魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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まずは、申し訳ありません。
構成考え出してからリアルの事情で全くと言って良いほど文字を起こすことが出来ませんでした。
というよりも、リアルが忙しすぎて小説の構成すら考えられなくなっていました。

まだ復帰は難しいですが、定期的に更新できるように頑張ります。

それと、少しだけ書き方変えました。

⚠暗殺教室の重大なネタバレを含みますので、ダメ、という方はブラウザバックをお願いします。
なお、今までの内容から分かっている方は分かっていると思いますが、ホが頭文字の傭兵さんは出てきません。


過去編
暗殺教室の時間 一時間目


 椚々丘(くぬぎがおか)中学校の元三年E組木造校舎。

 『3ーE』と書かれている教室の教卓に、一つの人影が合った。

 

 

「今から、出席を取ります!」

 

 

 とても綺麗に掃除された教室内、まだ現役で使えるその教室に、中性的な声が響いた。

 

 

「うーん、やっぱり生徒がいないとしっくりこないなぁ」

 

 

 勿論、渚である。

 

 楽しかった夏も、終わりが近づいている。

 テーマーパークの日から数日経ち、明日はもう始業式。思い返せば、九校戦、別荘へ友人たちと旅行、元E組メンバーと日帰りの旅行と、本当に濃い時間を過ごした。

 

 現在、『三年E組』制度は廃止となっているが、このE組校舎の表向きな所有権は当然ながら学校にある。だが、実際に所有権を持っているのは、渚たちE組だ。

 これは渚たちの意向であり、学校側の意向でもある。

 

 それを示すかのように、鍵はリーダー格である磯貝が持っており(持たされており)、手入れは元E組全員で行っている。

 

 渚が何故ここにいるのか。

 そこに理由などなく、ただ無性に、本能的にここに来たのだ。

 

 教卓に手をつき、今度は教室内に並んでいる机を、生徒を見るように一つずつ確認していく。

 

 

「もう少し胸を張りなさい、渚くん」

 

「――!」

 

 

 そこで急に声をかけられたことにより、渚の身体がビクッ!と飛び上がった。だが、その久し振りに聞く落ち着き払った威厳のある声色に、顔を向けると同時に名前を呼び返す。

 

 

「理事長先生!どうしてこちらへ?」

 

 

 椚ヶ丘中学校の理事長、浅野(あさの) 學峯(がくほう)が廊下からこちらを見ていた。

 

 

「理事長室からたまたま渚くんがここに向かっているのを見つけてね」

 

「そ、そうでしたか……」

 

 

 渚に向かって微笑みかけ、教室の中へ入る浅野。そのまま向かった場所は、教卓の前にある机だ。

 それを見た渚は、教卓から慌てて降りようとするも、浅野によってそれを制された。

 

 

「そのままでいい。今日は先生、理事長としてではなく、生徒として(・・・・・)いくつか質問したいことがあるからね。潮田先生(・・・・)

 

 

 椚々丘中学校理事長、浅野學峯。

 三年E組制度を作った張本人であり、徹底的な合理主義者でいくつもの学校を全国指折りの進学校にしている敏腕経営者だが、その穏やかで理知的な顔の裏側に隠された本性は、正に悪魔と言ってもいいものだった。

 

 各科目の指導能力は殺せんせーと引けを取らないほどであり、本人のスペックも超越している。

 

 分かってはいたことなのだが、こうやって対面してみると、この先生のカリスマの高さを直で感じてしまう。渚もこの椚々丘中学校在校中に何度も感じたことはあるが、この先生の言葉には重みがあり、人を善悪どちらの方向にも動かす力があることを再認識させられた。

 

 

「質問とは、なんでしょうか?」

 

「そうだね。だけど、質問をする前に少しだけ。九校戦優勝おめでとう、渚くん。君の活躍は私も見ていたよ」

 

「あ、有難う御座います」

 

「実は第一高校は私の母校(・・)でね。私は魔法師なのだよ」

 

 

 そして、衝撃のカミングアウトが行われた。

 

 

「理事長先生が、魔法師ですか?」

 

「そう。君たちは今年の三月のあの時(・・・)、あれだけ大掛かりなことが行われたのにも関わらず、騒ぎが大きくならなかった理由を知っているかい?」

 

