魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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すみません。
更新したと思ってたのですが、今確認したら今日の22時になっていたため急遽この時間に変更。
大変申し訳ありません。

更新できない場合は活動報告にて必ず報告がありますので、それ以外の場合は予約投稿を失敗してます。

案外抜けてるとこありますので。


CADの時間

 数日後の夜。

 最近、CADに違和感があるのを渚は感じている。

 自分でできる最大限の手入れはしているのだが、当然のことながら渚にCADを調整する技術は無い。

 

 魔法は発動出来るのだが、どうしても何かに引っ掛かっているような感触が残るのだ。

 

 このCADの制作者は烏間先生の部下の人。

 つまり、軍人なわけで、こちらの都合で連絡を入れるわけにもいかないためどうしようもないというのが現状である。

 

「んー……達也に頼めば調整してくれるかなぁ」

 

 一応CAD調整のマニュアルはアドバイスブックに載っているのだが、機器がないため試すこともできない。

 よって、身近にいて、CADが調整できる人を思い浮かべたときに真っ先に出てきたのが達也だった。

 

「よし、明日頼んでみよっと」

 

 時間もそれなりに遅いため連絡を入れることはせず、明日教室で頼もうと決めて渚は眠りについた。

 

◆◆◆

 

「……帰りたい……」

 

 ため息混じりに呟く渚。

 現在はお昼休み、渚が今いるのは生徒会室だ。

 

 どうしてこうなったのか。

 それは、朝登校してきた達也にCADの調整を頼んだところ、「別に構わないが学校で調整機器を使えるか頼まないといけない。昼休みに生徒会室へ行こう」と言われて昼休みに生徒会室へ向かった。

 

 生徒会室。

 そこにいるのは当然だが、生徒会役員。

 そして、風紀委員長だ。

 

 生徒会室に入ってから、まずはご飯を食べながらしばらくは真由美の九校戦の準備に対する愚痴――主にCADエンジニアが決まらないことについて――を聞くことに徹していた渚。

 しかし、その話が終わった途端、始まるのが摩利からの勧誘の嵐。

 

 それが、摩利だけならまだしも、達也がさりげなく後押ししている節があるため、摩利の勢いも衰えない。

 

 最早、真由美含め他の生徒会メンバーは諦め、深雪はニコニコとアルカイックスマイルを浮かべており、摩利は勧誘を、達也も風紀委員に渚を推薦する始末だ。

 渚の精神はあっという間に磨り減らされていく。

 

「達也……そろそろCADの話についてお願いしてもいいかな」

 

「そうだったな。会長。渚のCAD調整をしたいので、放課後に調整機器を貸してもらってもよろしいでしょうか」

 

「ふぇ?」

 

 渚のどんよりとした空気のなか紡ぎ出された言葉に、達也はおふざけだったとでも言いたいような切り替えの早さで、困り顔をしていた真由美に申し出た。

 いきなりの申し出に、真由美からは変な声が漏れる。

 

「あ、なるほどね。ええ、別に構わないわよ」

 

「ありがとうございます、会長。渚、放課後にCADを持ってきてくれないか」

 

「うん!ありがとう、達也!」

 

 やっと調整ができるということに、さっきまで敵(?)だった達也にお礼を言って笑顔を見せる渚。

 しかし、次の瞬間に渚は冷や汗を流すこととなる。

 

「真由美。そういえばエンジニアを探してるって言ってたよな?」

 

「そうよ。でも、なかなか見つからなくてねぇ……」

 

「いるじゃないか、一人。目の前に」

 

「……盲点だったわ!!」

 

 達也から若干負の感情が混じっている視線を向けられたからだ。

 しかも、目の前で渚のCADの調整をすると言ってしまった時点で、達也のエンジニア入りは決定したようなもの。

 

「CADエンジニアの重要性は先日委員長からお聞きしましたが、一年生がチームに加わるのは過去に例が無いのでは?」

 

「何でも最初は初めてよ」

 

「前例は覆すためにあるんだ」

 

 一応、抵抗を試みる達也だったが、真由美と摩利から即答で反論が返ってきた。

 

「わたしは九校戦でも、お兄様にCADを調整していただきたいのですが……ダメでしょうか?」

 

 そして、深雪からの止めの一撃により退路は完全に絶たれてしまい、とりあえず渚をジッと見つめる達也。

 

