魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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更新時間ミスではなく、完成したのにも関わらず普通に更新せずに寝てしまってました。
なんだかなぁ……て感じですよね。

お詫びとして本日21時、明日朝6時、0時の三回投稿します。

未だに新着感想の表示には緊張します。


無頭竜の時間

 渚の高校が、渚の友人が素晴らしい成績を残しているというのに、なんとも言えない不快感が襲うのは何故だろうか。

 

 だいたい、トイレから帰ってきたあたりからだ。

 誰かに監視されている。

 

 ――恐らく、無頭竜が私に狙いをつけたのだろう。

 

 ――柳沢にもっとも近く、一度触手を所持してそれを制御した実績があるから。

 

 ある程度確信に近い何かをもって、そう結論付ける。

 もし監視しているのが魔法師なら、一人で行くのは無謀と言えるが、メインターゲットは自分。

 自分だけでやったら逆に迷惑をかけることになる、ということが分かっていても、皆を危険に晒すかもしれない、という考えが助けを乞う障害となっている。

 

「茅野ちゃん、俺たちを気にすることはないよ?」

 

 二つ隣から聞こえてきた声に、茅野は若干ビクッとなってから業の方を見た。

 

「僕たちもあんなに嫌な視線を向けられたらさすがに気づくよ。もう誰がこちらを見ているのか目星はついたし、恐らく、僕たちが競技場を出たときに襲いかかってくると思う」

 

「どうせ私たちも狙われるんだし、皆被害者なんだからさ。一人も皆も変わんないって」

 

 そして、次は両隣、渚と中村から。

 さらに、磯貝、前原、岡島もサムズアップでこちらを見ている。

 

「そういうことだよ茅野ちゃん」

 

 やはり、このクラスメイトたちはとても頼りになる。

 皆でやれば、失敗する気がしない。

 

「……皆、ありがとう」

 

 そこで、試合終了のブザーが鳴った。

 雫が圧倒的な実力の差を見せつけて、『スピード・シューティング』の優勝を飾ったのだ。

 

◆◆◆

 

「そこのおっさん、ちょっといいかな?」

 

「……なんの用だ?」

 

 試合終了後、ある一人の男と六人の一般学生が競技場の外で対峙していた。

 

「この子があんたがずっと見てくるって怖がってるんだけど、やめてくれないかなぁ?というか、なんでずっと俺らを監視してんの?」

 

 業が茅野の見ながらニヤッと口を歪ませて男に詰め寄る。

 男は無口のままだ。

 

「言いたくないって感じかな?それなら、手っ取り早い方法にしよう」

 

 そして、業の言葉に男は好都合だとばかり口を歪ませた。

 

「あんたらの目的はわかってんだよ。ここじゃ人が多い。向こうで俺たちと決着つけようか」

 

◆◆◆

 

 例の化け物を倒すために訓練された暗殺者。

 だが、所詮は非魔法師の高校生たちだ。

 

 数メートル空けて対峙する男とE組メンバーだが、その状況が起きた時点で男は勝利を確信した。

 非魔法師と魔法師の戦闘では、距離さえあれば魔法師が勝つことは目に見えている。

 それが武器も持ってないのだとしたら、尚更だろう。

 

 さらに、場所も競技場の裏の人気がないところ。

 つまり、いくら魔法を使っても問題なく、誰にも邪魔されることなく計画を遂行できる絶好のコンディションなのだ。

 

 これはもう戦いではなく、一方的な蹂躙

 男はそう確信していた。

 

 男は既に汎用型CADで魔法を発動する準備をしてある。

 よって、後は魔法を発動するだけでいい。

 

「いくぞ、磯貝、前原、岡島」

 

「了解!」

 

「おう!」

 

「分かった!」

 

 業の合図で、業、磯貝、前原、岡島は一気に散開して、男に突っ込む。

 確かに、高校生とは思えないほど、速い。

 

