商店街で他の候補生の集団と一悶着あった後、アヤからは「また勝手に飛び出して! 心配したんだからね!」と言われて、それを宥めてから俺達は必要な物を店舗を幾つか回って買い揃えた。
その頃には既に
このあと各兵科別にそれぞれ同期との顔合わせがあるので、俺達は第2教育大隊教育棟に入った後は別れた。
そして俺とアヤは第2教育大隊機龍科の同期との顔合わせ、それに今後の教育課程の説明を受けるために、その専用の会議室に向かっていた。
「何だかドキドキするね、勝くん」
会議室へ向かう途中で、柔和な笑みを浮かべてアヤは俺に声をかけてきた。
「確かに、俺もそうだ」
実際に、俺も同じだった。今俺達が会うのはいろんな国から集まった同期生で、どんな人がいるのか楽しめではあった。
それから少し歩いて第2教育大隊教育棟の二階、第2教育大隊機龍科会議室の金属製の取っ手の付いたドアの前に辿り着いた。ドアの金属製の取っ手を掴んで、手前に引いて開け中に入る。
室内では既に何人か入っていて、気の合う相手と話したりするなど、それぞれ思い思いに過ごしているようだった。
俺はその中から、見覚えのある青年が備え付けのパイプ椅子に腕を組んで座っているのを見つけた。相手もこちらに気づいたようで、途端に不快げに表情を歪めていた。
「ルミナス?ひょっとして、機龍科に志願してたのか」
「あぁ、不愉快なことに、貴様と同じな」
俺が聞くと表情と同じ不快げな口調でルミナスが答えてくる。
「そうか、まぁとりあえずよろしくな?」
昼に自己紹介した時に握手しようとして断られたため、改めて手を差し出してみる。
「・・・・・・この際だからはっきり言っておくがな、俺は、貴様と馴れ合うつもりはないぞ」
ふむ。ある程度予想はしていたが、やっぱりか。
どうも昼に言っていたのといい、かなり怒りを買っているのかもしれない。
俺がそんな事を考えているときに、後ろのドアの開く音がした。
振り返ると家城教官と、残りの同期生だろうか、しかしその容姿は幼さを濃く残した外見をしていた。髪は茶色のサイドテールで、瞳は黒いからおそらく日本人と思われる少女が家城教官の後から入室してきた。
「もう全員集まっているようね? とりあえず座っている者は立ってこちらに注目しなさい」
家城教官がそう言うと室内の同期生、俺とアヤを入れて7人が座っていた人も席から立って注目した。
「さて、第2大隊向けの集会では既に言ったと思うけど、改めて自己紹介させてもらうわね。私は家城茜。此処、新品川にあるEDF国際総合士官学校の機龍科の主任教官で、階級は少佐」
「今回、この会議室でやるのは全員の自己紹介。更に今後の教育課程の説明とその後に・・・・・・・・・私の後ろにいる彼女を紹介するわ」
最後に出した言葉の後に、全員の視線が一度家城教官の後ろに控える少女に集まる。対して少女はそれに反応した様子もなく、無表情な顔で沈黙している。
「では早速、全員で順番に自己紹介してもらうわ。まずは、神山候補生、貴方からよ」
「神山 勝一だ。渋谷区の出身で、父親が特生自衛隊の出身だった。小学校から剣道部に入っていたから、それなりに心得があるつもりだ。よろしく」
ちなみに、剣道をやっていたのは本当だ。小学校の頃に剣道に興味が湧いた俺は最初は見学して、そこで実際に竹刀を握らせて貰って試しに振ってみた。結果として俺は剣道が好きになって、それ以来中学、高校と剣道部に入って全国大会にまで出場したこともある。
俺の自己紹介にルミナス以外の外国人候補生が片言で「ヨロシク!」と言ってきた。やはりルミナス達が日本国が流暢なだけで、普通はそうはいかないかもしれないな。
その後アヤ、ルミナスの順番で指名されて自己紹介が進んだ。アヤは明るい性格のため、他の候補生からは好印象だったが、ルミナスは先程までの俺とのやり取りのためか気まずい雰囲気になった。
それから残りの同期生が自己紹介を終えて、いよいよ今後の教育課程の説明に入った。
「ここからは教育課程の説明よ。・・・・・・神山候補生、このプリントを自分のだけ一枚取って他の候補生に」
そう言うと家城教官が何枚か重なったプリントを手渡してきたので、それを受け取って一枚取りアヤに渡すとプリントは全員に行き渡った。
「プリント見ながらで良いから聞いて頂戴。
まず、明日からは銃の貸与式があるわ。それからアカデミーの各施設の見学、後は貸与された銃のクリーニングになるわね。
それからは基礎体力を上げるトレーニングと各兵科向けの基礎知識の習得、更に今から1週間後に射撃演習場での射撃訓練、そして・・・・・・あなた達機龍科の候補生は我がEDFの主力兵器
その一言に室内がざわめく。その中で俺は、これから訪れることに期待で胸を踊らせていた。
ようやくだ。
ようやく、ここから始まる。
今から五年前に俺は、戦場となった渋谷の街でギャオスに殺されるところを、銀色に鈍く輝く鋼鉄の竜兵、当時の最新鋭試作機九式機龍に、あの時乗っていた家城教官に命を救われた。
