魔法科高校の暗殺者   作:型破 優位

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こんにちは。
過去作酷すぎるのに加えて投稿頻度があまりにも違うため別人疑惑浮上していました。

それと最近普通科高校の劣等生って題名が過ぎりました。
ただの落第生ですね。



転換の時間

 下校時間が過ぎた校舎。

 本来は生徒は全員校門を出なければならない時間だが、とある二人だけは未だに校舎に、詳しく言えば練習場の更衣室にいた。

 

 

「大丈夫、十文字君?」

 

「ああ、すまない七草」

 

 

 真由美と克人だ。

 今回この二人は先の練習についてどうしても話し合わなければならないことがあり、特別に時間を貰っている。

 正直なところ、先ほどの結果は非公式だとしても非常に不味いのだ。

 

 

「......摩利は今回の件は忘れるって言ってくれたわ。はんぞー君達も理解はしていると思うけど、念のため釘を刺しておいたわよ」

 

「手間をかけた」

 

 

 そう九校戦の一条将輝の敗北の時と理由は同じで、十師族が負けることは許されない。

 非公式な分口止めだけで済むが、この話が何処からか広まらないか真由美は内心肝を冷やしているのだ。

 

 

「可能性はあるかな、とは思っていたけどまさか本当に負けるなんて思っても見なかったわ。見てる側からすると十文字君が渚君に注意を向けすぎた結果、ただ一方的に翻弄されていた感じが否めなかったのだけれど」

 

「実際翻弄されていた。潮田の策に俺は綺麗にハマっていただけだ。それに―――」

 

「それに?」

 

「―――それに潮田が後ろに現れた瞬間、俺は死を覚悟した。あれは魔法ではない、所謂殺気という奴だな。しかもあれは意図的に出せるようだ。加えてずっと張り付かれていたみたいだが全く気づくことができなかった。隠密も完璧としか言い様がない」

 

「そう......こういうのはあまり聞きたくないんだけど、もし克人君が渚君の暗殺の対象になった場合対処出来そうかしら」

 

「......気配に気づくことが出来れば勝てる自信はある。だが今回のことを考えると暗殺という点においてはまず無理だろう。不意打ちで、しかも完全に殺しにきた際のあの攻撃を防ぐ自信は無い」

 

「あの攻撃......吉祥寺君を倒した技ね。あれもやっぱり……」

 

 

 そして次の話題は、クラップスタナーについて。

 九校戦の時は達也の怪我でそれどころではなかったが、よく考えれば魔法が映るはずの映像にその粒子すらも写さなかったあの技は、確認しなければならないものの一つだ。

 実際はそんな余裕などなかったが、本来行う予定だった五回戦のうち、最後一回戦はクラップスタナーを受ける予定でもあった。

 

 

「あれは確実に魔法ではない―――魔法ではないが、喰らったら確実に意識は無い点で言えば。間違いなく暗殺技術の一つだ」

 

 

 訪れる沈黙。

 今回渚との戦いを望んだのは他でもない克人自身だ。

 その鉄壁の名を持つ十文字の事実上当主である克人は、世界的に見ても高い水準の優秀な魔法師。

 それと同時に、十師族でもある。

 つまりどんな側面においても、少なくとも魔法においては一般人には勝たないといけない()()があるのだ。

 それが例え、超生物を暗殺するために育てられた暗殺者達であっても、である。

 

 

「……少し話が逸れるが、これから先遠くない時期に十師族内で潮田を引き込もうという動きが必ず出るだろう。その時に潮田は必ず俺達に近い立ち位置に居て貰わないと困る。この先の事を考えるとな」

 

「......業君のことね」

 

「七草もやはり知っていたか」

 

 

 そして会話は、業の事へ。

 九校戦の時に連絡の交換を行った二人だが、両者ともに業の頭の回転の早さとその先見の明は体感済みだ。

 

 

「ええ。最初はただのいたずらっ子かと思っていたけど―――とんでもない策士ね、彼」

 

「赤羽の頭のキレはこれからの十師族のことを考えれば敵対した時が厄介だ。幸い向こうは十師族と関係を持ちたがっている。俺もだが、七草もあいつとの関係は上手く保っておけ」

 

「そうね―――全く、今年の一年は本当にどうなっているのかしら」

 

「理解はできるが口にしても仕方のないことだ」

 

 

 十師族二人にそれと同等の力を持つ者が一人いる現三学年、その内の二人が話しているこの内容を他校の者が聞いていれば頭を抱えそうではあるが、真由美と克人は十師族という実力に裏付けた称号がある。

 対して達也や深雪はただの一般人であり、渚は暗殺教室の首席とはいえ元々魔法師ですらなく、それこそ業は本来関わるはずのない存在だ。

 今の彼らから見ても今年の一年は異常に見えるというのは、やはりただごとではない。

 まだまだ厄介事は多そうだと、二人揃って再確認する場となった。

 

 

◆◆◆

 

 

 論文コンペは三人という代表がいるものの、選抜された生徒だけで行う九校戦とは違い学校全体で盛り上げていくという風潮が強く、一科生や二科生関係無く各々が出来ることを行う。今回の渚の役割は護衛だが、実はマイナーな思想の持っていたことが功を奏して時折鈴音にお誘いを受けるようになった。恐らく達也がそのことについて話した結果だろう。その思想を共有して数日の内に来たのだから渚は確信に近い形でそう考えている。

