少女達の真影、正義の味方の証明   作:健氏朗

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皆さまご無沙汰です、健氏郎です。ちょくちょく書きつつやっと投稿できました。今回は本作品のヒロインが一人の登場です! ではどうぞご覧あれm(_ _)m


ようこそ、半蔵学園へ!

前を見据える。眼前に佇むはかの剣豪の名を借りる群青の侍。対する俺は何合もの打ち合いで既に疲労困憊。

しかし、相手は待ってはくれない。

 

…侍が駆けだす、いや一足跳びで接近した。

袈裟斬り、左薙ぎ、右斬り上げ。

繰り出す剣撃は流れるように自然でありながら閃光の煌めきのように鋭く速い。

 

襲い掛かる剣閃を手に持つ双剣で迎え討つ。

…一合目、上体をずらしながら右の剣で受け流す。

 

……二合目、下から振り上げた左剣で軌道を逸らす。

今の一撃で手元がブレ始める。

 

………三合目、振り上げられる刃を咄嗟に両の剣で受け止める。これで完全にタイミングがズレてしまった。

 

 

双剣が弾かれ、こちらは無防備。侍は既に次の攻撃に移っている。この状況の打破を模索するため思考を高速化する。

 

新たなる剣の投影による防御……不可、まず間に合わない。剣が形を成す前に刀はこの身に到達するだろう。

 

瞬間強化による回避………不可、先の一撃で体のバランスが崩れてしまっている。まともな回避はできない。

 

……詰み、か

唐竹割りが吸い込まれるように叩き込まれ、絶命。

 

 

「フゥゥゥ………」

 

黙想して深呼吸、そして開目。

目の前にはいつもと変わらない道場。陽はすっかり登っており暖かな朝日が差し込んでいる。

 

「もうこんな時間か、少しのめり込み過ぎたな」

 

今回の仮想敵に小次郎を設定してみたが、生きた心地がしないな。本人は自分の剣は邪道と謙遜していたがとんでもない。あのアルトリアさえが認める洗練された剣だ。一瞬でも気を抜こうものなら首と胴体が泣き別れになるだろう。

 

「さて、そろそろ飯の準備をしないとな」

 

朝の鍛錬を完了して朝食の準備をするべく汗を流しに行く。まだ寝てるだろうから起こしてやらなきゃな。

 

 

 

 

 

料理の方がひと段落してある部屋へ向かっていく。切嗣(オヤジ)とアイリさん(母さん)は魔術師としての仕事があるため、よく出張している。なので家を空けることが多く、その間は俺一人で家を切り盛りしている。

 

まだ小さかった頃は二人とも家にいる時は多かったが俺ももう高校生だ、今や二ヶ月おきに一度は帰ってきたりする。と言っても二人とも"もう一人の家族"の顔が見たいから実際もっと繁盛に帰ってきたりするが…。

 

物思いに耽っているうちに着いたか。

 

 

「おーい、朝だぞ〜」

 

襖をボンボンとノックしながら声をかけるが返事はない。相変わらずの寝坊助ぶりだ。

 

「入るぞ〜」

 

襖を開けながら部屋の主に目を向ける。布団から覗く銀髪は朝日を受けて綺麗な雪景色を彷彿とさせる。っとと、見惚れてる場合じゃないな。

 

 

「起きろ、イリヤ。もう朝飯の準備ができてるぞ」

 

未だ布団にくるまってるイリヤを揺する。まさか平行世界を渡ってイリヤと同じ家の下で生まれるとは夢にも思わなかったな。それも冬木で出会ったイリヤではなく、どちらかと言えばカルデアで召喚された別世界のイリヤに近い。

 

 

「いつまで寝てるんだ、ほら さっさと起きる」

 

「……う〜ん」

 

ぐずりながらもゆっくり起きる我が妹。上体を起こして、若干接点の合ってない目で俺を見つけるとほにゃっとして笑顔を浮かべる。

 

「…おふぁよう、お兄ちゃん」

 

「ああ、おはようイリヤ。飯の準備はもうできてるから顔洗って着替えて来い」

 

目的を果たしたので戻って料理を食卓に並べようかと立ち上がる。しかしふと見下ろすとイリヤは動かずこちらを見上げている、というか手を伸ばして何かを待っている。

 

「お兄ちゃん〜、抱っこ〜…」

 

「またか? やれやれ…洗面所までだぞ」

 

「えへへ〜、やった〜…」

 

小学校に入ったばかりの時まではよくせがまれたものだがそれ以降からは段々と恥ずかしいと思うようになったのかその頻度は減った。ただたまに寝ぼけて甘えてくる時もあるが…。

 

 

 

 

歩くこと数分、洗面所まであと少しというところでようやくイリヤの目が覚める。自分がどんな状態か把握して顔がゆでダコも真っ青なほど赤く染まった。

 

