超速い慇懃無礼な従者   作:技巧ナイフ。

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いやぁ、6月ですね。6月って祝日何もないから小中高生や社会人の方々には辛い時期ですよね。

まぁ、自分はそのどれにも当てはまらないのでいいんですが(笑)

そんな作者の悩み、聞いてください。





エアコンが臭い!!


第7話 迅速に雷の如く

「《疾くあれ》」

 

 バチイイイィィィ——……ッ!

 

 頭の中で雷が弾けたような音が鳴り、それと同時に身体が変わっていくのを感じる。

 

 バキバキバキッと背骨を中心に肩、背中、脚……身体中の筋繊維が絞られ、視野は全能者になったかのような広さを見せる。

 

 ……とりあえず3割かな。全力()3割

 

 迫る三閃の雷撃が、ひどくゆったりと動いている。狙いは喉、心臓、腿。

 

 さきほどのように体の一部を動かせば回避できる箇所への攻撃ではない。正確で精密な狙い。動かなければ寸分違わず自分の体に穴を空けるだろう。

 

 だが……遅い。

 

 どんな強固な鎧も盾も意味を為さず、問答無用で貫く雷槍。防御は不可能。当たれば即死。

 

 だがやはり……遅い。

 

 刀を脇構えにして、両足の筋肉だけで一歩目を踏み込む。

 今まで足を置いていた床は爆ぜたが、なんの問題もない。

 

 そんな場所は()()()()だ。一瞬右側に的を失った雷槍も見えたが、どうでもいい。

 

 目の前の男。システィーナを泣かし、辱め、尊厳を踏み躙った人間。

 まずはその右足を刈り取る。

 

 刀を振るい、予定通りその右足を斬り飛ばした。ドブ水よりも汚いと思える血が舞い、生ゴミ(右足)が自分の顔の横を飛んでいる。

 

「———えっ?」

 

 間抜けな声が聞こえるが、特に耳を貸す必要もないだろう。

 

 振り返り様に斬り上げを放ち、無様に体を回してこちらに向いた左腕を肩口から斬り飛ばす。

 

「遅いんだよ、三下」

 

 一言、自分でも驚くくらい冷たい声が口をついた。

 それと同時に男の体を飛び越えて、重力に従いながら残った右腕を斬り落とす。

 

 ここまで斬り刻んで思い至る。この立ち位置では男の返り血をシスティーナが浴びてしまう。

 何者にも汚すことを許されない美しい主の体に汚物を浴びせるわけにはいかない。

 

 その場で自らの体を二回転。回し蹴りを4発放つ。1発目が男を教室の扉まで蹴り飛ばし、続く3発でそれぞれ切断した肢体を同じ場所まで送った。

 

 美しさすら覚える迅速で雷の如く目にも止まらない解体劇。その様相はまさに、【迅雷】と呼ぶにふさわしいものだ。

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

 血がべっとりと付いた刀を握りながら、信一は一仕事終えたようなため息をついた。

 

 教室の扉付近では、さきほどまでシスティーナを辱めていた男が欠損した部分から血を噴き出している。ほんの3秒ほど前までは信一が立っていた場所に五体満足でいたはずなのに。

 

「ごめん、誰かそいつに【ライフ・アップ】かけてあげて。聞きたいことがあるから死なれると困るんだ」

 

 男をそんな様にした信一の口調は……いつもと変わらない。

 馬鹿と言われればムキになり、いつも魔術の学習にやる気がなく、だが不思議と親切で子どもっぽいいつもの口調の信一の姿にクラス一同は狂気を感じた。

 

 クラスメイト達のそんな心情など知らず、信一は誰も動かないことに首を傾げる。

 

 いつもなら自分の頼み事を笑顔で了承してくれるみんなが今は怯えた顔をしている。おかしい、みんなを怯えさせた男は無力化したはずなのに。オカシイナ。

 

「えっと、急かして悪いんだけど動いてくれるかな?早くしないと失血死しちゃうからさ」

 

 そこまで言って、やっとクラスメイトが動いた。3人がかりでジンに白魔【ライフ・アップ】をかけてやってる。

 