 渚は学年でも上位の識者であることは生徒会である鈴音の耳にも届いていたし、マイナス要素になるのならともかく達也の後押しまであるのなら傍聴者という役目でも全く問題は無い。画期的な意見が貰えたら儲けもの程度の考えであることは間違いないのだが渚にしてみれば願ってもない申し出だ。

 

 勿論部活動は行なっているし警備隊の訓練もしっかりと受けているが、そのあまり時間は宿題の時間に充てて知見を元に他方向からのアプローチもかけてみている。そして気がついたことが一つあった。

 重力制御型熱核融合炉は別の観点から永久機関とも呼べるものだが、正直なところそれは理論が跳躍しすぎている。何故前段階も無くいきなり無人でやろうとしたのか。まずは有人でやるべきだろう。これが一つの気づきだった。

 これは永久機関とはまた別の大きな意味があり、経済面で魔法師が活躍することが出来る証明になるのだ。

 何とか道を見つけて一息吐いた渚は徐に携帯を取り出した。まずは時間に目が行き、そのまま連絡が一件入っているのを確認。相手は、業だった。内容は『おひさー渚。俺九月の論文コンペ見に行くつもりだけど、渚は何か予定ある?』というものだ。業のことだから論文コンペそのものが目的とは思わないが誘いそのものは純粋なものだろう。だからこそ申し訳なさが湧き出てくる。

 

 

『ごめん業。実は警備隊として参加することになってるから一緒に見ることは出来ないかな』

 

 

 送って数秒、返信が帰ってくる。

 十数分前の内容だったのにも関わらず秒で返ってきたということは都合が良かったのだろう。

 

 

『さすが。九校戦のメンバーは誘うつもりだけど今回は休暇じゃないから全員は無理だと思う。たぶん全員連絡してくると思うけどね。そういうことで、皆によろしく言っておいて』

 

『分かった。ありがとう』

 

 

 皆というのは、それこそ皆なのだろう。達也や深雪、レオ、エリカなどは勿論のこと、克人や真由美にもよろしく伝えておいてということだ。あんなに意味深長な感じで連絡先交換しているのにこうやって自分を使って参加を伝えようとしているあたり策士だと渚は思う。しかし業には業の考えがあるようなので別に無下にはしない。克人や真由美と業のどちらを取るかと言われれば業を取る程度には渚も傾いているのである。勿論どちらかに不利益が及ぶようならその限りではない。

 一通りやり取りを行った渚はぐっと伸びをした。時間は日付が変わってから十数分が経った程度。高校生にしてもこの時間には寝たいと思える目安の時間だ。

 色々と区切りがついているため、今回はその目安に従って渚はベッドに身を委ねた。

 最近は頭をいつも以上に回転させているためか非常に眠りが深い渚は、今日もまたものの数分で寝息を立て始める。それは友人たちからの論文コンペ参加不参加の目覚まし時計にも気づかない程の深い眠りだった。

 

 

♦♦♦

 

 

 時を同じくして渚からの返事を確認した業はふふっと微笑んでいた。

 

 

「これであいつらは俺がまた何か仕掛けてくると思ってくるだろうけど、実際はその論文コンペを見に来る人たちが目的だなんて思わないだろうな」

 

 

 渚の思った通り、業の伝言ゲームには意味があった。だがこれは業に意識を向けさせるためのものに過ぎない。真由美や克人はそれを過大に捉えることは予想出来ている。向こうが関係を保ちたがっていることは連絡を取っていればわかることだし、それは業自身もそうだ。だが業には暗殺教室という、存在が分かる人にとって絶大なアドバンテージを誇るナイフがある。それなら自分のやることは隠すことが出来なくなったそのナイフを敢えてちらつかせることで更に武器を増やすことだ。

 真由美や克人とは勿論現地で接触するつもりでいる。だがそれは接触が目的なのではなく、飽くまでも十師族と話していることを見られることに意味がある。

 

 九校戦を見に行った面子に論文コンペの誘いを粗方送り終えた業はぐだっと横になった。考えるのは魔法師という存在。二年前まではそれこそ無関係だと思っていた。だが去年、無理にでも関わる立場へとなっていしまい、今では親友が魔法師として表舞台で活躍をしようとしている。

 業はその魔法師が同じ人間として扱われていない現状に憂いているのだ。

 勿論自分の懐事情という経済的で俗物的な側面も多分に含んでいる。だがそれは親友を認めさせるために行った結果でしかなく、業にとってはついでだから財布にしよう程度の認識でしかない。

 即ち業がわざわざ十師族に接触したこと、そしてこれからの行動は全て渚に対してプラスに働くようなものに他ならないのだ。




文系の私に理系でも理解できないようなことをやらせるではないと言いたいがやると言ったのは自分なのでどうしようもないこのジレンマ。
来訪者編までは書かないのでここで言うと、論文コンペで使った機器を五十里の代わりにピクシーが使えるようになればいいんじゃね?って頭空っぽにして考えてました。
勿論無理なのは理解してます。
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