少女達の真影、正義の味方の証明   作:健氏朗

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皆さん、本っ当にお待たせしました(待ってる人がいれば)。今回は柳生編でございます。日常編での展開を少し変えて見ました。ではどうぞ…。


一本釣りの一石二鳥

「…………っ!」

 

「よし、いいぞ。次は奥行きだ、タイミングを間違えるなよ」

 

「柳生ちゃん! 頑張って!」

 

 

ここは商店街の一角に建つゲームセンター。下校時間ということもあって人がそれなりに入り乱れている。そんな中、店の外側に置いてあるクレーンゲーム台を囲むように柳生、雲雀、そして士郎の3人がなにやら奮闘している。

 

より正確に説明すると、普段無表情な柳生がこれ以上ないくらいに眉間に皺を寄せたままクレーンを操作して、傍で士郎がアドバイスを飛ばし、反対側で雲雀が2人を応援している。

 

さて、何故このメンバーがこんな事をしているのか? それを説明するために少し時間を遡らなければなるまい。それはほんの20分ほど前のことである。

 

 

______________________________

 

 

「はぁ〜♪ ケーキ美味しかったね、柳生ちゃん」

 

「いいとは思う、…けどオレには少し甘すぎたかも知れん」

 

商店街を仲良く並んで歩くのは忍学生の内の2人、柳生と雲雀である。事の発端は雲雀が広告で見つけたとあるスイーツ店の新作ケーキを食べてみたいと柳生を誘ったのだ。甘味はそこまで好きではない柳生だが基本的に雲雀には甘いため快く承諾した。

 

「しかし、かなり気に入っていたな雲雀。衛宮の店で食べたものより美味かったか?」

 

2人が行ってきたケーキ屋は簡素な喫茶店も兼ねており折角なので店内で頂いたのだが、その時の雲雀の反応がかなり良かったのだ。

 

「う〜ん、どっちも美味しかったけど。衛宮先輩のケーキは食べた後に次が欲しくなっちゃうの」

 

この意見は雲雀のみならず過去のカルデアの女性客も言っていたことだ。ケーキ作りにおいて士郎は絶妙な甘さ加減を施しており、砂糖ではなく蜂蜜で優しい味に仕上げたり、生クリームにヨーグルトを混ぜて爽やかな風味を付け足したりと工夫している。

 

甘すぎてもいけない、かと言って甘味が足りなくてもいけない。しつこくないギリギリのラインを狙って作られているため、非常にお代わりが欲しくなるのだ。…食事は美味しい方がいいのは当たり前だが美味しすぎるのも考えものである。主に体重計的な意味で。

 

「それより柳生ちゃん、衛宮先輩のこと呼び捨てするのは流石に失礼じゃないかな?」

 

「む…、確かに先輩後輩の間柄なら失礼だろうが本人がそれでいいと言ってるからな」

 

5人娘がカルデアで食事を取っていた日にいたく料理を気に入ってお礼を述べたのだが…

 

回想__________

 

「馳走になっ…りました、衛宮……先輩」

 

「…あー、別に敬語でなくてもいいぞ。呼び名も普段の話し方で構わない」

 

回想終了__________

 

 

柳生は元から一匹狼気質な所がある故、他人をあまり信用しないきらいがある。学校においても他人に対してぶっきらぼうであるため自分から話しかけたすることはあまりない。普段がそんな感じなので敬語なんてものは慣れてないのだ。

 

思わずとはいえ、呼び捨てしてしまう所を許してくれた士郎に若干の話しやすさを見出し、本人の言葉に甘えてそのまま呼んでいる。

 

「もう、柳生ちゃんってば……あっ」

 

会話の途中で何かに気づいて止まってしまう雲雀。何事かと柳生も立ち止まり、雲雀の視線の先を注視すると…。

 

「クレーンゲームか…」

 

見つめる先には一件のゲームセンター。その店の外に配置されているクレーンゲームを雲雀は一心に見つめているのだ。

 

「何か気になるものがあるのか?」

 

「あっ、うん。あのウサギのぬいぐるみかわいいなぁと思って」

 

 

覗き込んで見れば確かに数あるぬいぐるみの中に黒い毛色と鮮やかな赤目のウサギのぬいぐるみがあった。他のぬいぐるみの配色と相まって一際目立つそのぬいぐるみはどことなく寂しそうにも見える。

 

「…雲雀、あのぬいぐるみを取ってやろうか?」

 

「え? い、いいよ。ちょっと気になっただけだから」

 