【ライフ・アップ】は自己治癒力を上げる魔術なので、欠損した手足が生えてくることはない。ただ皮膚がその場所を覆い、血管などを繋ぐだけだ。

 

 それを見届けた信一は刀を空中で1回転させ、その回転を利用して自分の手首を縛っている【マジック・ロープ】を切り、今なお何が起きたかわからないと言ったように目を丸くしているシスティーナを跪いて優しく抱きしめる。

 彼女の耳を自分の左胸———心臓部分に当て、自分の鼓動を聞かせてやりながら慈愛に満ちた手つきで頭を撫でる。

 

「遅れて申し訳ございません、お嬢様。よく頑張りましたね」

 

 よしよし、と親が初めて1人で留守番をした子どもを褒めるように。安心させるように。

 

 それでやっとシスティーナは自分が助かったことを自覚する。

 信一の鼓動を聞いて安心してきたのか、途端に涙が溢れてきた。

 

「うぅ……ヒグ…エグ……」

 

「もう大丈夫です」

 

 背中をポンポンと軽く叩いてあげれば、システィーナも背中に手を回して思いきり抱き着いてくる。

 いつもキリッとしたシスティーナの変わりように、特に信一は驚くことはない。以前も泣いたシスティーナを見たし、その時も慰めた。

 

「さて……すみません、お嬢様。俺はこれからルミアさんを連れ戻してきます」

 

 システィーナが落ち着いてきたのを見計らって、信一は体を離す。

 

 もうシスティーナは助けた。だが、ルミアはまだだ。もしかしたら今この時、ルミアが慰み者にされている可能性すらある。

 そうでなくとも、苦痛を与えられているかもしれない。

 

 信一は一度自分の席まで戻り、布袋からもう一振りの刀を鞘ごと取り出す。ついでに懐紙も3枚取り出し、2枚をポケットに。残った1枚で今刀に付着している血糊を拭う。

 

「信一」

 

「なんですか?」

 

「私も行く!私も……ルミアを助けに……」

 

「ダメです。危険過ぎます」

 

 こればっかりはいくらシスティーナの言葉でも聞いてやることはできない。今から戦う相手は降参すれば危害を加えてこない生徒でもチンピラでもない。

 

 正真正銘、目的の為なら人を殺す事になんの躊躇いも持たない連中なのだ。

 

 それを伝えようとシスティーナに振り向くと……またも彼女は涙を浮かべていた。

 

「私……悔しくて……」

 

「…………………………」

 

「先生の言う通りだった……魔術なんて…ロクなものじゃない……こんなもののせいで……ルミアが……」

 

「ダメですよ、お嬢様」

 

 言葉通り悔しそうに言葉を紡ぐシスティーナ。それを信一は遮る。

 

「『魔術は偉大で崇高なもの』。お嬢様はそう言い張ると言ったじゃないですか」

 

「え……?」

 

「お嬢様は正しいんです。だから俺はそれを証明します」

 

「どうやって……?」

 

 正論に対し、それを覆すように放たれるものが反論とされる。

 

 この正論(システィーナ)を覆さないように、反論をさせないようにする手段は確かに存在する。簡単な話だ。反論する者を消せばいい。

 

 つまり……

 

「———こいつらを殺します」

 

 信一がそれを口にした瞬間、教室の空気が底冷えしたような錯覚を覚える。

『殺す』という言葉をなんの感慨もなく使ったこと……ではない。

 

 それを実行することに、この朝比奈信一という男は何も感じてないのだ。

 

「フィーベル邸に住む方々に害を為す者は、生きる価値なんてありませんから」

 

 にっこりと、いつものように笑う。優しく、安心させてくれる微笑み。いつも通りの笑顔。

 

「ごめん、信一。でもやっぱり……私もルミアを助けたい!」

 

「ダメです」

 

「足手まといになるようなら捨てて行ってくれても構わないから!」

 

「…………………………」

 

「だからお願い!私もルミアを……家族を助けたいの!!」

 

「———っ!?」

 

 それは卑怯だ。その言葉を言われてしまったら……自分は了承しなくてはならない。

 

