今回はサブタイ通りの内容となります。
ではどうぞ。
『アカデミーに在籍する生徒諸君。私はここの学長一柳だ。今から臨時の連絡事項がある』
思い思いに楽しく雑談して食事を済ませた俺達は食堂を出て、午後に予定される座学の用意の為に部屋に戻ろうとしていた。
唐突に館内放送を報せるチャイムが聞こえたのは階段を登り、ちょうど2階に上がったときだった。
「確かイチヤナギ学長は、昨日の入学式で壇上にたってましたわね」
「いきなり唐突だな。臨時ということは、何かあったのか?」
クレアとマックスが訝しげに首を傾げて言う。
因みにさっきまで一緒に食事していた静利、和希、麻里の超能力者3人は訓練があるからと言って早めに食堂を後にした為この場にはいない。
『連絡とは、つい先程EDF総司令部から機密レベルを引き下げ、今朝の第1大隊飛行科のスクランブルについて生徒への公開が許可された』
「スクランブルしたのは今朝早くだったのに、やけに早いな?」
続いて屋内のスピーカーから一柳学長が伝えてきた意外な内容を聞いて、正直驚いた。
「情報を秘匿する理由が無くなったのかもな」
『先ず早朝のスクランブルの理由だが実は、昨晩ここより北のベーリング海に、翼長120㍍を超える大型個体に成長したギャオスが出現した』
「なっ!?」
予想を超える内容がスピーカーを通して学長から伝えられ、俺は思わず驚愕の声を漏らした。
周囲でも今告げられた事実に2階のいろんな場所から動揺した空気のざわめきが聞こえてくるが、スピーカーはそれに構わず放送を続けた。
『ギャオスはシベリア方面から出現、ベーリング海アドノアに飛来した。この事から、恐らく巣作りの為と思われる。
だが、その島に生息する怪獣
「ゴジラっていったらあれでしょ?今から約60年前に最初の1頭が出現して、それから30年後に2頭目が、14年後には4頭目が日本で大暴れした……」
「ああ。それにギャオスは、ゴジラと同じくらいに危険な存在だ……!」
困惑した表情で言う桐子に俺は思わず声を荒らげながら返した。
『ギャオスは3代目ゴジラの反撃で死亡した。だが、進入してきた方面はシベリア方面だ。
総司令部からは哨戒の為に戦闘機出撃の要請があり、それに応じて今朝
『第2教育大隊の新入生のなかには突然のスケジュール変更の理由についてある程度予想できたものも、少なからずいるだろう。
これは人員に事欠くEDF、その総司令部から第6期生の戦力化を急ぐようにと、通達があったからだ』
「急な予定変更にはそんな事情が絡んでたんだね」
「……みんな、急ごう。午後の座学に備えないと」
座学の用意を済ませるためにそれぞれの部屋に急いだ。
「全員集まったわね? それでは、これより講義を始めていくわ」
半擂り鉢状の講堂に第2教育大隊主任家城教官の声が響き渡る。
今俺達は第2教育大隊に割り当てられた第2ミーティングルームに集まっており、先程教官数人を伴って入室した家城教官の言葉に皆一様に耳を傾けていた。
「今回ここでやるのは主に『知ってもらう』ことよ。
日本を初め、主要各国で既に義務教育課程の必修科目となりつつある特殊生物災害史学習。
通称
「さて、その内容だけど。特災史を学んでいく以上、この怪獣は欠かせないわ。
全ての怪獣災害の原点、恐らくこの地球上でほぼ最強を誇る生物。
『ゴジラ』出現の歴史について、ね」
家城教官はそう言うと同時に講堂の照明が消え、壇上に設置したパソコンを操作すると講堂内の舞台中央のスクリーンに画面が浮かび上がる。
「今から約60年以上前、ちょうどビキニ環礁で水爆実験が行われた1954年に誕生したとされる最初の怪獣『ゴジラ』。現在では
家城教官がそう言うとスクリーンに浮かぶ画面に映し出すのは画質の粗い白黒写真で、丘の向こうから顔を覗かせる爬虫類を思わせる巨大な生物だった。
「初代ゴジラは太平洋小笠原諸島沖で航行する南海サルベージ所属の貨物船『海洋丸』を始め、周辺を通過する船舶を沈没させた後台風の夜に大戸島に上陸。甚大な被害を与えたわ。