「お、おおおぉ、お兄ぢゃん!!!??」

 

「ん? やっと目が覚めたか?」

 

「ゔぁ、私なんでお姫様だっこ!!?」

 

目をぐるぐるさせながら慌てるイリヤ。これもいつものことで運んでる途中で覚醒してはパニックに陥る。

 

「さて、聞く必要はあるか分からないけど。あとは自分で行けるな?」

 

「う、ぅん…アリガトウ、お兄ちゃん…」

 

頭から煙を上げながら洗面所の扉へと向かう。成長したとは言え、根はまだまだ甘えん坊なイリヤ。いずれこういう出来事もなくなっていくかと思うと成長を喜ぶ反面、少し寂しく思ってしまうのは兄バカな証拠だろうか?

 

 

 

 

「戸締りはこれで良し、忘れ物はないか?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

朝食後の片付けも済まし、いざ登校。国立半蔵学園、俺がこの世界で通う高校の名だ。現在住んでる冬木市は俺が覚えている地とほとんど似ている。違う点があるとすればこの高校や都心の立地だろうか。ちなみにイリヤは俺が通う高校より少し手前にある稲穂群小学校に通っている。

 

当初は別の学校に入学しようかと思ったが、雷画じいさんの紹介で知り合った人の勧めでこの半蔵学園に受験した。まさか二度も高校に通うことになるなんてな。

 

そうそう、ここに生まれてからもう一つ変わったことがあった。初めて同い年の幼馴染ができたのだ。と言っても雷画じいさんの友人のお孫さんで現在同じ高校に通う2年生。

じいさんの友人に紹介される当日に知り合ってからイリヤも交えてよく一緒に遊んでいた。

 

「士郎くーん! イリヤちゃーん!!」

 

と、噂をすれば影だ。件の幼馴染は手を振りながらこちらへ駆け寄ってくる。

 

服部飛鳥、雷画じいさんの親友である半蔵さんの孫娘。艶がかった黒髪をポニーテールにしている活発な印象の女の子。トレードマークの赤いスカーフを首に巻いて今日も元気に挨拶する。

 

「おはよう! 二人とも」

 

「ああ おはよう飛鳥」

 

「おはよう、飛鳥お姉ちゃん」

 

 

お互いに家が近いこともあり、よくこうして一緒に登校している。

 

「今日はいつもより遅かったけど何かあったの?」

 

「ああ、まあイリヤが寝坊してしまってな」

 

「うぅ、ごめんなさい…」

 

別に悪いことじゃないがいつもは飛鳥の家で合流して登校しているためイリヤがバツの悪い顔をする。

 

「気にしなくてもいいよ。でも早起きは健康への第一歩なんだからもうちょっと頑張ろう?」

 

「頑張ってるんだけど、やっぱり布団の誘惑に勝てないというか…」

 

 

世間話を続けてるうちにイリヤが通う小学校へ見送り、俺たちも半蔵学園に着く。途中で知り合いや教師に挨拶を述べて教室の扉を開ける。

 

 

「おはよう衛宮」

 

「おはよーあっちゃん!エミやん!!」

 

「今日も一緒に登校? 相変わらず仲良いわね〜」

 

 

クラスメイトの茶々を流しつつ挨拶を交わす。といきなり首に腕を回される。

 

「おいおい、衛宮〜。また嫁さんと登校か〜? 」

 

絡んでくるこの男子の名は小山 武(こやま たける)、男友達としては気さくで話しやすいヤツだが、オープンスケベで男女関係に少しがっつき気味なところが女子に少々不人気な男である。

 

「嫁って、飛鳥とは幼馴染だけどそんな関係じゃないぞ? そもそも付き合ってないし」

 

「普段のイチャつきぶりから十分そう見えるわ! いいか!?自覚してねえみたいだから言わしてもらうけどな。巨乳の幼馴染、将来性抜群の妹、外国人系美人のお母さん、さらにはそれに付き従う真面目系と無表情系のメイドさん! これだけの美女、美少女に囲まれておきながら自分がどれだけ恵まれた環境に置かれてるか分からんのか!?」

 

 

お前は一度しか顔を見たことないウチの母親までそういう目で見てたのか? あと巨乳うんぬんのところから周りの女子が冷たい目で見てるが大丈夫か?