口ではそう言う雲雀だが、彼女に関しては人一倍機敏な柳生には本心はちょっぴり欲しいという内心を読み取った。昔に実の妹を亡くした柳生は雲雀と出会ってからは何かと彼女を甲斐甲斐しく世話をし、かなり甘やかしている。

 

故に、雲雀が欲しいものなら是非もなし、である。

 

「大丈夫、問題ない。オレが取ってこよう」

 

……そして雲雀のことになると若干テンションがおかしくなるのが柳生である。

 

 

 

 

__________ゲーム開始から10分後

 

「くっ…、またダメか」

 

雲雀にぬいぐるみを贈ろうと奮闘した柳生だが、結果は芳しくない。持ち前の観察力を駆使してクレーンでぬいぐるみを掴むまでには至っているが、肝心のクレーンは力が極端に弱い。いくら位置をピッタリ合わせることができても持ち上げることができなければ意味がないのだ。

 

「…まだだ!」

 

「も、もういいよ! 柳生ちゃん!」

 

負けじと更に100円玉を取り出そうとする柳生に雲雀がストップをかける。ちなみに最初の数トライで手持ちの小銭を使い切り、両替えをしての続行のため使用金額はとうに3千円を超えている。この柳生、必死である。

 

「もうやめよう? 柳生ちゃん。これ以上柳生ちゃんのお小遣いを使わせるのは申し訳ないよ」

 

「雲雀……」

 

雲雀が欲しがっているあのぬいぐるみを取ってあげたい。しかし、これ以上有り金を浪費して雲雀の心情を患わせたくない。せめて次の1回で取れる方法はないかと思案し始めた柳生に馴染みある声が掛かる。

 

「…何か困り事か? 」

 

「「衛宮(先輩)?」」

 

__________忍少女、説明中__________

 

 

「なるほど、あのぬいぐるみが取りたいと…。しかし、やってみてわかったと思うがクレーンゲームのほとんどは簡単に取れないようにできてるからなぁ」

 

「不覚だった。たかがクレーンゲームと侮ってしまった」

 

「残念だけど、取れないくらいに難しいならしょうがないよね。気持ちだけ受け取るから、ね? 柳生ちゃん」

 

 

件のクレーンゲームの難易度に諦めようとする2人に士郎は無言で2人とクレーンゲームを一瞥する。そして…。

 

「なあ、柳生。最後にもう一回だけチャレンジしてみないか?」

 

「え? しかし何回も挑戦してはいるが全く取れない」

 

「なに、少し取りかたを変えれば可能性はなくもないぞ。俺がナビゲートしよう、操作は柳生に任せる」

 

 

…といった経緯で今は士郎と柳生がタッグでクレーンゲームに挑戦するに至ったのである。反則的ではあるが士郎は解析魔術でクレーンの力具合やそこから間接的に埋まってる景品の場所などを知ることが出来るため、取ることは容易い。しかし、そこは女性の機敏に聡い(但し、自分への好意には鈍い)士郎。柳生の様子からして自分の手で贈りたいという意思を汲み取り、自分はあくまで指示するだけにしたのだ。

 

 

「そうだ、そのまま進め」

 

「……っ!」

 

 

普段は冷静沈着な柳生が目を細め、こめかみに一筋の汗を浮かべる姿はなかなかに見れない光景だ。現にそれを間近で見てる士郎も少し笑いそうになる。

 

「ストップ!」

 

「っ!」

 

 

士郎の指示に従ってボタンを離す柳生。しかし、止めた位置に疑問を抱いてしまう。

 

「衛宮、オレが取りたいのはコレじゃないぞ?」

 

そう、士郎が狙い定めた位置…それは目的のぬいぐるみの真後ろである。確かにその位置にもぬいぐるみはあるがかなり埋まっており全貌が見えない。

 

「いや、そこでいいんだ。逆にそこ以外はあり得ない」

 

士郎の言葉と共にクレーンが下がっていく。そのまま片腕が後ろにあるであろうぬいぐるみのタグに通る。狙った景品でないことに目をつぶれば絶好のポイント…しかし、ここで士郎の狙いが見えはじめた。

 

「なに!?」

 

「動いてる!」

 

そう、後ろの景品が引き上げられる度に黒ウサギのぬいぐるみも動いたのだ。ここで説明するとし先ほど述べた通り士郎は解析魔術を駆使して中にある景品をも観ることも出来る。ただ間接的にであるためどんなぬいぐるみかまでは分からないがその"形"は見える。その結果、ウサギの後ろにあるぬいぐるみが下の部分が広がっており丁度掬い上げられるようになっているのだ。

 

 

