魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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活動報告でも書いた通り、少し行き詰まって間に合いませんでした。
申し訳ありません。

さて、今回から九校戦の本編ともいえるパートに突入ですね


懇親会の時間

 八月一日。

 まるでこの日を祝福するかのように空は雲一つ無い快晴。

 昨晩は興奮のあまり眠れなかった渚だったが、今だ興奮は冷めていないために眠気は全く無い。

 

 ただ、今日行われるのは懇親会。

 九校戦の競技は明後日から行われる。

 

 なら、何故二日前に向かうことになったのか。

 それは懇親会に参加するためだ。

 

 しかし、懇親会には本来、九校戦メンバーしか参加できず、一般市民はおろか、魔法科高校の生徒ですら参加することは許されていない。

 なので、彼らは烏間にどうにか参加させてもらえないか頼み込んで、何とか皿洗いと給仕係でなら参加してもいいとなった。

  なお、同年代の高校生が数人同じように参加するとのこと。

 

 集合場所のカフェには七時集合で、現時刻は六時半。

 カフェまでは徒歩二十分ほどかかるため、そろそろ家を出たほうがいい時間だ。

 

 一階に降りて、挨拶をするため母親と父親が食事を取っているリビングへと向かう。

 

「父さん、母さん。行ってくるね」

 

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

 

「楽しんでくるんだぞ」

 

 二人に笑顔で見送られた渚は家を出て、カフェへとスキップしそうな勢いで向かった。

 

 集合時間十分前、カフェには既に全員が集まっており、渚が一番最後だった。

 

「皆久し振り!もしかして、僕集合時間間違えてた?」

 

「おー、渚。久し振りだね」

 

「……業?」

 

 渚はありえないものを見るような眼で挨拶を返してくれた業を見る。

 

「この数ヵ月で何でそんなに身長伸びてるの!?」

 

「逆に、なんで渚はこの数ヵ月で全く身長伸びていないの?」

 

 そう、業の身長が明らかに伸びている。

 渚が中学校を卒業したとき、身長は百五十九。

 そして、現在へと至る。

 しかし、業は明らかに百七十後半はあり、渚の心の叫びに返した黒髪でロングヘアーの元クラスメイト、茅野(かやの) カエデも、中学校卒業時は渚よりも低かったのに、現在ではほぼ同じ身長となっていた。

 

 他のクラスメイトも、誰一人として身長の差が縮まることはなく、逆に大きく引き離されていた。

 

「な、渚もこれから伸びるよ、きっと!」

 

「そうだよ。渚はまだ成長期が来ていないだけだ。気にすることじゃないよ」

 

 一気にどんよりと落ち込む渚に慌てて茅野と元E組の学級委員にして、容姿端麗、運動神経抜群、成績優秀な磯貝 悠馬がフォローに入った。

 

「……うん」

 

 渚は再会早々、とてつもなく大きい精神的ダメージを負ったのだった。

 

◆◆◆

 

 カフェから交通機関を駆使して会場へと向かう一同。

 これから数日間泊まるホテルへと直通になっているバスに乗り込んだ彼らの話は、今夜の懇親会の事についてだった。

 

 ちなみに、まだ時間が早いためかバスは貸しきり状態で、席順は一番後ろに磯貝、前原、岡島で右前に渚と業、左前に中村と茅野だ。

 

「ほんと、烏間さんには感謝しないといけないよ」

 

「そうだね~。だけど、今回俺はパスするよ」

 

「え!?なんで!?」

 

「俺、あまりそういうの好きじゃないんだよね~」

 

 突如、業が懇親会には参加しない旨を渚達に言った。

 それに渚は理由を求めるも、確かに業は中学のときから人が集まる行事をあまり好んでおらず、参加しないことも多々あった。

 

「あ、私もパス」

 

「え!?中村さんも!?」

 

 そして、向かい側の席から金髪のロングヘアーのギャルっぽい見た目をしている女子、中村 莉桜(りお)も不参加の意思を示す。

 

