魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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投稿遅れてすみません。
投稿は、21時~24時、基本的には22時に投稿します。

誤字機能……便利な機能ですが、確認はしなければいけませんでした。
反省しております。


勧誘の時間

 翌日、達也が風紀委員になったという話を聞いた。

 どうしてそうなったのかはわからないが、生徒会副会長、服部(はっとり) 刑部(ぎょうぶ)――彼がそう呼んで欲しいと望んでいる――と模擬戦を行って勝利、その場の流れで生徒会全員承認の生徒会推薦枠としてなったらしい。

 

 そして、放課後。

 達也は渚たちに労いの言葉を送られながら教室を出て風紀委員会本部に向かう。

 

 レオと美月はもう既に決めているらしく、渚に声をかけてからそれぞれの目的の場所へと向かっていった。

 

「渚くんはいく場所決まってる?」

 

「ううん、ただ、見て回りたいとは思ってるよ」

 

「私も決まってないの。よかったら一緒に回らない?」

 

「うん、いいよ」

 

 エリカに誘われて了承する渚。

 二人が外に出てみると、そこは校庭を埋め尽くす勧誘のテントと喧騒でお祭り騒ぎとなっていた。

 

 今日から新入生勧誘活動という各クラブ活動の獲得戦が一週間行われる、と渚はアドバイスブックで一高について書いてある欄で読んだことがある。

 

『普通の中学校、高校とは違って、魔法科高校には、九校戦という対抗戦があるのは渚くんも知っての通りです。その九校戦で優秀な成績を収めたクラブには、クラブの予算からそこに所属する生徒個人の評価に至るまで、様々な便宜が与えられるのです。そのため、有力な新入部員獲得は各部の重要事項であり、新入生向けのデモンストレーションなども行われます。デモンストレーションをするためには、CADが必要なクラブも出てきます。つまり、毎年この期間だけは一高は魔法が飛び交う無法地帯となりますので、安全に考慮しながら、是非楽しんでください』

 

 つまり、この期間中は各クラブが躍起になって新入部員を獲得しようとする結果、魔法の撃ち合いに発展するわけだ。

 

 渚は、まさか、と首を振ってはみるものの、実は心の片隅でそれを見てみたいと望んでいた。

 

 だが、その認識は甘かったと後悔している。

 これなら風紀委員が必要なのも納得だ。

 

 とあるテントとテントの隙間に、人垣が築かれている。

 その人垣の向こうでは、脱出不能となったエリカが何事か喚いている。

 

 渚は、その小柄な体格のおかげですんなりと抜け出せたのだが、数の暴力にはエリカもどうにもできないようだった。

 

 だが、それも仕方のない(?)ことなのだろう。

 

 エリカは、贔屓目に見ても美少女だ。

 二科生である、という事実は、全く役に立たなかった。

 

 おそらくは、マスコットや広告塔となるキャラクターを求めてなのだろう。

 主に、非魔法競技系の運動部がエリカの争奪戦を始めたのだ。

 

「助けにいきたいけど……まさかここまでとはね……」

 

 次々と群がっていく上級生の女子生徒達。

 エリカの争奪戦は思ったよりも過激化してきているのだ。

 

「渚、あの人垣は?」

 

 そこで、後ろから聞きなれた声が聞こえた。

 

「あ、達也。あそこにエリカがいるんだけど、助けてやってくれない?」

 

 いたのは、風紀委員の腕章をつけた達也。

 両腕にはそれぞれCADがついていた。

 

「わかった」

 

 達也は左腕にはめたCADを操作し、魔法式の準備が整ったところで、地面を蹴りつけた。

 蹴りつけた振動を魔法で増幅され、人垣の下の地面が揺れる。

 

 達也は人垣の中に突っ込み、その中心にいたエリカの腕を掴んで走り去った。

 

◆◆◆

 

 渚が達也たちを追いかけている途中、デモンストレーションをしているクラブを発見してそこに立ち寄った。

 

 達也とエリカと合流しなければいけないのだが、気になってしまったのだ。

 

 デモンストレーションをやっているのは、マーシャル・マジック・アーツ部だ。

 

 マーシャル・マジック・アーツとは、通称『マジック・アーツ』と呼ばれ、USNA軍海兵隊が編み出した魔法による近格戦闘技術である。

 魔法で肉体を補助して高い戦闘力を発揮する。

 九校戦では採用されていないが、魔法を織り交ぜて闘う徒手格闘競技として広く知られているものだ。

 

 そのデモンストレーションでは、上級生の二人が魔法を使って高速で組手を行っているところだった。

 魔法で高められた身体能力で行われる、組手だとわかっていても迫力のあるその競技に、渚は目を奪われた。

 デモンストレーションが終わり、拍手が巻き起こる。

 

「……ふふ」

 