『家族を助けたい』という気持ち。そして助けられなかった気持ち。どちらも自分は知っているのだから。

 

「……1つ、約束してください」

 

「なに?」

 

「“絶対に俺から離れないこと”。それが条件です」

 

「わかった」

 

 真っ直ぐにこちらの目を見て答えるシスティーナ。敬愛する主の目を見て、内心で深くため息を吐く。

 

 ……こういう人だったね。でも、こういう人だからこそ俺は———

 

 自分の全てを投げ捨ててでも守りたいと思うのだ。

 

「それでは手始めに敵の情報とルミアさんの居場所を聞き出しましょう」

 

 信一は優しさ溢れる微笑みを一気に冷たい微笑みに変えて、床に転がるジンに向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 廊下にジンと、ついでに切断した肢体を蹴り出して教室の扉を閉める。

 

 これから行うことを、ただ巻き込まれただけのクラスメイト達に見せるのは気が引けた。

 

「くくく……」

 

「…………………?」

 

 足元で転がるジンが突然笑い出したことで信一はそちらに注意を向ける。

 

「お前、まともなガキじゃねぇだろ?たぶんこっち側の人間だ」

 

「…………」

 

「俺らと同じ外道だ……がぼぉっ!?」

 

 ジンが可笑しそうに話す途中で、信一は左手に持っている刀を鞘ごと口に突っ込む。

 

「黙れ。誰がしゃべって良いって言ったのかな?」

 

 両手を失っているジンは苦しそうにもがくだけで何もできない。その光景を数十秒ほど眺めて、刀を口から抜いてやる。

 

「ゴホゲホゲホっ……てめぇ……」

 

 今の衝撃で折れた歯がボロボロと口の端から零れ落ちているが、恨めしそうにこちらを睨んでいるジンは特に気にしている様子はなかった。

 

「何か勘違いしてると思うから言っとくね?俺、今あんたの事を人間扱いする気ないから」

 

 冷たい目をしている。ジンに対してどこまでも無価値だと感じている冷たい目。

 

 今の信一は彼の人権を尊重するつもりも、人道的で倫理的な措置をするつもりもなかった。

 ただ、自分の質問に答える為に生かしている人の形をした肉塊。その程度の認識だ。

 

「まぁわかってると思うけど、これからあんたの事を拷問しようと思う。できるだけ早くに答えてね?」

 

 そう言ってジンの残った左足のふくらはぎに刀を刺し込む。

 

「ぐあぁ!」

 

 悲鳴を上げるが、信一はいつもの笑顔を浮かべるだけで特に気にしない。

 

「まず1つ目。あんたらの目的は何?どうしてルミアさんを攫おうとしたの?」

 

「……………………………」

 

 だんまりを決め込むジン。数秒待っても答えが返ってこないので刀をふくらはぎから抜く。

 

「よっ……と」

 

「うぐっ………あぁ…っ!」

 

 バキャッ!と音が鳴り、ジンの足首が本来なら曲がらない角度まで曲がる。

 今度は刀を耳に添え、もう一度同じ質問。

 

「はっ、言うわけねぇだろ」

 

「ふぅん」

 

 口答えされたので、容赦無く耳を斬り落とす。ボタボタと止め処なく血が流れ落ちているが、このくらいなら失血死の心配はないだろうと処置をせずにまた同じ質問を続ける。

 

 その一方的な拷問の光景を、システィーナは顔を青くしながら見ていた。

 信一の表情はいつもと変わらない。毎日見ている優しい微笑みを顔に貼り付けている。

 

 だがその表情で行なっているのは、おやつを作るのでも、お茶を淹れるのでもない。

 人権、倫理、道徳、そんなものなど知らないと言ったように。子どもが無邪気に虫の羽をちぎるように人を傷つけている。

 

 バシュゥと鈍い音がなり、靴越しに足の指が2本斬り飛ばされた。ジンの苦悶の悲鳴が上がるが、信一の口調と表情になんの変化もない。

 

「う〜ん……弱ったなぁ。どうしたもんか」

 

「ハァ……ハァ……へ、もう諦めろよ」

 

「うるさい」

 

「ぐっ!?あぁ……」

 

 グシャアァ——ッ!