「いやー、少し行きたいところがあるんだよねー」

 

 向かい側では、渚と同じく業と中村が懇親会に出ないことに驚いている茅野の姿が目に入ったが、後ろの席を見た渚は首を傾げる。

 

 金髪のイケメンにして、磯貝の親友、前原 陽斗(ひろと)と坊主頭でクラス一の変態、岡島 大河(たいが)がにやけていたからだ。

 

「あれ、なんで二人ともにやけてるの?」

 

「別に、にやけてなんかいないよ。なぁ、前原?」

 

「勿論。残念だよなー磯貝」

 

「はいはい。本当に残念だね」

 

 そんな二人の様子に、磯貝はため息をついている。

 それから、段々と鮮明になっていく富士山に年相応の反応を見せたり、ホテルでの夜の過ごし方を決めたり、懇親会の仕事の担当を決めたり、九校戦の競技について話たりとしているうちに、彼らは目的地のホテルへと着いたのだった。

 

◆◆◆

 

 荷物を部屋へ運びいれて滅多に入れない軍のホテルということで、一通り中を探検し終わった一同は、懇親会に参加するためにスタッフルームへと向かった。

 探検していたときや、スタッフルームに向かう途中で一高の制服に身を包んでいる生徒を見かけたが、見た所知り合いはいなさそうなのでスルーした。

 ちなみに、業と中村はそれぞれの部屋で待機している。

 

 スタッフルームにはホテルの従業員らしき人が一人待機しており、今回の仕事内容と服装についての説明を一通り渚達に終えると、皿洗い係の前原と岡島はコック服を、給仕係の渚、磯貝、茅野には給仕服が支給され、五分後その服装で食堂に来るように言い残して去っていった。

 

 前原と岡島が皿洗い係なのは、給仕の仕事をサボって女子生徒をナンパしたり女子生徒の写真を勝手に撮ったりする可能性があるからである。

 

「……あの、これは?」

 

 そして、渚は支給された服を見て唖然とする。

 どう見ても、おかしかった。

 磯貝の支給された服は、執事のような服装。

 しかし、渚に支給されたのは、明らかに女性用(・・・)の服。

 つまり、メイド服だ。

 

 周りでは、前原と岡島が必死で笑いを堪えている。

 

「……すまない渚。止めたんだけど……」

 

「え、いや、磯貝くんのせいじゃないから気にしないで」

 

 磯貝が止められなかったことを渚に謝罪してきたため、渚も逆に申し訳なくなってきたが、今はそれどころではない。

 

 五分後に食堂集合ということは、これを着なければ間に合わないのだ。

 

「……これを着るしかないのかなぁ」

 

「本当にごめん。後で男性用のやつもらってくるから」

 

 茅野は女子更衣室へ既に行っており、渚と磯貝、前原、岡島は男子更衣室でそれぞれ着替える。

 

 ドレス風のフワリと広がったスカートをはき、かなり恥ずかしいため少し顔を伏せて覚悟を決める渚。

 

 ――少しの間だけだから。

 

 そう自分に言い聞かせて顔を上げようとした瞬間、更衣室出口の方からカシャリというシャッター音が二回鳴った。

 

 嫌な予感が渚を襲う。

 音の鳴った方を見ると、部屋にいるはずの中村と業が二人してニヤニヤしながらカメラを向けている。

 

「何撮ってるの!?というか、二人が参加しなかったのってこのためなの!?」

 

「いやー?俺は本当にやりたくなかっただけだよー?」

 

「私も少し行きたいところがあるだけだよー?」

 

 渚のツッコミをニヤニヤしながら受け流し、カメラをこちらに向ける二人。

 そこには顔を伏せて顔を赤くしているメイド姿の自分の姿があった。

 

「うわーー!!それ二人とも今すぐ消して!」

 

「大丈夫だよ渚。現像してE組の皆に渡しておくから」

 

「それもっとダメじゃん!」

 

「安心しなって。似合ってるよ渚ちゃん(・・・)

