あの山に大人は何でも棄てる。
私も故郷を二度棄てた。
次に私は何を棄てるのだろうか?

※この作品は「小説家になろう」にも掲載しています

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暇つぶしの作品②
大変お久しぶりの白狐さぐじです。主に書いていた作品が書けなくなって結構経ちましたね。

今回は①より②を先に投稿させていただきます。

自分も途中で分からなくなっています。意味が分からないところがありましたら、無理やり理解してください。


永遠の街並み

 真夜中に孤児院を抜け出してきた。勿論悪いことだって分かってるけど、今日は何かあるみたいで大人は忙しそうだった。私はランタン(カンテラ)にオイルをちゃんと入れてから火をつけて、誰にも気づかれないように扉を開けて外に出て行った。

 外の世界は闇に染まっていて、カンテラが無いと足元すら見えない。ここら辺の街灯は壊れたものが多くて、街灯の役割をしているものは少ない。それでもこの街の中心にいくほど綺麗な街灯が多くなっていく。

 街の人達に見つからないように路地を縫って進んでいく。いつもの場所で黒猫を見かけたので、小声で「ついていく?」と聞くと、塀の上から降りてきて一つ鳴いた。私はそれが返事だと思ったのでそのまま歩き出した。ちゃんと振り向いて、猫が付いてきていること確認済み。

 私が行くところは街の中心から離れて場所。孤児院からどんどん離れていく。森に入ると、街灯の明かりが無くなったので、真っ暗闇になてしまった。カンテラは持っているものの、私の周りしか見えていない。

 森の中は壊れた機械でごちゃごちゃしている。潰れた飛行艇に、砲台が無いバルグルス(戦車)、よくわからない部品も散乱している。大人は使えないと判断すると何でも山に棄てていく。

 そんな大人が大っ嫌いだ。私もその大っ嫌いな大人になるのだから、私自身も嫌いな一つに入っている。

 隣で一緒に歩いている猫を見ると、猫は首を傾げ一つ無い鳴いた。何か慰められている気がした。

 もうそろそろ頂上に着く。森は開けて、周りから木々が少なくなっていく。頂上に着くころには、もう周りに木は無かった。

 そこからの眺めは綺麗で、しかも廻りが暗いおかげで街の街灯の光が美しい。私はそこに座り込んだ。猫は私の膝の上に座ってきた。

 空を見上げてみると、キラキラした星空が広がっていた。カンテラがカタカタと揺れた。風が吹いてきた。

何か起こりそうな予感がした。私の感は良く当たるので少し不安になってきた。不安そうな顔をしていたのか、猫はそんな私を見上げて鳴いた。

私は猫の頭を撫でながら、「大丈夫だよ」と言った。猫は目を細めて、丸くなった。

 

 ふと、昔の記憶が出てきた。私は前もこの山に一人で来たことがある。あの時にはもう山には瓦礫がたくさん棄てられていた。私もそんな一つだった。

 私は親に連れられて、此処に来た。親は何も言わずに去って行った。「ああ、私は棄てられたんだ」と思った。

 その後に起きた戦争で親は死んだらしい。この国はその戦争で勝利した。私はとある孤児院に入って、暮らし始めた。本当は棄てられてはいなかったが、もう親は居ない。

 あの時からだ、私の時が止まったのは。私の身体はあの日からあまり成長していない。それよりも、あれから死んだ事がない。

 私の年齢を誰か知らない人に言えば、「嘘だ」と言われるだろう。私はかれこれ数百年生きている。孤児院を転々と回っているので、気づかれたことは無いと思う。

 山に棄てられた機械たちは過去の遺産たちだ。もう、あの時のような戦争はない。

最近は家電製品が捨てられている。壊れた街灯も捨てられている。今ではLEDの街灯が出ているので、ガス灯は過去の遺物に近い。

 

 ああ、何か胸騒ぎが酷い。空の雲もオカシイ。何とも言えない風が吹いている。いや、風が止まった。

 猫も膝の上で、不安げな顔をしている。止まっていたと思ったら強風が吹いて、座っていても飛ばされそうになった。猫も膝から転げ落ちた。

 私は立ち上がってもう一度街を見下ろした。街の方では何も異常は見られない。

 そう、簡単に思ってしまった。

 

 地面が揺れたような気がした。いや、揺れている。現に街にある建物が横に縦に揺れている。カンテラが足元で倒れて火が消えた。森もミキミキと音を立てている。

 やっぱり、私の感が当たった。街から土煙が立って何も見えなくなった。

 街の方に行きたいけど、立っているだけで大変で歩くことが出来ない。と、思ったら立っていた地面が崩れた。

私と猫は地面と一緒に落ちていった。

 

