あと、試験的にあらすじ的なものを前書きに書いていきます。では、どうぞ。
~前回までのあらすじ~
突然アカデミー敷地内の各施設の見学を取り止め、多くの同期生が音を上げる訓練を他の2倍のメニューで消化した勝一。その後の正午の食堂で訓練の途中に参加した少女が現れて…!?
「失礼、そこに座ってもいいかな?」
突然の教程の変更で基礎体力向上のトレーニングを、ランニングで同期生は何人か脱落しながらも何とかこなした俺達は、昼の休憩で食堂に集まっていた。
「「つ、疲れた……」」
如何にも疲れ果てた様子で息を吐きテーブルに突っ伏すのは桐子とデイヴィッドで、見た目からの印象通り体力が少ないのか肩を上下させていた。
「みんなだらしないね、まだ2日目でしょ?」
両手に持った定食を載せたトレーを置いたアヤは、憔悴した二人を見て呆れた様子で言う。
とは言え、運動経験の少ないと思われる二人に始めからあれを完走するのは難しいと思うかな。
「そう言うな。桐子は恐らく趣味を交えてるがバイトで運動する暇は無かっただろうし、デイヴィッドはあの体格では体力にも限界がある。寧ろよく走った方だろうさ」
「そーそー。寧ろあれを完走するのはそれなりに鍛えたやつか、あるいはかなり根性のあるやつくらいだと思うぜ?」
既に食堂に来て食事していた淳也が普段通りの緊張感の無い口調で話した。隣にはクレアもいる。
周囲に視線を巡らすと大勢の生徒が食事をしては会話を弾ませて、時には騒いだりして食堂は賑わっていた。
ただ午前中の訓練の疲れのせいか、桐子とデイヴィッドのようにテーブルに突っ伏した生徒も目に映った。
「それにしてもショウとジュンヤは体力があるのだな。我々の倍のメニューを消化した筈だが、そこまで消耗した様子がないように見える」
「おう。なんせ鍛え方が違うからな?」
「ああ、確かに………そうだな」
マックスの感心したような表情で言うと淳也が軽い口調で答えるが、俺は思わず言葉を濁した。
「どうしたんですの……?」
俺が言葉を濁したことで気になったのか、淳也の隣で座るクレアが呟くように聞いてくる。憔悴した様子だが桐子達程疲れきった様子は見せず、気丈に振る舞ってるように感じられた。
そんな彼女に返す言葉はすぐには思い付かず、どう答えるか僅かな時間悩んでいた直後だった。
「ちょっと失礼、そこに座ってもいいかな?」
声のした方に振り向くとそこには先程の訓練の途中、俺の隣で走っていた茶色いショートボブの少女がサンドイッチと牛乳の乗ったトレーを両手に立っていた。
その側には昨日顔合わせした機龍科の少女麻里と茶色のストレートの少年もいて、こちらもそれぞれ料理の乗ったトレーを持っている。
俺はアヤと顔を見合わせるとお互いに頷いた。
「ああ、構わないぞ。どうぞ」
「いいよ、いらっしゃい!」
「すまないな」
断る理由もないため俺達がそう言うと、少女はテーブルに近寄ってトレーを置くと俺の向こう側の席に座る。
それに続いて麻里と一緒に来た少年もテーブルにトレーを置くとその両サイドに座った。
「………」
それからはなにも話さずに黙々と食事をしていた。ただ俺の記憶が正しいなら、彼女は途中からとは言え訓練でランニングコースを走った筈だ。
俺はそれが気になり、それを聞くため話しかけた。
「なあ、ひとつ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
俺が聞くとすかさず促した。もしかして俺が話しかけてくるのが分かってたのか?