 

「ほんと。びっくりするくらいすっごい自然だわ」

 

「そんな自然さいらないよ!!」

 

 業と中村、渚のコントみたいな言い合いに、前原と岡島は爆笑し、磯貝ですら笑いをなんとか押し殺しているように下を向いて震えていた。

 

「ほら、集合時間でしょ?行っておいでよ」

 

「……業も中村さんも写真消しておいてよ?」

 

「分かってるって」

 

 気がついたらもう集合の時間のため、一応中村と業に念を押してから磯貝たちとともに食堂へと向かった。

 

 食堂についたとき、先程指示を出していた従業員と四人のクラスメイトがいた。

 

「……って、レオにエリカ、幹比古、美月!

?」

 

「……渚?」

 

◆◆◆

 

 自分達と同年代の高校生は、レオ、エリカ、美月、幹比古だった。

 食堂で会ったとき、レオと幹比古、美月はその状況に理解が追い付かず呆然と、エリカはニヤニヤと渚の姿を眺めていた。

 

 食堂で接客の仕方の説明を受けた渚は素早く男性用の給仕服に着替える。

 何が悲しいかといえば、他のスタッフが渚に対して一切の違和感を持たなかったことだろう。

 

 時間は既に夕方になっており、懇親会に参加する高校生がホールへ次々と入場、あっという間にホール内は生徒で埋め尽くされた。

 

「ほんと、驚いたよ。渚くん、まさか女装趣味があったなんて。すごく似合ってたけどね」

 

「ぱっと見は女の子かと思ったよ……」

 

「あれは僕の意志じゃなくて仕組まれたことなんだよ……」

 

 レオと美月は食堂で裏方の仕事を任されたため別れているが、幹比古とエリカは同じ給仕係のため、ホール近くの控え室で立ち話をしていた。

 

 何故クラスメイト四人が一緒にいるかというと、エリカと幹比古は家柄の関係上の幼馴染みで、この場にいないレオと達也は体育の時に渚の紹介で知り合いとなっており、今回エリカの家系のコネで懇親会のスタッフをやっているのだという。

 

「渚ー、そろそろ行くよ……この人たちは?」

 

 給仕の仕事のため渚を呼びに来た茅野は、エリカと幹比古を見て渚に問いかける。

 

「あ、紹介するね。今の僕のクラスメイトの千葉 エリカと吉田 幹比古だよ。エリカ、幹比古。こちら……」

 

「どちらでもいいよ」

 

「こちら、雪村 あかり。僕の元クラスメイトだよ」

 

 紹介を受けたエリカと幹比古は名前を呼ばれたときにそれぞれ軽く礼をするも、茅野の紹介の時に何故渚が止まったのか気になったのか頭にハテナを浮かべていると、茅野から補足が入った。

 

「中学の時はある事情で『茅野 カエデ』という偽名を使っていたから、皆からはそちらで呼ばれていますが、是非呼びやすい方で呼んでください」

 

「渚くんはなんて呼んでるの?」

 

「僕は茅野だよ」

 

「じゃあ私はカエデちゃんで。私のことはエリカでいいわよ」

 

「なら僕は茅野さんで。僕の事も幹比古でいいよ」

 

「わかった。よろしくね、エリカ、幹比古くん……と、忘れてた。ほら、仕事だよ渚」

 

「あ、うん。また後でね二人とも」

 

 茅野と渚が給仕の仕事をやりにいったため、その場にとり残されたエリカと幹比古。

 二人とも渚と同じ給仕係のため、渚たちの後ろをついていくように歩く。

 

 ふと、エリカに根本的な疑問が一つ沸いたが、それは後にしよう、と気持ちを切り替えて、トレイの上にジュースを乗せて、給仕の仕事を始めた。




お待たせしました。
メイド渚ちゃんと業のコント如何でしたか?
可能な限り原作のような会話にしてみましたが、どうでしたでしょうか。

メイド渚ちゃんは各自で想像しておいてくださいませ。
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