地球防衛軍~怪獣王の系譜~(リメイク)   作:東部雲

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 前回投稿した頃から一週間前後での投稿です。
 後皆さんにお知らせです。

 感想コメントが一件ですが届きました。

 他にUAが4000を超えました。

 いつも読んでくださってありがとうございます!これを励みにこれからも執筆を頑張りたいと思います。ではどうぞ!


第12話 星の守護神

 

 

 アカデミーではロシアで発生したギャオスの大群による被害と状況が、館内放送によって勝一達候補生に知らされた頃。

 

 ロシア領シベリア上空を多数の航空機が通過していた。

 

 

 

「間もなく作戦目標が活動する空域に到達します。黒木特佐」

 

「───わかった。……コマンドゼロから各機へ。間もなく作戦空域に到達する、航空隊形から戦闘隊形に移行せよ」

 

 コンソールや計器の放つ光に照らされた薄暗い機内で赤と黄色のラインが入ったヘルメットを着けたパイロットの報告に黒い帽子を被った中年男性──黒木 翔(くろき しょう)特務少佐が答えると、装備する無線とセットのマイクに指示を投げ掛ける。

 

 黒木は日本に総司令部を置くEarth Defense Force──地球防衛軍に所属する特殊戦略作戦室の室長で、2年前までは日本の陸上自衛隊に所属していたが保有戦力であるスーパーX3の維持に必要な予算が足りず、また特殊戦略作戦室にしても解散の話が持ち上がりつつあった。

 

 ちょうどその頃にEDFからスカウトを受けて黒木はそのオファーに応え、直属の部下とスーパーX3と共に総司令部入りした。

 

 今回の出撃は非常事態宣言をしたロシア政府から正式な要請があり、それを受けて日本の航空自衛隊、在日米軍、EDFから航空部隊の派遣が決定したため、怪獣に関連する被害にどの国よりも強い権限を有するEDFに指揮権が委ねられている。

 

 

『こちらアルファ1-3、了解。戦闘隊形に移行します』

 

『アルファ1-4、了解!』

 

『ブラボー3-1は引き続き輸送任務を継続します』

 

『こちらナイト2-6。敵との交戦に備えます』

 

 黒木の指示は周囲に展開する味方機に届き直ぐに応答してきた。

 

 

「黒木特佐、随伴する在日アメリカ空軍機から攻撃準備が完了したとのことです」

 

「予定通り、独自に展開するように伝えてくれ」

 

了解(ラジャー)

 

 現在シベリア上空を飛行するのは前面に在日米空軍のF-16C戦闘機二個飛行小隊8機、左右後方をEDF主力戦闘機DF-19ドッグファイター二個飛行小隊8機(コールサインアルファ1-3・1-4)、航空自衛隊のF-15J一個飛行小隊4機。

 

 更にその中央には緑を基調としたカラーリングで胴体が図太く、他より二回り以上は大きい機体──スーパーX3Rが飛行していた。

 

 更に後方をEDF輸送ヘリUH-60D ブラックホーク(コールサインブラボー)8機、更にその下方には二機ずつで輸送中のEDF最新鋭主力機──九式機龍二型4機(コールサインナイト2-6)が宙吊りにワイヤーで繋がっていた。

 

 

「特佐、ハバロフスク郊外付近に到達。作戦目標を確認しました、多数です」

 

 ナビゲーターが報告してきた直後、黒木の座るオペレーター席前面の大型ディスプレイに情報が浮かび上がる。

 

 90年代に製造された当時アナログ機器を多数使用した内装をしていたが、2011年にEDFに転属した直後にスーパーX3もまた近代化改修を受け、部品の更新と共に余分なアナログ機器は排除されている。

 

 そして今ディスプレイに映るのは部隊の進路上にある市街地──ハバロフスク郊外の上空を旋回する異形の存在、人類の天敵ギャオスの大群が飛び回っていた。

 

 

「戦闘隊形を維持しつつ、攻撃を開始」

 

