明日の6時がお詫びの分
0時のやつが明日……というか、日にち変わってるから、これが明後日になるのか……なら15時のやつが今日のやつで、今回のがお詫びの分で、六時のやつが明日の分なのかな……??(錯乱)
それは置いときまして、どうかこれで許してくださいませ。
ほのかの試合は、達也の完全な作戦勝ちだった。
ほのかの家の家系である『光井』は、その名に相応しい魔法、光学系魔法を得意とする。
『バトル・ボード』の選手は基本的にゴーグルをつけない。
ゴーグルに付着する水しぶきを嫌う選手が多いためだ。
そして、大会のルールでは『魔法で水面に干渉して他の選手の妨害をすること』は認められている。
それらを利用し、ほのかは予めゴーグルを着用、開始と同時に水面に光学系魔法を仕掛け、相手の目を眩ませて、ほのかはゴーグルを着けているため問題なくスタート、圧倒的大差で勝利したのだ。
『女子スピード・シューティング』、『女子バトル・ボード』の成績だけ見れば、今日の新人戦は好成績だったと言えるのだろうが、男子の成績が不振だったのだ。
『スピード・シューティング』は女子が一位、二位、三位を独占したのに対し、森崎は準優勝したのだが、他は予選落ち。
『バトル・ボード』は女子が二人予選通過に対して、男子は一人。
この結果に、一高首脳陣は頭を悩ませたのだった。
◆◆◆
今回の『女子スピード・シューティング』で雫が使った魔法、『
開発したのは、達也だ。
しかし、『インデックス』には達也の申し出により、もし登録することになったら、雫の名前で登録することになった。
その件について、達也と深雪が先程まで達也の部屋で話し込んでいたのだ。
深雪もそうなのだが、達也にとって、四葉家出身というのが今バレるわけにはいかない。
『インデックス』登録の際には、魔法大学から調査が入り、その調査力は、軍の
それをなんとか納得させた達也は、既に日付が変わっているため、また『ガーディアン』としても一人で深雪を返すわけにいかず、部屋に送り届けて機材ばかりある自室に戻り、ベッドに寝転がって昼のことを思い出す。
試合が終わって『バトル・ボード』の競技場に向かおうとしたとき、達也は近くで魔法の気配を感知し、あの現場に出くわした。
多対一とはいえ、非魔法師が魔法師を完全に押さえており、何よりも全員の戦闘スキルが高い。
被弾は一回もせず、全て作戦通りで終わらせた彼らは、達也から見ても強いと思えるものだった。
だが、そんな思いも、物陰から現れた人物によって一蹴された。
物陰から出てきた風間と渚たちは、面識があるような雰囲気であり、風間から渚たちのことを一言も聞いていない達也の脳内では、疑問が次々と浮上した。
しかし、それらは全て風間に聞けばわかること。
時間があるときにでも聞こう、と達也は目を閉じて身体をベッドに委ねた。
◆◆◆
九校戦五日目、新人戦二日目。
今日は『クラウド・ボール』の男女予選から決勝、『アイス・ピラーズ・ブレイク』の男女予選が行われる。
午前に『ピラーズ・ブレイク』の予選二回戦を終わらせ、後のは午後まで全てを『クラウド・ボール』に使われる。
だが、朝一番に行われる『ピラーズ・ブレイク』の競技場に、渚の姿はなかった。
渚は現在、九校戦会場外の、屋外格闘戦訓練場にいた。
昨日の出来事があってから、渚は風間に遠距離専用のCADの作製を依頼したのだが、なんともう出来たというのだ。
どうやら、このナイフ型のCADを作った真田という人が最近軍の仕事でCADを作った際に、せっかくだからということでそれに近い物を作っていたため、それを改造して作ったのだという。
競技を見れなくなるのは少し辛いが、皆にかかる危険が低減できるのなら、ということで午前の競技をほぼ投げ捨てて来たのだ。
「折角の九校戦だというのに呼び出してしまって申し訳ない。一応動作の確認をお願いしたいのだ」
「いえ、こんなに早くできるとは思っても見ませんでした。ありがとうございます」