 

 足の小指を思い切り踏み潰し、その部分から血が広がっていく。

 

 もはやジンの体は無傷な場所を探す方が困難な程ひどい有り様になっていた。だが、信一の手が休む事はない。

 

 残された足の指を折り、膝の関節を破壊し、背中の皮を剥がす。

 

 ここまでされれば、もはやジンの精神は削られ切っていた。

 そんな彼の心情など関係ないと言わんばかりに、抉り取った右目を自らに食べさせようとした時だ。

 

「も…もう……勘弁してくれ……」

 

「ん?質問に答える以外はしゃべっちゃダメだよ」

 

「ぐあぁぁぁぁっ!!」

 

 最初に刺し込んだふくらはぎにもう一度刀を突っ込み、グチャグチャとかき混ぜるようにすると血の汚い音が響いていた。

 

「じゃあ、質問に答えてもらおうかな。ルミアさんを攫った目的は?」

 

「そ…組織の命令だ」

 

「なるほど。ちなみに組織の名前はなんて言うの?」

 

「“天の智慧研究会”……」

 

「マジか……」

 

 “天の智慧研究会”。それは、帝国有史時代から国に敵対してきた外道魔術師集団だ。

 “天の智慧研究会”に所属する者が真に優秀な魔術師であり、それ以外は有象無象の塵芥。魔術の発展の為ならどんな犠牲も厭わない最低最悪の外道ども。

 

「それじゃあ、あんたの仲間たちの情報をちょうだい。とりあえずさっき一緒に入ってきた奴のから」

 

「…………名前はレイク」

 

「それ以外も」

 

「ぐがぁっ!」

 

 肩に刀を刺し、軽く持ち上げて顔から床に落とす。両手のないジンはそれを受けるしかない。

 

「くぁ……お…主に使う魔術は……」

 

「ん?なんだあれ?」

 

 ジンが紳士然とした男———レイクの情報を吐こうとした瞬間、その場に魔力の共鳴音が鳴り響いた。周囲を見渡すと、信一たちを囲むように空間が歪んでいる。

 そして、その揺らぎから二足歩行の骸骨がぞろぞろと出てきた。手には剣と盾を持っている。

 

「やっとお出ましだぁ!レイクの兄貴お得意、召喚【コール・ファミリア】」

 

 さきほどまでの様子はどこへやら。ジンが威勢を取り戻し、歓声をあげる。

 

「チッ……お嬢様、走ってください!」

 

 一目でこの骸骨———ゴーレム達の運動能力の高さを見抜き、信一はすかさずシスティーナを促す。

 それと同時にジンの残った左足を斬り落とし、左手の刀の鞘にジンの襟を引っ掛けて走り出す。

 

 この男にはまだ利用価値があり、手元に置いておきたい。用済みになればすぐにでも捨てるが、まだ情報を持っている。なにより、まだルミアがどこにいるか聞き出してないのだ。

 

「クソッ」

 

 どうやらゴーレム達は見える範囲の敵しか襲わないようで、教室に入っていくことはしない。それが唯一の救いだが、逆に言えばそれしか救いがない。

 

「《疾くあれ》」

 

 バチイィィィィィ———ッ!

 

 頭の中で雷が弾けるような音が響く。

 

 進行方向を塞ぐように立ちはだかる三体のゴーレム。

 

 まずは一体目の胴体に渾身のドロップキックを見舞い、反作用の勢いで後方宙返り。一体目の横にいたゴーレムの脳天に宙返りの勢いを乗せた膝蹴りを叩き込む。

 

 二体がバラバラに砕けたことでゴーレム達が持っていた剣が持ち主を失い空中を彷徨う中、タイミング良く剣の柄尻を押し込むように蹴り込み、即席の矢で三体目のゴーレムを射抜いた。

 

「お嬢様、この階では戦えません。上の階に向かいます」

 

「わかった」

 

