俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。 作:いでんし
継承者を傷つけた奴は殺すみたいなこと。
おー、おっかない。
やっぱり闇属性なんだなと。
これもしかしてプレイヤー名エリゴスちゃんにすれば俺の気持ち代弁してくれるんじゃね?
「あたしの宝を…返せぇぇ!!」
怒りに身を任せ、内部から遺跡を破壊して現れたのは、巨大な幻獣体と、それを使役しているであろう幼女だった。
幼女は踊り子のように肌面積の広い黒の衣服を着用し、幼い肢体を見せつけている。
だがそれ以上に目を引くのが頭や手足に着けられた腕輪や髪飾りと言った装飾品で、その全てが金色に煌めいている。もし全てが本物の純金だとしたら、換金したらかなりの値打ちになるだろう。
幻獣体は、純金の鎧を纏った屈強な胴体と、東洋風の龍の頭部と下半身を組み合わせたような姿だ。頭部からは角と白い毛を生やし、背中には天使のものに似た翼を携えている。
幻獣体の頭部からは鎖が伸びており、その鎖は幼女の乗るブランコに繋がっていた。
「何よ、あれ…!」
突然出現した新手に、ハスターは動揺を隠せない。
「やああっ!」
幻獣体が力任せに剛腕を振るう。
その質量から繰り出される一撃は、単純ながら人を殺傷するには十分すぎる威力だ。
騎士が数人巻き込まれ、吹っ飛ばされた。
「イタクァ、マスター君を連れて離れて!」
「は、はい!」
イタクァは負傷したカゲツを抱えようとする。
しかし、エレミアはそれを見逃さなかった。
「させません。彼はこちらで預かります」
エレミアはイタクァの進路を妨害し、風魔法でイタクァを吹き飛ばした。
そしてカゲツを守る様に立ち塞がる。
「きゃあっ!」
「担架を持って来なさい。継承者を運び出します」
「はっ!」
どこからか担架を持った騎士が現れ、カゲツを運び出そうとしている。
「イタクァお姉ちゃん、お兄ちゃんが連れてかれちゃうよ⁉︎」
「まずいです…このままでは…」
だが、次の瞬間、担架を運ぶ騎士に電撃が降り注いだ。
「⁉︎」
「ぐぁぁっ!」
騎士だけではない。
電撃は他の騎士も容赦なく襲う。
その電撃は、あの幻獣が起こしているものだった。
「あの幻獣…雷の魔法を使うのね」
騎士は幻獣に立ち向かうが、強力な電撃を受け、一人、また一人と倒れていく。
カゲツ達を邪魔した騎士も、数人にまで減っていた。
「…不思議ね。どうして私達は襲われないのかしら?」
「ハスター様!マスターが…」
「わかってるわ、一旦落ち着いて」
なんとかイタクァ達と合流したハスター。
不安になるほど落ち着いている彼女は、ふと疑問を口にする。
「さっきの放電、かなりの広範囲にわたって魔法を放っていたわ。なのに私達どころか、マスター君にも傷一つついてないじゃない」
「そういえば、ずっと騎士を狙っていますね」
イタクァも、自分たちが狙われない事に違和感を覚えた。
わかることは、あの幻獣がこちら側に影響は与えないということだ。
「とにかく、マスター君を助けないと。でも…エレミアが動いてくれないと、話にならないわね」
「エリゴスもです。どこまで飛ばされたかわかりませんよ」
「あー、そうだったわ…」
山積みの問題に頭を抱えるハスター。
その時、ビリーがハスターの服を掴んで言った。
「ハスターお姉ちゃん…お兄ちゃん、大丈夫だよね…?」
彼女はもう泣きそうになっていた。
見ると、ソルも目に涙を浮かべ、落ち着かない様子だ。
ハスターは、彼女らを落ち着かせるように言った。
「安心して。必ず助けるから」
×××
幻獣と教会騎士の戦いはより苛烈になっていた。
大半の騎士が電撃で倒されたが、残ったのはその中でも精鋭揃いだ。
ただ、そんな戦いでも、幻獣は互角以上の戦いを続けていた。
そんな中、事態はエレミアが参戦することで動き出した。
「暴れるのも、ここまでにしてもらいましょう」
「…何、お前。あたしを封印したのはあんたなの?」
幼女がエレミアを睨みつける。
エレミアは臆することなく、相手に話を振った。
「貴女の名前は?」
「あたしの質問を無視するなー!…まぁいい。あたしはアマル。エルドラドを守護する幻獣だー!」
アマルと名乗る幻獣は、エレミアに食ってかかる。
「だんだん思い出してきたぞ!お前らと同じ格好の奴が、あたしの遺跡に侵入して、あたしを倒して…お前、私に何をしたの?エルドラドはどうなったの⁉︎」
「エルドラド…そういえば、記録がありましたね。エルドラドなら、現在我らがゼスト教の管理下にあります」
「ふえっ?」
「遺跡の罠は全て取り除き、財宝もこちらで管理しています。あぁ、ご安心を。勝手に換金するようなことはしていません。貴重な文化財なので」
「なっ…なっ…」
アマルがブランコの上でわなわなと震え出す。
気にせず、エレミアは話を続ける。
「現在はエルドラドへのルートを整備し、観光地として中を歩けるようにしています。毎日多くのお客様がいらっしゃっていますよ。ただ、貴女に暴れてもらうと困るので、この遺跡に封印して貰ったのですが…」
「…さない」
「?」
「ぜっっっっっっ対に、許さないぞ、お前達ぃぃ!!!」
激昂するアマルが、エレミアに向かって電撃を放つ。
