魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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劣等生に渚って、案外あってると思います。

そして、真由美の会話の部分で伏線はりたいのでやはりいれますね。


入学式の時間

「新入生ですね?開場の時間ですよ」

 

 渚と達也は不意に声をかけられたため会話を中断して顔を向けると、やや小柄でフワフワとした巻き毛黒髪ロングの女子生徒が目に入った。

 

 まず二人の目に入ったのが左腕に巻かれたCAD――術式補助演算機(Casting Assistant Device)(デバイス、アシスタンス、法機(ホウキ)と呼ばれたりもする)――で、現代の魔法師にとっては必須のツールだ。

 

 生徒が校内でCADの携帯を認められているのは、生徒会役員と特定の委員会のみ。

 そして、当然ながら左胸には八枚花弁のエンブレムがあった。

 

「ありがとうございます。すぐいきます」

 

 達也は礼儀正しく腰を曲げお礼を言い、それに倣って渚も腰を曲げてお礼し、アドバイスブックをしまおうとしたとき、再びその女子生徒が声をかけてきた。

 

「感心ですね。まさか本を持ってきている生徒がいるとは思いもしませんでした。その……そんなに大きい本が存在してることもついでに……あ、私は生徒会長を務めさせていただいています。七草真由美です。『ななくさ』と書いてさえぐさと読みます。よろしくね」

 

「あはは……たぶん、この大きさの本は世界に五十冊ほどしかないと思いますよ……」

 

 感心した後はすぐに苦笑いし、自己紹介はウインクが付きそうな口調で、ととても感情豊かな生徒会長の真由美に、こちらもまた苦笑いしながら答える渚。

 

 ただ、達也は全く別のことを考えていた。

 

数字付き(ナンバーズ)。しかも『七草』か)

 

 数字付き。

 苗字に数字が含まれている家系を指す隠語。

 十師族及び師補十八家の苗字に一から十の数字。

 百家と呼ばれる家系の中でも本流とされる家系の苗字には十一以上の数字が入っている。

 

 二十八家と百家の間には差が見られるが、数値の大小が実力に直結するわけではなく、苗字に数字が入っている場合、魔法師の血筋が濃く、魔法師の力量を推測するひとつの目安となる。

 

 中でも、七草と四葉(よつば)はこの国最有力の家系であり、真由美がエリート中のエリートだということがわかる。

 

「俺……いえ、自分は司波達也です」

 

達也は目の上の人に対し、俺と言おうとしたところを訂正し自己紹介し返す。

 

「僕は潮田 渚です」

 

 渚も簡潔に自己紹介をし終えると、目を丸くして驚いたあと、何やら意味ありげに頷く真由美。

 何か言う雰囲気があったため、二人とも礼儀正しく真由美の言葉を待つことを選び、沈黙する。

 

「司波 達也君に潮田 渚君。そうあなた達が教師陣の中でも噂のあの達也君と渚君ね」

 

 とても引っ掛かる言葉が返ってきた。

 渚自身には思い当たる節はいくつかあるのだが、達也がどういう噂になっているのかがわからないのだ。

 

「達也君は入学試験、七教科平均、百点満点中九十六点。特に圧巻だったのは魔法理論と魔法工学。合格者の平均点が七十点に満たないのに、両教科とも小論文を含めて文句なしの満点。前代未聞の高得点だって」

 

「え!?達也すごいじゃん!!」

 

「ペーパーテストの成績です。情報システムの中だけの話ですよ」

 

 真由美から語られた達也の成績に、渚は唖然とするしかなかった。

 情報システムの中だけとは言っても、真由美の口調と表情、そしてそれを抜きにしても凄いと言うことがわかるものだった。

 

「何いってるのよ渚君。貴方も十分すごいわよ。一般の中学校から来て、約三週間ほどの勉強で入学試験平均九十点。魔法理論と工学も平均よりは十点以上も上で、何よりも五教科平均九十八点は達也君を差し置いて一位よ」

 

 今度は、達也が驚く番だった。

 入試の成績にではない。

 一般の中学校からきた(・・・・・・・・・・)という点においてだ。

 

「え!?そんなに取れていたんですか!?中学校でも取ったことありませんよそんな点数!」

 

「二人の点数、少なくとも私には真似できないわよ?私ってこう見えて理論系も結構上なんだけどね。入学試験と同じ問題を出されても、二人のような点数はきっと取れないだろうなぁ」

 

「そろそろ時間ですので……失礼します」

 

「あ、待ってよ達也!」

 

 達也は、まだ何か話したそうにしている真由美にそう告げて、返事を待たずに背を向け、渚は達也が急に行ってしまったことに驚き、軽く一礼して達也の元へと向かった。

 

◆◆◆

 

「なんか……すごいね。いろんな意味で」

 