「了解──各機に告ぐ、攻撃を開始せよ。繰り返す、攻撃を開始せよ」

 

 号令の直後米空軍機が動いた。

 

 F-16Cが右主翼に装備するサイドワインダー対空ミサイルを発射、8機の戦闘機から放たれた八つの弾頭は白煙の尾を曳いて前方の熱源を目指して突き進んでいく。

 

 音速を超える速度で迫る物体に本能で感じ取ったのかそれに気付いたギャオスが一頭だけ回避しようとするが、気付いたときには距離500㍍を切っていた。

 

 いち早く回避行動を取った熱源を逃がすまいとミサイルは方向を変えて追尾し、徐々に距離を縮めるとついに命中して爆発すると、炎上する破片を撒き散らしながら死骸と化したギャオスが墜ちていく。

 

 

「アメリカ空軍機のミサイルが着弾! いずれも撃墜です!」

 

「ブラボー3-1はナイト2-6を切り離せ。ナイト2-6はギャオスの群れを攻撃」

 

『了解!ナイト2-6を切り離します』

 

『ナイト2-6了解!』 

 

 ナビゲーターの報告を受けて黒木は装備する無線のチャンネルを変え、指示を飛ばすと後方のヘリ部隊がワイヤーで吊り下げた九式機龍二型を切り離し、重力に任せて降下しようとする機体の背部の推進機二つが唸りをあげ、脚部のスラスターを噴かせて滞空すると4つの機体は同時に前方の群れに突っ込んでいく。

 

 

 

 ハバロフスク郊外での戦闘をギャオスの群れを統率する個体──翼長140㍍を超える大型個体は遠くからも知覚していた。

 

 

 折角より多くの仲間を成長させて巣分かれを促して数を増やそうとしてたのに、ヤツラが定住圏を守ろうと送ってきた集団に邪魔をされて、更に別のところから違うヤツラが邪魔をする、忌々しい限りだ。

 

 これ以上群れを攻撃されて数を減らされるわけにもいかない、そう判断を下すと遠くから傍観するのをやめて目の前の敵に大型個体が向かっていった。

 

 

 

「特佐、レーダーに動きがあります! 距離2000!」

 

「違う群れか?」

 

「いえ、ひとつだけです! ですが強い反応です」

 

 現在戦闘空域は激戦の様相を呈していた。

 

 米空軍のF-16C戦闘機が縦横無尽に駆け巡ってはミサイルを放ち、その後ろについた個体を空自のF-15J戦闘機が機関砲で撃ち抜く。

 

 EDFのドッグファイターが省電力速射メーサー砲『ダガー』を発射して粉砕して、虎の子の九式機龍二型がギャオスの放つ超音波メスを右腕の複合兵装防盾『M2ソニックシールド』で防ぎながら、左腕の『B1連装メーサー速射砲』で順調に数を減らしていた。

 

 黒木の乗るスーパーX3Rはそのサイズの関係で連携はとりづらいため、各部隊に指示を飛ばしながら遊撃している。

 

 ギャオスの放つ超音波メスもかつて原子炉を暴走させより強力になったゴジラの熱線にも耐える超耐熱合金の装甲は受け止め、その間に他の機体が攻撃していた。

 

 ナビゲーターが報告してきた反応は恐らくこの群れを率いる大型個体だろう、これ以上数を減らされたくないのかもしれない。ただ黒木のスーパーX3Rを含めてギャオスと交戦しているのはヘリ部隊を除いた25機で、どの僚機も群れとの戦闘から手が離せない。

 

 

「接近する反応に機首を向けろ。こちらの火力をもって迎撃する」

 

「了解!」

 

 デカイ図体を活かした囮としての役割以外は部隊の指揮を除いて手の空いているスーパーX3Rで迎撃しようと、黒木が指示した直後にそれは起きた。

 

 上空の雲を照らす朱色の光、更にその中を切り裂くように降り注ぐ紅蓮の炎がギャオスの大型個体に向かって突き進んでいく。

 