 

「許すまじ! 断じて許すまじ!! リア充死すべし!! スケコマシ滅ぶべし!!! 羨ましすぎるわ俺と代われこんチクショオオオオオ!!!!」

 

 

あー、最後のあたりで本音が出てるぞ。仮に代われたとしてもお前にイリヤを任せるのは不安すぎるから却下だ。

 

「お前な、美人に囲まれてたとしても異性としての好意がなければただの友人だろ?」

 

大体本人のいる前でそんな話されてもいい気分じゃないだろうに…。

 

「あれを見ても同じ事が言えるか?」

 

小山が指差す先に目を向けるとクラスメイトとコソコソ話し合う飛鳥の姿が。

 

 

「飛鳥飛鳥、エミやんとは何か進展あったの?」

 

「し、進展って 特に…なにもないけど」

 

「…はぁ〜、あんたねぇ たかが一年されど一年よ? もう高校生活の半分にまで迫ってきてるんだからもっとアピールしないと」

 

「そ、それなりには頑張ってるよ! ただ…士郎くん鈍感だから…」

 

「まぁ、エミやんが鈍感なのは周知の事実だけど。それを踏まえてアプローチするんでしょうが!あんたにはそれだけ立派なモノがあるんだから有効活用しなさい」

 

「それは恥ずかしすぎるよ〜!」

 

 

うん? それなりに耳はいい方なんだがどうにも二人が小声すぎてうまく聞き取れない。

 

 

「…二人がどうかしたのか?」

 

「難聴スキルだと!? くっ、ダメだ コイツはもう末期だ…!」

 

 

なんだかものすごく失礼なことを言われた気がするのは俺だけか? …ってクラスの男子も頷いてる…なんでさ。

 

 

「もはや一刻の猶予もない、このままお前を野放しにすれば全国の男子の春が遠のく一方だ! 覚悟しろや、チリ一つ残さずこの世から排除したらぁぁぁぁあ!!」

 

 

 

_____しばらくお待ち下さい_____

 

 

 

 

 

「ホームルームを始めるぞ、先に着け〜。ん? 」

 

 

小山 「(死〜ん)」

 

「…また小山が弾けたのか?」

 

「ええまぁ、いきなり飛び掛かってきたもので」

 

「…そうか、どれくらいで起きる?」

 

「そんなに強く打ってないので一限までには意識が戻るかと」

 

「なるほど、じゃあこのまま続けるぞ」

 

 

担任教師の催促でホームルームが始まる。もちろん小山をそのままで…、ってかクラスの男子数名は小山に同意してたのに手伝わないのか…。

 

男の友情とはかくも脆いものだな。

 

 

 

 

 

 

飛鳥side

 

 

「であるからして_____」

 

淡々と進められる授業のなか、イマイチ内容が頭に入らずぼーっとしている。思い返すのは今朝クラスメイトと話し合っていたことです。

 

……わたしには好きな人がいます。その人はじっちゃんのお友達の孫(血は繋がってないけど)で小さい頃からずっと一緒でした。初めてあった時は同じ子供とは思えないくらい礼儀正しくて落ち着いてる印象があったけど、一緒に遊ぶうちにその人のいろんな事を知りました。その人は優しくて、気配りもできて、お料理も上手で……あと、その…カッ…ぃぃ。

 

で、でも!その人は鈍感です。すごく鈍感です! とっっってもニブチンなんです!!前にそれとなく…告白みたいな事を言ったけど、お友達としてって誤解されちゃいました…。

 

それはそれで嬉しいけど、わたしが期待してた反応とあまりにも違いすぎて落ち込んじゃいました。

 

でも、もしあの人と一緒になるならわたしの秘密をどうするか決めなくちゃいけない。

 

あの人に……士郎くんにわたしが忍だって話すべきかな? でも、もし話す事で今までの関係が崩れてしまったら…。士郎くんはそんな事気にしないかもしれないけど、万が一を考えてしまうとどうしても良くない方向に思考してしまう。

 

それに…もしそれが原因で士郎くんが危ない目にあったら、わたしは……。

 

「__り、おーい、服部!」

 

「っ! は、はい!」

 

「お前がぼーっとしてるとは珍しいな、ん?」

 

「す、すみません…」

 

「まあいい、眠気覚ましだ。この問題を解いてみろ」

 

 

先生に差されて黒板へと歩く。う〜、今日はなんだか嫌なことばかり頭に浮かぶなぁ。

 

変わってしまうのは怖いけれど、このままでいても何も進まない。…もし士郎くんがわたしの秘密を受け入れてくれるなら、………それを叶えるためにもう少しだけ、勇気が欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヒロイン登場編でした。後書きをお借りして士郎が置かれた環境を簡単に説明させていただきますね。まず士郎は現在、原作の武家屋敷に住んでいてそこにはイリヤもいます。セラとリズに関しては今回切嗣たちに同行しているため居ません(主な原因は出張先でアイリさんに料理させないため)。あと今回で登場したオリキャラ、小山君です! 彼は原作の一成や慎二とはまた違った悪友を書きたくて作り上げました。さて、次回は忍学生たちの授業編でございます! その時までまた。

おや? お疲れ様です、アイリさん。え? 差し入れ? これはお忙しい中ありがとうございます! ちなみに中身は? …ほうほう、クッキーですか。痛み入ります、ではいただきます!!(のちに大量に吐血して倒れ伏した氏の姿が発見される)
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