その後政府は調査団を派遣し、調査の結果絶滅したはずのトリロバイト、三葉虫を発見。
更に巨大な足跡と微量な放射能が検知されたわ。
スクリーンの写真は、その後に撮られたものよ。
ここまでで、質問のある生徒は許可するから挙手しなさい」
家城教官の言葉に来日候補生を数人含め、講堂内に居る半数近くが挙手する中で、俺も気になることがあるため手を挙げた。
「……シール候補生、どうぞ」
「では。ゴジラは生物として、何に分類されているのですか?」
「残念なことに、細かい類別は難しいわ。1954年当時は大戸島の調査団に同行した古生物学者山根恭平によると、
『ジュラ紀に生息していた海棲爬虫類が陸上獣類に進化しようとする過程の生物が、棲んでいた洞窟をビキニ環礁での水爆実験で破壊され安住の地を追われたのではないか』とし、
後に現れる2頭目のゴジラ──
他に質問はあるかしら?」
「いえ、以上です。ありがとうございます」
家城教官に当てられ質問をしたクレアは当時の学者の見解やその後のゴジラの類別について聞くと、それを最後に席に座る。
その際に普段のお嬢様口調は出さずに答えたのを見ても、私用と公用で使い分けてるのかもな。
「では続けるわね。
その後政府により当時のフリゲート艦隊による爆雷攻撃の実施が決定して、大規模な駆逐作戦が展開されたわ。
それにより一時はゴジラは駆除されたと世間は安心し始めたけど、その後も日本近海に出没してシーレーンを脅かし始めた。
それから間もなくの夜に東京湾に出現、防衛隊──自衛隊の前身に当たる部隊の銃撃を物ともせず芝浦に上陸。品川運転所と八ッ山橋を破壊して一度は海に消えるわ。
その後政府は『5万ボルトの高圧送電線を東京湾沿岸に張り巡らせて感電死させる』作戦と、
その手前に戦車と野戦砲を配置してゴジラを迎撃する二段構えの作戦を計画。
そして再び芝浦に上陸したゴジラは完成したばかりの鉄条網に接触、直後に待機していた砲兵隊と戦車隊が攻撃したわ」
当時の政府の対応について説明する間に海上で隊列を組み、爆雷を投射するフリゲート艦隊や破壊された路線と鉄橋が映し出され、作戦に向け出動する戦車隊の映像でスライドショーが一度止まる。
「しかし、5万ボルトの高圧電流と防衛隊の攻撃で怒ったゴジラは口から熱線を吐いて鉄条網を文字通り溶かして突破。
そのまま都心部に侵入したゴジラは都市部に展開する戦車隊の攻撃でも止められず、芝、田町、新橋を火の海にしながら中央通りを北進。
銀座、数寄屋橋、国会議事堂、テレビ塔を破壊しながら進んで隅田川の勝鬨橋を破壊。
海に出たゴジラに対して出動したジェット戦闘機の攻撃も通用せず、上野、浅草を経由して隅田川を下りそのまま海に去っていくわ」
その言葉の直後に荒れ果てた廃墟を思わせる程に壊滅した街の映像がスクリーンに映り、講堂内にざわめきが広がる。
「だけど被害は寧ろゴジラが東京から去った直後から増えたわ。
……原因は放射能よ。特にゴジラの熱線に焼かれた建物周辺は放射能汚染による原爆症の発症が相次ぎ、死亡するケースが続出して当時の死亡者数は数万人以上に上るとも言われているわ。
その凄惨な状況の中で立ち上がった人物がいたわ」
映像から一枚の写真が映し出され、そこに写っていたのは髪を七三に分けて黒い眼帯を左眼に被せた男性だった。
「芹沢 大助博士。当時の学会における古生物学の権威、山根恭平博士の娘である恵美子さんと婚約していたが太平洋戦争で左目を失い婚約を破棄。
それ以来研究所にこもりある薬品の研究を続けていたの。
始まりは彼が酸素について研究する過程で偶然発見したことで、同時に世に出してはならないと他者と関わらないようにしていた。
その薬品の名前は『オキシジェンデストロイヤー』」
次にスクリーンに映ったのは潜水服を身を包んだ芹沢博士と思われる男性で、隣の男性と砲丸大のサイズの何かを抱えながら船の甲板舷側に立っていた。
