魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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復活です。
感想返信間に合ってない……でも、ちゃんとやります。
お先に物語の方をどうぞ。


暗殺教室の時間 三時間目

 砂煙が立ち上り、状況の把握が出来ない。

 だが一番突かれたくはないところを突かれてしまったのは間違いなかった。

 今しがた学校へとたどり着いた烏間。目に入ったのは、それこそ一目で分かる殺せんせーの劣勢。

 

 

「殺せんせー!」

 

 

 渚の声。切羽詰まったその声は、だが生徒が安心だという合図になった。

 

 

「ぐっ……」

 

 

 それと同時に、殺せんせーが身を呈して守ったという証明にもなった。

 

 

「教師の鑑だなぁ? モルモット。自分一人では逃げられるだろうこの攻撃を、生徒を守るために正面から受けるとはなぁ……さぁ、二代目。次だ」

 

 

 柳沢の指示に従うように、今度は生徒たちに向かってレーザーが放たれたそれを真正面から受ける殺せんせー。間髪いれず、二発目。三発目。

 何度も何度も放たれるそれを身を呈して守る殺せんせーだが、ついに、口から血を吐き出した。

 

 

「ターゲットと生徒がいれば、こうなるのは当然の結果だ。不正解だったんだよ、今夜ここに入ってきたお前達の選択はな」

 

 

 柳沢から放たれた言葉は、生徒の心に深く突き刺さる。この状況を見て、それを否定できる者は誰一人としていなかった。

 

 

「やめろ、柳沢! これ以上、生徒たちを巻き添えにするな!」

 

 

 そこで烏間が動く。

 銃口を柳沢へと向けて行った警告。E組では殺せんせーの次に強い、魔法師すら粉砕する最強の非魔法師。 だがその烏間ですら、今や柳沢にすら勝てない。

 

 

「黙って見ていろ、国家の犬。お前達はもう、俺にすら勝てやしない」

 

 

 柳沢は一瞬で烏間の目の前へと移動し、彼を吹き飛ばしたのだ。その一撃で烏間は動くこともままならない。あの烏間を持ってしても、触手を手に入れた柳沢には手も足もでなかった。

 

 そして遂に、殺せんせーが現死神によって捕らえられてしまう。その状況に渚は、否が応でも考えては手放していたことを思い出してしまう。

 

 

(ずっと…気づいていた。気づいていたけど…目をそらしていた)

 

「どんな気分だ? 大好きな先生の足手まといになって絶望する生徒を見るのは……分かったか? お前最大の弱点はな――」

 

(殺せんせーの最大の弱点。それは――)

 

 

 ――僕ら。

 

 

「そんなわけないでしょう!!」

 

 

 だが、その思考は殺せんせーの一喝により遮断させられる。尚も殺せんせーは生徒に、柳沢に、現死神に、そして自分に言い聞かせるように叫んだ。

 

 

「正解か、不正解かの問題じゃない! 彼らは命がけで私を救おうとし、障害を乗り越えてここに会いに来てくれた! その過程が、その心が、教師にとってもっとも嬉しい贈り物だ! 弱点でも、足手まといでもない! 生徒です! 全員が、私の誇れる生徒です! ――それに生徒を守るのは教師の当たり前の義務です」

 

 

 拘束は外れぬまま、それでも超然と言い切った殺せんせー。その覚悟を、だが柳沢は嘲笑と共に一蹴。

 

 

「そうかそうか。だがなぁ、その義務も我々で否定される。お前は間もなく力尽き、そこまでして守った生徒を俺の手で全員、なぶり殺す。お前が我々の人生を破壊してまで手に入れた一年、そのすべてが無駄だったと否定してやる! それでようやく俺の復讐は完成する! では続けるぞ? ちゃんと守れよ。可愛い生徒を」

 

 

 再び再開されようとしていた現死神による生徒への攻撃。だがそれは、柳沢の言葉が終わったと同時に殺せんせーの拘束共々、()()によって止められる。

 