さらに幸運なことにウサギのぬいぐるみは落とし口のすぐそばにあったので引き上げられた勢いでそのまま落ち、次いで釣り上げたぬいぐるみも景品口に放り込まれる。

 

「…取れた」

 

「スゴーイ!!」

 

側から見れば見当違いの位置から取れたことに呆然と呟く柳生、雲雀は目的の景品だけでなくもう一つぬいぐるみが取れたことにはしゃいでいる。その間に士郎は2つのぬいぐるみを手に取り、黒ウサギを柳生に渡す。

 

「ほら、これだろう?」

 

「あ、ああ」

 

渡された拍子に我に帰った柳生は受け取ったぬいぐるみを雲雀へと差し出す。

 

「雲雀、取れたぞ。オレだけの力では無理だったが」

 

「ううん、とっても嬉しいよ! ありがとう、柳生ちゃん 衛宮先輩」

 

形は違えど、無事ぬいぐるみを雲雀に贈ることが出来たことに微笑む柳生。しかし、今回の報酬はこれだけじゃない。

 

「柳生、コイツは君の分だ」

 

「えっ?」

 

いきなりのことに戸惑う。士郎が渡してきたのはウサギと一緒に取れたぬいぐるみだ。どうやら取れたのは脚を広げたイカのぬいぐるみのようだ。…なるほど、この形のものなら近くのものを掬い上げられるだろう。

 

「いや、しかしそれは悪い…。あれが取れたのだって衛宮のおかげだ」

 

「俺がぬいぐるみ持っててもしょうがないだろ? 無駄にするのも何だし…良かったら受け取ってくれ」

 

少し困った苦笑いを浮かべながら言う士郎。少し遠慮気味にぬいぐるみを受け取った柳生はしばしそのぬいぐるみを見る。雲雀に渡したウサギに比べればイカのぬいぐるみというのはいささかマイナーではあるがスルメをこよなく愛する柳生から見れば悪くない品である。

 

「…衛宮」

 

「ん? 何だ?」

 

 

普段表情を変えることのない柳生は普段雲雀にしか見せない穏やかな笑みを浮かべながら…。

 

「その…ありがとう。ぬいぐるみのこともそうだが、手伝ってくれて感謝している」

 

少しだけ、ぎごちない"ありがとう"を述べる。

 

「力になれたなら何よりだ」

 

 

 

 

柳生side__________

 

飛鳥の幼馴染で、喫茶カルデアの店長、そしてオレと雲雀の先輩に当たる人物…衛宮士郎。あの日、飛鳥に紹介された時どこか聞いたことがある名前に記憶を探った。すると案外、すぐに思い出した。

 

あれはいつだったか、他の一年女子が雑談していた時に衛宮の名前が挙がった。

 

確か最初は学園内で誰が一番かっこいいかとか、同じ学年だと誰がいいか、そんな感じの内容だったと思う。そこから会話が白熱してその流れから…。

 

「でもやっぱり衛宮先輩は外せないよね!」

 

「あ、それ分かる〜! 衛宮先輩って同じ学年の先輩と比べても大人っぽいよね!」

 

「そうそう! 穏やかだし、気遣い上手だし、とにかく紳士的って感じ。そこらの男子が子供に見えちゃうわね」

 

そんな調子で続いてひたすら黄色い声が響いたのはよく覚えている。あの時の女子たちの話と照らし合わせてみる…。

 

まず"穏やかさ"__________

 

初めて衛宮と知り合ってからまだ短いが、第一印象と今回の出来事を通して基本的に落ち着きがある性格だと分かった。何となくではあるが声を荒げたり、周りの男子のようにはしゃぐ姿が想像できない。

 

次に"気遣い"__________

 

この点に関してはカルデアで料理を振舞ってくれた時に確認できた。オレたちがそれぞれリクエストした品を出しただけでなく、特に希望がなかった斑鳩に好物に限りなく近いものを用意した。あれだけ手間のかかる料理でありながらよく作れたものだ。

 

最後に"紳士的"__________

 

これは今回の出来事でよく分かった。ゲームセンターの前でオレたちが事情説明した時、ざっくりとあのぬいぐるみを取ろうとしたとしか言ってないのに自分は指示だけ出すことに徹して操縦をオレに任せた。おそらくこっちの様子を見てオレの手で渡したいのを察したのだろう。…だとしたら大した推察眼だ。

 

__________なるほど、人気があるのも頷けるな。

 

あれだけ美徳があれば女子が騒いでも不思議ではない。後で飛鳥から聞いたが、衛宮は学校でもよく備品などの修理を引き受けているらしい。随分とお人好しな人物だ。

 

ただ、どうやら衛宮に関してその女子達でも知らないことを1つ知ることができた。それは衛宮がかなりの釣り好きだと言うことだ。

 

この前、カルデアで振舞ってくれたスルメイカの天ぷら…、あの時に使ったイカは自分で釣ったものらしい。なんでも商店街の伝手で漁の手伝いをする機会があったしく、その時自分で釣ったものを無料で譲ってくれたとのこと。その話をしていた時、衛宮の表情が楽しそう見えた。

 

………これを知って少し得した気分になるのは何故だろう?