「……知りません」

 

 

 三月の出来事と言えば、一つしかない。

 殺せんせー暗殺の日だ。

 

 渚の頭に、その日の出来事が蘇った。

 

◆◆◆

 

 殺せんせーは、宇宙からきた地球外生命体などではなく、『死神』という世界最高の暗殺者だった。そして、その日は殺せんせーが人から殺せんせーになってから(・・・・・・・・・・・)一年、彼の大切な人から定められた誕生日だった。

 

 E組生徒にして、殺せんせー暗殺のためにノルウェーから来た新型兵器である『律』によって、魔法の反応と大量の軍人がE組校舎のある山を包囲していることを知らされたE組は、校舎の建っている山へと侵入。護衛をしていた軍人を業の巧みな指示とチームワークで圧倒し、殺せんせーの元へと向かった。

 

 渚たちの目には何も見えないのだが、律曰く、殺せんせーが触れたら溶ける結界が校舎周辺を囲うように張ってあり、その結界に視覚情報を偽装する魔法がかけられ、身動きが取れない殺せんせーを宇宙からレーザーで仕留めようとしている、とのことだ。

 

 渚たちが結界内に入ると、そこには、いつも通りの姿で殺せんせーが立っていた。

 

 

「音だけでも分かりましたよ」

 

「先生……」

 

「成長しましたねぇ……皆さん」

 

 

 その姿を確認したE組メンバーは、一人、また一人と殺せんせーに駆け寄っていき、全員で殺せんせーを囲むように立った。

 E組の願いは勿論、殺せんせーとここから逃げ出すこと。そのために自分たちが人質なったとしても、思いは変わらない。

 

 そもそも、何故殺せんせーが『殺せんせー』になったのか。

 

 それは、殺せんせーには『死神』時代に弟子がいたのだが、ある日突然弟子に裏切られて捕縛、裏の組織であった八朔家の率いる研究グループによって、反物質の体内生成の被験者として拘束された。

 

 反物質はゼロコンマ一グラムから核爆弾並のエネルギーが発生するが、その生産効率故、他のエネルギー資源の代わりになるとは思われていなかった。

 

 そこで研究グループの第一人者である八朔(はっさく) 誇太郎(こたろう)は、反物質の生成サイクルを生命における細胞分裂サイクルに組み込むことで、殺せんせーが生きている限り反物質が生成されるシステムを造ることに成功。

 

 その功績により八朔家の地位は一気に上昇したのだが、そこで事件は起こった。死神の細胞は反物質生成細胞というのだが、その細胞を移植されたマウスが月面での実験中に大爆発。月の七割を破壊し、八朔家の地位は失墜。八朔誇太郎は『数字落ち(エクストラ)』となり、柳沢誇太郎となった。

 

 マウスが爆発したということは、即ち死神も同じ末路を辿ることになる。

 混乱の中科学者の計算によって出された死神が爆発する確率は、マウスが爆発を起こした三月十三日から丁度一年後であった。

 

 その日が超生物『殺せんせー』の誕生であり、彼が大切な人からE組を任された日でもあったのだ。

 

 だが、その計算はE組の努力によって間違っていることが判明される。

 

 彼らは宇宙ステーションをハイジャックし、そこから反物質生成細胞の研究データを分析。その結果、『殺せんせーを殺さなくても地球が爆発する確率は1パーセント未満』だということが判明した。

 

 つまり、殺せんせーを殺さなくても地球は助かることになり、だからこそ、彼らは殺せんせーを逃がしたいのだ。

 

 だが、彼らの願いは決して受け入れられるものではなかった。

 

 

「皆さん。皆さんがたかが1パーセントと言っても、それは世界にとってはとてつもなく大きい数字なのです。1パーセントというのは、サイコロを三回振って三つとも『1』になる確率よりも遥かに高いのですよ。ここまで準備がされている以上、レーザーの発射は免れないでしょう」

 

 

 1パーセントという確率は、地球を賭けるにはあまりにも大きすぎる確率だ。それ以前に、例え何億分の一という確率であっても、地球爆発の危機がゼロでない限りは世界が恐れないはずはない。

 

 

