予定では今回、次回の中編、次々回の後編で三本立てとなっています。
オリジナル怪獣、オリジナル兵器が複数出てきて、最早オリジナルなのか特撮二次なのか解らない内容です。ドウシテコウナッタ
そんな調子の拙作ですが、皆様が宜しければ是非今後も宜しく御願いしますm(__)m
筑波EDF総司令部総執務室。
怪獣が引き起こす災害や間接的な二次被害と言った事案に対応するEDFという組織の代表、EDF総司令官にのみ使用を認められた執務室。
元は前身である組織Gフォース司令官が使用する場所だったが、再編と同時に現在は、多方面に対応するEDFの指揮官が勤務する場所となっている。
「……富樫司令、こちらがハバロフスクの現場状況の報告書と追加事項の申請書です」
「見よう」
この部屋にいるのは現EDF総司令富樫と特殊戦略作戦室の村山の二人で、今は事務処理の為書類に記入して判子を押す作業をしていた。
怪獣の脅威に対抗する国際軍事組織と言えど現代社会の一部だ。
怪獣の活動が活性化してそれによる被害の報告書、人道支援のために派遣する部隊を選考する書類審査、現場から随時送られてくる現況報告と追加事項の申請書と、今回の事件だけでも山のように積み上げられた書類と格闘せねばならないのは文明人の辛いところである。
「また現地の
「世界にはカルト教団を母体とするMBOや、真逆の思想を持った現実主義者や被害者家族が中心の
同じ思想は存在しない以上、社会的な障害でしかない行動をする人間もいるのでしょう。
現地からは警備のための要員を増派してほしいと要請が来ていますが」
「ロシア政府に打診して協力を仰ぐ、上の特災対策センターに許可を求めよう。それより、例の件はどうだ?」
「現在、新城 彩花准尉を含む特殊部隊M Gが北部方面隊石狩飛行場からヘリで現地に向かっています。現地到着は間もなくでしょう」
「指令室に移動する。書類の山は後で片付けよう」
「了解しました」
机上で積まれた書類の山をそのままに総執務室から退室すると、EDFの全作戦行動の中枢となっている戦闘指令室に移動した。
室内にはコンソールを操作する情報士官と総司令部守備軍指揮官新城 功二少佐が待機しており、入室した富樫に気付いて敬礼した。
「富樫司令、お疲れ様です」
「状況は?」
「先程の報告では現地に到着、調査行動に移行しました。ただ、おかしな事が」
普段の積極的な彼にしては珍しく言い淀んだ。
「続けてくれ」
「は。実は調査エリアに存在する集落より東3㌔の地点に擂り鉢状の“穴”が発見されました」
「規模は?」
富樫は焦らずそう促した。
「報告では直径約300㍍、深さは120㍍とのことです。昨晩の観測で小規模の地震が確認されたようですが、同エリアに出来た穴との関連性は不明です」
「現場を監視衛星で捉えているか?」
「現在捕捉を継続中です」
情報士官の一人がそう答える。
「スクリーンに写せ」
「了解」
それは報告通り擂り鉢状の巨大な“穴”だった。地表が陥没したからか、上空からは穴の底で瓦礫が影を作ってる事がスクリーン越しに分かる。
「昨日まではこんなものは無かった筈だな?」
「現状で判明する限りは、MGは要所にスナイパーを配置して集落の調査に入っていますが」
富樫は考え込むように腕を組んだ。そして考えられる状況を想定まですると、
「その集落は今も連絡は取れるのか?」
「先程日本政府経由で問い合わせたところ、昨晩から現地と連絡が取れない状況だと言ってきてます」
確認して最悪の状況が浮き彫りになってくる。つまりは現地で何か起こっている、と言うことなのは言うまでもないだろう。
「新城少佐」
「はっ」
短く名前を呼ぶと新城が厳しい面持ちで応えた。
「現在メインドッグで格納しているメカゴジラMk-Ⅱをいつでも出撃できるように準備しておけ」
富樫が告げたのは新城を驚愕させるに充分だったが、どうにか動揺を押し殺した声で聞き返す。
「……あれは我が軍の虎の子ですが」
返事はそれだけだったが、富樫は眉間に皺を作りながら、スクリーンを睨んで更に言った。
「構わん。それに、何か嫌な予感がする。準備はし過ぎということはない」
「では、自分も?」
実は新城もメカゴジラMk-Ⅱのクルーであり、チームリーダーでもあるため必要に迫られれば出撃することになっていた。
「貴官もだ。北部方面隊の様子は?」