俺は特自だった父さんのように、いつか怪獣と戦う組織に入ることを誓った。それは九式機龍に乗っていた家城教官に救われたときに確かな展望に変わって、ついにここまで来た。
機龍のパイロットとして、市民を怪獣から守るために戦う為に、俺はアカデミーに入ったのだから。
「九式に乗れるようになってからは実際に操縦してならしていって、今から一ヶ月後に第2大隊に二個ある機龍小隊の小隊長を決める。
立候補者が二人以上いればアカデミーの敷地内にある機龍科専用の演習場で模擬戦を行ってもらうわ」
「またこれとは別に特殊生物災害史学習、通称特災史の授業を行ってその後に、自分なりの考察や分析を纏めたレポートを提出してもらうわ。
その際、アカデミーに設けられた図書館で調べることができるからそちらを利用するように」
そこまで言い終えると家城教官は視線を自分の後ろに控える少女に向けて、少女が前に出る。
「では最後に、彼女の紹介をするわ。・・・・・・"川浪"候補生、皆に挨拶して」
「・・・・・・了解」
抑揚の無い声音で返事をした"川浪"と呼ばれた彼女は無表情のまま口を開いた。
「初めまして、国連特殊生物災害対策センター所属サイキックセンター出身、現EDF日本史部所属の超能力者。今はアカデミーの生徒としてここに配属された。
開いた口から出た彼女、川浪麻里の言葉に室内にいる同期の候補生達が言葉を失い立ち尽くした。もしかしたら、今言った言葉のひとつが理由だろう。
超能力者は、今から6年前の2007年に強力なパワーを持った超能力者の少年少女が世界各国で確認されるようになった。それ以前にも超能力者は確認されていたが、現在確認されるようになった超能力者はそれより強力で、それを理由に世間からは畏怖の対象とされた。
同期の候補生達は、それに対する先入観からどう答えるべきか迷っているだろう。先入観から来る恐怖もあるかもしれない。
だが、俺は一歩前に出て挨拶に応えた。
「今日から
そう言って握手しようと手を差し出すと、彼女も握手に応じて話した。
「よろしく、勝一。私も麻里で良い。・・・・・・それと、さっきはありがとう」
「? 何でだ?」
「さっき、友達から連絡があった。男三人組に絡まれてるところを助けてもらったって」
「あぁ、なるほどな。どういたしまして」
多分、商店街で遭遇した騒ぎの時に会った少女のことだろう。とは言え、俺にとっては見過ごせなかっただけだしな。
その後はアヤが続いて他の候補生も挨拶を返した。ルミナスはどこか複雑な表情を浮かべていたが、それでも彼女───麻里が孤立するようなことは避けられて良かった。
「ではこれにてここでの課程は終了、今は
家城教官の号令と共に会議室での予定は終わり、俺達は部屋を後にした。
~あとがきのコーナー~
主「唐突ですが、以前書いた作品でやっていたあとがきのコーナーを今作でもやっていきます。勿論、レギュラーはこの二人です。」
勝一「勝一だ、よろしく。」
彩音「彩音だよ、よろしく!」
主「早速ですが、この話での登場人物について簡単に説明していきます。取り敢えず勝一さん。」
勝一「俺か?そうだな。今回の話でも発言してるが、俺は剣道をやっていた。小中高とやっていたな。」
彩音「勝くん、小学生の頃からすごい練習頑張ってたもんね!私も一緒にやってたけど。」
勝一「それは確か、俺が剣道部に入るって言ったらアヤも一緒に始めたんだよな。」
彩音「うん、そうだったよ。//////カァ」
勝一「アヤ?どうして顔を赤くしてるんだ?」
主「ハイハイ、キリないんで次進みますよ!彩音さん、お願いします。」
彩音「あ、うん。と言っても、私は勝くんと幼なじみなだけで後は一緒に剣道をやって、他に料理したりするくらいかなぁ。」
主「ありがとうごさいます。次は僕からも説明します。まずはルミナスさんについてですね。」
主「この方は少し過激な発言が目立ちますが、ここであえて言わせてもらいますと、彼にも色々思うところがあると言うだけですね。簡単に言えばそれだけです。」
主「では次に現時点で数少ない原作キャラの家城茜さんについてです。この方は約一年間のアメリカでの研修期間を終えた後、特自がEDFに吸収されてそのまま日本支部の所属になります。その数年後には第二世代型多目的戦闘システム九式機龍の試作機のテストパイロットに抜擢、2009年の東京防衛戦に参加して多数のギャオスを撃破してます。」
主「アカデミーに転属してからは、原作よりフランクに話せるようになっており、生徒からの人気もあるようです。」
主「さて、最後に川浪麻里さんですね。この方は国連特災対策センターのサイキックセンター出身の超能力者で、能力が発現した際に親が育児放棄したせいでサイキックセンターに保護された経緯を持ちます。」
アヤ「口数が少ない子だったね。」
勝一「確かにな。やっぱり、彼女の過去が原因か?」
主「それについてはこれからわかることなのでノーコメントで。では、そろそろ締めたいと思います。」
主「次回も、ゆっくり見ていって(くれ(ね)ください!」