 

 

 

 目が覚めると、廻りが真っ暗で口の中が土の味で不味い。手が動かし辛い。それでも無理やり動かしてやっと起き上がることが出来た。

 私が今何処に居るのか全く分からない。猫も何処かに行ってしまったみたいで、廻りには居ない。起き上がって、服に付いた土を払った。

 森を抜けると、街は真っ暗で何も見えなかった。今は何処を歩いているのか分からない。

やっと暗闇に目が慣れてきたので、歩けるところを歩いている。街の人達は数人見たが多くない。崩れた建物が多いので、下敷きになっているのかもしれない。

助けたいけどまだ余震が来ている。ああ、また揺れた。壊れたカンテラを持ったまま、とある場所に私は向かっている。

辿り着いた場所には頑丈そうな建物が建っていた。その建物の周りは殆どが崩壊している。私はその建物の扉をノックをせずに開け、入って行った。

その建物は雑貨店だ。まあ、それは表向きで本来は何でも屋。部屋の中は暗い。部屋の奥の扉を開くと下に伸びる階段があった。階段の奥は先が見えないほど長い。

 

 コンクリートの壁だったのが途中から煉瓦の壁に変わった。それでも、階段は続いている。

 降りるにつれて煉瓦の壁は古いものへと変わっていく。やっと平らなところに出るころには、作られた年代がとても古い煉瓦の壁になっていた。

 最下層は広々とした空間が広がっている。先程の地震の影響か、地面に亀裂が入っている。此処もそろそろ無理なのかもしれない。

 

 キョロキョロと廻りを見て歩いていると、お目当ての人物をやっと発見できた。その人物とは顔がしわしわのお爺ちゃん…ではなくて、いたって普通の若者だ。彼も私と同じで特殊だ。

 彼には命というモノが無い。だから死ぬことはないし、そもそも生きてもいない。

 やっと彼が気づいてくれた。

 

「ん?ああ、お前か。此処まで来るなんて何年振りだ」

 何か作業をしていたのか、手を止めてこちらを向く。

 

「そんなことよりも地震は大丈夫だった?」

 

「ん、まあ大丈夫だが、次に同じ位のが来れば無理かもな」

 やはり彼もそんな感想なのか。

 

「そっか、なら時期的に良いし《移動》しようかな」

 

「りょーかい!」

 返事だけは良いものだ。

 

 私は元来た道を、階段を登る。彼も私に付いてくる。

 結構長かったが、やっと地上の部屋についた。彼はいろいろと準備があるので、他の部屋に消えていった。

 私は適当に置かれていたローブを取り被る。そして、奥の方に仕舞ってあった、ほこりの被った杖を手に取った。

 扉を開けるとまだ夜で真っ暗だが、先程の時より人が多い。百年前に生まれ故郷に戻ってきたが、また離れなければならなくなるとは思わなかった。

 いつの間にかあの猫が足元に居た。猫は一つ鳴いた。猫の尾は二本。

「お前も付いていくかい?」

 鳴き声は言葉へと変わる。

「…付いて行ってみようかねぇ。あと、我の名はティアだよ」

 やっぱり喋れたみたいだ。付いてくるのなら嬉しい。仲間は多いほうがいいからな。

 

 もう一度廻りを見る。私が子供の時より変わってしまったが、馴染んだ風に風景。今は崩れ去ってしまったが、また此処に来る頃には直っていることだろうな。

「用意が出来ましたよ、我が主様」

 彼は少し大きめのカバンを背負って居た。

「そっか。なら、出発だね。ティアはどの方角に進みたい?」

 

「…東かねぇ」

 ふむ、東の方角には行ったことがないな。

「うん、東に行こうか!」

 

 

 多くの人々でごった返している駅のホーム。そろそろ電車が来るみたいだ。

 電車の音が近づいてくる。そんなホームに猫が一匹居た。猫は誰かを待っていた。

 電車はホームに付くと大量の人を吐き出し、次の駅へと走って行った。人の波にのまれないように猫は進んでいく。

 ホームの奥の方に少女が一人居た。猫はそんな少女に気づき、走って近づいた。猫に気づいた少女はしゃがみ込む。猫は少女の前で止まり、一つ鳴いた。

『お帰りなさい我らが主よ』

 

 


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