「もしかしなくても分かってたぞ?」
「えっ!?」
「そう言えば隣にいるの麻里ちゃんだけど、もしかして貴女も?」
「その通りだ。私は
「初めまして、
ショートボブの少女は静利、ストレートの髪の少年は和希と答え俺も自己紹介する。
「神山 勝一だ。好きな方で呼んでくれ」
そう言って握手の為に手を差し出した。すると予想外だったのか、驚いたような表情で目を見開いた。
「? どうしたんだ。」
「! い、いえ。なんでもありません。ただ、少し意外だったので……。改めて、よろしくお願いします」
少し気になるが先ずは握手を交わした。
「……和希、さっき…言ったよ? この人は今の風潮に染まって無い、て……。」
「その通りだぞ。それに彼は超能力者でもないのにすごい早さで走れる、
和希のその様子を見て無表情のまま麻里が囁くような口調で言い、静利はそれに頷いてどこか得意気に自慢する。
そこからはアヤから順に自己紹介して、一通り済んだところで淳也が話した。
「それにしてもさっきの訓練で見たけどすげえな?少なくとも30周は走った筈なのに、そこまで疲れた様子もないとは」
その事については俺も気になっていた。桐子やデイヴィッドなんかは30周としないうちに歩き始めたのに対して、彼女はそれを軽々こなしていたからな。
「ああ、その事か? それは能力の応用さ。そのお陰で負担を軽減できるんだ」
「なるほどな。ところで和希はどんなことができるんだ?」
「僕も基本的にできることは同じです。あとは、まだ訓練不足ですが、電気を操作できます」
「ダニィ!? てことは御○美○みたいにビリビリできるのか!?」
いきなり奇声を上げて身を乗り出した淳也に和希若干退いた様子だ。て言うか何気にラノベのキャラか。
「その○坂○琴と言うのが誰かは気になりますが、ビリビリはします。
「因みに私は
「カッコいいじゃねーか! あんまりそう言うの報道されないからまさか創作で出てくる能力なんて思わなかったぜ」
何やら興奮気味で言う淳也は、何だか厨二臭く見えるな。ただ俺からも言いたいことは言わせてもらうかな。
「同感だな。あと和希、別に敬語はいいぞ? 俺達はここに入学して間もないし、三人は以前からここで訓練してきたから先輩とも言えるし」
「そうそう! 私も三人とは仲良くしたいし、畏まらなくていいよ?」
「もちろん俺もな? 話してみて俺達と大差ない様子なのはあるけど、単純に超能力にも興味あるしな!」
そこからは桐子がどんな装備を使うのかとか、クレアやデイヴィッドは普段どんな訓練をするとか、意外にもマックスは超能力についての質問をしていた。
◇◇◇
そんな
銀色のショートの髪に標準よりやや高い身長で周囲の候補生達と同じツナギを着た男性、ロシアから来日した機龍科のルミナスだ。
(コウヤマ……)
ルミナスは勝一が気に入らなかった、気に入らない筈だった。
勝一が筆記試験ではほぼ完璧と言える成績で合格して九式機龍に搭載する操縦システム、
ルミナスはそれを聞いて単純に凄いと感じた。最近ロシアは北国の寒さに適応したギャオスや様々な怪獣の脅威に晒され、祖国を守りたい一心でアカデミーの入学を決めたのだ。
それでも入学式の直前に騒ぎを起こして第2大隊を巻き込み教程を遅らせたことには、ルミナスにとっては幻滅したと言って良かった。だが、その後の勝一の様子を見てそれも分からなくなった。
今まで見てきた限りで勝一は今の風潮、超能力を使う少年少女達に対する差別的認識が感じられず、寧ろ平等に接している。
整備科の教官や候補生達と顔合わせした時もそうだ。第一印象からは想像できなかった、良好なコミュニケーション能力で顔合わせした候補生達と僅かな時間のうちに交友関係を築いた。
更にその第2格納庫に格納する九式機龍を見た時の表情は喜んでいるように見えるが、同時にどこか思い詰めたようにも見えた。
そこまで把握してしまえばルミナスはただ勝一がなんとなくだけでアカデミーに入学したとは思えず、モヤモヤした気持ちを募らせていた。
(俺はコウヤマの事はよく知らない。だが、これから予定される教程のなかでなら)
この先で予定される教程は先程行った基礎訓練の他各兵科向けの座学や射撃訓練等がある。更に一ヶ月後に機龍科は二個ある機龍小隊の指揮官を決める、模擬戦闘演習が待っている。
(アイツがアカデミーに来て戦う理由、そこで見極める……!)