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

「……ふむ」

 

自室で衛宮からもらったぬいぐるみを見る。まさかイカのぬいぐるみなんてものがあるとはな、需要があるのだろうか?

 

しかしぬいぐるみなどオレの柄ではないが、コイツに限っては…

 

「…悪くない」

 

しばらくぬいぐるみを見た後、タンスの上に置く。

 

それにしても雲雀は本当にあのぬいぐるみが良かったのだろうか? 確かに色とりどりのぬいぐるみの中で黒いうさぎというのは珍しい。しかし、あのウサギ…なんと言えばいいのか……デザインがどう見ても…

 

「…腹部分から臓物らしきものが出ていたな」

 

…ああいうのが可愛いのか? …オレには分からないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者カルデアにて__________

メアリー「さて、何故ボクたちが出張ってきたか分かってるよね?」

……投稿がまたもや遅れたことに対するお仕置きもとい、折檻です。

アン「よくお分かりのようで何よりですわ」

…お仕置きはいいのですが1つ言わせて下さい。

メアリー「なに?」

……人数多すぎないですか?

士郎'sカルデアの女サーヴァントたち(ゾロゾロ)

メアリー「あー…、まあ気にしないで」

まあ、いいですけど。お仕置きは出来れば利き手が使えなくなったり、死に至るようなものは勘弁して下さい。

アン「死ぬって…^_^;」

メアリー「その辺に関しては心配しないで、作者が仕事やらボランティアやらで忙しかったのは知ってるから」

…気遣い、痛み入ります(T ^ T)

メアリー「そこで1つ、作者に提案がある」

提案…ですか?

メアリー「担当直入に聞くけど…作者、この作品の幕観劇を書こうか考えてるんでしょ?」

っ! 何故それを!?

アン「もちろん、作者カルデアの協力者から聞きましたわ。そうですわよね?」

ジャック「うん! おかあさんがおへやにいたときにひとりごとでいってたよ」

ジャックぅぅぅぅううう!?

メアリー「今回のお仕置きは一瞬で済むように加減するよ。その代わりに…」

か、代わりに?

メアリー「……ボクたちとシロウのお話を最優先に書いてもらいたいんだ」

士郎's女サーヴァントたち「「「「!!?」」」」

アン「濃密なひと時をお願いしますわね♪」

メアリー「そうだね、またシロウになでなでしてほしいかな」

イシュタル「ちょっと待ったーー!!、それ明らかに抜け駆けじゃない!!」

アン「あら、でもこういうのは早い者勝ちですし」

ブーディカ「あ、じゃああたしもお願いしようかな♪ できれば膝枕してあげてる時にそのままの流れでって感じで」

静謐「あの…私も……」

やいのやいの…

…どうしよう、正式に決まったわけでもないのに話が膨れ上がってる。

マシュ「失礼しますね、作者さん」

ああ、マシュ嬢ですか。

マシュ「はい、皆さんはヒートアップしてますので僭越ながらお仕置きは私が担当しますね」

ですよねー(T ^ T)

マシュ「それでですね…、ぜひ私と先輩のお話を…」

立花「マシュ〜、抜け駆けはだめだよ?」

り、立花嬢まで来てましたか^_^;

マシュ「あ、すみません! そのつい…」

立花「士郎さんとのお話を書いてもらう時は2人一緒に、だからね。というわけでよろしくね! 作者さん」

…はい、善処致します。

マシュ「では、早速…」

あれ? ちょっと待って、マシュの得物って盾ですよね? それでどうやって一瞬で済ませるの?

マシュ「お任せ下さい! 今や私の中の英霊のおかげで大分力を扱えるようになりました。盾による峰打ちもマスターしましたから」

やめて!! それって余計に拷m…!

マシュ「マシュ・キリエライト、行きます!!」


__________僕は最後に…

__________頭上から迫る盾と…

__________分厚い鉄板が衝突する鈍い音と…

__________頭が潰れるかと思うような衝撃と共に…

__________意識を閉ざした。

………途中で肉が潰れるような音が聞こえたのは気のせいだと思いたい。






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