 

「馬鹿!」

 

「なんで!」

 

 

 思わず叫んでしまった業と渚。何故なら、触手を撃ったのは茅野だったからだ。

 

 

「逃げて殺せんせー! 時間稼ぐから、どっかに隠れて回復を!」

 

「茅野さん……」

 

 

 既に満身創痍の殺せんせーは声を出すのもやっと。茅野は手馴れた手つきで触手を穿った対殺せんせー用の銃を閉まってナイフを構える。そこに現死神の、殺せんせーですら防ぐのがやっとの一撃が、襲いかかる。

 殺せんせーは動くことすらできない。誰もが目を伏せたくなるような数瞬先の未来を、だがそれは茅野によって振り払われる。茅野は現死神の攻撃を見事にかわし、更に一撃を入れたのだ。

 

 

「ほう……? 流石元触手もち。動体視力は残ってはいたか」

 

「止すんです、茅野さん!」

 

 

 感心した声を出す柳沢に対して、殺せんせーの制止の声。だがその制止の声は、誰でもない茅野本人によって否定される。

 

 

「ずっと後悔してた、私のせいで皆が真実を知っちゃったこと。クラスの楽しい時間を奪っちゃったこと。だから、せめて守らせて、先生の生徒として」

 

 

 茅野の目には決意の意思が宿っていた。だが今回は殺せんせーも引けない。いくら強い意思があろうと、いくら弱者が強者に勝てると言おうと、真正面からの対峙で勝てる道理はないのだから。

 

 

「君は正しかったんです! 君の行動のお蔭で皆が本当に大事な事を学べたのだから――」

 

 

 その瞬間、殺せんせーは現死神によって吹き飛ばされてしまった。これで現死神の前には茅野ただ一人。柳沢は溜め息一つ――死神に、茅野を始末するようジェスチャーを行った。

 それを合図に怪しく身体を発光させる現死神。それが現死神の攻撃合図だった。高速で打ち出される触手。それを再びかわし、茅野は空へと舞う。

 

 

(心配しないで、殺せんせー。()()()()()()。そう教えてくれたのはお姉ちゃんと先生だから!)

 

 

 かわした触手をそのまま踏み台に、一気に懐へと飛び込む茅野。だがその瞬間に、茅野は自らの失策を悟った。殺せんせーすら苦戦を強いられていた相手なのだ。人間を越えないスピードで近づいてくる茅野など、まさにカモ。

 それを見逃すはずもない現死神の一撃が、茅野の腹に風穴を空けた。

 

 バランスを崩しそのまま落ちてくる茅野。誰もが呆然と見つめるなか、殺せんせーは地面を這って茅野の元へと向かい、柳沢の笑い声だけが響き渡る。

 

 

「ハハハハハっ! 姉妹揃って俺の前で死にやがった! ハハハハハハッ! 本当に迷惑な奴らだな! 姉の代用品として、使ってやっても良かったがな……あいにく、穴の開いたアバズレには興味なくてね……ハハハハハハッ!」

 

 

 その一連の事柄が、完全にトリガーとなった。

 殺せんせーから炎のようにたぎるドス黒いオーラ。それに伴って殺せんせーの全身がその怒りを体現するかのように真っ黒に染め上がっていく。

 

 

「それだ! 我を忘れて、感情が歪めばお前の全身は真っ黒に染まる! その色でなくてはフルパワーが出せない! つまり、闇の黒こそが破壊生物の本性なのだ! ふざけた黄色の偽善者づらで過ごしたこの一年をお前自ら、全否定したことになる! おおいに満足だ! ……そして、お前渾身のド怒りも真の力を出すニ代目によって、否定される」

 

 

 それを待っていたとばかりに狂乱する柳沢。彼の手の平が注射器のような形へと変形し、現死神へと近づく。

 

 

「最後の攻撃だ」

 

 