 それに気付いたギャオスは翼を翻して避けると眼下の街に巨大な火球が落ちた直後に、爆風と巨大な炎を伴った爆発が周囲の建造物を焼いた。

 

 

「っ! ……状況知らせ」

 

「ギャオスの大型個体を火球が掠めてそのまま市街地に落ち、甚大な被害が出た模様! 住民への被害は不明です!」

 

 突如として起こった眼下の惨状に僅かに表情を歪めるが直ぐに淡々と報告を促すと、ナビゲーターが焦った様子で報告する。

 

 その時上空の雲を切り裂くように何かが飛来する。それは一見すると甲羅を背負った亀のように見えるが巨大で、前足と思われる部位を水平にして後ろ足がある筈の部位からは白い噴煙を噴き出していた。

 

 

「ガメラ出現、大型個体を中心として旋回しています!」

 

「特佐、どうしますか?」

 

「例によってガメラがギャオスと戦うだろう。あちらはは放置して、味方部隊の支援を優先しろ」

 

 黒木の迷いのない指示にパイロットとナビゲーターは『了解!』と応え、スーパーX3Rは転進した。

 

 

 

 スーパーX3Rが転進して群れとの戦闘に戻っていった直後に白い噴煙の尾を曳いて飛ぶ生物──『ガメラ』は高度を下げ、後ろ足の付け根からの噴射をやめて地面に降りる。

 

 ズウゥゥゥゥン……!

 

 噴射をやめて顕にした両足で地面に降り立つと衝撃が走り、土埃が舞い上がり振動が地盤を揺らす。

 

 やがて舞い上がった土埃が収まり、その中から出てきたガメラは力強く咆哮する。

 

 

「ガァアアァァーー!!」

 

 ガメラが咆哮をあげた直後、ギャオスが動いた。

 

 妨害を受けてからは留まり続けていた空中から超音波メスを見舞い、地面を穿ちながらガメラの表皮を裂き緑色の血液を流す。

 

 

「グアァ……!」

 

 ギャオスの超音波メスにより受けたダメージを知覚して低く唸り、口から漏れた炎が見えた直後に火球を連発する。

 

 

「キォォオ!」

 

 当然だが空中から見下ろすギャオスは一連の動作を見て気付いているため、急降下してかわしながらそのままガメラに襲いかかる。

 

 

「グオォ!?」

 

 翼長140㍍を超えるギャオスは急降下したことで生み出す強力な位置エネルギーを武器に、ガメラの腕を脚で鷲掴みする。ガメラはその勢いを受け止めきれず地面に倒れるがギャオスは腕を鷲掴みにしたまま押さえ込み、もう片方の脚で何度も踏みつける。

 

 

「グゥゥ……!」

 

 ガメラもやられっぱなしではなかった。何度も踏みつける脚を両手で掴むと横に放り投げる。

 

 ガメラに反撃の投げ技をされたギャオスは空中で直ぐに態勢を立て直して旋回するが、その間にガメラも立ち上がると両足から再び噴射して離陸するとギャオスと同じ高度まで上昇した。

 

 それに対してギャオスは速度を上げて距離を離そうとするが、同じ高度まで上昇したガメラは四肢から噴煙を噴き出し、コマのような回転で追撃する。

 

 

「キオォォ!?」

 

 猛烈な勢いで回転するガメラの体当たりを食らったギャオスはその衝撃に吹き飛ばされ、空中で錐揉みしながらハバロフスクから少し離れた森林に墜落して墜落地点の木々を薙ぎ倒す。

 

 その直後ガメラも森林の手前に降りると両足を地面が陥没するほど強く踏みしめ、空気が可視化する程勢いよく吸い込んでとめる。目の前の墜落して重傷を負い逃げようともがく手負いの仇敵を見据え、口から漏れる炎を揺らす。

 

 そして、吸い込んだ空気を溜め込んだ体を後ろに反らすと暴力的な威力を持った破滅の業火を吐き出した。吐き出された業火は墜落したギャオスのいる森林を飲み込み、溶かすように燃やし尽くしていく。