エレミアは問題なく回避するが、電撃の余波が森に飛び、森林火災を引き起こした。
そうしてなお、アマルの怒りは収まらない。
「あの遺跡と宝は、私が何百年も守り続けてきた、大切なものだったんだぞ!それを勝手に持ち出して、観光地にして、挙句あたしをこんな辺境に封印して!許さないからなぁー!」
癇癪を起こしたアマルの魔力が大きく膨れ上がる。
電撃は怒りのままに撒き散らしているだけでエレミアを捉えられないが、攻撃範囲が非常に広く、ハスター達にまで影響が及ぶ程だ。
「へへーん!電撃が邪魔で近づけないでしょ!このままやっつけちゃうからー!」
エレミアの退路を電撃で塞いだところに、アマルの剛腕が撃ち込まれる。
回避はできない。
重低音と土煙が巻き上がった。
だが、エレミアは剣どころか、自身の拳だけでアマルの剛腕を受け止めていた。
「ふえっ?」
「はあぁぁっ!」
エレミアが力任せに剛腕を押し返した。
あまりの腕力に、アマルの幻獣体がひっくり返る。
「くっ…やぁぁぁ!」
お返しにと電撃を放つアマル。
しかし、エレミアは背後で倒れているカゲツを守るように立ち回り、飛んでくる電撃を全て切り裂いた。
そして跳躍し、風の刃で切り刻む。
「エターナルエアレイド」
アマルの幻獣体は、身体にまとう鎧ごと斬られた。
幻獣体は肉体を保てなくなり、消滅する。
同時に、ブランコからアマルが投げ出された。
「ひゃあっ⁉︎」
「さて、これで貴女は戦えませんね」
エレミアは、自らのデバイスを手に取り、アマルに向ける。
アマルに悪寒が走り、彼女は恐怖で震え出した。
「お前…何するつもりなの?」
「私の駒にします。現在、ゼスト教では戦力が大きく不足していまして。幻獣を捕獲して、我々の戦力としているのです」
「い…嫌っ…」
幻獣体を失ったアマルは抵抗できない。
このままエレミアに意識を支配されてしまう。
しかし、エレミアの表情が硬くなった。
「…デバイスで支配できない…?」
神姫や幻獣に対して圧倒的な支配力を持つデバイス。
それが機能しないとなると、明らかな異常。
「…まさか、もう既に…⁉︎」
嫌な予感がし、エレミアが背後を向いた瞬間だった。
剣が、エレミアを断ち切らんと振りかぶられていた。
エレミアがほぼ反射で回避する。
「馬鹿な…その傷で…」
「…先に俺のデバイスを奪ってから戦うべきだったな」
満身創痍のカゲツが、デバイスを持って笑っていた。
腹の傷は治っていないのに、何という胆力だ。
「俺のデバイスでアマルと強制的に契約を結んだ。こうなったら、どんな方法でもあいつを無理やり従えることはできない。…例え本物のデバイスでもな」
「…ッ!貴様ァァ!」
激昂したエレミアが、怒りのままに剣を振り下ろす。
だが、突然横から飛んできた闇の光線により、剣が飛ばされた。
「マスターから……離れろと言っている」
傷だらけのエリゴスが、息も絶え絶えといった様子で立っていた。
「……ハスター!」
「任せて!」
一瞬の隙を、エリゴスとハスターは見逃さない。
丸腰になったエレミアの背後にいるカゲツと、ついでにアマルを一瞬で掠め取った。
「えっ?ちょっと、何?お前達何⁉︎何なの〜⁉︎」
「リーダー!リーダー!」
「もう大丈夫よ!ソルちゃん、回復を!」
「…うん!」
ハスターの風に乗り、カゲツとその神姫たちは逃げ出した。
エリゴスもイタクァの肩を借り、何とか逃げ出す。
「させません!エターナルエアレイド!」
最後の最後まで、エレミアは継承者を諦めない。
ハスターを狙い、風の刃を放つ。
ビリーが、それをさせなかった。
「こっちもだよ!デスバレット!」
いつのまにかソルイグナイトを構えたビリーが、光の光線を発射。
風の刃とぶつかり合い、爆発を引き起こした。
土煙が巻き上がり、カゲツ達の姿は見えなくなる。
視界がはっきりした頃には、誰もいなくなっていた。
「逃がしましたか。…ですが、必ず捕らえてみせましょう」
諦めの姿勢を見せないエレミアは、拳を握り締めていた。
×××
負傷したカゲツとエリゴスは、すぐに街の医療施設へ連れていかれた。
幸いにも、どちらの怪我も命に直接関わるものではなく、安静にしていればすぐに退院できるレベルとのことだ。
特にカゲツは、長剣で腹部を貫かれたにもかかわらず、内臓には傷一つついていなかったという。
奇跡的な確率だが、エレミアの力量ならその程度簡単にこなせそうではある。
「それにしても、マスター君やエリゴスが指名手配されてないのは驚いたわね」
「そうですね。教会騎士は発言力が高いようですし、そういったことをしないのは驚きです。何か裏を感じますね」
「エレミアが利益を独占しようとしてる…?いや…他に知られると都合の悪いことが…?」
カゲツ達の見舞いを終えたハスターとイタクァは、議論を交わしながら滞在している宿に戻っていた。
宿にはビリーともう一人が待っている。
ソルはカゲツとエリゴスに何かあった時のため、念のため医療施設に残っている。
では、あと一人とは。
「戻ったわよ。…その様子だと、まだ警戒しているみたいね、アマル」
「…」
成り行きで連れていかれた幻獣・アマルが、クッションを抱え、ハスターを睨みつけていた。
お前前回解説忘れてたよなぁ!?やるぞ!!
