魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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さて、更新を始めて早一ヶ月。
ここまでこれたのも皆さんのおかげです!

完結までこのペースでいきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いします!


合流の時間

 九校戦は、十日かけて本戦、新人戦と行われる。

 種目は、男女共通で『スピード・シューティング』、『クラウド・ボール』、『バトル・ボード』、『アイス・ピラーズ・ブレイク』

 男子のみの競技として、『モノリス・コード』

 女子のみの競技として、『ミラージ・バット』

 以上の計六種目。

 

 交通の便はかなり悪い会場だが、直接競技を見に来る観客は十日間で述べ十万人。

 有線放送の視聴者は、少なくともその百倍以上になる。

 

 渚たちが家を出発してから二日後、ようやく開会式が始まった。

 開会式は華やかさよりも規律を印象付けるものだったが、魔法競技はそれ自体がとても派手なもののため開会式を華やかにする必要はない。

 

 開会式が終わると、すぐ競技に入った。

 一日目の競技は、『スピード・シューティング』の決勝と『バトル・ボード』の予選。

 

 スケジュールの違いは、両競技の所要時間の違いを反映している。

 

 渚たち元E組と、達也、雫、ほのか、深雪は真由美の試合を観戦すべく、『スピード・シューティング』の競技場へ移動した。

 

 勿論その二組は一緒に行動しているわけではなく、別行動だ。

 

「あ、達也」

 

「渚か。奇遇だな」

 

 だが、彼らはバッタリと出会った。

 理由は簡単。

 観客席は後列ほど高い階段構造だが、その前列は既に埋まっていた。

 男女問わない真由美のファンによって。

 

 そのために、必然的に席は後列の方になる。

 

 後列にはまだそれなりに広い場所があり、二組が座ってもまだ余るくらいには空いていた。

 他に席を探して取られるのも間抜けな話なため、二組はその周辺に固まって座る。

 

 だが、そこで座らない男が約二名。

 

「君たち、すごく可愛いね!」

 

「ねぇねぇ、写真撮っても良い?」

 

 前原と岡島だった。

 

「来て早々何やってんの!?」

 

「なんだよ渚ー。写真一枚ぐらい良いだろー?」

 

 いきなりナンパ紛いなことを始める二人に渚が突っ込みを入れるも、それで止まるようならまずナンパ紛いなことをしていないだろう。

 だが、彼らはやらかしてしまった。

 よりによって深雪をナンパしてしまっているのだ。

 

「すまないが、妹と友人から離れてくれないか」

 

 当然、達也が出てこないわけがない。

 達也も渚の元クラスメイトとはいえ、深雪に触れるようなら容赦をするつもりはない。

 そんな達也の迫力ある佇まいに、前原と岡島は顔をひきつらせながら大人しく引き下がる。

 

「ごめんね達也。普段は本当に面白い友達なんだけど、女子に目がないのが玉に傷で……」

 

「まぁ、それがあいつらなんだから仕方ないんだけどねー。あ、私は中村 莉緒。よろしくね」

 

「俺は渚のクラスメイトの司波 達也だ。渚、今回は見逃すが、次深雪にちょっかいをかけたら容赦はしないぞ」

 

 渚の苦笑混じりの言葉にのっかるようにしながら自己紹介をする中村。

 達也も自己紹介をして、次はないぞ、と渚に忠告をする。

 だが、その忠告を聞いた元E組はヒソヒソと小声で会話を始めた。

 

「渚、司波くんってまさか……シスコン?」

 

「あ、うん……かなりね……司波さんも同じくらい」

 

「うーん……ブラコンなのか彼女……そして兄がシスコンとなれば、さすがにガードが堅すぎるな」

 

「なんとしても一枚……」

 

「いや、諦めてよ!」

 

 その会話の内容は本人たちがきいたら恐ろしいことになりそうなものだった。

 主に最後の二人は絶対に止めなくてはならないと誓う渚。

 

「えーと、司波くんだっけ?」

 

 渚がその誓いを胸に持ったとき、一連のやり取りをずっと見ていた業が達也に話しかけた。

 

「どうした?」

 

「俺は赤羽 業。よろしく」

 

 軽い自己紹介をして手を差しのべる業。

 握手を求めているようだ。

 

「司波 達也だ。こちらこそよろしく」

 

 それに答える形で達也も自己紹介をし、その手を握る。

 握手を数秒交わし、お互いが離したときに自分の手と達也を交互に見る業。

 

「どうしたの?業」

 

「いや、なんでもないよ」

 

 業の行動に謎を覚えた渚だが、本人が何でもないといっているのでそれ以上は聞かなかった。

 

「潮田くんのクラスメイトって、個性豊かな方ばかりなんですね」

 

「むしろ、個性が強すぎる」

 

「とても楽しそうなクラスですよね」

 

 現在の状況を見て、ナンパされた深雪、ほのか、雫は冷静にコメントを残した。

 だが、それも仕方がないことだろう。

 

 前原と岡島は二人で何やらコソコソと話し込んでおり、業と中村は渚と茅野を写真で弄っている。

 そのとき、渚のクラスメイトが近づいてくるのを達也は視認する。

 

「司波くん。さっきはあの二人が失礼なことをして申し訳ない。俺は磯貝 悠馬だ。次からはあんなことしないようにしっかりと監視しておくよ」

 