 騒ぎを聞きつけて教室からクラスメイト達が出てこられては敵わない。さすがにあの数のゴーレムの中彼等まで守ってやれるほど信一は強くない。

 

「あまり刀は使いたくないなぁ……」

 

 苦々しい表情でひとりごちる。蹴った感触でわかったが、このゴーレム達はかなり堅い。斬ることが目的の刀ではすぐに刃こぼれが起きてしまい、最悪折れてしまうだろう。

 

 だが、絶体絶命というわけではない。

 

 ゴーレムを三体倒す時に使った【迅雷】のおかげで、この有象無象を一掃する技を思いついていた。

 

 普段の自分なら絶対にできない技。しかし、【迅雷】を使った状態の自分なら可能だ。迅速に雷の如く、この骸骨共を一掃できる。

 

「ちょっと失礼しますね」

 

「え……うわぁっ!?」

 

 右手に持っていた刀を逆手に持ち直し、システィーナを脇に抱える。女性の抱き方については0点だが、今は仕方ないだろう。なにより、0点なんてものは慣れ親しんだ点数だ。

 

 もう一度【迅雷】を使い、階段の壁を三角飛びの要領で蹴る。一歩で踊り場まで辿り着きまた同じようにして上の階に飛ぶ。

 

「信一!こっち行き止まりよ!」

 

「問題ありません」

 

 システィーナの言う通り、袋小路になった行き止まりまで辿り着いてしまった。

 だが、これで良い。狭い廊下。天井もそこまで高くない。ここなら———できる。

 

 振り向くと、ちょうどゴーレムの先頭が階段を登りきったところだった。

 信一は左手の刀の鞘をジンごと捨て、二刀をダラリと垂らす。

 

「フゥゥゥ……」

 

 大きく息を吸い、深く吐き出して静かにゴーレム達を見据えた。

 

 垂らしていた二刀を肩に担ぎ、さらに体を弓なりに仰け反らせていく。まさに弓を引き絞るかのように背骨の限界まで反らしていき、一言。

 

「《失せろ》」

 

 即興で呪文を改変し、【迅雷】を起動。さらに体は反り、ゴーレムの持つ剣が信一に届く距離まで来た時だ。

 二刀を目にも止まらぬ速さで振り下ろした。

 

 

 

 ドォォォォォッオオオオォォォォンッッッ——!

 

 

【迅雷】を用いて全力で振るわれた刀の先端は超音速にまで達し、衝撃波を生み出した。

 

 技と言うにはどこまでも荒っぽく、粗野で野蛮なもの。術理など無く、ただ刀を二本全力で振り回しただけのものだ。

 

 だが、侮るなかれ。

 

 それが生み出す威力は廊下の床を削ぎ、窓ガラスを全て粉微塵にまで割り、全てのゴーレムを信一達とは逆側の突き当たりまで吹き飛ばして例外無く粉々にした。

 

「あちちち……」

 

 そんな恐ろしい技を放った信一は音速を超えたことで空気との摩擦が肘から下の袖部分を燃やしてしまい、その消火活動に勤しんでいた。

 ブンブン腕を振り回したり、フゥーフゥーと息を吹きかけて頑張っている。

 

「信一……今の……」

 

「う〜ん……『風刄(ふうじん)』ってところですか?」

 

「いや、技の名前とかじゃなくて」

 

「あ、すみませんお嬢様。【ライフ・アップ】かけてくれませんか?火傷しちゃいまして……」

 

 たはは〜といつも通り笑う信一は……本当にいつも通りの信一だ。

 マイペースに笑いながら空気の摩擦で火傷を負った腕を差し出してくる。

 

 この一瞬だけ、システィーナとジンの感想は一致していた。

 

 ———この男は……一体何者なんだ?




はい、どうしでしたか?

書いてて思いましたけど、……信一怖くね?
笑って拷問するとか結構頭がトンでますね。やばいです。

Q.どうして『風刄』の“刄”が“刃”ではないのか?
A.だってこっちの方が字面的にかっこいいんだもん

ということで、感想や評価をしてくれると作者が狂喜乱舞するのでオススメです。読者様へのメリット?


なんもねぇべ
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