「その薬品は酸素破壊剤と呼ばれ、砲丸大のサイズであれば東京湾を死の海に変えることもできると言われているわ。
例えば、彼の持っているあの物体がそうね。
彼は事前に恵美子さんとその交際相手の尾形秀男さんから説得を受け、当時放送していた女学生達の歌声をきっかけに、設計図や資料の何もかもを処分した上でオキシジェンデストロイヤー。長いからODと呼ぶけど、それの使用を一度きりという条件で使用を決意したわ。
そしてODの操作のため尾形さんと共に東京湾の海底に潜り、海底に潜むゴジラを発見。
そして尾形さんを先に海上の巡視船に戻し、命綱を切った上でODを起動したわ」
そこで映像は変化した。巡視船から映した海上が激しく泡立ち、海面が盛り上がると直ぐにゴジラが浮上して苦しむように断末魔の叫び声をあげると、倒れるようにして海中へと沈んでいった。
「東京湾を無酸素状態にして、一人の天才化学者の犠牲を払ってゴジラは抹殺されたわ。
だけどね、これはあくまで人類の犯した過ちを棚上げにしただけに過ぎないわ。
これ以降、多種多様な怪獣が日本や幾つかの国に出没して人類がそれに対抗する戦争が始まったのよ」
そしてスクリーンの画面は消され、講堂内の照明がさっきまでの講堂内の暗さに慣れた俺達の眼には眩しく、少しの間眼を細めてようやく慣れた。
「これで第一回特災史の講義はおしまいよ。
今回やった内容はこの講義中に各自のノートに書いたはずね? それをもとに資料館で受け取れるレポート用紙に概要と考察を書いて明日提出して頂戴。後神山と小林と中村候補生三人はここに残りなさい。では解散!」
パンっと手を叩く音が響くと同期生は講堂入り口のドアから退室していき、他の教官達も出て俺達候補生三人と家城教官だけが残された。
「さて、取り敢えず昨日バタバタして渡しそびれた反省文をそれぞれ10枚ずつ、明日でいいから反省点を書いて提出しなさい。
後他の候補生達より一足先にレポート用紙を渡してあげるわ。これも明日には提出しなさい」
三人だけ残された俺達は席を立って家城教官が渡してきた反省文10枚とレポート用紙を受け取る。
「自分達の不始末に時間を割いていただき、有り難う御座います」
「この程度なら別に構わないわ。厄介事を起こしさえしなければ、なるべく面倒は見てあげる。
さ、もう行きなさい」
家城教官の言葉を最後に、俺達は講堂を後にした。
~あとがきのコーナー~
??「それで?何でこんなに投稿が遅れたのかしら。」ゴゴゴゴゴ
主「も、申し訳ありません……家城さん。じ、じつは。投稿のために艦これ小説から先に書き上げて、それから執筆していたのですがその矢先に風邪をひいてしまい、回復までそれなりに時間がかかったためにここまで遅れしまいました。」正座
家城「へえ?わざわざ私をゲストに呼ぶ予定でいたのにこんなに投稿が遅れたのはそんな理由がリアルであったのね?
それならまだ理解はできるわね。でもこの先投稿していく上で今のペースで大丈夫なのかしら?」
主「は、はい。リアルでは手元に資料が幾つか揃えてありますので、それをもとにペースアップを図りたいと思います。挿し絵に関してはスキルアップの最中ですので、今しばらく時間がかかるのでゆっくりやります。」
家城「なるほど、よくわかったわ。所で、勝一達がこの場に居ないのは、貴方が意図してのことかしら?」
主「はい。貴女は物語の都合上、彼らとかなり重要な関係にあります。今ここでは明らかにしませんが、あとがきで対面させるのは控えようと思います。」
家城「そう。ならもうこのあたりで締めましょうか。」
主「はい。プロローグから読んでくださってる読者の方も、今回から初めて読むという方も僕の小説を読んでいただいて有り難う御座います。」
家城「これから艦これ小説と平行してペースアップをしていくけど、もしかしたらまた遅れるかもしれないから、それでもいいと読んでくれてる読者の皆さんには感謝するばかりよ。」
主「では次回も、
また見に来てください(きなさい)!!」