めないことを祈っているよ」

 

…言われなくてもそのつもりだ。俺の答はもう見つかったんだ。なら最後の最後まで正義の味方を張り続ける。…皆には心配をかけるだろうけど。

 

「あ、そうそう あとマシュと立花から伝言を預かっているよ」

 

二人から?

 

「"無茶をしすぎないでください"とのことだ」

 

…ははっ、どうせ無茶をしてしまうことはお見通しのようだ。全く…自分のどうしようもなさに笑ってしまう。

 

「あと"約束を破ったからには覚悟していてくださいね"だそうだ」

 

……やっぱり聞くんじゃなかったな。

 

いずれ訪れるであろう恐ろしい未来に戦慄していると視界が白い光に覆われていく。

 

「さあ、旅の続きだよ 衛宮士郎。時期が来ればキミの友たちにまた会えるさ」

 

もう時間か……でも征く前にこれだけは言っておかなきゃな。

 

「ありがとう、マーリン」

 

白いローブの魔法使いは一瞬面食らった顔をするが、それを穏やかな笑みに変えて…

 

「お安い御用だとも」

 

白光は視界一面に広がり、俺の意識が消えた。

 

 

____________________________________

 

 

暗い……、さっきから目を開けようとしているのだが何故か瞼が重い。体は何か暖かいものに包まれているようだが多分毛布か?

 

ということはベッドの上か、もしくは寝転べるソファか…どちらにせよ周りが見えなければ状況の確認もできない。

 

何度目になるか分からない試みに漸く目が開く、

視界の先には……ひどく見覚えのある顔が二つ俺を覗き込んでいた。

 

「いぃぐう?あぁいあん?(切嗣?アイリさん?)」

 

む? 呂律が回らない。体が万全じゃないからか?

 

「あら♪ 今挨拶してくれたのかしら? ええ、おはよう

シロウ」

 

眩しい笑顔を輝かせながらアイリさんは俺に手を伸ばす。

そしてそのままの流れでひょいっと持ち上げた。

 

………大の大人であるはずの俺を。

 

ちょっと待て、仮にもこっちは180cmの成人だぞ!?

アイリさんが強化魔術を使ったとしてもこんな軽々と持ち上げられるはずが、ってか二人とも俺が覚えてるより大きくないか!!?

 

ちょうど向かいに鏡があることに気づき視線を向けると……

 

 

なんとまあ、可愛らしい赤毛のベイビーがいるじゃないですか。

 

 

…………………………………………………。

 

 

「あ、」

 

「シロウ?」

 

「あんぇぁぁぁああああああ!??」

(なんでさぁぁぁぁああああ!??)

 

マーリン……、先ほどは感謝したがこれだけは言わせてくれ。

 

 

これは転移じゃなくて、転生だ!!

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

オマケ

 

 

「ど、どうしたんだ? 士郎。そんな大声をあげて」

 

「う〜ん、でも泣いてるわけじゃないみたいだけど」

 

「(え!?何!? 何故!!?どうして!!?)」

 

「もしかしてお腹がすいたのかしら? ちょうどいい時間みたいだし」

 

「確かにそうだね。じゃあ僕は一足先に昼をいただくよ、あとで士郎は僕が見よう」

 

「ええ、行ってらっしゃい キリツグ」

 

「(落ち着け、俺! こうなった原因は分かっている。あの悪趣味魔法使いのせいだ。ってかアイツ以外に理由はない!! )」

 

 

「は〜い シロウ、ごはんよ」

 

「(おのれ花の魔術師! 今度会ったら固有結界の餌食にしてくれようか? いやそれとも"奥の手"をくれてやるか? ってアイリさん? なんで上着に手を掛けてるんですか? そして何故ボタンを外してる!? 待てよ? 今ごはんって言ったか? …まさか!!?)」

 

 

「お腹い〜っぱい飲んでね、シロウ♪」(ぷるん)

 

 

「(ちょっ、待っt…)」

 

 

このあと滅茶苦茶飲まされた。

 

………何をとは言わないが。

 

 

 

 

 

 

 

 




おめでとうございます、アイリスフィールさん! とっても元気な男の子(英雄)ですよ! というわけで第1話でした。
とりあえず今回のはっちゃけ設定は士郎が切嗣の養子ではなく実子という点です。あと最後のオマケですが、士郎は母性というものを知らないため今回は思う存分堪能してもらいました。良かったね、士郎!(この後無数の剣が突き刺さった死体が出来上がる)
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