 だが、それは一般的に見て、の話だ。

 

「……遅い!」

 

 男も、魔法師としては優秀な部類に入る実力者。

 高速で魔法を構築、四方向に発動する。

 

 発動したのはかなり初歩的な魔法、『エア・ブリット』

 捕獲が今回の目的な男にとって、殺すことはダメなのだ。

 

 よって、気絶させるためには、汎用型に起動式がインストールしてある『空気圧縮弾(エア・ブリット)』で吹き飛ばして気絶させた方が効率がよい。

 そして、非魔法師はサイオンを知覚することが出来ないため、魔法が発動されたとしても見えない。

 例え見えたとしても、魔法を避けられるはずがないというのが男の考えだった。

 

 だが、それは業たちを過小評価しすぎていた。

 

 全員が魔法が発動したと同時に、横っ飛びですぐさま魔法の軌道から外れ、変わらぬスピードのまま突撃してくるのだ。

 

「何っ!?」

 

 距離が数メートルしか(・・)なかったため、もう一度四方向に魔法を撃つ余裕はなく、例え一人倒せたとしても後の三人にやられるのは目に見えている。

 

 よって男は自己加速術式を展開。

 すぐさまその場からバックステップして離れた。

 

 全員が一ヶ所目掛けて走っていたため、業たちの間隔は狭い。

 よって、再び散開してから四人で突っ込んだ。

 

 ――彼らが避けられたのは自分が四人一斉に単発で攻撃したため。

 

 ――なら、一人ずつ確実に仕留める。

 

 男はこの中でリーダーであろう赤髪の男にCADを装備している腕を向け、『エア・ブリット』を再び発動。

 同じように業は横っ飛びで避け、再び突撃……しようとしたところで、二つ目の『エア・ブリット』が業に襲いかかる。

 

 だが、その二発目も、来ることは想定して避けているため、業は難なく躱した。

 

 その避けた後の体勢を見て、男は口を歪ませた。

 一発目は体勢をそこまで崩さず避けたのだが、二発目を避けた際、目に分かるほど体勢を崩した。

 好機とばかりに、正面と業を挟むよう左右に二発、合計三発の『エア・ブリット』を発動した。

 

 ――後三人。

 

 彼はこの三発の魔法を避けられないと確信する。

 

「業!」

 

「磯貝!」

 

 だが、これすらも、彼らにとっては『想定内』

 

 磯貝に向かって手を伸ばしながら飛び込んだ業の手を磯貝が掴み、体勢を崩した業をその場から引っ張って投げた。

 

 これも、暗殺教室で身につけた魔法の避けかた。

 体勢を崩した場合、仕留めるために攻撃がそこに集中するのは当然のこと。

 だから、二人一組を基本とし、先程みたいに全体にきたらお互いの距離を詰めるように避けてすぐカバーできるようにし、今みたいに一人を集中狙いしたら、されている方はペアの方に避け、そのペアは体勢が崩したときにフォロー出来るように準備をしておく。

 

 これにより業は二発逃げ道を塞ぐように撃った『エア・ブリット』からも逃れ、磯貝も業を引っ張った力とともにその場から逃れた。

 

 多対一、生徒対先生を前提にしていた暗殺教室だからこその対処法。

 

 男は舌打ちをしながら、接近している前原と岡島をかわしつつ、完全に体勢を崩した磯貝と業に向かって自己加速術式で接近、CADを向けて今度こそ仕留めにかかる。

 

 ――今度こそ仕留めた。

 

 だが、またしても男の予想した未来とは違う未来がやってきた。

 暗殺教室は、多対一を前提にしているのだから、そのコンビネーションは見事なものだ。

 

 もう一つのペア、中村と茅野が業と磯貝をフォローするために既に待機しており、自己加速術式で近づいきた男に魔法を使わせる前に攻撃した。

 

「クソッ!」

 