「そうだな」

 

 真由美と話し込んでいたせいで、二人が入学式が行われる講堂にたどり着いた時には席の半数以上が埋まっていた。

 

 座席の指定が無いから、最前列に座ろうが最後列に座ろうが真ん中に座ろうが端に座ろうが、それは自由だ。

 

 二人がすごいと思ったのは、その分布に規則性があったからである。

 

 前半分が一科生。

 後ろ半分が二科生。

 

 誰に強制されているわけでもないのに、とても綺麗に分かれていた。

 

 その流れにあえて逆らうつもりもない二人は後ろで隣に並んで座れそうなところ適当に見繕って座った。

 そこで達也は椅子に深く座り直して目を閉じ、渚は再びアドバイスブックを広げて読み始める。

 

「あの、お隣は空いていますか?」

 

 突如、達也の方から声が掛かり、達也は目を開けて、渚は本から目を外してそちらを見ると、女子生徒が初対面の男子ということもあって、とても緊張した面持ちで立っていた。

 

「僕は構わないよ」

 

「そうか。どうぞ」

 

 渚が微笑みながら了承したため、達也も愛想よく頷いた。

 ありがとうございます、と頭を下げて腰かける少女。

 その横に、もう一人の少女が腰を下ろした。

 

「あの……私、柴田美月といいます。よろしくお願いします」

 

「司波達也です。こちらこそよろしく」

 

「僕は潮田 渚です。渚でいいよ」

 

 未だに緊張した面持ちで自己紹介をした眼鏡をかけたその少女は、達也と渚から自己紹介が返ってきたことによりホッした表情を浮かべた。

 

「あたしは千葉エリカ。よろしくね、司波くん、渚くん」

 

 そして、美月の向こう側からショートで明るい髪色を持つ少女が自己紹介をしてきた。

 

「でも、面白い偶然、と言っていいのかな?」

 

「何が?」

 

「だってさ、『シバ』に『シバタ』に『チバ』でしょ?何だか語呂合わせみたいじゃない。ちょっと違うけどさ」

 

「え……僕だけ仲間外れ……」

 

 確かに少しだけ違うが、エリカの言いたいこともわからなくはなかった。

 ただ、一人仲間外れにされた渚は明らかにショボンとして、それをみたエリカが明らかに焦った様子で訂正を加えた。

 

「いや、ほら!「シオタ」も近いじゃん!こう並べてみればいいよ!チバ、シバ、シバタ、シオタ。ほら!似てる!」

 

「……クス。千葉さんって面白い人だね」

 

 その慌てようは達也や美月、渚からしては笑いを誘うものであり、美月はクスクスと必死に声を抑えながら笑っていた。

 

「……もう、渚君ひどい」

 

「ごめんって、千葉さん」

 

 そうやって談笑をしているうちに、時間は刻一刻と流れていき、式が始まった。

 式は順調に進んでいき、新入生総代の答辞となった。

 

 名前を呼ばれて出てきたのは、渚が校門前でみた、達也と話していた少女だった。

 その瞬間、講堂内の空気が変わる。

 

(……上級生、新入生関係なく男子のほとんどは司波さんに見とれてる……いや、女子も含めてかな……僕も初めて見たよ。あんな綺麗な人)

 

 ほとんどがその少女に見とれるなか、達也はジッと深雪の方を見ており、渚は周囲の観察をしていた。

 それにより、渚は少女の答辞を聞き逃してしまい、式が終わった後、若干の後悔を胸に達也達とともに講堂を出て、学校施設を利用するためのIDカードを取りに行く。

 

 ここでも一科生と二科生の壁が生まれてしまっているのは言うまでもない。

 

「司波君、何組?」

 

「E組だ」

 

「やたっ!同じクラスね」

 

「私も同じクラスです」

 

 達也とエリカ、美月が同じクラスになったということで喜んでいるなか――主にエリカがオーバーリアクションで喜んでおり、達也は無表情、美月は表情だけ喜んでいる――渚は書かれているクラスを見て、頬を緩ませてまた殺せんせーのことを、三年E組のことを思い出していた。

 

「渚君はどう……?どうしたの?渚君」

 

 エリカが渚のクラスを聞こうと寄った時、渚の表情を見て頭にクエスチョンマークを浮かべた。

 

「あ、いや!僕もE組だよ!」

 

 エリカに質問されて現実に戻った渚は、少し焦ったように返事だけ返して再び頬を緩ませたため、エリカはまたクエスチョンマークを浮かべるも、同じクラスとわかったため、渚君もよろしくね、と言った。

 

 やはり、始まりはE組。

 去年と似たような制度の学校、そして、同じクラス。

 

「三人とも、よろしく!」

 

 渚の気分は、最高だった。




学力については五教科のみ達也と同レベル、という認識でお願いします。
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