「司波 達也だ。是非そうしてくれると有り難い」

 

 今度は磯貝が頭を下げながら自己紹介をし、達也も最早社交辞令的な流れで名前を名乗った。

 

「なんか、すごい騒がしいわね」

 

「こいつらが渚のクラスメイトたちか?」

 

 ふと、背後から声をかけられて達也とその横にいた磯貝、深雪、ほのか、雫が後ろ振り返る。

 

「エリカ、レオ」

 

「ハイ、達也」

 

「よっ」

 

「おはよう」

 

「おはようございます、達也さん、深雪さん、ほのかさん、雫さん、それと……」

 

「磯貝 悠馬です」

 

「よろしくお願いします。磯貝くん」

 

 上から、エリカ、レオ、幹比古、美月の順番で挨拶をし、達也の座っている列の一列後ろにそれぞれ座った。

 

「あ、渚くんにカエデちゃんもオハヨー。朝から楽しそうね」

 

「あ、エリカ。おはよう。朝から僕は疲れたよ……」

 

「おはよう、エリカちゃん。私も渚に同じく……」

 

 そして、渚と茅野を見つけたエリカはそちらにも挨拶をする。

 レオは前原と岡島のところへ向かったところを見ると、どうやら三人は仲良くなったみたいだ。

 

「そろそろ始まるぞ」

 

 今までかなり騒がしい場の雰囲気が、達也の決して大きくはない、だがよく響いた声によって少しずつ収まっていく。

 それに合わせるかのように、観客席も静まり返っていった。

 

 選手はヘッドセットをつけているので、少しくらい観客が騒いでも選手には関係ないが、これはマナーの問題である。

 

 開始のシグナルが点った。

 

『スピード・シューティング』は、三十メートル先の空中に投射されるクレーの標的を魔法で破壊する競技で、制限時間内に破壊したクレーの個数を競う。

 いかに『素早く』正確に魔法を『発射』できるかを競う、というのが『スピード・シューティング』の名前の由来だ。

 

 そして、真由美は遠隔魔法の英才と呼ばれるほどの実力の持ち主。

 

「わぁぉ……すごいねこりゃ」

 

 中村から声が漏れた。

 それは恐らく、この場の誰もが思っていることだろう。

 

 真由美が使用した魔法は、ドライアイスの亜音速弾。

 

 クレーの数は五分間に百個に対し、真由美は百回のドライアイスの亜音速弾の魔法を使用し、その全てを破壊。

 

 つまり、パーフェクトだった。

 

「あれって、渚の先輩だよね?」

 

 魔法を詳しく知らなくても凄い実力の持ち主だということは誰にも明白であり、茅野は真由美を見ながら渚にきいた

 

「あ、うん。生徒会長だよ」

 

「七草……なるほど。あの七草か……渚、その生徒会長とは知り合い?」

 

 業は業で何やらぶつぶつと呟いた後、ふと何か思い付いたかのように渚に質問する。

 それに若干首を傾げながらも、渚は一昨日のことを思い出して苦笑いしながら答えた。

 

「まぁ、知り合いといえば知り合いだね。ある意味では天敵だけど……」

 

「なるほどねぇ……悪くない」

 

 達也が横で今の魔法について説明しているなか、元E組メンバーは真由美の実力に眼を奪われ、業は再びぶつぶつと呟き始める。

 渚は何か不味いことを言ったかな、と念のため過去に言ったことを反芻することにした。

 

「渚、俺たちは今から『バトル・ボード』の会場へ向かうんだが、一緒にいくか?」

 

 気がつくと、達也たちは既に立ち上がっていた。

 渚は元クラスメイトとアイコンタクトで確認、全員が頷いたことで達也の後ろに続く形で立ち上がる。

 

 先頭には達也、ほのか、深雪、雫の四人、その後ろに前原、岡島、レオ、幹比古の三人組とエリカ、美月、茅野の三人組の計六人が並んで喋っており、渚、中村、磯貝、業はさらにその後ろをついて歩いていた。

 

「渚。さっきの渚のとこの会長の魔法ってどんな原理かわかるか?」

 

 そして、現在後ろでは、磯貝が渚にさっきの魔法のことについて質問しているところだった。

 

「んー……空気中って分子が動き回っているのは分かる?」

 

「ああ、理科でやったな」

 

「その分子の運動を減速させてドライアイスを作り、これを亜音速に加速させてクレーに当てるっているのを百回繰り返したんだ」

 

 へぇー、と納得したらしい磯貝は、中村に喋りかけられたため、渚は業と喋っていようと隣を歩いている業を見る。

 

「……?」

 

 しかし、業はただ一点、達也の姿を見ているだけだった。

 

「さっきからどうしたの?業」

 

「いや、司波くん、なーんか引っ掛かるんだよね」

 

 業はその何かを思い出せずに、ずっと達也見ていたという。

 渚も達也を見てみるが、別段引っ掛かるところはない。

 

「気にしすぎじゃない?」

 

「……かもね」

 

 そして、一向は『バトル・ボート』の競技場へ到着した。




少しぐだりそうで怖かったですが、なんとか上手く合流させることが……できた……と、思いたいです。

正直かなり難しかったですが、
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