高校入学前、風間と渚はマンツーマンで魔法の練習をしていたのだが、今回は違った。
「こうやって会うのは初めてだね、渚くん。陸軍一○一旅団・独立魔装大隊・幹部、真田
「初めまして、真田さん。潮田 渚です。ナイフ型のCADのことも含めて、本当にありがとうございます」
今回遠距離専用のCADを作ってくれ、渚が使っているナイフ型のCADも作ってくれた真田が同行している。
「では、時間が勿体無いから早速始めよう。真田、CADを出してくれ」
「はっ!」
風間の指示により真田は手に持っていたケースを地面に置き、開ける。
中から出てきたのは先端に行くに連れて細くなっていく珍しい拳銃型だった。
「渚くんの魔法の構造上、一点集中じゃないと意味がないからこんな形になっているんだけど、本当は照準補助システムをつけるのだけど、趣味みたいなもので作ったから生憎それは搭載出来なくてね。この状態で一回使って見て欲しい」
手渡された拳銃を持ってみると、銃身は確かに不自然な形ではあるが、持つ方に違和感はない。
クルクル手の上で回して遊んでみるが、使いなれた拳銃だった。
「そういえば銃の腕は見たことなかったな」
使い慣れたように拳銃型CADで遊ぶ渚に、風間は思い出したように言った。
入学式前は格闘技術、暗殺技術に驚かされ、さらに時間がなかったこともあり銃の腕は見ていなかったのだ。
「そうだね……まずはあそこにある的を狙って欲しい」
真田が指差した約十メートル先には、直径1メートルの的があった。
渚は懐かしい感触を感じながら銃を構えて、目を閉じて、的の中心を狙い撃つイメージを浮かべた。
――あれは、ターゲットだ。
薄く、目をあけて、CADにサイオンを流し、魔法を撃った。
「――ッ!?」
その時、真田は渚を目を見開きながら見た。
放った魔法はほぼサイオン波に近いもので、的の中心を撃ち抜き、的を揺らした。
サイオン波のみのため、破壊力はない。
「僕としてはとても扱いやすい……です?」
銃を下ろし、使用感を伝えようとした渚は、真田の様子が可笑しいことに気が付いて疑問系になってしまった。
「ハッハッハッ。最初そうなるのは仕方ない、真田。俺も最初はそうだったからな」
「……なるほど、確かにこれはすごいですね」
風間も同じ思いをしたことを伝えられた真田は、噂に聞いていた渚の暗殺の才能を直に感じて、逆に感心していた。
そこで、やっと渚が見ていることに気づいた。
「これは、申し訳ない。さすがは烏間大佐の教え子だ。素晴らしい射撃能力だよ」
「ありがとうございます。使用感は問題ありませんでした」
「では、次はかなり遠いと思うが、一回あの的を狙ってくれないか」
今度指示されたのは、本当にかなり遠い場所に設置してある。
距離にして約八十メートル。
銃を構えて、狙いを定める。
直径1メートルの的といえど、八十メートルも離れればかなり小さくなる。
再び目を閉じてイメージをし、目を開けてCADにサイオンを流して魔法を撃った。
魔法は、真ん中より少しだけ右に当たり、再び的を揺らす。
それに風間は、ほぉ、と一言呟き、真田もその腕前を称賛した。
「本当に素晴らしいね。照準補助システム無しで約八十メートルから狙い撃てれば実戦でも全く問題はない。だけど、渚くん。一つだけとても大事な事があるんだ」
「なんでしょうか?」
一つだけ大事なこと、というからには、相当なことだと容易に想像つく。
渚は真剣な眼差しで真田を見た。
「渚くんの魔法は知っての通り、脳内から発している『電波』、つまり指示信号を揺らして身体の自由を奪うものだ。今回のこの魔法も全く変わらない。だから、その相手の頭を射ぬかないことには、効果が望めないんだ」
つまり、必ずヘッドショットで撃てということだ。
そこからほんの少しだけ練習をし、CADの確認も終わったため、風間と真田にお礼を行って、拳銃型CADを腰につけ、渚は皆がいる競技場へと向かった。
さぁ、これで役者は揃いました。