「……本当にごめんね」

 

 もう達也は諦めるしかなかった。

 ため息をつきつつ達也が時間を見てみると、既に昼休みの三分の二以上が過ぎていた。

 

「ところであーちゃんは課題は終わったのかしら?」

 

「会長~」

 

 あーちゃん、と呼ばれた渚よりも小柄な少女、まさしくあーちゃんという名前に相応しい容姿をしている二年生生徒会書記、中条 あずさは課題を持ち込んでいたが、全く終わらないのか、真由美が聞いた瞬間に真由美へと泣きついた。

 

「少しくらいなら手伝ってあげるから。それで、課題はいったい何なの?」

 

「すみません……実は、『加重系魔法の技術的三大難問』に関するレポートなんです……」

 

 シュンとした顔で告げたあずさのもとへ、デスクワークをしている深雪以外の視線が集まった。

 

「な、なんですか?」

 

 いきなり注目を浴びて、あずさはビクッと肩を震わせ、首をすくめた。

 その反応をされては、こちらが虐めているような感覚に襲われるため、渚はすぐに目を逸らす。

 

 しかし、頭では既に別の事を考えていた。

 

 数日前、加重系魔法の技術的三大難問の飛行魔法の仕組みが書いてあったページの下には、殺せんせーからの宿題があった。

 

――重力制御型熱核融合炉の実現を誰もが理解出来るように自分で考えてみる。

 

 魔法の分野のページをいくら探しても重力制御型熱核融合炉の実現に関するページは一枚もなく、『言うまでもありませんが、自分だけの力だけでやろうとは思わないように』という一言が書いてあるページがあっただけだった。

 

 つまり、『自分だけの力でやろうとは思わないように』ということは、『自分が出せる手札を全て使ってやってください』ということなのだろう。

 真由美とあずさが目の前で飛行魔法の議論をするなか、渚は一人で『重力制御型熱核融合炉の実現』について考えていた。

 

「達也くんはどう思う?」

 

「今までの飛行魔法という捉え方が間違っているのだと思います」

 

 渚は、思考を止めて目を見開いて達也を見た。

 達也は、本当の飛行魔法の理論を知っているのだと、直感的に分かった。

 

「終了条件が充足されていない魔法式は、時間経過により自然消滅するまでその場に留まります。新たな魔法で先行魔法の効力を打ち消す場合、先行魔法は消滅しているように見えますが、それは見掛けの上だけのことです」

 

 言い方は難しいが、殺せんせーの指摘とここまでは合致している。

 

「仮に、効力の打ち消される先行魔法の魔法式をA、先行魔法の効力を打ち消すための魔法式をBとしましょう。Bが発動することにより、Aは事象改変の効力を失います。しかし、Aは効力を失っただけで、依然としてその場に残っています。AとBは同時に作用していますが、単にBの効果が表に現れているに過ぎないのです」

 

――達也は、完全に知っている。

 

 今の理論を聞けば、あの本を読んだ渚ならすぐに結論を出せた

 ここまで断言するのは、その理論に自信があることを裏付けているからだ。

 

 ふと、そこで達也と眼があった。

 一瞬だけ渚のリュック(・・・・・・)に視線が行ったことも、感じた。

 渚に嫌な予感がするのを感じる。

 

「この理論は、恐らくですが渚も知っていますよ」

 

 そして、その予感はだいたい当たるものだ。

 達也がリュックを見たのは、ここに飛行魔法について書いてあると結論付けているから。

 その答えを渚から聞き出そうとしているからなのだろう。

 

「……僕は――」

 

 そこで、昼休みの終了を知らせる振動が達也の胸からなる。

 予鈴の変わりなのだろう。

 

「深雪、渚。教室に戻ろっか」

 

「はい、お兄様」

 

「え、あ、うん」

 

 達也の呼び掛けにすっと立ち上がって応えた深雪と、戸惑いながら応えた渚。

 扉に向かう途中、渚に視線が集まっているのは達也があんなことを言ったからだろう。

 

 上手く誤魔化さないといけないなぁ、と若干諦め気味に呟く渚に、達也は渚の見えないところでニヤッと口を歪めた。




今日もう一話出ます。
投稿時間はしっかりと確認しておきます。

今回の話はこれからに繋がる部分です。
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