「技術と時間と人員が惜し気もなく注ぎ込まれた、世界中の叡智(えいち)と努力の結晶の暗殺が先生の能力を上回ったことに敬意を感じ、その暗殺のターゲットになったことに、栄誉すら感じます」

 

 

 殺せんせーの声色は、とても優しいものだった。優しいからこそ、別れの時間が近づいていることを意識させられる。

 これが、社会というもの。

 それを再確認するには、十分すぎる現実だ。

 

 だが、その落ち込んだ空気を殺せんせーは良しとしない。

 

 

「君たちはこの先の人生の中で、強大な社会の荒波に邪魔されて、望んだ結果が出せないことが必ずあります。その時、社会に対して原因を求めてはいけません。社会を否定してはいけません。それは、率直に言って無駄です。

 そういうときは、『世の中そんなもんだ』と、悔しい気持ちをなんとかやり過ごしてください。

 やり過ごした後に、考えるのです。

 社会の激流が自分を翻弄するのなら、自分はその中でどう泳ぐのかを。やり方は学んだはずです。このE組で、この暗殺教室で。

 いつも正面から立ち向かわなくてもいい。避難しても、隠れてもいい。反則でなければ、奇襲をしてもいい。常識外れの武器を使用してもいい。

 やる気を持って、焦らず、腐らず、試行錯誤を繰り返せば、いつか必ず、素晴らしい結果が帰ってきます。君たち全員、それができる一流の暗殺者(アサシン)なのだから!」

 

「こんな時まで授業かよ」

 

「ヌルフフフフフフ。こんな時だからこそできる授業です。教師たるもの、教育のチャンスは逃しませんよ」

 

 

 こういう時でも授業を行える先生だからこそ、暗殺教室はここまでくることができた。そんな先生だからこそ、E組はどうしても思ってしまう。

 

 

「でもね。君たちが本気で先生を助けようとしてくれたこと、ずっと涙を堪えていたほど嬉しかった。本当ですよ」

 

 

 E組は、殺せんせーの――

 

 

「ところで中村さん。山中の激戦の中でも君の足音は小さかったですね。しかも、なにやら甘い匂いがするようですが!?」

 

「地獄耳に地獄鼻かい……」

 

 

 殺せんせーに指摘されて中村は呆れたような声でウエストバックから一つの箱を取り出した。

 

 

「月から今日で丁度一年でしょ?確か、今日が雪村先生に誕生日にされた日でしょ?」

 

 

 雪村先生は、三年E組の殺せんせーが担任になる前の担任で、殺せんせーとも研究室で知り合った、殺せんせーの大切な人であり、殺せんせーを教師へと導いた本人。

 茅野カエデの実の姉であったのだが、月が爆発した日に起きた事故で亡くなってしまったのだ。

 

 そして、今の殺せんせーはというと――

 

 

「これを崩さずに持ってこれる私の技術を誉めてほしいな……って、聞けよ!」

 

 

 ――箱を開けて出てきたケーキにヨダレを垂らして釘付きとなっていた。

 

 

「だって……!だって……!!」

 

「ああ!もう!分かった!ほら皆!さっさと歌うよ!」

 

 

 せーの、の合図で歌われたのは、クラス全員からのバースデーソング。ケーキには一本の蝋燭に火が灯してあり、暗い校庭を明るく照らしていた。

 

 

(十分すぎる……なんて身に余る報酬を受けだろう)

 

 

 バースデーソングが歌い終わり、皆から再度祝福される殺せんせー。

 その祝福を受けながら蝋燭の火を消そうと息を吹き掛け――

 

 ズドン!!

 

 ――ようとしたところで、ケーキは何者かの『触手』によって、粉々に崩されてしまった。

 

 

「ハッピバースデー」

 

 

 暗闇によって姿は見えない。

 だが、その特徴ある声は、全員が覚えている。

 

 

「柳沢……」

 

 

 殺せんせー暗殺のためのレーザー発射まで、残り二時間となっていた。




文章の書き方、前の方が良かったらそちらに戻します。何も反応がなければこのままいきます。

次回から怒濤のフラグ回収ラッシュになるかと思われます。
答え合わせの意味も込めて、楽しんでください。
それと全く関係ないですが、魔法科高校の贋○者の評価がうなぎ登りで、読者としても同作品の作者としても嬉しい限りです。


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