「現在石狩飛行場でドッグファイター二個小隊がスクランブル待機中です」
「日本側も現地の被害を確認するため陸自が出動しています!」
スクリーン画面のひとつでは北海道の地形をクローズアップしており、友軍を指す緑色のマーカーが複数車道沿いに移動していた。
「念のため地上部隊を準備させたい。北部方面隊に連絡をとれ! 新城、今すぐメカゴジラMk-Ⅱの出撃準備に入れ」
「はっ! では失礼します」
力強く返答し敬礼して退室する新城の表情は、決意に満ちた軍人の顔だった。
「司令! 現地のMGより緊急通信です!」
「なんだと!?」
「そちらに回します!」
すぐさま司令用コンソールのインカムを取った。
「こちら総司令部の富樫だ、どうした!」
『緊急事態です! 今すぐ現場からの撤退を許可してください!』
「何があった、状況は!?」
怒鳴り気味に促すインカムのスピーカーからは断続的な発砲音が伝わってくる。
『ギャオスです! 今までと
「全く違う個体だと! 新種だとでも言うのか!?」
異変はそこで終わらなかった。
更に報告してきた情報士官が叫んだ直後、先程新城が報告した擂り鉢状の穴より離れた地点。
集落より北距離3㌔の地点に画面が切り替わり、広範囲で土埃が舞い上がる。
地面が割れ崩落すると直後に姿を現したのは、山と見紛う程に巨大な、今までに確認されたことのない超巨大怪獣の姿だった。
◇◇◇
視点は切り替わり、北海道富良野市。
そこでは追われるように移動する集団の姿があった。
「止まるな、走れ!」
男は怒号を放つと、携行するライフルを右側の草むら目掛けて発砲した。放たれた銃弾は枝を折り、葉を散らすと直後に何かが飛び出してくる。
「ウィンドスラッシャー!」
それを阻止すべく動いたのは、この場において間違いなく最年少の少女だ。
凛とした叫びの直後、男と何かの間に割って入るように旋風が巻き起こる。
それは忽ち真空の刃となって向かってくる個体を切り裂くと、紫色の体液を撒き散らして倒れ伏す。
「急げ! 次の
彼らはEDF総司令部から直接派遣された迷彩服に身を包んだ対怪獣特殊部隊M Gの隊員と、国連特災対策センターから派遣されてきた学者を含んだ調査隊だ。
当初彼らは今回の任務に疑念を感じていた。
ただ調査するだけに空軍を動かすなど、まるで何かが起こることを前提にしているとしか思えなかったからだ。
そしてそれは、現地入りして集落付近の調査を開始して間もなくの頃に起きた。
突然草むらから飛び出してきた影──槍のような頭部と鎌に似た前肢、その攻撃的な外見から鋭利な刃物を連想させる怪物達が調査隊に襲いかかったのだ。
だがそこは対怪獣用の特殊部隊、襲撃されるやすぐさま手持ちの火器で応戦した。
アサルトライフル、対物狙撃銃に装填された対怪獣用兵器フルメタルミサイルと同様の合金を使用した銃弾が、敵の鋭利な体表を穿ち、甲殻を粉砕して第一波は退けた。
だがその時点で学者の一人と隊員の何名かが犠牲になり、更に出現した第二波の個体数が多数であることを鑑みた部隊長、宮川大尉の判断で撤退を開始したのだ。
「隊長! 前方に新手が!」
アサルトライフルを携えた隊員の一人が叫び指差す先には、部隊の進路を塞ぐように待ち構えた怪物達がいた。
「富田、マイケルッ、後ろを牽制しろ! 擲弾、用意出来たら撃て!」
指示が飛び弾かれるように陣形を変えた部隊は、それぞれの目標に向けて弾幕と擲弾を見舞う。
後方から迫る集団を
「この先が着陸地点だ、行くぞ!」
部隊が目指していたのは比較的平坦な場所で、草も茎が短い種類しかない地形だったため着陸地点に指定されていた。
素早く着陸地点を囲うように展開して待つこと数分、EDF所属のヘリが上空に到達すると、ゆっくり高度を下げて着陸の態勢をとる。
「ヘリが来たぞ! 着陸まで敵を近付けるな!」
「「「Yes’sir!!」」」
生き残った全員で生きて帰る、そう意気込んだ直後だった。
降下するヘリを何処かから飛来した何かが接触、機体はテイルローターが脱落して黒煙を吐きながらコマのような回転で落下し始める。
突然起きた事態に咄嗟の反応で部隊は散開するが、それにより生じた隙を着陸地点周辺の怪物は見逃さなかった。
ヘリが堕ちると同時に飛び出した個体は、反応が遅れた隊員の一人を鎌のような前肢の先端で串刺しにし、胴体を貫かれた隊員は事切れた。
「あ、イヤ……!」