 そのとき、渚は不敵に笑った。

 彼の脳裏にあるのは、とある男との一戦。

 

「では、ここで実際に組手をしてみたいっていう新入生はいるか?」

 

 自分達の全てをさらけ出し、本気で殴り合い、全身全霊を賭けて戦った試合。

 互いに認め合えた、その一戦。

 

 それを思い出したからだろうか。

 

「はい、やります」

 

 思わず、名乗りを上げてしまったのは。

 

「……名乗りを上げた勇気は認めるが、二科生でその体格だとさすがに……ッ!?」

 

 そんな渚を見たデモンストレーションをしていた部長らしき男子生徒の背中に悪寒が走る。

 彼から出てくる、今まで感じたことのないオーラ。

 

――この二科生、ただの二科生ではない。

 

 その男子生徒がそう断定することは、そう難しくはなかった。

 

「……わかった。新入生はCADを持ってないから今回は魔法なしで、自分のタイミングではじめていい。……おい、相手をしてやれ!」

 

「はい!」

 

 渚と部長らしき人とデモンストレーションをしていた部員が面と向き合う。

 彼は、始めるタイミングは自分でいいといった。

 

 構えをとる部員。

 

 ただ笑顔で、対戦相手へと歩いていく渚。

 渚からは、闘争心、ましてや殺気などは全く感じられない。

 だから、渚が近づいてきていても、部員の男子生徒は全く警戒することができなかった(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 そして、次の瞬間には。

 

「な、なんだとっ!?」

 

 部長らしき男子生徒の悲鳴に近い声が上がる。

 見物している生徒からも、どよめきが起こる。

 

 対戦相手である部長の男子生徒が近づかれたと知覚したころには、既に渚によって寝技を決められていたのだ。

 圧倒的な威圧感を背中に感じながら。

 

「……あれ、不意討ちは無しなんでしたっけ……」

 

 ふと、その背中から間の抜けた声がした。

 

「……いや、君のタイミングでいいと言ったから問題はない……彼を離してやってくれ」

 

「あ、ごめんなさい!」

 

 渚は、かけていた技を解いて謝罪を述べてから、立ちあがった。

 対戦相手である部員の男子生徒は、何が起きたのか、何故自分は倒れているのか、未だに掴めていない。

 

「……君、名前は?」

 

「潮田 渚です」

 

「そうか。渚君!もしよければうちの部にきてくれないか!?」

 

 勧誘したということは、彼は部長なのだろう。

 その部長が、掘り出し物を見つけたとばかりに渚に迫る。

 

「ぼ、僕でよけば是非……と言いたいところなのですが、少し親と相談しなければいけないことがあるので……」

 

 だが、渚にはこれをその場で決めることは出来なかった。

 それを聞いた部長は残念にしながらも、まだ諦めないという様子で渚に言った。

 

「そうか……許可がもらえたら、是非うちへ」

 

「そのときは、お邪魔させてもらいます」

 

 一礼をして、立ち去る渚。

 後ろから歓声に近いものが聞こえたが、エリカと達也を探さなければいけない渚は振り返って確認することはしなかった。

 

「潮田 渚か……」

 

 そんな中、見物していた生徒の中で二人、彼をジッと見つめる影があった。

 

◆◆◆

 

 渚が体育館の近くを通ると、体育館から生徒達が気持ち悪そうに続々と出ていくのが見えた。

 何事かと体育館の中へとはいると、そこには胴着をきた生徒が見知った顔の生徒へと殴りかかろうとしているところがあった。

 

 そして、見物人の中に見知った赤毛の女子生徒を見つける。

 

「エリカ!これはどういう状況!?」

 

「あ、渚くん何処行ってたのよ。まぁ、それはそれとして。今の状況だけど、剣道部と剣術部が揉めて剣術部が魔法を使用、それを取り締まった達也くんに『二科生のくせに』とか『普通は喧嘩両成敗だろ』とかいって殴りかかっているわけ」

 

「なるほど……それにしてもすごいね」

 

 既に倒れている人数を含めて、計十四人を一斉に相手にしている。

 しかも、無傷でだ。

 

「最小限で無駄のない動き。見事としかいいようがないわね」

 

「しかも、余裕をもって攻撃をかわしている……!危ない!」

 

 そこで、渚は剣術部の部員が魔法を使おうとしているのを見つけ、達也に向かって叫んだ。

 

 それのおかげかどうかは定かではないが、達也がそちらに視線を向けたその瞬間、剣術部員が気持ち悪そうにして、魔法式に成りきれなかったサイオンが虚空へと散っていく。

 

 結局、達也は一度も反撃することなく、剣術部員の体力がなくなるまでかわし続けた。

 




渚君はマーシャル・マジック・アーツに興味を持ったみたいです。
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