・エリゴス
闇属性。SR。アタックタイプ。
作者の嫁。主人公LOVE勢の一人。すっごくかわいい。
エピソードによると未来予知や幻影魔法が使えるらしいが、ゲームでは一切その片鱗を見せない。この小説みたいに予知で回避率アップ!なんてこともしない。
ゲームでの性能は連撃率アップバフに単体攻撃アビと全体攻撃アビを兼ね備えた、まさにアタックタイプ、といった性能。一方でデバフや味方へのバフを一切扱えない。本気で活躍させたいなら味方のサポートが必須。
元ネタはソロモン72柱に所属する悪魔の一柱で、グリモワールの一種「ゴエティア」によると序列は15位。階級は公爵。
召喚者の前に、槍を携え、旗を掲げ、蛇または杖を持った端整な騎士の姿で現れる。未来を予見する力を持ち、隠された物事や戦争について語るとされている。また、王や偉大な人物の寵愛をもたらすとも言われる。フルーレティの配下であるとされることもある。
ゴエティアとは悪魔を召喚したり、その悪魔を使役する方法が記された筆者不明のグリモワール「レメゲトン」の第1部。ソロモン王がいかにして悪魔を使役し名声を得たかを記し、その悪魔の性質や使役方法を述べている。
ちなみにエリゴスちゃんのバーストアタックは「ゴエティアハンド」。あの翼は意外と重要な物なのかもしれない。
余談だが、主人公を呼ぶために魔物の幻影を見せたが、その時周りの人に子供と見間違えられたため、ロリ疑惑が浮上している。
エリゴスちゃんッッ可愛いよおかわいいいよォエリゴスゥゥアアァァアアァッ!!
・ハスター
風属性。SSR。トリッキータイプ。
攻撃アビ二つに味方攻撃アップを兼ね備えている。Wikiでは強化版ガウェインと言われたりするが、まさにそれ。どこら辺がトリッキーなんだお前…?
アビリティが威力、クールタイム共に扱いやすく、防御デバフも併せ持つため単純明快で扱いやすい。風属性はデバッファーが不足気味なのでより評価が高くなっている。
アルコール耐性0。しかも悪酔いする。はっきり言って相当タチが悪い。
自分勝手な性格も相まって、従者のイタクァをしょっちゅう困らせている。
こんなんでも一応黄衣の王を目指しているらしいが。
元ネタはクトゥルフ神話に登場する神格。初出展は「羊飼いのハイータ」。
旧支配者(グレート・オールド・ワン)と呼ばれる強大な力を持った存在の一員とされる。四元素の「風(大気)」に結び付けられる。
「名状しがたきもの(「名付けられざりしもの」という解釈もある)」の他に「星間宇宙の帝王」、「邪悪の皇太子」などの異名がある。
代名詞とも言える『黄衣の王』はあくまで化身の一つに過ぎず、その正体は目に見えない力であるとも、精神的にしか感じられない目に見えない力だというものからタコのような姿、全身がミミズのような触手で構成された身長60m級のゴジラのように直立するトカゲとも言われている。
…細かく説明するととにかく長くなるので各自で調べて欲しい。
黄金の蜂蜜酒を飲んで次の呪文を唱えると、ビヤーキーを遣わしてくれる。
いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく
ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! はすたあ!
内容はハスターを讃えるもので、この文言は祈祷文にも遣われるらしい。
聞き覚えのある方も多いのでは?
参考文献:ウィキペディア、ピクシブ百科事典など