 そして、そのまま現死神へと注射を打った。瞬間、ドクンと波を打ち、ドス黒いオーラと共に雄叫びをあげる。誰もがその溢れ出る力に目を庇うも、一人だけ、これを好機とばかりに動いた者がいた。

 ――渚だ。

 今完全に注意が逸れていると即決した渚は倒れている茅野を抱え、皆に言った。

 

 

「ここを離れよう!」

 

「渚……?」

 

「僕らから注意が逸れているうちに! ここにいたら確実に巻き添えだ!」

 

「で、でも……」

 

「逃げるのだって、俺たちの立派な戦術だよ」

 

 

 戸惑う他のE組を後押しするように、業が賛同。有無を言わさずに手を引き、全員がその場を離れた。

 校庭にはドス黒いオーラを放つ殺せんせー、現死神、柳沢の三人のみ。その黒いオーラを放つ現死神の後方から、柳沢が感慨深そうに呟いた。

 

 

「地獄のような一年だった……だが、今終わる」

 

 

 その呟きに答えるかのように、現死神が雄叫びをあげる。そして身体中が発光し、レーザーのように放たれる触手が殺せんせーに襲いかかった。それを正面から受け止める殺せんせー。そして、殺せんせーに起きている変化に、柳沢は目を見開く。

 

 

(何!? 白い光……いや、違うやはり黒い触手)

 

 

 見間違えだと思った柳沢。だがその考えはすぐに破り捨てられる。その変化に気づいたのは柳沢だけではない。それほどまでの、明瞭とした変化だった。

 

 

「いや違う……黄色だ!」

 

「いや、赤……」

 

「緑……」

 

「青……」

 

「白……」

 

 

 様々な色へと触手は変化していく。

 その全てを、力にしていくかのように。

 

 

「全ての色を、全ての感情を、全ての過去を、全ての命を、全て混ぜて純白のエネルギーに……教え子よ、せめて安らかな卒業を」

 

 

 殺せんせーの、教えを説くような声音と共に放たれる、白い光。それは校庭を包み込み、現死神を吹き飛ばす。そしてその後ろにいた柳沢もその余波に巻き込まれ、吹き飛ばされる。

 彼らが吹き飛ぶ先。そこには殺せんせーが逃げ出さないように張り巡らされた、見えないバリアが。触れれば容赦なく触手を溶かすバリア。

 

 

(なっ、まずい…! 今、触手だけを解かされてしまったら!)

 

「いやだぁぁ!」

 

 

 状況を理解し、悲痛な叫びを上げる柳沢。だが時既に遅し。彼はバリアへと接触し、そのまま跡形も無く消え去った。

 そして現死神も空中に吹き飛ばされたまま。その現死神に、殺せんせーは対殺せんせー用のナイフを持って肉薄、心臓へと突き刺した。

 現死神と殺せんせー。二人に、同じ記憶が甦る。

 殺せんせーが人間で、二人が師弟の間柄だった時の記憶。渚達の目にもはっきりと分かるほどの制止。それは、殺せんせーがナイフを抜いたことにより、終わりを告げる。

 現死神はそのまま跡形も無く消え去ったのだ。

 




今回の話はオリ主でもなく、あまり改編が効かないのでほぼ原作通りとなっております。というわけで、次話をご期待ください。

そして、復活しました。
一次だけだとアイデアが浮かばず、暗殺者書いてるときよりもつまらないものになっていったので、親にその事をいって戻って参りました。

再び書くに辺り読み返しましたが……宣伝、邪魔ですね。あのときの私は評価を気にしすぎてました。一次は読みたい人が読めばいいんです。それを二次創作の宝庫であるここで言う私が間違ってました。

というわけで、再び宜しくお願いします。
本当は横浜騒乱はやめそうかと思ってましたが、謝罪もかねて書きますね。

更新のペースについてですが、まずは一週間は空けないようにがんばります。この作品を書きながら、他のやつをどんどん完結してこちらと魔法科高校の絹旗最愛に専念するという形でしょうか……
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