部隊に随伴していた少女──
本当は調査で役に立つからと、あの時黒木に志願したはずだった。だが現状はどうだ、いざ戦場に出て同行する部隊の隊員達が一人、また一人と死んでいく様を見て取り乱そうとしている。
だがそれも本来ならごく自然なことと言えた。いくら超能力を振るう強力な兵士とは言え、実際には16になったばかりの少女だ。それで平静さを保つのはよほど芯が強いか、恐怖を抱かない人間だけだろう。
「何をやってるの、逃げるわよ!」
混乱のなか動けないでいる彼女を見かねたのか、部隊に所属する唯一の女性隊員──
そうしてる間に部隊は再び集合を果たし、着陸地点から離れようとしていた。
「総司令部、応答願います! 救援のヘリが撃墜、更に隊員1名が死傷! 替わりの機体を回してください!」
『こちら富樫、了解した。集落から南西1㌔の地点にヘリを送る、移動しろ!』
「了解! マイケル、先導しろ! 辻森、遅れず付いてこい!」
M Gを回収するヘリが来るまで時間はかかるはずだ。
それまで生き残れるかどうか、学者と超能力者の少女を含んだ調査隊にとって、長い一日が始まったのだった。
◇◇◇
再び視点は切り替わって、EDF総司令部。
その地下にはとある巨大兵器を格納するメインドックが存在しており、その一角では一人の男が受話器を取り通話していた。
「調査隊を回収するヘリが撃墜!?」
動揺を含んだ、太い声が室内に響く。声の主は上下対称の黒いツナギを着た功二で、太い黄色の線で『M』と書かれたヘルメットを抱えている。
『今回の敵は未知の形態をした新種のギャオスだ。制空権を確保するため、先程空軍の戦闘機を護衛に救助ヘリを出動させた。
地上部隊も既に出動しているが、諸君には同地区の巨大個体を足止め、もしくは撃破してもらう』
「……出現した巨大個体の様子はどうなってますか」
現地で同行する部隊と共に取り残されまだ戦っているであろう娘の安否を聞きたいが、功二は仮にもEDFの高官である立場上それはできず、どうにか焦る気持ちを抑えて現状のみ聞いた。
『今のところ移動はしていない。だが周囲の小型個体を示す反応は増えている、現地の部隊を救出するなら時間はない』
「我々は巨大個体の足止めと周囲の小型個体を引き付ける囮、ですか?」
そうであるなら直接娘を助けることはできなくても、間接的にそれを果たすことはできる。そう意気込みながらヘルメットを抱える左手に力を籠め、闘志をたぎらせる。
『そう解釈してもらって構わない。だがあくまで巨大個体の足止めが最優先だ、他のことに気を取られるな』
「了解しました、戦果をご期待ください」
そう締め括ると受話器を戻し部屋から出る。
先程までいたのは過去にEDFがGフォースを名乗っていた頃、メカゴジラ・MOGERAの正規チームが着替えるのに使うロッカールームだ。
富樫と通話のため待たせていた部下二人を連れて、通路を歩いていくと重厚なスライド式の隔壁がある場所に出る。
目の前にある隔壁は、20年前にゴジラを抹殺するため出撃したメカゴジラの正規チームが通った場所だ。
そしてその先にはEDFが建造した史上最大の機動兵器が目覚めの時を待っている。
隔壁の横にある端末を操作して開けると直後、開いた隙間から空気が流れて鈍い重低音を響かせて隔壁が全開する。
全開した隔壁を通るとそこは橋のような長いタラップで、周りは騒音が地かに作られたメインドックの壁を反射している。
その先にあるのは、鈍く銀色に輝く巨大なロボットだった。
かつてゴジラに戦いを挑んだ戦闘ロボットは伝統的に銀色が用いられていた。
メカゴジラ、対ゴジラには使用されなかったがその発展型のMOGERAといったGフォースの超兵器。
99年に出現した4代目ゴジラを倒すべく建造された三式機龍、そのどれもが銀色の機体として完成した。
だが目の前の機体はそうではない。対ゴジラではなく
対怪獣用試作型決戦兵器。形式番号 UX-3-12 『メカゴジラMk-2』
ゴジラとは異なる脅威をも想定して建造された新たな切り札が、今目の前で目覚めの時を待っていた。
「俺にとっては待ちわびた実戦だが、今回は一刻を争う。力を貸してくれ、相棒」
決意を言葉に乗せ、二人の部下を伴って巨大兵器に乗り込んだ。
いきなり出てきた今作品オリジナルのギャオス?が出現。果たして現場の彩花は、M Gはどうなるのか。