 

 周りの木々諸とも業火に飲まれたギャオスは皮膚どころか直ぐに内側まで炎に焼かれ、力尽きると森林とともに巨大な火柱を立ち上らせる燃料に成り果てた。

 

 

「ガァアアァァーー!!」

 

 この地に降り立った時と同じ力強い雄叫びを最後に飛び去っていった。

 

 

 

「ガメラは大型個体を撃破、進路を南に移動しました」

 

「となれば後は群れを一掃するだけだ、戦況は?」

 

「現在我が方が優勢、既に敵も残り僅かです。! ……正面にギャオス、やや大型の個体が回り込んできました!」

 

「小型プラズマメーサーキャノン、照準と同時に撃て。」

 

「小型プラズマメーサーキャノン照準、発射(ファイア)!」

 

 機首部分の装甲が開きパラボラアンテナのような武装を展開する。

 

 かつてスーパーX3Rは陸自に所属していた当時冷凍兵器を搭載した超兵器だったが、生産ラインが限られ製造にかかるコストがどうしても多くなる冷凍ミサイル。発射のための燃料が貴重なため確保の難しい超低温レーザー砲は、維持するのにも黒木達特殊戦略作戦室の予算を圧迫していた。

 

 その後2011年にEDFに移籍した後は前述したような近代化改修を受け、装備も維持にも補給にも費用がかからないメーサーと対獣貫徹誘導弾(フルメタルミサイル)に変更されて使い勝手の利く特機へと生まれ変わった。

 

 スーパーX3Rの正面に回り込んできた翼長80㍍のギャオスに向けて、機首部分に装備する『小型プラズマメーサーキャノン』を発射した。

 

 発射した光線は接近するギャオスを翼の根本から左胸までを抵抗なく粉砕、断末魔の悲鳴をあげながら地面に墜ちていく。

 

 

「ギャオスを撃破、味方部隊も群れの掃討を完了したとの報告が来ました」

 

「被害状況は」

 

「米空軍側のF-16C戦闘機は3機が撃墜、現在ロシア極東軍管区から救助ヘリが向かっています。ドッグファイター、九式機龍二型は共に損失機ゼロ。空自のF-15Jも同様です」

 

「パイロットの救助活動と周辺の被害の対応はロシア極東軍、ロシア支部に任せる。現時刻をもって作戦を終了、部隊を纏めて帰還する」

 

 現場の指揮官である黒木の宣言により輸送ヘリが九式機龍二型を回収すると、日本に向けて帰路についた。




~あとがきのコーナー~

??「ようやく本編とあとがきで出番が回ってきたな。」

主「はい、これからよろしくお願いしますね。黒木特佐!」

黒木「というわけだ。読者の皆さん、初めまして。黒木翔だ。」

主「今回初めての登場でしたね、終始落ち着いた様子で指揮を執っていましたが。」

黒木「俺にとってそれは問題じゃないな。俺の仕事は勝つか負けるか、それだけだ。」

主「そういえばガメラが乱入してきたときに迷わず放置しましたが、ガメラに対するあなたの意見はどうでしょう。」

黒木「どうもしない。ヤツの行動パターンを見る限りギャオスを優先的に攻撃している。ヤツの方から我々を攻撃しないなら、利用しないてはないと考えただけだ。」

主「作戦開始時に米軍は独自に行動とありましたが、それは?」

黒木「連中と我々EDFでは部隊の運用コンセプトが違う。元々怪獣を想定した訓練なんて受けてないだろうから、その辺りに考慮したまでだ。」

主「ありがとうございました。今回解説するのはこの辺りで。では、次回予告です!」


次回予告

 第一回特災史を受講してレポートを書いて反省文を書き終わった後眠りについた勝一だが謎の夢に魘され、それから色々な授業や訓練を経てついに九式機龍の操縦訓練を迎える。


主「では次回も、

また見に来てください(くれ)!」
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