 中村の攻撃をかわしても間髪入れずに茅野に攻撃され、それをなんとか避けたとしても再びくる中村に男は対処しきれずに押されていく。

 

 そして、横から前原が男の腕に関節技をきめ、岡島がCADを奪い去り、そのまま前原が近くに植えてある木に向かって投げ飛ばした。

 

 木の幹に直接当たり、身体中の息を吐き出して倒れる男。

 

「お兄さん、いくらなんでも弱すぎない?」

 

「……ッ!黙れ小娘が!」

 

「確かに、正直がっかりだよねー。まぁ、俺たちに気配を悟られている時点で俺たちよりも弱いってことぐらい分かっていたけどさ」

 

 そして遂に、業の煽りに、男の中で何かがキレた。

 高校生に、しかも非魔法師に舐められてキレないわけがない。

 

「……てめえら全員ぶっ殺す!!」

 

 木を支えに立ち上がった男が抜き出したのは、拳銃型の特化型CAD。

 それを業たちに向け、攻撃性の高い魔法を発動するためにサイオンを流し込む。

 

「残念だけど、ゲームオーバーだよ。おっさん」

 

 刹那、背後から密度の濃い殺気が男を襲う。

 

 そこで、男の脳内はとてつもない早さで回転した。

 

 ――そういえば、彼らは七人いるはずなのに、ここには六人しかいない。

 

 しかも、その子は自分が唯一警戒(・・・・)していたはずの青髪の子。

 なのに、何故話しかけられた時にそれを疑問に思えなかったのか。

 

 そこで、男は意識を失って倒れた。

 

「ナイスだ、()

 

「いや、皆が業の作戦通りに誘導(・・)してくれたおかげだよ」

 

 男が倒れたことにより隠れていた人影、渚が姿を表す。

 そう、全てが、喋りかけてから男を怒らせて特化型を抜かせこちらに業たちに意識を向けさせ、木の後ろに予め隠れていた渚が仕留める、その全てが業の作戦だったのだ。

 

「素晴らしい連携だった。さすがは烏間大佐に育てられた生徒さんだ。私が出る幕もなかったな」

 

 そして、そこから少し離れた物陰から称賛が送られた。

 

「いえいえ、風間さんがいたからこそこちらもリラックスして出来ましたから」

 

「時間を取らせてしまい申し訳ありません、先生」

 

 物陰から出てきたのは、渚の魔法の先生の風間だ。

 

「口も相変わらず上手いようだな。……こちらの不手際で君たちを危険な目に合わせてしまった。申し訳ない」

 

 業はもしものときのため、一応風間を呼んで待機させていたのだ。

 作戦は伝えてあるため、その通りに行っているうちはその場で待機してほしいとも。

 

 今回の魔法師は、弱かったわけではない。

 魔法の発動速度はかなり速く、最初から特化型を使われていたら厳しい戦いになっていた。

 

 だが、彼は油断していた。

 捕獲が目的だと分かっていた。

 

 だからこそ勝てたのだ。

 

「さすがに一般人に紛れられては無理ですよ。ただ、確かに接近戦では危険が多いですね。……先生、出来ればですが、拳銃型のこの短剣と効果は同じのCADを作ってはいただけませんか?」

 

「確かに今回のようなことが今後ないとも限らないし、遠距離型もあった方がいいだろう……分かった。頼んでおこう」

 

「ありがとうございます、先生」

 

「うむ。では、君たちは競技場に戻っていなさい。彼らも人が多いところで君たちに手を出したりはしない。この男はこっちで引き取る」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

 後は風間に任せ、渚たちはほのかが出場する『バトル・ボード』の競技場に向けて歩き出した。

 

 その現場を一つの影が遠くの物陰から見ていた。

 

「……何故少佐と渚が?」




最近この時間に投稿するのが多いような気がします。
もう少し早くから文字起こした方がいいのでしょうか。
ちなみに最近文字を起こし始めるのは21時からになってます。
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