◇◇◇
勝一達が超能力者の少年少女三人と会話を弾ませる頃、あるひとつの報せが機龍科と第2教育大隊の主任教官を兼任する家城 茜少佐の元に届いていた。
「───それは確かなのかしら?」
アカデミーの第2教育大隊教育棟の一室、初日から騒ぎを起こして呼び出された勝一達が呼び出され家城に注意を受けた執務室で、二人の候補生から報告を受けていた。
「はい、間違いありません。間違いなく、ギャオスの大群と
「残念ですが数が多く、情報を持ち帰るため短時間交戦して離脱しました」
直立不動の姿勢で淡々と報告する候補生の男女を一瞥して自分の手にする報告書に目を通した。
本来目の前の候補生二人は第1教育大隊の所属で新入生中心の第2教育大隊の教官である家城は関係無いが、学長である一柳元帥を除いて最先任は彼女になるため重要な案件は家城に報告するのが通例となっていた。
そして報告書に書かれた内容は家城にとってかなり深刻なものだった。
「そう。わかったわ、後は私がこの件を上に報告する。お疲れさま、もう下がっていいわよ」
「「は、では。失礼します」」
同時に敬礼して二人は部屋を退室していった。
「次から次へと厄介な事が起きるわね」
自分以外は誰もいなくなった執務室で一人呟き、溜め息を吐いて視線を部屋の窓に向ける。
今はまだ四月の上旬で気温はそう高くはない、程よい温度を伴う日光がガラスを透過して肌に心地よく感じる晴天だ。
昨夜遅くにここより北方のベーリング海アドノア島に成長した大型個体と推定されるギャオスが上陸し、
しかも飛来した方角がシベリア方面で、念のために第1教育大隊から先程退室した飛行科の生徒二人にロシア領空の哨戒に着かせたのだが、報告を受けてみればまた大型個体とそれに統率される大群が発見したという。正直言って、嫌な予感しかしない。
かといって、今こちらからできることは少ない。大群が移動しているならロシア政府より程近い中国、韓国、日本支部へ応援の部隊を派遣する要請が出るだろう。
そんなことを考えてると執務室のドアからコンコン、とノックする音が聞こえてきた。
「家城主任。先程総司令部から緊急の連絡があります」
「どうぞ」
「失礼します」
部屋に入ってきたのは事務科の男性職員でどこか焦った表情を浮かべながらファイルを持っていた。
「それで、緊急の連絡と言うのは?」
ついさっきも候補生二人が持ち帰った情報を聞いて溜め息を吐いたばかりで、これ以上に緊急を要する連絡など件の移動する大群が関係しているに違いなかった。
「は、それが」
そのあとに出た言葉は、予想しうる最悪の事態を告げるものだった。
「ロシアの極東区域、ハバロフスク郊外の街が大型個体に統率されるギャオスの大群に襲撃を受けているそうです。
ロシアの東部軍管区やロシア支部の部隊が迎撃しましたが、百体前後が突破して街に入りロシア政府が緊急事態宣言を出しました」
~あとがきのコーナー~
主「どうもおはこんばんにちわ、読者の皆さん!」
勝一「今回はまたゲストが来ている。入ってくれ。」
麻里「はじめまして……。結構前に投稿した話で、登場したのにようやくここに呼ばれた……川浪 麻里。よろしく。」
彩音「今回は麻里ちゃんをゲストに進めていきます!」
主「では早速、麻里さん?幾つか解説していきますが、先ずは麻里さんにとって気になったことについて。」
彩音「……私にとって気になったことと言えば、やっぱり勝一のこと。今まであったことのある人のなかで、今の風潮にここまで染まってないのには……最初は内心驚いた。」
勝一「……俺はただ、自分で正しいと思ったことを実践しただけで、同じ仲間として孤立してほしくなかったんだ。」
彩音「そのお陰で結果的にそうはならなかったし、それに勝くんは昔からそういう人なんだよ麻里ちゃん!」
麻里「そう、昔からなんだ……だとしたらほんとにすごいね。」
主「次に気になることは?」
麻里「……勝一と一緒にいる人達、そう悪い人達じゃなかった。話も楽しかったし。」
勝一「そうだな、来日候補生で例えばマックスだけど。彼は固い印象だけど貫禄があるし、リーダーシップなのか不安にさせないようなところがあるし。」
彩音「デイヴくんは身長は低いけど気さくだし、明るいよね!あと、クレアちゃんはいつも淳くんと一緒にいるけど社交的だし。」
勝一「淳也についてはいつも余裕な表情を崩さないし、変に差別的認識があるわけでもない。」
主「だから、大丈夫ですよ。今年貴女の所属する大隊は孤立する心配はありません。寧ろ、勝一さん達がさせないでしょうし。」
勝一「ああ、そのつもりだ。」
彩音「もちろん私も、それに他のみんなもね!」
麻里「ん……ありがと。」
主「さて、話の最後のところで何やら最悪の展開が出てきましたが、今回それについては触れません。では、次回予告です!」
~次回予告~
昼の休憩を終えて次の教程である座学に備える勝一達。だがそこに、ロシアの都市ハバロフスク郊外の街がギャオスの大群に襲撃を受けているという凶報が入り、その後の座学では特殊生物災害史学習───通称特災史を受講する。
第11話 特災史
主「では次回も、
また見に来てください(くれ(ね))!」